市田泉のレビュー一覧

  • 声の物語

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    いやー面白かった。すごく読み応えのある作品だった。

    女性だけが1日100語という発話の制限が課せられる。聖書の歪んだ解釈による蛮行。途中まではこの世界観の理不尽なミソジニーさが苛立たしくて仕方がなかった。著者の、現実の女性蔑視・不平等への怒りがそのまま伝わってくるような文章。
    どうして数千年も前に書かれた文章を元に、その後人類が血にまみれた歴史の果てに獲得した人権というかけがえのないものを踏み躙ることができるんだろう?不思議でしょうがない。
    ホモソーシャルでミソジニーでホモフォビアでレイシストの白人男性による白人男性のための白人男性の国、アメリカ。半世紀前から拡大した貧富の格差を女性や黒人や

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    2022年07月23日
  • 声の物語

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    ページを捲る手が止められなかった。
    読みながら、ふつふつと怒りが湧いてくる。
    男性はこの物語をどのように読むのだろう?女性である自分と、異なる印象になったりするのだろうか?

    侍女の物語と重なる部分は多いけど、「言葉を封じる」という言語の制限にフォーカスしている分より状況が具体的に見えてくる部分もあり、色々考えさせられた。また侍女の物語と異なる点として、主人公には息子もいる。それが物語に、更なる絶望の奥行きを与えているように見える。

    以下印象に残った部分

    ●ソニアのオムツも喜んで変えていたようなスティーブンが、買い物は女の仕事なんだからママやれよ、とどんどん新政府の思想に染まり傲慢になって

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    2022年07月06日
  • 図書館島

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    再読。
    成仏できない亡霊の語る物語。を始めとして入れ子のようにたくさんの物語があって複雑なタペストリーを眺めているような気がした。

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    2022年06月20日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    恐怖とユーモアをドライな筆致で表現した短編集です。人間の底知れぬ悪意を感じる作品が多く、後味の悪さと奇妙さがクセになります。「ネズミ」は支配的な妻とネズミを巡る話。恐ろしさを感じる一方で謎も残るラストが良いですね。

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    2022年03月14日
  • ハウルの動く城 3 チャーメインと魔法の家

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    小さいころに2作目までは読んでましたが、3作目が出てたのは知らなかったので見つけて早速読みました!
    1、2作目と同様に前半は少し説明描写が多いので単調に進みがちですが中盤から後半にかけて物語が一気に動いていくと、どんどん読むスピードが上がります!
    主人公のチャーメインの成長も微笑ましいですが、やはりシリーズファンとしてはハウル御一行が出てくるとウキウキしてしまいます。

    ちなみにジブリとは別物と考えた方がいいです。(私は原作→映画の順だったのですが原作を頭に浮かべて見てたら展開が違うのでおどろきました。今はどちらも好きです!そして結局本作を読みながらも、ビジュアルはジブリバージョンで想像してし

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    2021年12月05日
  • ハウルの動く城 3 チャーメインと魔法の家

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    今回も、ソフィー達が登場したあたりからぐんとおもしろくなる。そしてまたまた見事な伏線。
    ソフィーの台詞に激しく同意しながら、笑わせてもらった。そりゃ、むかつくよね(笑)

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    2021年10月09日
  • 声の物語

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    オーケイ、これは所詮SFの話だ。こんな荒唐無稽なことは到底起こるとは思えない。あまりに極端な設定だし、そもそも人も焼いてしまう腕輪の電源とかどうなってんだよ(笑)、とか。いや、本当にそうなのか?

    政治家は自らの無能を隠すように平気で嘘をつき、単純化した二元論で選択を迫る。Show me your flag. 人々はネットの情報の海に溺れて思考停止になり、自分が心地よい情報だけを盲目的に信じる。その結果は気に入らない奴はすべて攻撃する、炎上だらけの人と人の信頼のない世の中だ。何がダイバーシティだ。

    そんな世界で、明日こんなことにならないと誰が断言できるんだ?

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    2021年07月22日
  • 声の物語

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     ディストピア小説の多くは、おおよそ近未来を舞台に「すでに成り立ってしまっている」架空の国家や社会が描かれることがポピュラーですが、この『声の物語』では、何と現代のアメリカで、超保守政党が政権を掌握したことで(執筆&刊行当時の、かの大統領政権よりもはるかに!)悪夢的な管理社会が立ち上がっていき、じわじわと人びとの暮らしや価値観が変質していくさまが、かつて認知言語学者だったマクレラン家の妻にして三児の母親である、ジーンの目線から語られます。

     先導的な牧師であるカール・コービンが唱える思想「ピュア・ムーブメント」。キリスト教原理主義的で女性蔑視を正当化するその思想は、バイブル・ベルトと呼ばれる

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    2021年06月07日
  • ハウルの動く城 3 チャーメインと魔法の家

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    チャーメインにイライラしっぱなしだけど、
    そこが作者の狙いらしいので、もうまんまと罠に落ちてるということね。

    今回はカルシファーがメインと言っても
    過言ではないのではないでしょうか、、!
    カルシファーがますます大好きになりました。
    可愛いよカルシファー。

    ハウルが相変わらずハウルで、
    前回よりさらにわちゃわちゃして楽しかったです。
    あーあ、続きが読みたかったよなあ。

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    2020年12月28日
  • 空のあらゆる鳥を

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    「ジャケ買い」「タイトル買い」です。
    ブックカバーデザインにやられて、タイトルの「を」のあとが気になって、でも久々の「二段」ページにおじけづいて5ヶ月、やっと読みました。

    読み進めると、当初の印象の派手なSFファンタジーだけではなく、主人公ふたりの成長を通じた「心の旅」物語が見えてきた。

    「孤立」と「孤独」
    「孤立」は物理的な状態、「孤独」は心理的な状態。
    ともに最初は傍からみるとそれほどでもないのに、自分でエスカレートしてしまう。その姿を見て周囲はさらに引く。
    ふたりは「もがきあえぐ」も、自己の力に疑いがない反面、結果に自信もなく、それ故に「自分を肯定してくれる人」を憧れ、探し続ける。

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    2020年10月23日
  • 空のあらゆる鳥を

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    理系天才少年と動物と会話できる少女のボーイミーツガール!からの困難と挫折を繰り返してそれぞれの道を進む二人の淡い恋愛模様が良かった。
    人類を滅亡から救うのは科学かそれとも魔法か?終盤の怒涛の展開が熱い!

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    2020年09月18日
  • 空のあらゆる鳥を

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    タイトル&装幀買しました。2017年ネビュラ賞、クロフォード賞、ローカス賞、ヒューゴ賞長編小説部門の4受賞作品。鳥はさして出てきませんが、面白かった。近未来アポカリプスもの。
    天才魔法使いのパトリシアと天才科学ギークのローレンス、美男美女の幼い頃から始まり、出会いや別れを繰り返しながら、どちらも地球を救おうとするが、どちらも破壊しようとしていく。科学と魔術という世界に引き裂かれるロミオとジュリエットタイプロマンスではあるが、あんまり恋愛色は強くない。設定がとても良い。鍵はペレグリンというAI人格と<樹>。大人向けのダークファンタジー。非常にロマンに溢れている。印象深いのは幼い頃のローレンスが2

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    2020年06月18日
  • ハウルの動く城 3 チャーメインと魔法の家

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    小学生の時に読んだ
    ハウルの動く城のシリーズ
    の最後の巻!

    相変わらずのドタバタ感で
    最後に伏線をドバッと回収していく
    手腕には舌を巻きました笑

    懐かしの面々も登場。

    もっとこのシリーズを読みたかったけど
    作者の方は2011年に亡くなられているのね、、残念。

    面白い作品をありがとうございました^ ^

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    2020年06月13日
  • 空のあらゆる鳥を

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    近未来のアメリカを舞台に、SFとファンタジーを見事に融合させた傑作長編。主人公となるのは動物の言葉がわかる少女と、テクノロジーの天才少年。学校や家庭でつらい思いをした2人が成長し、破滅へと向かう人類の運命を左右することになる。もっと重い内容かと思ったが、意外と明るくて楽しめた。ジャンルとしてはファンタジー寄りだが、いろいろな読み方ができると思う。

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    2020年05月17日
  • 人生の真実

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    ネタバレ

    グレアムジョイスは初読。世界幻想文学大賞受賞作ということで、久々に海外ファンタジーの大作を読んでみたくなり、手に取った。

    正直、期待していたファンタジー感バリバリの作品ではない、ちょっと変わった人々の「秘密の花園」って評があったが、言いえて妙。

    これくらいなら現実にあってもおかしくないな…と思える程度の霊感をもつ母、霊感をもたない娘たち、やや現実離れした感性を持つ末娘、その末娘の子供もちょっとした霊感を持つ。母と娘と孫と娘たちの亭主…一族のリアルな戦後イギリス暮らしを、半歩だけ現実からずれた視点で描く家族小説なのだ。

    戦争(ドイツ軍の爆撃やダンケルクなど)という大きな災いが終わって、少し

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    2019年09月28日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    後半にかけてコメディタッチになっていくので読後感は意外とよい。
    エッセイが思ったより面白いのでぜひ読んでください!

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    2019年08月17日
  • 声の物語

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    近未来のアメリカ。
    サム・マイヤーズ大統領のブレーンであるカール・コービン牧師の進める「ピュア・ムーヴメント」によって、アメリカの昔ながらの良き家庭、良き男女を取り戻すため、女性は発言を1日百語までに制限され、あらゆる社会進出の場を奪われてしまい、更に発言した語数をカウントする腕輪をはめられ、語数がオーバーすると電気ショックを受ける。
    そういう変化は徐々に起こり、アメリカを席巻していった。
    ジーン・マクラレンも優れた認知言語学者だった。人の脳のウェルニッケ野という言語を理解する部分の研究をしていたが、今は主婦として腕にカウンターを付け暮らさざるを得なくなっている。
    そんなとき、突然、ピュア・ム

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    2019年06月16日
  • 声の物語

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    アメリカの女性だけ、発音する単語数が100語/日に限定されるというディストピアSF。その世界は聖書の文書をそのまま再現しようとしているので、同性愛者は矯正され、中絶は厳禁。男女の教育は別々で教わる内容も異なる。発音する単語数を限定するツールはSF的なものだが、中絶=違法、という州の法律が通ったりしている現代からこの本の世界観まではあと一歩しかない。また、教育によってそのツールがなくなったとしても、女の子が話そうとしなくなっている、という描写もとてもリアルだなと感じた。
    一方で、チームで開発している薬と”毒”の設定にはかなり無理がある。薬の方の構造が分かったからといって、その逆の効果を持つような

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    2019年06月01日
  • 声の物語

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    ディストピアが始まる数十年前からその予兆があり、それを敏感に嗅ぎ取ってデモなどの行動を取り、主人公にもアクションをするよう勧めていた親友。そんな彼女を鼻で笑って相手にせず、選挙にすら行かなかった当時の主人公。何度も当時の親友を思い出し、後悔の念に駆られる現在の主人公の描写を読むと、月並みな意見だが政治に関心を寄せ、せめて選挙くらいは必ず行かなくてはと身が引き締まる。それにしても、主人公の夫が可愛そうでならないと思ったのは私だけではあるまい…笑

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    2019年05月26日
  • ハウルの動く城 3 チャーメインと魔法の家

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    とにかくドタバタが多すぎて、読むのに疲れてしまった。
    それにしてもイギリスの児童書は、読書好きな、本を愛してやまない種類の人間をよく描くものだね。
    面白かったけど、そろそろこの作家は休憩。

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    2018年11月03日