ほしおさなえのレビュー一覧
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シリーズ完結編。
前作で藤崎産業に入社が決まった百花が、藤崎産業に入社して、新しい記念館をオープンするまでの2年が急ぎ足で描かれる。
正直、あと2作ぐらい分けて描いてもいいのでは?と思うところもあったけど、オープンまでにクリアしなければいけないタスクと、コロナが落ち着いて、徐々に取り戻していく日常と、百花の亡くなった父の本の再刊行と、いろいろな出来事が並行して描かれており、かなり読みごたえはあった。
コロナで会っていなかった一成も、創業家の一員として、かなり自覚が出て来て、1作目に比べて、百花以上に成長したなぁ、と感じた。
ここ最近作者のシリーズ作品が完結を迎えるものが続いているが、これまで各 -
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「言葉の園のお菓子番」の2冊目。
仕事が忙しくて、主な読書時間たる通勤電車の中でも目を瞑って頭を休ませたい感じで、なかなか本読みが進まずだったが、ゆるゆると進むこのお話は今の状況にはちょうど良かったかも。
今回も連句会を中心に、一葉が用意するお菓子やお茶、彼女の仕事(ポップの仕事に加えてブックカフェで働くことになった)をはじめとしてあれやこれやが語られる。
前作でも紹介されているとはいえ、正直誰が誰やら分からなかった連句会のメンバーだったが、萌さん、蛍さん(+妹の海月さん)、蒼子さん、直也さん、それぞれ印象的な出来事が描かれて、ようやく個性も分かってきた。ゲストみたいなベテラン歌人の久子さん -
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ネタバレシリーズもだいぶ長くなってきて、主人公の成長
や先の未来が描かれるはずなのに、ここにきてコロナ禍。。でもしっかり向き合って描いてるほしおさんに拍手。緊急事態宣言、数年前のことなのに今でもあのときの状況が鮮明に思い出されるのは、やっぱり誰にとっても衝撃が大きかったのではないかなぁと思う。
でも主人公が本質は変わらないながらも、成長していく姿がこれからも楽しみです。話の中で、やる気っていうのは出そうと思っても出るものではない、まずは始めてみることでやる気が出てくる、という言葉があり印象的でした。
この先の続くお話が明るいものであるように、引き続き応援したいと思います。次の新しい記念館のお話が待ち遠 -
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「カラダガアルウチシカ、デキナイコト、タクサンアル。ダカラ、イキロ」
わたしたちも蚕も、暗いところからやってきて、少しのあいだあかるい場所にとどまって、また暗いところに帰る。あかるいところにいるときだけ、身体という形を持つの。でも、ただそれだけなのよ。
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代々繋いでいくこと、繋がっていくこと。
それは一方では、「しがらみ」のように感じて、しんどく感じるものだけれど、
この物語ではそれが「安心」や「根っこ」になっている。
ファンタジーのような世界で現実にはないかもしれないけれど、これが現実だったらいいな、と思った。 -
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三日月堂シリーズで、ほしお作品にはまる。
以来、現在刊行中の『言葉の国のお菓子番』も、『紙屋ふじさき記念館』も読んでいる。
古民家、和紙、織物、活版印刷、和菓子など、レトロな手仕事をテーマにしているので、ついつい、手が伸びる。
さて、本書は川越を舞台にした『菓子屋横丁月光荘』。
いよいよこれが最終巻とのこと。
家の声が聞こえる遠野守人。
大学院を修了した今は、月光荘の管理人としてイベントの企画なども行っている。
恩師木谷先生に連れられて行った料亭で、家の発する声から、その家でかつて織物をしていたことを知る。
広瀬斜子(ひろせななこ)という、今は途絶えてしまった織物。
いつのまにか守人のまわ