市田泉のレビュー一覧
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ネタバレラノベじゃないので読み易くはない。H・P・ラヴクラフトのように形容詞と形容句が多い文体ながら、その全てに意味がある美しい文章でした。
惹句にあるような、書き留められた文字と、文字を持たぬ口伝の世界の(信仰の)戦いは背景にずっと横たわっていますが、評者にはどちらかと言えば『背景』でした。一人の青年がそれと知らずに恋に落ち、それと知った時には全てが手遅れで。なおも求めて止まぬ天使への焦がれ。
文学なんだしそれでいいじゃない。
作中に引用される句も詩も物語も全部、作者が頑張って考えたのかと思うと気が遠くなります。
歯ごたえ十分で味わい深い名作、という意味で星5つです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレハウルの動く城、シリーズ第3弾!
シリーズの中で最も好みであった
最初はチャーメインのひねくれた感じに好きになるか心配だったけど、途中から物語が華やかになってとても楽しい
不思議な魔法、不思議な家、そして不思議な人達
トントンと叩いて呪文を唱えると朝食が出たり……めちゃくちゃ素敵な魔法の家!
魔法とかあるファンタジー小説ってやっぱり胸が高鳴ってワクワクしてしまう
ハウルシリーズ、登場人物みんな個性的で良いなぁ
チャーメインは箱入り娘で世間知らずでちょっとわがままな感じだけど、ちょっとずつ成長が見られるのがとても良い
そしてやっぱり、ハウルやソフィーも登場!
この夫婦は喧嘩するほど仲が良いなぁ笑 -
ヴィナ・ジエミン・プラサド / ピーター・ワッツ / サード・Z・フセイン / ダリル・グレゴリイ / トチ・オニェブチ / ケン・リュウ / サラ・ピンスカー / ピーター・F・ハミルトン / ジョン・チュー / アレステア・レナルズ / リッチ・ラーソン / アナリーニューイッツ / イアン・R・マクラウド / ソフィア・サマター / スザンヌ・パーマー / ブルック・ボーランダー / ジョナサン・ストラーン / 市田泉 / 小野田和子 / 佐田千織 / 嶋田洋一 / 中原尚哉 / 古沢嘉通 / 細美遙子3.7 (6)
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切れがある人物描写が素晴らしい。
人間の嫌な内面を描く作品もあれば、『レディとの旅』のようなほろ苦くずっと心に残りそうな作品もあった。
いわゆるどんでん返しなどもあったりして、作者の懐の深さかうかがえる。
『なんでもない日にピーナッツを持って』や『城の主』『メルヴィル夫人の買い物』のように最後まで展開がわからないものも多く、楽しめた。
『悪の可能性』は人間の邪悪さと、そこからの結果がなかなかぞっとするものがあった。
そういえばこの作品群の中には意地悪なおばあさんがよく出てきましたね。
『おつらいときには』でも、悩んでいる人の相談に乗りたいのではなくて悩んでる人が自分を求めた=自分の手紙で救われ -
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イスラエルのSFシーンの中心人物2名によって、英語圏の読者向けに編まれたアンソロジー。ここでのSFは科学小説 Science fictionではなく思弁的小説 Speculative fictionを指しており、非リアリズム小説全般を覆う定義と考えると収録作の幅広さが納得できる。邦訳は英語からの重訳になるが、元々英語で書かれた作品も5作、ロシア語で書かれた作品が1作収録されている(ほかはヘブライ語)。巻末には編者による「イスラエルSFの歴史」も。
以下、特に気に入った作品について。
★ ガイ・ハソン「完璧な娘」(中村融 訳)
テレパスの訓練教育を受けることになったアレグザンドラは、〈死体 -
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ネタバレ「イタリアの女たちは両手と全身と魂を使って話し、しかも歌を歌うのだ。」
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※この感想には一部性的表現が含まれます。ご注意ください。
SFが好きだ。
小学生の頃は星新一を、
中〜高校ではラノベやミステリーに浮気しつつも
大学では米文学のSFを専攻した。
SFの、きたるべき未来を先読みしているような
絶望感と、リアルさが好きだ。
SFでは、目的を見失い、軽率に人を愛し、運命に抗おうとする。そんな人間の弱さが好きだ。
その中にかすかに光る、生き残るための希望や、合理的な機械が必要としないこと(愛や、歌や、冗談や、表現)が好きだ。
どんな病原菌や武器よりも、
言葉を封じることは人間に -
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シャーリイ・ジャクスンの描いた日常は白黒のテレビが初めて家にやって来た頃に観た「じゃじゃ馬百万長者」のエピソードのようで、何だか作り物のような手触りがして嘘臭い。でもそこから当時の当たり前や海の向こうの常識なんかを取り去ると、残るものは案外今でもそこら中で起こっている話なんだろうなとは想像する。
じゃじゃ馬百万長者が、当時のアメリカのことや油田で一儲けする話なんてなんにも知らなかった子供にも面白いと思えたのはどうしてだろう。海の向こうとこちらの違いの意味するところも定かでない子供にも面白いと思えたということは、きっと何か本質的なことが笑いの対象になっているからだ。それはきっとイソップのネズミ -
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ネタバレずっと読みたいと思ってたのをやっと読んでみた。
ホラーや恐怖小説とされるようですが、私は恐怖や不快感はあまり感じなかった。
確かに村人の集団からの悪意は読んでいてつからったし、チャールズがメリキャットにキツくあたるのも辛かった。
でも、どうしてもメリキャットには不快感を感じなかった。
確かに妄想も激しいし普通とは言えない状態ではあるのだろうけど…なんでだろう純粋さを感じるからだろうか、つい同じ目線になってしまった。
語り手がメリキャットじゃなければ凄く異様な光景だったのだろうけど、メリキャットが語るとそれでいい気がするし美しくも感じる。
結局私の中には村人もチャールズもいるのだろうけど、メリ -