あらすじ
魔法使いの少女パトリシアと天才科学少年ローレンス。特別な才能を持つがゆえに周囲に疎まれるもの同士として友情を育んだ二人は、やがて地球と人類の行く末を左右する運命にあった。しかし未来を予知した暗殺者に狙われた二人は引き裂かれ、別々の道を歩むことに。そして成長した二人は、人類滅亡の危機を前にして、魔術師と科学者という対立する二つの秘密組織の一員として再会を果たす……。ネビュラ賞・ローカス賞・クロフォード賞受賞の傑作SFファンタジイ。/解説=渡邊利道
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Posted by ブクログ
表紙絵の雰囲気やタイトルから想像した内容よりも機械の要素が強いな、との感想を持ちました。エピグラフの "人間、自然、機械" の括りが織り合わさった話になっていると思いましたが、第三部終盤でのその三者の盛り上がり方は、今どきな問題意識、という感じがして、そこも最初の想像からかけ離れていて、面白かったです。
Posted by ブクログ
「ジャケ買い」「タイトル買い」です。
ブックカバーデザインにやられて、タイトルの「を」のあとが気になって、でも久々の「二段」ページにおじけづいて5ヶ月、やっと読みました。
読み進めると、当初の印象の派手なSFファンタジーだけではなく、主人公ふたりの成長を通じた「心の旅」物語が見えてきた。
「孤立」と「孤独」
「孤立」は物理的な状態、「孤独」は心理的な状態。
ともに最初は傍からみるとそれほどでもないのに、自分でエスカレートしてしまう。その姿を見て周囲はさらに引く。
ふたりは「もがきあえぐ」も、自己の力に疑いがない反面、結果に自信もなく、それ故に「自分を肯定してくれる人」を憧れ、探し続ける。
ときおり登場するパトリシアの姉ロバータの言葉が、身勝手な自分の心に刺さる。
環境問題は、物語からはそれほどの問題提起を受けることなく、地球存亡の危機にあたってどちらが正しいのか、結論を問うこともない。
ただ人の心の多様性を容認することが、自然との共存の第一歩であり、それは無理をすることではない。
「増長しない」ということは、そういうことかな…。
ふたりの「心の旅」を通じて、次第に「多様性が必然で自然であること」が浮かび上がってくる。
ところで、
すぐれたAIの重要な仕事が「出会い系サイト」って、人類永遠のテーマですね。
また、
ロレンスの反重力装置で飛ばされたブリアは、異空間で何を見たのだろう……。
気になります。
Posted by ブクログ
理系天才少年と動物と会話できる少女のボーイミーツガール!からの困難と挫折を繰り返してそれぞれの道を進む二人の淡い恋愛模様が良かった。
人類を滅亡から救うのは科学かそれとも魔法か?終盤の怒涛の展開が熱い!
Posted by ブクログ
タイトル&装幀買しました。2017年ネビュラ賞、クロフォード賞、ローカス賞、ヒューゴ賞長編小説部門の4受賞作品。鳥はさして出てきませんが、面白かった。近未来アポカリプスもの。
天才魔法使いのパトリシアと天才科学ギークのローレンス、美男美女の幼い頃から始まり、出会いや別れを繰り返しながら、どちらも地球を救おうとするが、どちらも破壊しようとしていく。科学と魔術という世界に引き裂かれるロミオとジュリエットタイプロマンスではあるが、あんまり恋愛色は強くない。設定がとても良い。鍵はペレグリンというAI人格と<樹>。大人向けのダークファンタジー。非常にロマンに溢れている。印象深いのは幼い頃のローレンスが2秒タイムマシンを作り、独りでMITで民間出資のDIYスペースシップ打ち上げを見に行くシークエンス。MITのオーボンパンでコーンマフィンを食べる小さいローレンス。ほんま初めて行くとMITのキャンパスはめちゃややこしいし、なんか寂しい。近くにあるハーバード大に比べると冷たい印象があるが(主観)、まざまざと絵面が浮かんでくる。さらにそこで出会い場面をもってきているのが天才を感じさせる良いシーンだと思う。ということで、原作のほうを読んでみようと思う。