櫻井祐子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この「選択」について書かれた本が、他の作品と大きく異なるところは、著者の出自だろう。
アメリカのシーク教徒移民の居住地に生まれ、インドの習慣の中で育った彼女が語る「選択」、そして後天的に盲目になった彼女が語る「選択」は、(偏見を露呈したような書き方になってしまうが)自由の国アメリカの文化の中で生まれ育った白人の語る「選択」とは、まったく趣の違うものに感じられる。
いや、僕は別に、何が普通かとか、何が良く何が悪いかという議論をしたいわけでも、もちろんアメリカを否定しているわけでも無い。
ただ、異なる文化を行き来し、異なる文化に生きる人々を愛す彼女だからこそ、そして、見えない世界とかつて見てきた世界を俯瞰し、それらを『言語によって』架橋してきた知性だからこそ、このような作品が書けるのだろうと思うのだ。
作品中に出てきた名言を書き連ねると長くなってしまうので、巻末の解説から養老先生の言葉を抜粋したい。
「目の見えない人は論理に優れていることがある。百聞は一見に如かず、と俗にいうくらいで、目で見るとアッというまに結論が見えてしまう。いわば目は論理を飛び越す。(略)これが著者の最初の本なのに、筋が通ってわかりやすく、よく書けているのは、全盲のせいもあるのかもしれない。」
訳者の仕事も見事で、ほんとうに読みやすく仕上がっていると思う。英語で書かれた論説文を訳したことがある多くの人には、同意してもらえるのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
「問題が起こる前」に解決する思考法を知りたい人におすすめ。
【概要】
●上流思考とは
●上流思考を阻む3つの障害
●上流リーダーになる7つの質問
●上流活動のためのアドバイス
【感想】
●昔、上司から「処置より予防」と教えてもらったことがある。まさにそのことが書かれていた。被害を生じさせないためにも予防が一番の解決策なのである。
●しかしながら、日本社会では本書でいう下流偏重の姿をよく見る。特に思うのは、日本では被害が起きた後に、二度と同じことを起こさないためにどうするかを考え始める。
すなわち、日頃の何もない平和な状態において、これから何がおきる可能性があるかという発想力が不足していると思う。
●予兆を察知し問題の本質を捉えた上で、被害が起きる前に対処するというやり方をクセにすべきだと思う。 -
Posted by ブクログ
1.上流思考とは何か?を知りたかったので読みました。
2. 「問題の根っこを探り、描きたい結果が出るように解決策を設計していく」という要旨になりますが、これを日常的に考えていくことは大切ですが難しいです。本書では、上流思考を習慣化するためには、当事者意識をもつこと、問題盲に囚われていることトンネリング(問題の先延ばし)を意識していかなくてはなりません。これにより、問題の予防に目を向けることができ、無駄な時間を過ごさなくて良くなります。そうして、時間を生み出していくことが重要だと本書は述べています。
3.ウチの会社では「忙しい」が口癖になっており、常に何かに追われている状態が続いています。人間関係が悪くないため、問題が非常に見えにくい状態にあるため、なお厄介です。
本書にある「問題盲」という状態になりつつある自分がいたので、良い気づきを得たと思いました。 -
Posted by ブクログ
問題が起こってからそれに対処する「下流活動」ではなく、その問題が起こる前から根本原因に介入する「上流活動」が重要だというテーマの本。主旨は自明で明快なものだが、その導出に具体的な実例を挙げていくという構成になっている。
ただし実例が具体的過ぎて抽象的な意味合いが解説されないため、自分でこれを抽象化していく必要がある。その意味で冗長でもどかしく感じた。
マクロな問題もまずミクロな解決策から見定めていくべきというのは有効な示唆かと思った。大きな課題だからといって大雑把なソリューションを策定するだけではその解決にはならない、ということだろう。