ほしおさなえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
連句をテーマにしたシリーズ第五冊。
連句サークル「きりん座」との交流が深まっていく。
きりん座メンバーが、一葉の勤めるブックカフェ、あずきブックスに遊びに来たり、ひとつばたごの蛍と一葉がきりん座の定例会に顔を出して連句を巻いたり。
文芸マーケットの話が出てきた。
コミケではなく、文芸同人誌のマーケットがあるということを初めて知った。
ひとつばたごも、若いメンバーを中心に、作品集を出してみようという話にも発展する。
一葉がきりん座の雑誌にエッセイを頼まれ、若いころの父の取った夕焼けだんだんの写真と組み合わせて掲載するのが評判となっていく。
ほしおさんの作品を何シリーズか読んできたが、父親がこんなに前面に出てくるのは珍しい気がする。
が、そういえば写真(現像するタイプの)を軸にした小説もほしお作品にはあったような…。
この作者さん、いろいろな「趣味の世界」に精通しているなあ、と改めて思う。
それから、なんとなく恋の雰囲気もただよってきたような?
一葉が学生時代あこがれていた今井先輩のこと、そして急に関わりが頻繁になってきた、きりん座の大輔のこと。
前の巻にも航人と廸子の話があったが、あれは恋というより破局の話だった。
次の巻では、一葉の恋愛に結びついていくのかな?
さて、俳句の話で、あっ、と思ったこともある。
俳句は季題に「つける」という意識がある、という話だ。
短歌や小説とは違い、自分の作り出す作品世界だけで完結しない文芸だということかと理解した。
蕉風俳諧の特徴である「さび、しおり、細み、軽み」のうち、軽みを「日常生活の中に新しい美を見出だし、平淡にさらりと表現すること」とあったのも、なるほど、と思ったこと。
(ちなみに、これは定例会での海月の質問への回答として出ているが、誰が話しているのか、ちょっとわかりにくいところがある。)
まだこのシリーズ、お話は広がっていくのかな?
次の巻を楽しみに待つことにしよう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ着物に宿る記憶を視ることができる琴子。
琴子が働くリユース着物店「本庄の蔵」の店長、柿彦。
ほしおさなえさんが今まで書かれてきた主人公たちより少し上の世代のふたりが今作の中心。
ふたりは姉弟のように育ったが、その実、関係性は叔母と甥である。
琴子は本庄呉服店2代目店主の養女、柿彦は3代目店主の次男。
一見複雑なようで、当人たちは全くそんなことはなく。お互い以外の家族との関係の方がよほど複雑で厄介だ。
着物に宿る記憶は、幸せな記憶もあれば暗く重い記憶もある。
戻ってこれないかもしれないと感じながらも視ずにはいられない琴子が危うく感じる。