ほしおさなえのレビュー一覧
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シリーズ3作目。
連句という形式にも慣れてきて、なるほど、こんなふうに繋げていくのか、と読者も連句会、ひとつばたご(物語の終わりで出てくるなんじゃもんじゃの木だなんて)のメンバーとしてだいぶ上手に詠めるようになってきたはず。
登場する水羊羹は本当に美味しそう!
いつかは食べてみたいなぁ、プルプルで、まるで水そのもの!
しんとした世界から手渡されるそれは私の想像を刺激して、お腹も刺激する。
マンガの話も出てきて、本作はシリーズの中でお気に入り。
『たんぽぽの綿毛のように』で出てくる、
「大きな木は動けないけど、たんぽぽの綿毛は遠くまで飛べるでしょう?」(103頁)は、軽やかに生きる強さを感じさ -
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初めは、連句には一編の詩のようなまとまりを感じられず、戸惑いもあったのだが、ここにきて漸く良さが分かってきたように思う。
前の句には付ける、でも二つ前の句からは遠ざける。
連衆それぞれが持つ世界の表し方を繋げ、広げていくことで、この世界を詠む。
その時にどの句を取るかでその一巻の方向性も変わる。
その役を担うのが捌き。
面白い。
作中に出てくる和菓子も魅力的。
ひとつ気になったのが、
P.292「そぞろ歩きに響くひぐらし」が付いた。
とあったのに、
P.294「そぞろ歩きに響くかなかな」
に変わっていたこと。
確かに「かなかな」の方が情景が広がる感じがして良いと思うが、変更した理由についての -
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シリーズ6作目。
記念館閉館イベントが、コロナの影響で中止になり百花は慣れないリモート環境下で卒論と就活に取り組むことに。
第一話 手漉き和紙見本帳
就活に苦戦していた百花の元へ和紙見本帳が届き、改めて伝統を守るということの大切さに気づかされ、最終面接を乗り越えて内定をもらう。
ひたむきに頑張る素直な百花に拍手。
第二話 わたしたちの日常
コロナ禍で最も知りたいのは、みんなの動向。
みんな寂しくない?落ち込んでない?
誰かと少し喋るだけで頑張れるという気持ちが伝わってきた。
今は落ち着いているけど当初を思い出してしまった。
第三話 結のアルバム
卒論のテーマに惹かれた。
小川未 -
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三日月堂で働く人が増えそうな予感✨
小さな印刷物がメインの印刷屋から、次のステップへ。本が印刷できる平台が動く日もすぐそこ。
①人生に焦り、人と比べて落ち込むなんて、若い時期は日常茶飯事。本当にやりたい事は見つけれますか。
②弓子さんのお母さんが生前作った短歌を印刷する。バンドを組んでたメンバーとの確執や、仲直り、成長。
③不登校の高校生の子が、活版印刷に興味を覚え、バイトに入る。自分に自信を持って生きるのは難しい。でも、まずは、目の前の興味ある事を追い求めよう。人生の成功はひとつじゃない。
④活版印刷のイベントで、同じ平台を持つ盛岡の印刷会社の方と知り合い、平台の練習をさせてもらったり、修理 -
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活版印刷所、三日月堂のお話。どれも心に染み渡り、涙無しには読めない、温かい話。
①朗読を習ってる3人が朗読会を開く。読み方に正解はない。伝え方に正解はない。だからこそ染み渡るものがある。
②生後3日で亡くなった姉のファースト名刺を11才の弟が作る話。自分が死を迎える時どうなるのか、人の死を乗り越えるとは…?死にまつわる温かな話。
③亡くなった奥さんが伝えたかったものは?離れて行った元カレが伝えたかったものは?人と一緒にいるからこそ、傷つくもの、見つかるもの、両方がある。豆本が欲しくなった(笑)
④自分もそんな少年時代もあったなぁ、自分の息子を見ながら思う父に、30年前に死んだ父から手紙が届く。