あらすじ
『活版印刷三日月堂』著者が心を込めて描く、
共感の声が届き続ける感動の人気シリーズ、第5弾!
『活版印刷三日月堂』などのヒットシリーズを手掛ける著者が、出会い、言葉、繋がること、喪失と再生、成熟をテーマに描く、「言葉の園のお菓子番」シリーズ5巻。
書店員の職を失ったあと、亡き祖母が所属していた連句会「ひとつばたご」に通うようになった一葉は、連句をはじめて三回目の春を迎え、新しい仕事にも積極的に取り組むようになっていた。そんななか、自分と同世代が集う「きりん座」のメンバーとの交流をきっかけに、大学時代に抱いていた想いが再び浮かびあがり……。
封印していた気持ちに向き合い、一葉は自分の心を見つめ直していく。あのとき踏み出せなかった一歩を、自分の力で踏み出すために──。
人と人が深くつながることも、ゆっくりと自分自身を見つめ直すことも難しくなりつつある昨今、深いつながりをもたらす「連句」の場と、出会った人との「言葉」を通してのやり取りのなかで、20代後半の一葉が自分の心を見つめ、人との縁に助けられながら前を向いていく、切実で、やさしい物語6話で構成された連作集。
「変化しながら前へ進み、後ろには戻らない」という連句のルールとシンクロするように、迷いながら進む道の先は新しい出来事や出会いに繋がり、過去の痛みはいつしか豊かな可能性へと変わっていきます。
過去と向き合い未来へと進む勇気がしずかに胸に満ちてくる感動の人気シリーズ、待望の最新巻!
<目次>
あたらしい風
未来への手紙
自分史上最高の夕焼け
光の痕跡
「いま」と「いつか」と
連句の神さま
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ひとりではなく、人と一緒に、でも誰かとの記憶、自分の記憶をめぐらせて言葉を紡いでいく時間の豊かさを感じる。
こんな素敵なブックカフェ、近くにないかしら。
Posted by ブクログ
出会うときに出会えた本と感じている。今までは連句の面白さや新しいコミュニティに属すことで世界が広がっていく主人公を眩しく見つめていた。しかし、最近、自分も趣味から繋がった出会いがあり、その仲間と何か作らないかという話も出てきて、気がつくとリンクしていた。物語の中の人たちの心模様を眺めながら、ふと周りを見渡すと、現実も広がっていた、そんな感覚。
Posted by ブクログ
連句会の広がり、一葉の父と大輔とが写真をきっかけに一緒に雑誌をつくることになること、一葉の世界の広がりを感じました。
過去の恋に思いを馳せるところが、興味深いです。
Posted by ブクログ
「いまや連句会は私の生活の一部」
3回目の春を迎えた一葉は、連句の大会で知り合った「きりん座」のメンバーと交流を始める。
城崎大輔に誘われ連句会を訪れた一葉。そこには大学時代憧れていた今井先輩に似た岸本久輝がいた。 恋の訪れを思わせるシリーズ(五)
父親の夕焼けだんだんの話にじんわりさせられた。文芸同人誌を出すマーケットは知らなかったが、行ったらとても楽しそう!
就活の悩みを抱えていた蛍さんの内定が決まり、個人の歌集を出したい、ひとつばたごの同人誌を作りたいと、連句の仲間たちにも新しい風が吹き始める。
父親のモノクロ写真と大輔さんの写真を合わせた雑誌を出すことになるが、令和のJK、海月さんの言葉がストレートすぎて思わず笑ってしまった。
「きりん座の大輔さんと雑誌を作るって、大輔さんとお付き合いすることになった、っていうことですか?」
一葉の文とイラストが二人の写真をどのように繋げるのか、雑誌が出来るシリーズ(六)も楽しみに読みたい。
「自分の中から言葉が湧き上がってくる表現者と、互いの気持ちを通わせて言葉が生まれてくるのを楽しみたい人の双方がいるから連句が巻ける。」
なるほどと思える言葉にまた出会えた。
Posted by ブクログ
連句をテーマにしたシリーズ第五冊。
連句サークル「きりん座」との交流が深まっていく。
きりん座メンバーが、一葉の勤めるブックカフェ、あずきブックスに遊びに来たり、ひとつばたごの蛍と一葉がきりん座の定例会に顔を出して連句を巻いたり。
文芸マーケットの話が出てきた。
コミケではなく、文芸同人誌のマーケットがあるということを初めて知った。
ひとつばたごも、若いメンバーを中心に、作品集を出してみようという話にも発展する。
一葉がきりん座の雑誌にエッセイを頼まれ、若いころの父の取った夕焼けだんだんの写真と組み合わせて掲載するのが評判となっていく。
ほしおさんの作品を何シリーズか読んできたが、父親がこんなに前面に出てくるのは珍しい気がする。
が、そういえば写真(現像するタイプの)を軸にした小説もほしお作品にはあったような…。
この作者さん、いろいろな「趣味の世界」に精通しているなあ、と改めて思う。
それから、なんとなく恋の雰囲気もただよってきたような?
一葉が学生時代あこがれていた今井先輩のこと、そして急に関わりが頻繁になってきた、きりん座の大輔のこと。
前の巻にも航人と廸子の話があったが、あれは恋というより破局の話だった。
次の巻では、一葉の恋愛に結びついていくのかな?
さて、俳句の話で、あっ、と思ったこともある。
俳句は季題に「つける」という意識がある、という話だ。
短歌や小説とは違い、自分の作り出す作品世界だけで完結しない文芸だということかと理解した。
蕉風俳諧の特徴である「さび、しおり、細み、軽み」のうち、軽みを「日常生活の中に新しい美を見出だし、平淡にさらりと表現すること」とあったのも、なるほど、と思ったこと。
(ちなみに、これは定例会での海月の質問への回答として出ているが、誰が話しているのか、ちょっとわかりにくいところがある。)
まだこのシリーズ、お話は広がっていくのかな?
次の巻を楽しみに待つことにしよう。
Posted by ブクログ
「ひとつばたご」のメンバーのあれこれ
他の連句会との交流での出来事
連句を巻きながら、いろいろな事を静かに考える
自分の事、仲間の事、家族の事
今のこと、過去の事、未来の事
一葉が大輔さんの事を語るとき
ビブリア古書堂の大輔さんを思い出した
Posted by ブクログ
このシリーズを読んでいると楽しくなってくる。
ひとつばたごの定例会もみんなの新しい挑戦も。
少しずつ連句のルールがわかってきたので、読みながら次は自か自他半や打ち越しだから…と考えている自分がいるのも面白い。
前向きになる作品。
新しいお菓子が出てくるのも楽しみ。
次はひとつばたごの同人誌が出来上がるのかな。
Posted by ブクログ
祖母の通っていた連句の会に通うようになって3年目の一葉。恋の予感( ꈍᴗꈍ)
カキモリ!
あすこは本当に楽しくて永遠に居られるけれど、土日はとても混んでいる。行った時はまだガラスペンを書いたことが無かったから、インクを調合しているところには気付かなかったな…行かなくちゃ!
色んな事が起こる人生の、渦中のあとの凪の時間のような、ふうっと息をすることの出来るこのシリーズ。
今回は大輔さんの「才能とはズレ」が名言だったと思います。ズレてるから孤独、だけど繋がりたい、その切実な想いの魅力。言い得ているなぁ。こんな安定している人、憧れます。大人の魅力♡坂マニアだけど(笑)
自己満で終わらない同人誌がどんなものになるのか楽しみ。
お菓子は一周し終わっているので初出は少ないのだけど「イナムラショウゾウ」気になっちゃう!
Posted by ブクログ
言葉の園のお菓子番シリーズ5作目。
今までにない、これから先へのひろがりを感じられました。
ひとつばたごというひとつの世界にあったのが、きりん座という世代的にも近い世界につながったことから、上の世代がいる場所から横のつながりの目線に移動した感じがします。
今後どうなっていくんだろう…。
Posted by ブクログ
言葉の国のお菓子番シリーズ5作目
ひとつばたごだけでなく、きりん座との関わりなどから、一葉の世界が広がってゆく。
今回は言葉だけでなく、写真を通して、光や視覚にも注目させられた。
今後の一葉やひとつばたごのメンバーの成長が楽しみ。
Posted by ブクログ
小説というよりひとりごとのような流れで落ち着いて読める
自分は大人だけど未来に希望があるような気にさせてくれる
主人公と同化してる?
就職活動 フィルム写真 坂道 文芸マーケットが背景
ちょうどぴぴろが同人誌の話をしていて共有できてよかったです
選ばれたいと応募するのは受け身
自分で決めて世の中に送り出す
才能は世界とのズレ 孤独と同じ
世界がほかの人とはちがって見える
人と共有できないものを抱えてる
共有したいと思っているから言葉にする
だれかと結びつきたいと願う
才能のある人の言葉は切実で、ほかの人を惹きつける
Posted by ブクログ
言葉の園のシリーズ第五弾。
定期的に連句会「ひとつばたご」に通う一葉は、自分と同世代が集う「きりん座」のメンバーとも交流を持つ。
「きりん座」で連句を経験した一葉は、軽やかでシャープな印象だと感じ、短歌から来た創設メンバーのせいか表現者を志しているように思い、自分とは違うと。
どちらかといえば、「ひとつばたご」は、年齢もバラバラで家庭を持っている人もいて、見てきたものが多いので言葉の幅も広がっているようで、その場でほかの人の句に触れることで、ことばが生まれてくる…というのが一葉なんだろう。
「きりん座」でエッセイを書いた一葉は、文芸マーケットにも行ったことで、「あずきブックス」のカフェスペースで同人誌フェアを行う。
エッセイも父の写真がきっかけになり書いたことで大輔とも写真を通して交流が深まる。
基本は、やはり「ひとつばたご」だと感じるのは、やはりお菓子番としての和菓子と次々と繋がる連句だろう。
光の痕跡のなかでの、一葉の句が好きだ。
はじめての線を一本引いて夏
連句の神さまでの
喫茶店のいつもの席は空席で
今後の一葉をもっと見てみたい。
Posted by ブクログ
「連句」の場とが人との繋がりをもたらし「言葉」を通してやり取りしながら自分の心を見つめ、人との縁に助けられながら前を向いていく過程が素敵だった。作中で披露される連句のひとつひとつからは“言葉”の凄さや温かみが感じられて良い。
Posted by ブクログ
やはり、いい。
私は、表現は苦手だ。でも、表現されたものには触れたい。触れた記憶を残しておきたい。
自ら作り出したい熱を持つ人と、その熱を受け止めて返す人が編む連句がとても魅力的。
もちろん、登場人物たちそれぞれの物語もいい。でも、主役は連句。編まれていくところを読んでいると、「あぁ、そう来るのか」とか「おお、そうなるのか!」など、片隅に座らせてもらっているかのような気持ちになれる。
Posted by ブクログ
『言葉にしない気持ちはだんだんぼんやりとあいまいになっていく。写真に撮らなかった人の姿形の記憶がぼんやりしていくように。』
12年間続けている別の趣味、それを通じて出会った人、出来事はなるべく書き残しているつもりだけど自分に向けた思い出や感想、出来事綴っているばかりになっている。。
文章を構築する力が未熟な身として、
人に趣味の魅力を他者に伝えること、言語化することは難しい。
それでも写真を撮るように、自分の場合は文章で残していかないと即興の言葉では伝わらない雰囲気や気持ちが相手には伝わらない。
ちゃんとnoteにでも残していかないとって感じた二文が印象的でした。
これもある意味では『未来への手紙』なのかもしれないです。
綺麗な言葉遣いが非常に素敵な本でした。
イラストに惹かれて買ったけど正解だった。
Posted by ブクログ
「言葉の園のお菓子番」の5冊目。
前巻で知り合った「きりん座」のメンバーを「ひとつばたご」に招いたり逆に「きりん座」の定例会に参加したりで、一葉を取り巻く世界はまた広がりを見せる。新たな人とのつながり、そこから思い起こされる過去の記憶、触発される歌心…。
様々な年代が集まる「ひとつばたご」と若い世代が中心の「きりん座」の対比が面白く、「きりん座」で出している同人誌からつながった文芸マーケット(文学フリマみたいなイベント)にも惹かれる。
学生の頃に写真をやっていたという一葉の父の応募した写真が入選した時のエピソードにもほのぼのとする。
すぐ前の句とは異なる情景を詠みながら、前の句に込められた思いを際立たせるとともに続く句への飛躍をも感じさせる、そうした連句の面白味を感じさせられた二例。
夕暮れの花の舞い散る階段に
あたたかな日の父の思い出
はじめての線を一本引いて夏
まぶしき空に立ち上がる虹
Posted by ブクログ
シリーズ5作目。ひとつばたごに通う一葉が別の連句会きりん座へ参加したりかつての恋心を思い返す話。父親の夕焼けだんだんの話良かった〜!あとどんどん繋がりが広がっていく様ほんと良くて自分で動き出す大切さを学ぶ。
Posted by ブクログ
続き物の第5段。
だんだんゆっくりと内容が薄くなってきたような気もするけど。
文芸フリマや同人誌作りって面白そうだけど、なんだか登場人物たちは人生に余裕があっていいなぁと思っちゃうな。子育て中の私にはなんだか、時間の流れがちがっていいな、私もいつか俳句、連句ってやってみたい。
Posted by ブクログ
一葉さんの心の動きが全部文章になってるので臨場感がありますね。棗バターは2回目の登場ですが、よほどおすすめなのでしょうか。前羽田空港で売ってたと思うので今度買ってみます。
Posted by ブクログ
連句会の仲間の話で、実はシリーズ物でした(これはNo.5)。連句とは複数人で句を繋いで行くもののようですが、難しいルールが色々あり、言葉も独特で、前の句を受けているはずなのに唐突に感じる物もあり、かなりハードル高いなあと思いました。
Posted by ブクログ
【収録作品】あたらしい風/未来への手紙/自分史上最高の夕焼け/光の痕跡/「いま」と「いつか」と/連句の神さま
シリーズ第5巻。
静かな筆致で、少しずつ前進していく様子が描かれていて好もしい。今回は、新たな出会いが運んできた大きな動きもあり、この先が楽しみである。
Posted by ブクログ
シリーズ5作目。
一葉がひとつばごに参加して、早3年目。
その間にポップの仕事を始め、ブックカフェでも働き始め、人と人の縁が導く運命を上手く描いている印象。
世の中、そんなに上手く行かないよ・・・
と少しやきもちやきたくなるくらい一葉の人生はひとつばごに参加してから順調だ。
そんな中、早春に行われた連句の大会で知り合った他の連句会の人たちとの交流も始まり、その流れで今作では文芸誌の話にも。
同じように定期的に連句を巻いているだけかと思いきや、少しずつ新しいことに挑戦していく姿に、自分も同じ場所に立ち止まっているだけでなく、少しでも歩みださなければ、と思わせてくれる作品。
3年目に入り、定番のお菓子のアレンジも目立って来た。
一葉のおばあちゃんのお菓子のセレクトが秀逸だっただけに、お菓子の代替わりは少し寂しいが、いつまでも同じ話では繋げないから、しようがないか。
新しく出て来るお菓子も、相変わらず美味しそうだし、そこは目を瞑ろう。
次作ではひとつばごでもいよいよ冊子を作ると思われる。
ここで、終わってしまった藤崎産業が出てきたら、ファンとしては嬉しいなぁ。