ほしおさなえのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ明大 「君や結菜は、原因を自分の外に出して、外から見ることができるタイプなんだよね。自分の感情が原因だった場合も、とにかく外に出して対象を見ようとする」
茜 「それが言語化するってこと?」
明大 「そうそう。そうなれば対象をなんとかするとか、対象の捉え方や距離の取り方を変えるとかいろいろやりようが出てくるよ」
私は言語化するタイプです。言語化できないで混沌としてしまう人がいると考えたことがありませんでした。
明大は元々、問題を言語化できるタイプではなく、後天的に言語化することを習得。自分の弱点を自覚して修正していく力は、見習いたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
かつて織物で栄えた東京・八王子が舞台の作品
着物屋の養女、息子として幼い頃から着物に触れてきた琴子と柿彦がリユース着物を取り扱う店を出すことになる。
琴子には着物に触れるとその着物が宿す記憶を見ることができる体質を持つ。
日々たくさんの着物を査定する中で出会ったのは戦時中に着られていたであろう〝銘仙〟。
昔は普段着として着られていた着物。特に戦時中に着られていたその着物にはどんな記憶が、想いが宿っているのかを探る物語。
今は着物が身近な存在ではないけど、だからこそ特別なものとして、日本の古き良き伝統として丁寧に繊細に物語が描かれていた
〝衣は人を包む。包んで守る。そのために作られている。だか -
Posted by ブクログ
「言葉の園のお菓子番」の5冊目。
前巻で知り合った「きりん座」のメンバーを「ひとつばたご」に招いたり逆に「きりん座」の定例会に参加したりで、一葉を取り巻く世界はまた広がりを見せる。新たな人とのつながり、そこから思い起こされる過去の記憶、触発される歌心…。
様々な年代が集まる「ひとつばたご」と若い世代が中心の「きりん座」の対比が面白く、「きりん座」で出している同人誌からつながった文芸マーケット(文学フリマみたいなイベント)にも惹かれる。
学生の頃に写真をやっていたという一葉の父の応募した写真が入選した時のエピソードにもほのぼのとする。
すぐ前の句とは異なる情景を詠みながら、前の句に込められ -
Posted by ブクログ
〔Ⅰ〕記念館再起動準備の巻、とはいえ全体がエピローグという感じでもあり、駆け足的ではあるけれどめでたく始まりを迎える。
〔Ⅱ〕コロナ禍は少しずつ終息に向かっているようではある/第一巻からいずれ移転しそうな気がしていた川越で新たに出発する記念館の建物を改修してくれるのは月光荘も手がけた真山さん/新人だけのプロジェクトチームのメンバーは百花、松岡、本宮、烏丸/紙こもの市も再開/ビジネスの場でも使える「ベーシックライン」としてまず懐紙/百花の父の『東京散歩』再刊予定。同時に未刊行エッセイ書籍化の話が出てき、そちらの発行は道草書房、印刷は三日月堂/月光荘の名前もちょっと出てくる。近いうちに守人くんとも -
Posted by ブクログ
アナログでレトロなものや、紙ものの質感が好きな人にはたまらない小説だと思う。
レターセット、ショップカードにコースター、栞、結婚式の招待状。活版印刷ならではの味わいを堪能できるアイテムが各章で登場し、一つ一つの言葉に込められた「想い」が活版印刷により「重み」を与えられてそれらに刻まれる。以下好きな描写の引用を2つ。
くっきりした文字だった。「刻まれている」と感じた。ふつうの印刷だと紙に文字が「張りついている」感じだが、これは凹んでいるわけではないのに「刻まれている」。文字ひとつひとつが息づいているみたいに見える。
コンピュータのなかでは文字に重さがない。厚みもない。「もの」じゃない。だけ -
Posted by ブクログ
去年。ジャーナリングを楽しむためのオンラインサロンにいたときに、文通相手がふたりできた。でも、数回やりとりしただけで終わってしまった。
LINEなんかが主流になっている今、その延長で手紙を書くという行為に変えるって意外と続かないものだなと思った。
手紙を通して、関係性をうまく積み重ねることができなかったからだと思う。ご縁がなかったといえばそれだけ。
でも、その人のために便箋を選び、万年筆に使うインクを選びをしたのは、とても楽しかった。ボールペンとは違う書き味の万年筆と、自分の好みの色で書けるインクの組み合わせがとても好き。今使っているジャーナリング用のノートが、万年筆だと裏抜けしてしまって -
Posted by ブクログ
手紙が書きたくなったというより、インクに興味を持ちました。万年筆を使っているけれど、確かにボールペンより紙の上をするするとすべる感じで書きこごちがとても良い。
いつも同じインクを使っているけれど、インクひとつとってもたくさんの種類があることを知りました。
つけて書くものもあることは知っていたけれど使ったことはなくて、この本を読んで一度使ってみたくなりました。
「手紙室」というワークショップがあるホテルなんてなかなかない発想。ホテルに泊まることじたいめったにないことだけど、もしそういうワークショップをやっているホテルがあるなら一度泊まってみたいなと思いました。