市田泉のレビュー一覧
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サラ・ピンスカーの短編・中編、全13編。これはジャケ買いしました〜
寝る前に少しずつ読んでいたのですが、起きると「…はて?…」となってほぼ毎回読み返してました。
全体的に淡々としていて、すごく突飛な事もあるんだけどそれも含めてやっぱり静かに進んでいくというか。どれもゆっくり旅をしてるみたいな…その世界がどんなふうなのかを探り探り読んだのが、寝る前にピッタリだったかも。
…と思いきや、最後に「そして(nマイナス1)人しかいなくなった」は、ここへきて急に目がバッチリ覚めるようなミステリ。すごいこと思いつくなぁ、この状況だからこその犯人の動機には妙に納得。
著者がミュージシャンでもあるそうで、音楽が -
Posted by ブクログ
フィリップ・K・ディック賞受賞作。SFは作者によって設定や世界観が似かよってくるように思うのだけれど、サラ・ピンスカーはとにかく引き出しが多い!一篇一篇の設定がフレッシュで、また一篇の世界観が浮かび上がってくるのに時間をかけるのがすごい。
表題作は「いずれすべては海の中に沈むことについて、けれどいくつかのものがまた這い上がってきて、新しいものに変わることについて。」という一文で終わる。多彩な世界を展開しながらも、この短篇集全体には、この一文が通底しているように感じられるのがすばらしかった。あと、作者が絶対に音楽を愛する人だとわかるのもとても好ましい。 -
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Posted by ブクログ
我儘で強気な姉のセプテンバーと、内気で彼女に言われるがままに従う妹のジュライ。まるで主従のような姉妹の関係だけれど、彼女たちはあいだに親さえをも挟ませない強固な絆で結ばれていた。セプテンバーが言えば、望めば、命令すれば、ジュライは従う。それで世界は完璧だった。
けれど学校の事件をきっかけに状況が変わってしまう。セプテンバーはジュライに言う、望む、命令する。ジュライは従う、受け入れる、呑み込む。その日々は変わらないはずなのに、学校を離れ引っ越した「セトルハウス」では、徐々に軋みを見せ始める。それは世界の崩壊をもたらし、彼女たちの自我の崩壊をあらわにする。
起こったことをそのまま受け入れる「常 -
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Posted by ブクログ
★3.8
主に女性が主人公
やさしい雰囲気のSF短編集
というか SFなんだけどもSF的な要素はあくまでもギミックというかスパイスというかエッセンスというかでそれをベースにした物語なんだけども書きたいのはやはり「人」なんだなと
池澤春菜の紹介で知ったけれど 彼女の初短編集を先に読んでたせいか かなり影響受けてるんじゃないかな? と思った
文章のあちこちに、女性性や母性のようなものを感じるのだが、それは俺が男性だからだろうか?また翻訳で読んでいるので訳者がそういうところを意識した言葉を使っているのかもしれない。英語で読むとどういう風に感じられるんだろう。 -
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Posted by ブクログ
繊細で不思議な物語。
本屋で表紙の美しさに目を惹かれて購入。13編の中短編が収めらています。
ひとつひとつの話はおもしろいですが、新たな話に移るたびに、時代背景や状況を理解するのにちょっと苦労します。
SF的なギミックやアイデアよりも、登場人物たちの心の機微の描き方がとても良くてそこに感動します。
説明が難しいですが、どの短編も共通して物哀しいトーンをまとってはいるけれど、ラストは希望を感じさせる作りになっています。
統一感のあるアルバムを聴いたような読後感。
翻訳文も、登場人物の口調など違和感なく表現していて読みやすいと感じました。
装丁が非常に綺麗なんで、ぜひ紙の本で手に入れてほしい -
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M・リッカート / エリザベス・ハンド / ショーニン・マグワイア / カルメン・マリア・マチャード / カッサンドラ・コー / ジョン・ランガン / カレン・ヒューラー / ベンジャミン・パーシィ / ジョイス・キャロル・オーツ / リチャード・キャドリー / ポールトレンブレイ / スティーヴン・グレアム・ジョーンズ / ジェフリー・フォード / ジェマ・ファイルズ / ジョシュ・マラーマン / ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン / レアード・バロン / ケリー・リンク / 新井なゆり / 市田泉 / 井上知 / 小野田和子 / 佐田千織 / 谷垣暁美 / 中村融 / 原島文世 / 渡辺庸子 / エレン・ダトロウ4.0 (1)