ほしおさなえのレビュー一覧

  • 活版印刷三日月堂 海からの手紙

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    シリーズ二作目。活版印刷を通して人と人が繋がっていく物語。「ちょうちょうの朗読会」「あわゆきのあと」「海からの手紙」「我らの西部劇」の5編。どのお話も良かった。最後のお話の中の「書いた人も、組んだ人ももうここにいないのに、版が残ってる。これを刷れば、言葉が浮かび上がってくる」この一文は本当に感慨深い。データとは違い、手で触れて感じることが出来るからこそ、胸に迫るものがある。余談だが、お父様の残した資料をヒントに「我らの西部劇」の物語が出来たのだろうか。ここにも「繋がり」を感じる。

    0
    2020年07月14日
  • 活版印刷三日月堂 海からの手紙

    Posted by ブクログ

    時間は流れる。人は変わる。
    ーーそれが生きているということだから。

    私も飛ぼう。低くても、遠くまで行けなくても。行き先があるかわからなくても。飛べるかぎり飛んでみよう。
    それが生きるということだから。

    0
    2020年07月11日
  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    祖母が孫娘と共に祖母の故郷を訪れる。
    それは祖母の古い記憶を辿る旅でもあった。
    いいな、こういうの。
    私も年老いた時にそんな旅をしてみたい。

    祖母が生業としている金継ぎ。
    器等の欠けた部分を繕うその仕事は、欠けた部分を直して元通りにするだけでなく、敢えて色等も変えて継ぎ目や繕った跡を残し、新たな景色を楽しむものだという。

    人生も同じだ。
    思い通りにいかないからといって無理に繕う必要はない。
    継ぎ足して変えていってもよいではないか。
    目の前に伸びる道を真っ直ぐ進めばよいと思っていたのに、思いがけず予想外の方向へ曲がることもある。
    そんな時は元通りの方向へわざわざ戻らなくてもよいではないか。
    曲がったその先にあるものがその人にとって新たな道標となることもある。
    金継ぎのように、素敵な器に生まれ変われるかもしれない。

    祖母・母・孫と三代の女性の生き方はその時代背景で異なるものとなった。
    幼い頃の思い出にすがりたくなることも時にはあるけれど、各々の行きたい道を手探りで歩む三人の姿はとても清々しかった。
    ほしおさんの物語は柔らかくて優しい気持ちになれる。

    0
    2020年07月07日
  • 活版印刷三日月堂 海からの手紙

    Posted by ブクログ

    今、私は結構しんどくて、しんどくて、この本を読むのにも休み休みで読んだ。(;^ω^)
    とっても面白いし、背中を押してもらえるし、読んでいて苦しくなるような「救いのない本」ではない。
    むしろその逆なのに、登場人物の強さがしんどくて、休み休みで読んでしまった。

    「生きているのが楽しいのはほんのちょっとで、人生の大部分が戦い」
    だなんて、ニコニコ笑顔で話されても、ああそうですよね、って、ちょっと今は言えない。
    何せ戦いの真っ最中なもんで。
    でもって、その戦いに気持ちが折れそうになってるもんで。
    ああ、こういうもんなのね、って思ってしまう。みんなそう。苦しくて、もういいやって投げ出して楽になりたいって思うのにそれもできない。わかってる。わかってるけど、物語くらい、甘い甘い夢を見てもいいじゃないか、と、思ってしまって。

    こういう本を読んで、よし、私もがんばろうって思えるぐらい強くなりたいな。
    みんなも、同じように苦しいなら、もっともっと未来を見て、輝く遠い場所が幸せなんだと信じて毎日毎日旅立てるような、そんなふうに私も思いたい。

    同じことを繰り返していても輝く遠い場所には届かないし、自分ひとりでは立ち止まってしまいそうなときでも、だれかとつながっていられれば少しずつでも前に進めるかもしれない。
    だれかと一緒に何かをするのは、やっぱり、とても楽しいことなんやろう。

    あと少し。
    あと少しで、一歩踏み出す勇気が出そう。
    大丈夫、たしょう立ち止まっていてもまだまだ先は長いんだから焦らず、私にとっての「輝く遠い場所」を目指そう。

    この本では、活字がその「輝く遠い場所」を繋げている。
    「思い出の時修理します」も、同じようにどこか「遠い場所」を探しているお話やけど、あちらはタイトル通り、「思い出」から未来を探している。

    こちらも、やっぱりタイトル通り「活版印刷」から、「遠い場所」を探している。
    どちらも素敵。どちらもロマンがあって、「同じことを繰り返していてもどこにも着かない」と、思っている私にとって何かのきっかけになるんじゃないかと期待して、活版印刷をやってみたいと思っている。

    今回は、朗読会のお話もあって、こちらもやってみたいと思った。
    素敵なんじゃないかなと思った。でも、たぶん、ちがう。それは他人の真似であって、どれほどその世界が素敵でも、私の「遠い場所」は、たぶんそこにはないんやろう。

    でもでも、そう思っていても進めないもんね。
    幸い、私は読書というツールがあるので、その読書で触れた何かは、手にできるものならやってみようと思っている。
    活版印刷も朗読も私にとっての「遠い場所」ではなくても、一歩踏み出すことで何かが変わるかもしれないから、やってみようと思う。ちょっとお試しするぐらいの軽い気持ちです。

    40年ちょっと生きてきているけれど、私の経験値はかなり少ない。もっともっと若いころに、
    「ちょっと気になるな」
    ってことに手を出してみればよかった。あのころは、そんなふうに興味本位で何かをやろうと思うことは浮ついていると思っていたし、そもそも「ちょっと気になるな」と、いうことを探すのもへたくそやった。

    若いころのほうが時間も体力もあったのになあ、と、思うけど、いやいや、この年齢になったからこそ、「ちょっと気になるな」と、いうことを、自分以外のものに見付けられるようになったのかもしれへんしな。

    感情の元になるものは、十歳のときにそろうのだそうだ。
    それって遅いのか早いのか、そこからはあれこれ複雑になっていくばかりだそうやけど、感情がすべてそろうのすら十歳なんやったら、二十代であれこれ小器用にやりこなそうとか、無理な話やな。

    そう思うと、四十代、いい年代なのかもしれへんな。

    (と、自分に言い聞かせるよ。笑)

    あれこれあれこれ並べてるな(笑)。屁理屈の武装でも、今はほしいねん。自分を奮い立たせるための何かが。(;^ω^)

    確かに、傷のない人生は人生と言えないのかもしれへんよ。
    傷があるからこそ、その人なりにそれをどう癒すか、ほんで、他人にどう接していくかが変わってくるんやもの。
    自分がつらいぶん、もしかしたら他人に優しくなれるのかもしれない。
    (なれないのかもしれない…)

    自分で自分を癒すのはやっぱり大変で、そのときに他人の力を借りるから、今度は自分がだれかの力になろうと思えるんやろう。

    そっか傷から何かが生まれるって、版画のことか。
    傷をつけて、絵を文字を刻むんやもんね。絵や文字は魂の跡だわ。魂を形作るのに、無傷じゃあ、そりゃあ無理やろうな。
    それは、分かるんやけどね…。

    やっぱり今は、ありえないってぐらい、夢見がちなオチの話のほうがいいのかもな。笑


    …うん…。
    でも、足りなくても、それが私やねん。
    足りなくても、あかんことばっかりでも、それが私。

    そして生きるということに、正解はないねんね。
    正解があって、その通りにすれば万事オッケーというものがあっても、それを単になぞらえるだけなら確かに機械でいいのかもしれない。

    足りなくていいのかもなあ。足りないからこそ、誰かに補ってもらって、支えあえるのかもしれない。

    ああやっぱり、夢見がちなオチにしてるんかな、自分で。笑


    本には確かに文字しかないよ。
    でも、読んでいる私にとっては、色も形もある。色や形や重さを感じる瞬間が、とても好きだ。



    今回は、活版印刷と版画のコラボレーションもあった。
    豆本といい、まったく見たことがないので想像でもできひんけど、版画の専門用語がバシバシ出てきたのには
    「おおー」
    と、思った。


    普段からやってはる方には、こういう専門用語も、うんうん、そうよね、って思えるんかな。

    寒冷紗
    ラシャ
    人絹
    ドライポイント
    メゾチント
    エッチング
    アクアチント
    エングレーヴィング
    ニードル
    ビュラン


    などなど…。
    作中でもさらりと説明してくれてはるし、このあたりの手法や技法をくどくど言われると読んでて面倒くさくなりそうなので、このシリーズは(活版印刷も含め)このあたりの匙加減がとても面白い。

    興味を持ったら、その後は自分で調べればいいんやもんね。

    ■■■■

    ■消波ブロック

    海岸や河川などの護岸や水制を目的に設置するコンクリートブロック。消波根固ブロック(しょうはねがためブロック)、波消しブロック(なみけしブロック)と呼ばれることもある。

    英語では「tetrapod」と呼ばれ、日本語でも消波ブロック全般を「テトラポッド」と呼ぶこともあるが、日本では「テトラポッド」は不動テトラの四脚ブロック製品の登録商標である

    0
    2020年07月04日
  • 菓子屋横丁月光荘 浮草の灯

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    家の声が聞こえ主人公の話第2弾。
    歌を覚えて歌っていた家が、言葉を覚えて会話が成立しだしていてびっくり。
    正月にほかの家たちと人間の姿で会って話すということは、付喪神みたいなものなのかな。
    家が喋ってくれたら一人暮らしでもさみしくないなぁ。
    主人公は馴染んできていて孤独じゃなくなってほんとによかった。
    あと、切り紙したくなりますね。

    0
    2020年03月12日
  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

    Posted by ブクログ

    物作りって素晴らしい。
    伝統を復活させたり、それを引き継いでいくことは大切。壊れたから捨てるではなく直してそこが新たな景色になるというところが一番印象的だった。

    0
    2020年03月08日
  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

    Posted by ブクログ

    金継をする祖母、ホテルに勤める娘、高校生の孫の、それぞれの生き方を丁寧に描いた物語。
    飛騨高山から大子へと、祖母の思い出の人を追う祖母と孫の旅。そこへ娘が合流し、今まで胸にしまっておいた思いを互いに語る。
    派手さはないが、胸に染み入って引き込まれた。
    漆に関わる人達の仕事ぶりを読みながら、以前思い切って購入した拭漆のお椀の美しさを思い浮かべた。これからも大切に使おうと思う。

    0
    2020年02月12日
  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

    Posted by ブクログ

    この作者ならではの、あたたかで芯の通った女性の生き方が清々しい。
    金継ぎという地味な仕事の中に自分なりの意義を見つけて技術を継承していく孫娘の真緒。
    女三代の人生には、それぞれ葛藤も諦めもあったが、またそれぞれに希望もある。

    0
    2020年02月01日
  • 菓子屋横丁月光荘 浮草の灯

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    活版印刷の登場人物がたくさん出てきた。
    ちょっと混乱したけど物語がより深くなった。
    切り絵は楽しそう。
    建物の声から会話に進化(?)したけど、
    ファンタジーと思えばそんな感じもありかもとは思うが、ん~~~ビミョー。

    0
    2020年01月12日
  • 菓子屋横丁月光荘 浮草の灯

    Posted by ブクログ

    「菓子屋横丁月光荘」の2冊目。
    どこかで読んだような話と思えば、三日月堂の最終巻に出てきた古書店・浮草の話じゃないか。
    店番の安西さんは、同じ巻の第2話の就活に悩む女子大生だよね。
    ネットで見ると、作者は同じ時期にこれらの話を書いたようで、あちらの話をこちらから見ればという趣向。

    何という話でもなかった最初の巻だったが、この巻になって、三日月堂に近しいテイストを感じて、なかなか良くなってきた。

    昔と違って、歳を取って、最近、仕事で気持ちの通わない人とやり取りするのが億劫になっているのだけど、『人とかかわるのに痛みはつきもの。心を閉じてしまえばどんどん鈍感になれる。まわりになにも働きかけないでいれば、傷つかない。だけど、それじゃダメなんだ』なんて、ちょっと耳が痛いやね。

    また、この作者には父子の関係の話が良く出てくるのだけれど、『子どもを育てるためにお金と労力をかけるのは、子どもが大事だからだと思うんです。命がけで育てるからこそ自分の価値観を押し付けたりもする。祖父が生きてるうちにそのことをわかってたら、もう少し話せたのかも、って思いました』とはなかなか思いつかないし。
    私は父に対してこう思えなかったけど、息子は私に対してどう思っているかなぁ。

    0
    2019年09月29日
  • 銀塩写真探偵 一九八五年の光

    Posted by ブクログ

    なんとなくプロローグのような物語。フィルム撮影と現像が重要な物語なので、主人公がフィルム撮影に興味を持って、撮影、現像を始めるまでにかなりのページを割いてる。物語のメインである銀塩写真探偵に関しては、主人公がその入り口に立ったくらいのところで終わってしまっている。これは続いてくれないと、なんだか中途半端な感じになっちゃうなぁ。

    0
    2018年07月20日
  • みずうみの歌

    Posted by ブクログ

    水に沈んだ街の物語。
    思い出の品をサルベージする仕事をしつつ、やがて自分のルーツを探る旅に出る。
    ノスタルジックな雰囲気が素敵でした。

    0
    2014年02月11日
  • みずうみの歌

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    静かに語りかけてくるような素敵な作品でした。
    とても良かったです。

    水の底に沈んでしまった街という物語の舞台が魅力的。
    登場人物達の抱える喪失感や苦悩といったものを映す鏡のようで。
    一方で水の底からサルベージされるかつての住人達の思い出の数々が温かな光を感じさせる。
    その対比の描かれ方が好きです。
    美しく透明感のある描写が物語に彩りを加え、不思議な世界へと導いてくれる。

    そしてバックアップワールドを描いた作中作がこれまた非常に魅力的でした。
    こういった概念の作品も好きなので、それ単体で読んでみたいな、と。

    0
    2013年12月21日
  • 言葉の園のお菓子番 見えない花

    Posted by ブクログ

    初めは連句なんて難しくて聴くのどうしようと思っていたけれど、生み出される句は其々の人生や感受性から出されるものなのだなと思えて、その視点で楽しめた。
    お菓子も実際にあるのならいただいてみたいな

    0
    2026年10月31日
  • 言葉の園のお菓子番 孤独な月

    Posted by ブクログ

    一葉の仕事が順調そうで安心した^^
    サブタイトルからも亡き人への想いみたいなものが色濃く出ていたな。
    連句の良さが少し分かってきたかも。

    0
    2026年10月31日
  • 言葉の園のお菓子番 森に行く夢

    Posted by ブクログ

    連句というのはそこに居る人たちの人生が詰まっているものだなと改めて感じた。
    お菓子も相変わらずおいしそう!
    「思春期は心の臍の緒が切れる」というのが妙に刺さったし納得した。

    0
    2026年10月31日
  • 言葉の園のお菓子番~復活祭の卵

    Posted by ブクログ

    大会の様子が知れて良かった
    連句会も1年以上になると人間関係が濃ゆいなあ。
    やはりこういう集まる場というのは本来の目的もそれ以外も豊かになるよな。

    0
    2026年10月31日
  • 言葉の園のお菓子番 未来への手紙

    Posted by ブクログ

    シリーズ5作目にもなると安心して聴ける感が良い^^
    連句の中の恋もリアルの恋も少しだけ進展があって、でも決定打までいかなくてヤキモキ。
    自作あるのだろうか?

    0
    2026年10月31日
  • 銀河ホテルの居候 満天の星を見あげて

    Posted by ブクログ

    シリーズ4作目。

    学生時代に一緒にバンドを組んでいた一躍スターになった友人のライブに軽井沢に訪れた有村。
    長年、銀河ホテルのシェフを務め、息子が8歳の時から誕生日に手紙室を訪れる吉田。
    挙式を間近に控える真奈。

    年代も環境も違う3組の物語が紡がれる。

    3作目までは、何となく展開が一緒でなかなか読み進めるのに苦労するシリーズだな、と思っていたが、4作目で理由が分かった。
    物語として、先に展開していくことがないのだ。
    語り手が変わり、過去を振り返りながら、手紙室で手紙などを書く。
    毎回展開が一緒で循環してないのが、自分の中で合わない理由だったのかもしれない。
    でも、理由に気付くと苦にならなくなった。
    手紙室と言うテーマだけで、毎回趣向を凝らすのは大変だろうと捻くれた見方もしていたが、人によっては感情を吐き出すのに言葉だけじゃなく、1作目の有村みたいに感情を音楽で表す人もいることを気付かされた。
    物語の構成は四宝堂に似ている感じがして、最近四宝堂を読んだから、今までと違う気持ちで読めたりして。
    そんなことを考えた4作目だった。

    0
    2026年10月31日
  • 銀河ホテルの居候 落葉松の森を歩いて

    Posted by ブクログ

    シリーズ3作目。いい感じの話が続くんだけど、今回はこれまでほどいいなあって感じなかった。自分でも何が要因かは分からない。単に体調の問題だった?

    0
    2026年10月22日