市田泉のレビュー一覧
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最高に面白いSF短編集でした。
出版区というYouTubeチャンネルにて、池澤春菜先生がご紹介をされていた本。
そこでは「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」という作品について話されており、その内容は
ある日、「サラ・ピンスカーが研究者となった平行世界」にてサラ・ピンスカーが発明した、他の平行世界のサラ・ピンスカーを呼び出す装置により、様々なサラ・ピンスカーがひとつのホテルに招待される。結婚して苗字が変わったサラから性別を変えたサラ、とにかく数多くのサラ・ピンスカーが集まる中、一人のサラ・ピンスカーが殺されてしまう。容疑者はたくさんのサラ・ピンスカー。主人公はこの短編集を書いているサラ・ -
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人生ベスト入り作品に出会ってしまった。アルケミストとか遠い声、遠い部屋に並ぶくらいの感情を今抱いてる。
あ〜〜〜この作品を表現するための語彙力がないのが悔しい!!!!
信用できない語り手によって語られる、この2人の世界からしか見えない閉ざされた“お城”の中の世界の美しさ。その世界は狂っていて、恐ろしくて、暗くて、静かでとても美しい。その一方で、その外界には、普通で、明るくて、うるさくて醜い世界が広がっている。
幻想的で独創的な美しい表現と2人だけの秘密をずっと垣間見ているドキドキに何度も鳥肌がたった。そして絶妙に予想できない展開にもずっとわくわくさせられた。
メリキャット、コンスタンス……こ -
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メリキャットとコンスタンス、ジュリアンおじさんの暮らしにうっとりしながら読んだ。彼女たちなりの生活の秩序はとても美しく、メリキャットが大切な物を土に埋める場面がとくに好きだった。城が破壊されても「とってもしあわせ」に暮らせるふたりだけの世界は、もう外部の人間の接触も無い為メリキャットがよく語っていた〝月の上〟のような、理想の場所そのものになったのだと思う。彼女たちの生活は埋められた大切な物で キッチンは彼女たちを隠すやさしい土だから、このまま誰にも掘り起こされずに美しいまま守られていて欲しい。とても好みの文章と物語。この作品に出会えて本当にしあわせです。
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ネタバレ閉鎖空間ヤンデレ姉妹百合〜謎の一家殺人事件を添えて〜。
タイトルにもある「ずっとお城で暮らしてる」感そのままというか、おとぎ話感というか、キラキラ感というか、そういうものが、逃れがたい時間経過、自分たちの成長、当たり前に起こる周囲の変化という風化に伴って、話の展開とともにぺりぺりと剥がれていく様が本当に気味が悪くて最高だった。おとぎ話のようなお城に暮らしていても、おとぎ話の住人にはなれないのだと、まざまざと見せつけてくる作品。読者である私が何気なく1ページをめくるごとに、きっと「お城」のどこかでタイルや壁紙が剥がれているのだろうと思わされる。コンスタンスとメリキャットの姉妹の生活を壊したのは、 -
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物語はあらゆるものの中に息づいていて、それは私たちのすぐそばにある。
素敵な物語でした。
物語の中に物語が展開されているような入れ子構造で、すべての物語が詩的、幻想的で、やがてひとつの大きな物語に収束していき、そこからまた新たな物語を予感させる。
主人公のザカリーが同性愛者であることも自然に表現され、それが悩みの種として物語を阻害していないところも素敵でした。
悪夢を書いた紙で折った星
物語が詰まった瓶
耳元で物語を囁くストーリーテラー
物語味のキャンディ
星のない海
蜂蜜
紡がれる言葉や物語のすべてが美しく、頭の中に浮かぶ情景に酔いしれ、ずっと読み続けていたい物語でした。 -
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ネタバレ構成が独特で、都度都度別の話が挿入される。この挿入話も様々な、重要な伏線を持っている。初めての構成で少し読みにくいけれども、こういうの結構好き。頻繁に出てくる「蜂蜜」と「蜜蜂」が若干字面的に読みにくいのが玉に瑕かも。
構成もあってなかなかに難解で、伏線は多分一度で全部把握はできない。何回も読み返したくなる本だと思う。
ファンタジーとしても少し変わっていて、一度異世界(?)へ行くチャンスを掴みそこねたところから始まる。そして、そのファンタジー世界も全盛期ではなく、既に寂れた忘れ去られつつあるものになっていて、少しもの悲しい。例えるならハリポタ世界に来た!と思ったらホグワーツはほぼ廃墟だった、みた -
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なんて言うか、もう、10冊分くらい読んだようなエネルギーを使いましたし、そのくらいの満足感に満ち満ちた読書でありました。
13篇収録。
話それぞれにみんな違ってみんな良い、想像力をフル稼働させないとあっという間に置いてけぼりにされそうな、とにかくひとつひとつの話にギュムッと想像の海が押し固められていて、その寒天状の海を分け入って分け入って、どうにかようやく理解が追いついた時にパァッと視界が開けるような、繰り返してばっかりですが、とにかく密度が高い一冊でありました。
以下、13篇全部の感想を書きたいのですが私の不徳の致すところ、ピックアップして記載致します。
《一筋に伸びる二車線のハイ -
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ネタバレ生活の描写がとても好みだった。お屋敷の中でルーティンの様に細々と暮らす様子は、私の理想の生活そのままだった。家族が死んでいるのは寂しいかもしれないが、作中で未練に思う様子が無かったので、私は、いない方が静かで良いのではないかと思った。
チャールズがやってきて生活が今まで通りでなくなった時は、私も怒りを覚えたし、早く出ていってくれと思った。静かで美しい生活を邪魔しないで欲しかった。
しかし最後には、様子は随分変わってしまったけれど、小さく静かに暮らし始めてくれたので、心底嬉しかった。私も静かに、家のやるべきことだけを熟して生きていきたい。
ホラーとかゾッとするとかの前評判をうっすら聞いていたので -
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ネタバレ好きなYouTuberさんが「海外SF」として紹介していて、表紙も素敵だったので読んでみた。
作者がまさかのシンガーソングライター。音楽の話が多数あって嬉しかった。ラッキー。
1話目はなんだか気持ち悪かったけど、2話目からは大体ずっと好きな世界観だった。
そしてわれらは暗闇の中
記憶が戻る日
いずれすべては海の中に
深淵をあとに歓喜して
孤独な船乗りはだれ一人
風はさまよう
オープン・ロードの聖母様
イッカク
そして(Nマイナス1)人しかいなくなった
が良かった。(ね、本当に大体全部でしょ。)
すごく引き込まれて「で、どうなるの?どうなるの?」と思いながら最後まで読むと、これといって -
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ネタバレ九月生まれのセプテンバーと七月生まれのジュライ。十ヶ月違いの姉妹である二人は、母親すら入り込めないほど互いに強く結ばれていた。学校で起こしたある事件がきっかけで母娘は海辺に立つ〈セトルハウス〉に引っ越してきたが、塞ぎ込んで部屋に籠る母をよそに姉妹は遊ぶ。だが、なにもかも二人一緒の季節は終わりを迎えようとしていた。姉妹の絆と共依存、母と娘たちの物語。
ブッ刺さった。読みながら言葉が全身に突き刺さってきて、その痛みで読むのを何度か中断したくらい。いきなり結末の話をしてしまうが、この小説はジュライにセプテンバーの喪失を克服させない。「これは現実じゃない」とくり返すパートが挟まれるので、現実には大 -
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ネタバレ13編の短編が収められている。うち3編はやや長め。
ほとんどがSF的な設定となっているが、SFを全面に押し出すのではなく、SF的世界の中における人間の感情や生き方が描かれているという感じ。
丁寧に静かな文体で書かれていてじっくりと浸りながら読める。
特に後半の4編はそれなりの長さがあることもありテーマに深みのある力作でとてもよかった。
1. 一筋に伸びる二車線のハイウェイ
事故で腕を失い機械義手をつけるが内部のチップに使われているソフトウェアがコロラドのハイウェイで使われていたもののリサイクルだったため、自分の腕がハイウェイと一体化したように感じる。手術でチップを交換するが、ハイウェイの記憶 -