ほしおさなえのレビュー一覧

  • 銀河ホテルの居候 落葉松の森を歩いて

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    「第3和 十人十色 Blue Lagoon」

    定年を迎える教授の最後のゼミ旅行のお話。学生が卒論制作をすることで、学びが深まるだけでなく、教授である主人公もゼミ生の数だけ思うところがあったのではないか、もしかすると学生よりも多くのことを得られたのではないかと思いました。

    「元気で楽しく」
    色々と心に響く言葉がありましたが、極めて簡潔なこの言葉が特に印象に残りました。

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    2025年11月08日
  • 銀河ホテルの居候 光り続ける灯台のように

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    ネタバレ

    明大 「君や結菜は、原因を自分の外に出して、外から見ることができるタイプなんだよね。自分の感情が原因だった場合も、とにかく外に出して対象を見ようとする」

    茜 「それが言語化するってこと?」

    明大 「そうそう。そうなれば対象をなんとかするとか、対象の捉え方や距離の取り方を変えるとかいろいろやりようが出てくるよ」

    私は言語化するタイプです。言語化できないで混沌としてしまう人がいると考えたことがありませんでした。

    明大は元々、問題を言語化できるタイプではなく、後天的に言語化することを習得。自分の弱点を自覚して修正していく力は、見習いたいと思いました。

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    2025年11月08日
  • 琴子は着物の夢を見る

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    ネタバレ

    「このままいくとすぐに八十や九十になってしまいそうだ。そして死ぬ。だけどまだまだ読んでいないものがたくさんありますからね。死ぬまでにどれだけ読めるか」

    たくさん読むものがあると思うと私もワクワクします。積読の言い訳にもなると思いました。

    戦争がもたらした少女時代の悲劇。戦時中にはこのような話が数えきれないほどあったのでしょうが、小説中に描かれると非常に生々しく、改めて戦争の残酷さを感じました。

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    2025年11月06日
  • 琴子は着物の夢を見る

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    かつて織物で栄えた東京・八王子が舞台の作品
    着物屋の養女、息子として幼い頃から着物に触れてきた琴子と柿彦がリユース着物を取り扱う店を出すことになる。
    琴子には着物に触れるとその着物が宿す記憶を見ることができる体質を持つ。
    日々たくさんの着物を査定する中で出会ったのは戦時中に着られていたであろう〝銘仙〟。
    昔は普段着として着られていた着物。特に戦時中に着られていたその着物にはどんな記憶が、想いが宿っているのかを探る物語。
    今は着物が身近な存在ではないけど、だからこそ特別なものとして、日本の古き良き伝統として丁寧に繊細に物語が描かれていた

    〝衣は人を包む。包んで守る。そのために作られている。だか

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    2025年10月28日
  • おかえり草 祓い師笹目とウツログサ2

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    ネタバレ

    【収録作品】オカエリソウ/サザナミモ/シンキロウゴケ/マドロミソウ/フタツカゲ

    静謐な物語集。
    前作よりもいっそう静かな気がする。

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    2025年10月25日
  • 言葉の園のお菓子番~大切な場所

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    連句のところは面白いのだけど、きりん座のゴタゴタのところは読むのが面倒でした。あんまりよく知らない人たちのいざござを噂話の形式で語られるので、こっちは興味ない人達なんだけど、、、と思いながら読んでました。主人公の成長には必要な展開なのかもしれないけど、噂話じゃなくストーリーを入れ込んで欲しかったです。ひとつばたごの人達のエピソードの方がいいな。

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    2025年10月22日
  • 銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に

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    ネタバレ

    彼氏と別れたことを言わなかった美紅。
    就職をやめて実家の本屋を継ぐことにしたのを言わなかった穂乃果。
    中国勤務になったことを言わなかった萌音。

    「水臭い、言ってくれればよかったのに。友達でしょ」と言いたい気分でしたが、皆、自分の気持ちの整理がつくまで言えなかったのだと思うに到りました。

    私は日頃から手紙を書く方ではありますが、1000色あるインクを前にして改まって想いを伝えたいのは誰だろうと考えてみました。答えは出ませんでしたが、このような手紙室が実際にあるのなら、行ってみたいと思いました。

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    2025年10月18日
  • 言葉の園のお菓子番 未来への手紙

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    「言葉の園のお菓子番」の5冊目。

    前巻で知り合った「きりん座」のメンバーを「ひとつばたご」に招いたり逆に「きりん座」の定例会に参加したりで、一葉を取り巻く世界はまた広がりを見せる。新たな人とのつながり、そこから思い起こされる過去の記憶、触発される歌心…。
    様々な年代が集まる「ひとつばたご」と若い世代が中心の「きりん座」の対比が面白く、「きりん座」で出している同人誌からつながった文芸マーケット(文学フリマみたいなイベント)にも惹かれる。
    学生の頃に写真をやっていたという一葉の父の応募した写真が入選した時のエピソードにもほのぼのとする。


    すぐ前の句とは異なる情景を詠みながら、前の句に込められ

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    2025年10月13日
  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

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    2025/09/29予約
    壊れても修繕して使う。大切なものの思い出も一緒に残せる。手間がかかっても金継ぎで補修して今までより素敵になってまた一緒に時を過ごせるって豊かだなぁ。コスパタイパと対極の価値観の中で、ゆっくりとした読書時間を過ごせました。

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    2025年10月07日
  • 銀河ホテルの居候 落葉松の森を歩いて

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    苅部さんの秘密が少しづつ明らかになっていくのかと前の巻を読んで思いましたが、そうではなかったですね。レギュラーのメンバーはほぼ出番がなく、主人公が各回で完全に独立してる感じですが、最近はこのスタイルはよく見かけますね。シチュエーションとコンセンプトのみ違う・・。食べ物屋さんのシチュエーションが多いですが、この作品と四宝文房具店は落ち着いた雰囲気で好みです

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    2025年10月03日
  • 銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に

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    インクとガラスペンを使って文字を書きたくなる本。老いることは、出来なくなることも増えるかもしれないけれど、思い出を抱きしめて好きなことをして残りの人生を生きていくこともできる。
    大人になることは、自由が減って単調な日々になることもあるけれど、自分の大切なものを自分の手で守ることも、大人だからこそできること。

    今の自分の姿をもう一度捉え直して、丁寧に生きてみたいなと思える物語だった。

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    2025年10月01日
  • 梅、香る 琴子は着物の夢を見る

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    ネタバレ

    振袖の「意志」を感じた琴子は、依頼主に自分の力について語り、振袖を預かって夢を見る。

    柿彦の懸念はもっともなことで、この先どう進むのか興味深い。着物にはとんと縁が無いけれど、こういう物語を読むと着られたらよかったなとは思う。

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    2025年09月30日
  • 紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所

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    〔Ⅰ〕記念館再起動準備の巻、とはいえ全体がエピローグという感じでもあり、駆け足的ではあるけれどめでたく始まりを迎える。
    〔Ⅱ〕コロナ禍は少しずつ終息に向かっているようではある/第一巻からいずれ移転しそうな気がしていた川越で新たに出発する記念館の建物を改修してくれるのは月光荘も手がけた真山さん/新人だけのプロジェクトチームのメンバーは百花、松岡、本宮、烏丸/紙こもの市も再開/ビジネスの場でも使える「ベーシックライン」としてまず懐紙/百花の父の『東京散歩』再刊予定。同時に未刊行エッセイ書籍化の話が出てき、そちらの発行は道草書房、印刷は三日月堂/月光荘の名前もちょっと出てくる。近いうちに守人くんとも

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    2025年09月16日
  • 言葉の園のお菓子番 孤独な月

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    シリーズ2作目。連句のことは俳句以上にさっぱり分からんけど、ほしおさんらしい優しいストーリーで読んでてホッとする。いろいろ話が発展しそう。海月ちゃん、おもろい!

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    2025年09月15日
  • 活版印刷三日月堂 星たちの栞

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    アナログでレトロなものや、紙ものの質感が好きな人にはたまらない小説だと思う。

    レターセット、ショップカードにコースター、栞、結婚式の招待状。活版印刷ならではの味わいを堪能できるアイテムが各章で登場し、一つ一つの言葉に込められた「想い」が活版印刷により「重み」を与えられてそれらに刻まれる。以下好きな描写の引用を2つ。

    くっきりした文字だった。「刻まれている」と感じた。ふつうの印刷だと紙に文字が「張りついている」感じだが、これは凹んでいるわけではないのに「刻まれている」。文字ひとつひとつが息づいているみたいに見える。

    コンピュータのなかでは文字に重さがない。厚みもない。「もの」じゃない。だけ

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    2025年09月15日
  • 銀河ホテルの居候 光り続ける灯台のように

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    軽井沢にある老舗ホテルのアクティビティ手紙室でのオムニバス。
    前作同様、苅部さんの洞察力で受講した人達は救われたり目標を見つけたりして現実世界に活力を見出す。苅部氏がちょっと占い師っぽく見えてきた(笑)

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    2025年09月13日
  • 銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に

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    去年。ジャーナリングを楽しむためのオンラインサロンにいたときに、文通相手がふたりできた。でも、数回やりとりしただけで終わってしまった。
    LINEなんかが主流になっている今、その延長で手紙を書くという行為に変えるって意外と続かないものだなと思った。

    手紙を通して、関係性をうまく積み重ねることができなかったからだと思う。ご縁がなかったといえばそれだけ。

    でも、その人のために便箋を選び、万年筆に使うインクを選びをしたのは、とても楽しかった。ボールペンとは違う書き味の万年筆と、自分の好みの色で書けるインクの組み合わせがとても好き。今使っているジャーナリング用のノートが、万年筆だと裏抜けしてしまって

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    2025年09月13日
  • 梅、香る 琴子は着物の夢を見る

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    着物と残された想い、記憶巡る物語の2巻。

    前作は戦時下の記憶で、持ち主が戦時下女学生だったので、おおよそわたしの祖母より数歳年上くらい。今作は親くらいのお話だった。

    世代も超えていくところは着物らしいなと思った。

    強い思いは持ち主が死しても残るなんて聞くことあるけど、それに当てはめると今作は(いや、前作も?)「後悔」かなと思う。……それ以外の想い、記憶のお話が読んでみたいかなと思った。

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    2025年09月12日
  • 銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に

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    手紙が書きたくなったというより、インクに興味を持ちました。万年筆を使っているけれど、確かにボールペンより紙の上をするするとすべる感じで書きこごちがとても良い。
    いつも同じインクを使っているけれど、インクひとつとってもたくさんの種類があることを知りました。
    つけて書くものもあることは知っていたけれど使ったことはなくて、この本を読んで一度使ってみたくなりました。
    「手紙室」というワークショップがあるホテルなんてなかなかない発想。ホテルに泊まることじたいめったにないことだけど、もしそういうワークショップをやっているホテルがあるなら一度泊まってみたいなと思いました。

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    2025年09月07日
  • 言葉の園のお菓子番~大切な場所

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    ネタバレ

    【収録作品】
    お化け階段
    特別な人
    坂道ノート
    レゾンデートル
    大切な場所
    梅の咲く庭

    大輔と一葉の父の写真+エッセイ雑誌完成。
    「アカシア」の詩の朗読会を「あずきブックス」で開催。
    「きりん座」の変化。
    「ひとつばたご」の雑誌企画と、SNS連句企画が進む。
    おいしそうなお菓子と広がりを持つ連句の世界。
    詩や短歌、写真と世界は広がっていく。

    平和だからできること。

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    2025年09月06日