市田泉のレビュー一覧

  • いろいろな幽霊

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    幽霊とは?という命題に対して、さまざまな角度からの答えとなる物語を100個敷きつめたような短編集でした。

    ときに感傷的に、または哲学的に、視点や距離もばらばらにたった2ページの物語を繰り返す。どこか執念的でさえあるこの積み重なりそのものが、どこか空恐ろしく感じさせる幽霊という存在の寄る辺なさ、つかみどころの無さを示しているかのようにも思いました。

    全編を通して思うのは、人は死んだらそれで終わりでなく、幽霊という別の個体となってどこかで漂っているかもしれない、人の見える世界がすべてではない、というような作者の視線の奥深さでした。空想やファンタジーではなく、現実に実は寄り添っていたら面白いよね

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    2024年08月13日
  • いろいろな幽霊

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    100編の幽霊の物語。日本の幽霊のじめじめと暗い感じとは違って、からりとしたイメージ。生と地続きのようなあちらの世界。あちらなのかこちらなのか、自分もひょっとすると幽霊の世界にいるのかもと思えたり。

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    2024年08月11日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ドロドロしてるいのにどこか美しくて童話のような不思議な世界観で、よくわからない感じもありながらも読み進めてしまう作品で、意外と好きになりました。著者さんの他の作品も読んでみたいです。

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    2024年06月02日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

    何かで紹介されてたのを見てずっと読んでみたいと思ってた。
    空想と現実が半々ずつで、空想が幸せかと思えば必ず現実に引き戻されて嫌な目に遭うところが妙に現実的。姉妹以外(+おじさん)の人間の悪意がこれでもかと姉妹を襲い、ずっと嫌な気持ちになる本。
    チャールズは最初からどう見ても金目当てで姉妹の元を訪れたとしか思えないのにね…せめて繕うくらいしろよと思ったけどその欠点こそが人間の醜悪さを出していてよかった。

    途中から、ブラックウッド家の毒殺の犯人ってもしかして…?と思ったらその通りだった。今18歳で事件が起こったのが6年前ということはメリキャットは当時12歳。空想癖、妄想癖は家族からの虐待(お仕置

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    2024年04月16日
  • なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集

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    ネタバレ

    不気味さや悪意についての話が多かったけど、エッセイが入っていたり少しほっこりするような話もあったりで面白かった。

    とくに好きだったものについて。

    『スミス夫人の蜜月』
    オールドミスが結婚することになったがどうも近所の人々の様子や夫の様子がおかしくて…という話が2バージョンある。
    知ってる場合と知らない場合。
    それぞれ違った不気味さがあってどちらも好き。

    『ネズミ』
    夫を管理したがる妻の行動が怖い。
    通帳やラストの描写はあることを仄めかしているようだけどはっきりとはしないところがまた不気味。

    『逢瀬』
    後ろを誰かがついてきて最後には…という幻想的で怖い話。
    どういうことなのかはっきりとは

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    2024年04月03日
  • 九月と七月の姉妹

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    ネタバレ

    詩のような文章が美しく、味わうことができてよかったと思う。
    自我がなく、境界や記憶が曖昧で混乱しているジュライ視点の文章は、時系列もあっちこっち行き来して理解も難しく読みづらかったが、それはそのままジュライの思考や内面を表していて、最後まで読むとそういうことだったのかと納得(最後まで一人称なので、全てを理解できるわけではないけれど)。
    それにしても読んでいくうちに読み手もセプテンバーに支配されていくような気味悪さがあり、ジュライが自身を傷つけることで自分の存在を感じる様はとてもリアルだった。

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    2024年02月23日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

    お城のような豪邸で暮らす姉妹とその叔父.6年前の毒殺事件の生き残りの3人が家に閉じこもっている.何かを埋めて結界を作ったり独自のルールで生きる妹と料理だけが楽しみの姉.敵対する村人たち.張り詰めた緊張感,不穏な空気が後半爆発して炎上!現実社会は薄い皮膜に覆われたまま,月の上のような世界で二人生きていく姿はゾッとしつつも美しい.

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    2024年02月19日
  • ずっとお城で暮らしてる

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    ネタバレ

    家族が殺された屋敷で姉、伯父と暮らしてるメアリ。
    週に2回(1回?)村に買い物に行くことと、たまに訪ねてくるお医者さんと知人以外外の人に会うことはありません。
    姉は外に出ることはできないし、伯父さんも障害があるので日常生活が困難な状態。
    ある日従兄が屋敷に訪ねて来て…。

    読み進めるうち色々なことがわかってくるのですが、両親が殺された理由は最後まで分かりませんでした。なんとなく想像はできますが。
    悪い人沢山いるんですが、一番村人が怖ったです。

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    2024年02月13日
  • 声の物語

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    ネタバレ

    読みやすくて分かりやすいディストピア。
    途中、息子の変貌ぶりがこわかった。
    自分的にはディストピアの結末はバッドエンドが好きですが、この本はこの先も希望が持てそうな結末でした。
    あと主人公の不倫なんかは心の広い男たちによって許されていて、よほどいい女設定なのかなと思った。

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    2024年01月22日
  • 黄金の人工太陽 巨大宇宙SF傑作選

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    スペースオペラな短編集

    時空の一時的困惑 
    禅と宇宙船修理技術 
    甲板員、ノヴァ・ブレード、大いに歌われた経典
    晴眼の時計職人
    無限の愛
    見知らぬ神々
    悠久の世界の七不思議
    俺たちは宇宙地質学者、なのに
    黄金の人工太陽
    明日、太陽を見て
    子どもたちを連れて過去を再訪し、レトロな移動遊園地へ行ってみよう!
    竜が太陽から飛び出す時
    ダイヤモンドとワールドブレイカー
    カメレオンのグローブ
    ポケットのなかの宇宙儀
    目覚めるウロボロス
    迷宮航路
    霜の巨人

    大分じっくり読んだけど、忘れた頃にもう一度読みたい。

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    2023年12月09日
  • 地下図書館の海

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    本筋の合間合間に入ってくる無関係と思われる数多くの短い物語が、最終的に全部繋がってくるのがなかなかよかった。
    非常に物語的な楽しみに満ちていて、著者の物語好きが伝わってくる。

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    2023年07月25日
  • いずれすべては海の中に

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    宇宙に旅立ち、持っていった人類の文明のデータが消えた後の世界、船内で音楽を演奏するグループに参加している女性の話が特に良かった。
    過去の名曲を再現しようとしても過去の作品全ては拾えない。
    今同じ時間に存在しているものにも思いを馳せたり、これから新たに作り出すことに勇気をもらえる話だった。

    「風はさまよう」の他
    クジラを運転して旅する「イッカク」
    多元宇宙のサラ・ピンスカーが集うサラコンで起きた殺人事件「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」
    夫婦間の謎を妻が理解し進む「新縁をあとに歓喜して」などが良かった。

    寝る前に少しずつ細切れに読むと、数日後に話の内容が追えなくなり、何度も止まった

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    2023年06月17日
  • いずれすべては海の中に

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    原題 SOONER OR LATER EVERYTHING
    FALLS INYO THE SEA

    13の物語
    静かな世界たちが入れ替わって浮かび上がってくる。
    読み終えた世界は心の奥にしまうと同時に海の中へ戻っていく。
    またね

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    2023年06月12日
  • いずれすべては海の中に

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    終末や破滅の予感がする近未来で、道の義手やら、鳥籠の心臓のおばあちゃんやら、イッカク姿の車やら、加害者被害者探偵兼務の殺人事件やら。。荒唐無稽でぶっ飛んだシチュエーションなのに、読み進めて徐々に全体像が見えてくると、その世界に無理なく馴染んでしまう。摩訶不思議で可笑しくて哀しい物語にワクワクゾクゾクした。
    その中では比較的フツーな設定だけれど、3人のバンドマンの廃食用油車の道中記の破天荒さが一番好き。「進む。進み続ける」パンク姐さんがとにかくカッコいい。

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    2023年02月11日
  • いずれすべては海の中に

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    翻訳の順番は後先になったが傑作『新しい時代への歌』の元になった「後日談」である中編が収録されている、というだけでも価値ある一冊。伝説の歌姫の後年を描きながら、同時に長編のダイジェストともいえる全てのエッセンスが詰まった作品を始めとした珠玉の短編集。

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    2022年11月20日
  • いずれすべては海の中に

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    ネタバレ

    装丁が可愛いのと、よく読んでいる冬木糸一さんのブログで高評価だったので手に取りました!なんとも不思議な短編集で、SFといえばSFなんだけど、あまりSFぽくなかった。

    サラ・ピンスカーの作品はもちろん初めてで(『新しい時代への歌』はこの後読もうかなと思っている)、起承転結がはっきりしているというより、ある一部分を切り取る作家さんなのだなあと淡々と思いました。たしかに人生は基本は何かの一部分で、その後話が繋がっていっているのだから、明確なオチとかないよねえというのと、特に前半はなんともいえない寂寥感があって読んでて悲しくなったりしておりました。
    あと好感が持てたのは「よくわからないアイディア」「

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    2022年11月18日
  • 図書館島

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    一回途中で断念して、二回目で最後まで到達。
    正直内容を理解できたかと言われると微妙。

    この本独自に定義された言葉が出てくる。
    最後の辞書を頼りに読んでいくのがいいかも。

    「ティオムのジェヴィック」←これだけなんか特徴的だった笑

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    2022年10月22日
  • いずれすべては海の中に

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    本を閉じたとき、この本に出合えて良かった、そう思える幸せ。
    SFの濃淡はありつつ、短編たちを繋ぐ”喪失”や”音楽”といったテーマの描かれ方が見入るほど聞き入るほどに美しく胸の内に響いてくる。
    掌編くらいの短さもあれば、比較的長い物語もあるのでその点も読みやすく、自分だけの一遍と出会えるのでは。私のお気に入りは「記憶が戻る日」「風はさまよう」「そして(Nマイナス1)人しかいなくなった」。
    SFだからこそ浮き彫りになる人間としての普遍的な願いやシチュエーションとしての幻想性など、私の大好きなものがきらりとつめこまれた宝石箱みたいな一冊でした。

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    2022年09月25日
  • いずれすべては海の中に

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    どのお話も最後は読者の想像にお任せします、的な感じで余白があるところがとても好み。それぞれかなり特殊で面白い世界観のお話にも関わらず、説明的な文章がなく、唐突に始まってちょっとずつ輪郭がはっきりしていくところも良かった。

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    2022年08月27日
  • 空のあらゆる鳥を

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    表紙絵の雰囲気やタイトルから想像した内容よりも機械の要素が強いな、との感想を持ちました。エピグラフの "人間、自然、機械" の括りが織り合わさった話になっていると思いましたが、第三部終盤でのその三者の盛り上がり方は、今どきな問題意識、という感じがして、そこも最初の想像からかけ離れていて、面白かったです。

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    2022年08月13日