市田泉のレビュー一覧

  • いずれすべては海の中に

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    良質なSF!
    流れる空気感や、話ごとに徐々に明らかになる世界観への気付きが面白くてたまらない。
    収録されている話の順番も絶妙だと思う。
    「どういうこと?」「こういうこと?」「なるほど!」とどんどんサラ・スピンカーの世界観に引き摺り込まれていった。
    最後に"そして(Nマイナス)人しかいなくなった"

    小説だけでなく、音楽や海、自然や環境を愛する人にも刺さるサイエンスフィクション。

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    2023年01月27日
  • いずれすべては海の中に

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    ネタバレ

    表題作の『いずれすべては海の中に』が特によかった。すべて沈んだ後に這い上がって生まれてくるもの。
    あと『イッカク』の「助けが来ないときは自分が助けに回る番」は本当にそれだと思う。

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    2023年01月20日
  • 図書館島

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    ネタバレ

    ラノベじゃないので読み易くはない。H・P・ラヴクラフトのように形容詞と形容句が多い文体ながら、その全てに意味がある美しい文章でした。

    惹句にあるような、書き留められた文字と、文字を持たぬ口伝の世界の(信仰の)戦いは背景にずっと横たわっていますが、評者にはどちらかと言えば『背景』でした。一人の青年がそれと知らずに恋に落ち、それと知った時には全てが手遅れで。なおも求めて止まぬ天使への焦がれ。

    文学なんだしそれでいいじゃない。
    作中に引用される句も詩も物語も全部、作者が頑張って考えたのかと思うと気が遠くなります。

    歯ごたえ十分で味わい深い名作、という意味で星5つです。

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    2022年11月21日
  • ハウルの動く城 3 チャーメインと魔法の家

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    ネタバレ

    ハウルの動く城、シリーズ第3弾!
    シリーズの中で最も好みであった
    最初はチャーメインのひねくれた感じに好きになるか心配だったけど、途中から物語が華やかになってとても楽しい
    不思議な魔法、不思議な家、そして不思議な人達
    トントンと叩いて呪文を唱えると朝食が出たり……めちゃくちゃ素敵な魔法の家!
    魔法とかあるファンタジー小説ってやっぱり胸が高鳴ってワクワクしてしまう
    ハウルシリーズ、登場人物みんな個性的で良いなぁ
    チャーメインは箱入り娘で世間知らずでちょっとわがままな感じだけど、ちょっとずつ成長が見られるのがとても良い
    そしてやっぱり、ハウルやソフィーも登場!
    この夫婦は喧嘩するほど仲が良いなぁ笑

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    2022年06月11日
  • 創られた心 AIロボットSF傑作選

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    コミック『アトム・ザ・ビギニング』を読んでいたところで本作を偶然手に取ったのだが、ロボットの擬人化という単純な物語など遥かに超越した16篇の来るべきAI世界にまつわる思索小説としても大変興味深い短編が名編者J・ストラーンによって集められている。J・J・アダムズ編による銀河連邦、パワードスーツものなども読みたくなる。

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    2022年05月28日
  • シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選

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    イスラエルSF短編集。どの作品も面白かった。思ったより宗教色は薄め、それでもサイエンスよりはファンタジーよりのものが多い。 特によかったのは「完璧な娘」。触れると心が読める少女が遺体に触れ、その少女に共感してゆく。あとは「可能性世界」。未来を演算して書き換える。彼女を救える世界にすることで彼は死んでしまう、主人公だけが認識していて(気づいてしまい)、救えない分シュタゲよりラストは地獄感ある気もする。 「スロー族」、「アレクサンドリアを焼く」、あたりも面白かった。

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    2022年01月16日
  • シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選

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    読み応えあり過ぎで疲れるアンソロジー
    ジャンルなり、雰囲気で分けて数冊のシリーズで出してくれれば良かったな

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    2021年03月25日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    切れがある人物描写が素晴らしい。
    人間の嫌な内面を描く作品もあれば、『レディとの旅』のようなほろ苦くずっと心に残りそうな作品もあった。
    いわゆるどんでん返しなどもあったりして、作者の懐の深さかうかがえる。
    『なんでもない日にピーナッツを持って』や『城の主』『メルヴィル夫人の買い物』のように最後まで展開がわからないものも多く、楽しめた。
    『悪の可能性』は人間の邪悪さと、そこからの結果がなかなかぞっとするものがあった。
    そういえばこの作品群の中には意地悪なおばあさんがよく出てきましたね。
    『おつらいときには』でも、悩んでいる人の相談に乗りたいのではなくて悩んでる人が自分を求めた=自分の手紙で救われ

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    2020年11月29日
  • シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選

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    イスラエルのSFシーンの中心人物2名によって、英語圏の読者向けに編まれたアンソロジー。ここでのSFは科学小説 Science fictionではなく思弁的小説 Speculative fictionを指しており、非リアリズム小説全般を覆う定義と考えると収録作の幅広さが納得できる。邦訳は英語からの重訳になるが、元々英語で書かれた作品も5作、ロシア語で書かれた作品が1作収録されている(ほかはヘブライ語)。巻末には編者による「イスラエルSFの歴史」も。


    以下、特に気に入った作品について。

    ★ ガイ・ハソン「完璧な娘」(中村融 訳)
    テレパスの訓練教育を受けることになったアレグザンドラは、〈死体

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    2020年11月01日
  • シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選

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    ラヴィ・テイドハーを除けば、名前を聞いたことのある作家さえ一人もいないが、作品のレベルは概して高い。ユダヤ=イスラエル色を感じさせる作品も殆どないが、これは日本の現代SFを読んだ欧米人が、ゲイシャもハラキリも出てこないなんて言うようなもんだろうしね。個人的ベストは、そのユダヤ=イスラエル色を感じさせる例外の一本「信心者たち」や、終末世界を舞台にしながらテーマがサバイバルから、なんとも変なものに変わっていく「夜の似合う場所」。

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    2020年10月08日
  • 声の物語

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    ネタバレ

    「イタリアの女たちは両手と全身と魂を使って話し、しかも歌を歌うのだ。」

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    ※この感想には一部性的表現が含まれます。ご注意ください。

    SFが好きだ。
    小学生の頃は星新一を、
    中〜高校ではラノベやミステリーに浮気しつつも
    大学では米文学のSFを専攻した。

    SFの、きたるべき未来を先読みしているような
    絶望感と、リアルさが好きだ。
    SFでは、目的を見失い、軽率に人を愛し、運命に抗おうとする。そんな人間の弱さが好きだ。
    その中にかすかに光る、生き残るための希望や、合理的な機械が必要としないこと(愛や、歌や、冗談や、表現)が好きだ。


    どんな病原菌や武器よりも、
    言葉を封じることは人間に

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    2020年11月01日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    『メルヴィル夫人の買い物』
    冒頭からクレーマーだとわかって酷く嫌な気持ちになる。
    シャーリイ・ジャクスンは狭い世界で生きる人の心理を描くことに長けているが、これは殊更だなと思う。

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    2017年09月29日
  • 人生の真実

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    海外SF叢書に入っているけれど、そして世界幻想文学大賞受賞ということだけれど、SFとかファンタジーとかというより、マジックリアリズムの小説みたいだったな。表紙に立っているのは少年だけれど、イノセントでもないし甘く懐かしいわけでもないよ。タイトルからすると教訓話かしらとも思うが、そうでもない。一風変わった家族、戦争のリアル、生と死、生者と死者の交流、それらが違和感なく混ざり合う。

    ウィリアムとリタの話が、とても切なくてもの悲しかった。

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    2016年10月09日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    話が通じない、コミュニケーション不全の話が多いように思った。夭折の作家だったんだね。男の子の育て方に苦労しているエッセイを読む分にはそんなイメージはないんだけど。悪魔を法律で騙す話は好き。悪魔も法律と女の子とおばさんには敵わない。

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    2016年05月17日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    シャーリイ・ジャクスンの描いた日常は白黒のテレビが初めて家にやって来た頃に観た「じゃじゃ馬百万長者」のエピソードのようで、何だか作り物のような手触りがして嘘臭い。でもそこから当時の当たり前や海の向こうの常識なんかを取り去ると、残るものは案外今でもそこら中で起こっている話なんだろうなとは想像する。

    じゃじゃ馬百万長者が、当時のアメリカのことや油田で一儲けする話なんてなんにも知らなかった子供にも面白いと思えたのはどうしてだろう。海の向こうとこちらの違いの意味するところも定かでない子供にも面白いと思えたということは、きっと何か本質的なことが笑いの対象になっているからだ。それはきっとイソップのネズミ

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    2016年05月16日
  • ハウルの動く城 3 チャーメインと魔法の家

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    ネタバレ

    どたばたどたばた。
    チャーメインの最初に使った魔法がちゃんと回収されてる?
    ハウルとソフィーに吹きました(笑。
    まったくしょうがないね!相変わらず!
    大団円へまさにもつれこむ感じが好きですわ~。

    単独でもおもしろいけど、やっぱり1~2も読んでおくと良いです。是非!

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    2016年05月12日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

    ずっと読みたいと思ってたのをやっと読んでみた。

    ホラーや恐怖小説とされるようですが、私は恐怖や不快感はあまり感じなかった。
    確かに村人の集団からの悪意は読んでいてつからったし、チャールズがメリキャットにキツくあたるのも辛かった。
    でも、どうしてもメリキャットには不快感を感じなかった。
    確かに妄想も激しいし普通とは言えない状態ではあるのだろうけど…なんでだろう純粋さを感じるからだろうか、つい同じ目線になってしまった。
    語り手がメリキャットじゃなければ凄く異様な光景だったのだろうけど、メリキャットが語るとそれでいい気がするし美しくも感じる。
    結局私の中には村人もチャールズもいるのだろうけど、メリ

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    2024年02月29日
  • ジェイクをさがして

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    すごいふしぎな短編集。
    ぞっとするものにやっとしてしまうもの、さまざま。
    「あの季節がやってきた」が好きかな。

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    2010年09月06日
  • ジェイクをさがして

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    ホラー・ファンタジー色の強いSF短篇集。収録作の多くが主人公の体験する恐怖のみが濃厚に描かれ、その原因や結末は語られぬまま読者に委ねられている。この独特な味わいが個人的にはかなりツボ。どれも面白かったけど、お気に入りは「ある医学百科事典の一項目」「仲介者」「あの季節がやってきた」かな。

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    2010年07月07日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

    ぞわぞわするお話
    個人的にはチャールズが本当の本当にカスで救いようのない男だなと感じた

    作中のお屋敷が火事になってからの「暴徒」には目も当てられない
    あのシーンは顔を歪めながら読んでしまった

    メリキャットはなぜ狂ってしまったんだろう
    元からなのか、この生活からの逃避なのか

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    2025年11月12日