あらすじ
◎TEDトーク225万回再生◎
私たちはいつ言語を獲得し、文字を使い始めたのか?
4万年前の氷河期に残された壁画の数々。
そこには牛や馬の絵とともに不思議な記号が残されていた。
ヨーロッパ全体368箇所の洞窟に残された記号を世界で初めてデータベース化。
すると記号はわずか32個に収斂された。
2400キロも離れた2つの洞窟に残された記号が一致するのはなぜか?
あるいは急峻なピレネー山脈を挟んで、一致した特異な屋舎記号。
自ら52箇所の洞窟に潜って記号を採取した
カナダ人女性科学者がその謎に挑む!
【目次】
■はじめに 太古の人類が残した記号
■第一章 何のために印をつけたのか?
■第二章 人類のはるか以前に道具を使った者たち
■第三章 死者をいたむ気持ちの芽生え
■第四章 言葉はいつ生まれたのか?
■第五章 音楽の始まり
■第六章 半人半獣像とヴィーナス像
■第七章 農耕以前に布を織っていた
■第八章 洞窟壁画をいかに描いたか?
■第九章 欧州大陸に到達以前から描いていた
■第十章 唯一の人物画
■第十一章 遠く離れた洞窟に残される共通の記号
■第十二章 それは文字なのか?
■第十三章 一万六千年前の女性の首飾りに残された記号群
■第十四章 壁画は野外にも残されていた
■第十五章 最古の地図か?
■第十六章 トランス状態で見える図形なのか?
■おわりに データベースを世界の遺跡に広げる
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ラスコー洞窟のような見事な絵を描ける人びとが、原始的な文字を持っていてもおかしくない、と思う。この記号が表した意味も絵画の表した世界もすでに失われてしまったのだろうか?ほんの一部でも今の私たちに受け継がれているのだろうか?いろいろ想像すると面白い。
Posted by ブクログ
岩絵遺跡を調査する古人類学者による、文字や記号の誕生を探る活動が綴られた一冊。
壁画などの芸術は学者だけでなく大衆からも注目されますが、文字かもわからない記号のようなものにはあまり関心が集まりません。
調べなければ始まらないということで著者が本腰を入れて研究を進めます。
文章のようなもの、単語のようなもの、単体の文字か記号のようなもの、色々見て回った結果として共通の記号や染料などが判明していきます。
しかし、それが本当のところ文字なのかはわからないのです。
シャーマンが儀式の最中か末に描いた物が記号に見えるだけなのかもしれませんし、一つの記号に複数の意味があるか単一の音を表しているのか、全てが謎です。
我々が音声と文字でコミュニケーションを取り始めた切っ掛けや、古の呪術や芸術の始まりについては研究の余地がまだまだあります。
本書は後進への道標となる内容であると感じましたし、今後の進展に期待します。
Posted by ブクログ
授業内容更新用。ヨーロッパの洞穴に残る、人類の手による幾何学模様の中に共通する形が多いことに着目し、これを最古の記号と捉えて考察を進めていく。
著者は博士課程在籍で、幾何学模様をデータベース化し、現在博論に向けて分析を進めているところであるという。
結論から言えば最古の文字ではないのだが、幾何学記号の利用の話を組み込むことは必要そうだ。←組み込んだ
Posted by ブクログ
ヨーロッパの300か所を超える洞窟に残された様々な模様、記号を調査、データベース化してみると、それはわずか32個に集約された。これらの意味を探るべく著者は調査を重ねる。日本語タイトルは「文字」という言葉を使うが、本文は洞窟に残された様々な記号、模様についての考察が中心であり、本書においてはそれらが文字であるとは結論付けていない。
とはいえ、このような研究はまだ間発展途上との事なので、今後のさらなる研究に期待している。
あと、本書のおかげで少し考古学や古人類学に興味が出た。
Posted by ブクログ
ラスコー遺跡の壁画に動物が描かれていることはよく知られている。一方で、平行線や点などの幾何学模様(記号)も描かれていることはあまり知られていないのではないだろうか。私も知らなかった。岩絵は何度も見たことがあるから、記号の存在に気がつかなかったのだろう。著者は、研究されていない古代の記号をデータベース化し、文字の起源であると思われるものを研究している。記号のデータを集めるだけでも大変な苦労がある。研究は始まったばかりであり、本当の成果は数年先でないと出てこないだろう。本書は、古代ファンを惹き付ける研究分野があることを知ることを目的に読んだ方がいい。著者が慎重なのか、推定でしかない事を断定することはない。そのため、結論を知らされない読者はもやもやするが、数年後には新たな発見がありそうな期待感で胸を膨らますことができる。