ほしおさなえのレビュー一覧
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月光荘シリーズ完結巻。
川越の月光荘より川島町の田辺の祖父母のおうちがメインでした。
完結巻らしく、前向きな終わり方。
ほしおさなえさんの作品は、登場人物みんな優しい人たちなのが良いなぁと感じます。心穏やかに読める。
蕎麦懐石とんからりのお話は切ないけれど、
家はこの世界でなくなってしまった後も
あちらの世界で存在し続けるということで
マスミさんと再会できていたらいいなぁ。
蔵カフェや
守人と豊島さん
田辺と石野の今後など
もう少し先が読みたい事柄もあるから
三日月堂シリーズみたいに
それぞれの未来を描いた短編集出してくれると嬉しいな。 -
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あずきブックスで働くようになった一葉のその後。
秋が深まっていく中で、あずきブックスでのトークイベント、そしてひとつばたごの連中が連句の大会に参加することになる。
そんな中、連句の大会にはひとつばたごの主宰、航人さんの元妻も参加することが分かる。
二人が鉢合わせする形になったらと、メンバーたちが右往左往して…という展開。
連句が出来上がっていく様子が、実況中継のように展開するのが面白い小説。
自分ならどれを選ぶかなあ、なんて思いながら読むのが楽しい。
一度連句会を見てみたいと思う。
一方、小説としてのストーリーや人物設定には、やや乗りきれないものがある。
航人さんは物語の中心人物だからやむ -
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手紙とか書き文字を見直してみたり。
【手漉き和紙見本帳】コロナ禍、緊急事態宣言。記念館もゼミもまともに動けない。自分の立ち位置を見失いかけた百花だが藤崎から送られてきた手漉き和紙見本帳に和紙への思いを新たにする。リモート面接で百花はただ和紙に貢献したい、そのために藤崎産業に入りたいと語る。
【わたしたちの日常】小冊子研究会はオンライン会議で次の企画を検討していたがどうにもいい案が出てこない。そんなときとある事情でしばらく発言していなかった松下さんが久しぶりに発言した。
【結のアルバム】卒論に取りかかった百花だが行き詰まりなぜか夫婦箱づくりに夢中になってしまう。また、コロナ禍で各種イベントが中 -
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シリーズ5作目。
一葉がひとつばごに参加して、早3年目。
その間にポップの仕事を始め、ブックカフェでも働き始め、人と人の縁が導く運命を上手く描いている印象。
世の中、そんなに上手く行かないよ・・・
と少しやきもちやきたくなるくらい一葉の人生はひとつばごに参加してから順調だ。
そんな中、早春に行われた連句の大会で知り合った他の連句会の人たちとの交流も始まり、その流れで今作では文芸誌の話にも。
同じように定期的に連句を巻いているだけかと思いきや、少しずつ新しいことに挑戦していく姿に、自分も同じ場所に立ち止まっているだけでなく、少しでも歩みださなければ、と思わせてくれる作品。
3年目に入り、定番のお -
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三日月堂シリーズスピンオフ。本編の未来編。
最初の頃の巻にしか出てきていない人だと、
「この人は誰だったっけ?」
となりつつ、話が進むと思い出せました。
楓のおばあちゃん
おばあちゃんのおうちと万葉の庭
カナコさんの短歌
と、本編での好きなものが多く出てきた「庭の昼食」が一番良かった。
カナコさんの恩師・深沢先生も素敵。
弓子と悠生の息子・佑が出てくる最終章も、こんなに時が経ったのかと驚くと共に、これからの明るい未来を感じさせてくれて、最終章にふさわしい内容でした。
これが月光荘に繋がっていくのかー。
今更だけど、三日月堂→月光荘と、月繋がりなんですね。 -
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シリーズ完結編。
予想通り、最後の章は弓子視点でした。
でも個人的に印象に残ったのは、最初の章の「星をつなぐ線」に出てくる星座早見盤。
どんなに素敵なものなのか見てみたい!
私は次のシリーズの月光荘シリーズを先に読み始めてしまったので、この巻で浮草や街の木の地図のことを詳しく知ることができて、なんだか不思議なかんじです。
今また月光荘を読み直したら、また心持ちが違いそう。
1人で細々と始めた活版印刷屋さんが、色んな人と繋がって、やれる仕事も広がっていって、静かだけど強く優しい物語だったなぁ。
「慣れたことだけしてたらダメなんだ」って言葉、三日月堂でも月光荘でも何度か出てきた気がする。
川 -
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三日月堂シリーズ第二弾。
「海からの手紙」では銅版画の描写が素敵で、どんな豆本だったんだろうと想像が膨らむ。
活版印刷といい銅版画といい、あと朗読もだけど、ほしおさんの作品はそれぞれの魅力の表現が豊かで、興味を持たせられてしまう。
朗読会っていうものに行ったことないけど、すごく行ってみたくなりました。
「我らの西部劇」で描かれる、三日月堂の前店主の印刷への愛やこだわりも良かったなぁー。
人の手を介して作られるものには、ちゃんと人の思いが込められていて、機械とは違う何かがあるなぁとしみじみ。
そういうのを大事にしていける世界でありたい。
弓子視点のお話もそろそろ読んでみたいな。 -
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[1]家が笑っている(p.288)/モリヒト、トモダチ、ドコニイテモ、イツモイッショ(p.293)
[2]蕎麦懐石「とんからり」の建物の出す音と声。その建物は川越織物研究会の深沢さんの曽祖母の実家なのかも?/豊島さんと共にかつて自分が暮らした場所に行く。土地と家と人の営み…このシリーズのキーワードかもね。
[3]守人の進む道は?/喜代さんの死後、敏治さんが弱ってきているかもしれない。施設に入るべきか? あの家はどうする?/最終章のようです。川越のCMっぽさは影を潜め守人の物語として終わりました。
■この巻の簡単なメモ
【広瀬斜子/ひろせななこ】島田と木谷に招待された蕎麦懐石の店「とんからり