あらすじ
書店員の職を失った一葉は、連句の場のもたらす深い繋がりに背中を押され新しい一歩を踏み出していく。
温かな共感と勇気が胸に満ちる感動作!
感情タグBEST3
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複数の人が集まって作る連句。式目に倣って付いては離れを繰り返し、やがてひとつの連句が出来上がる。違う年代で考え方も違う人たちが集まって作る連句には善し悪しはなく、否定も拒絶もない。みんな違ってみんないい。
連句を通して人の想いに触れる度にいろんな魅力が伝わってきて、こんなに寛大で温かい世界があるんだなあと読みながら心が綻んだ。職を失って先が見えない一葉の心中はきっと不安が大きいと思う。それでも一つひとつの描写が繊細で穏やかで、連句を通じて人と人との繋がりにほのかな輝きと希望を見出すことができる、とっても素敵な話でした。毎月の連句会「ひとつばたご」で用意される和菓子が美味しそうなこと!
銀河ホテルの居候最新刊(第3弾)を読む前に、またひとつ、新たなほしおさんの素敵なお話に出会ってしまった…!シリーズ全読破目指そう!!
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『連句』って面白そう!この本を読んですっかり魅了されてしまった。
勤めていた書店の閉店で、根津にある実家に戻った豊田一葉(かずは)。
亡くなった祖母の部屋の本棚で一枚の手紙を見つける。十二ヶ月分のお菓子の名前が並ぶ紙の裏には祖母の字で、「一葉へ。ひとつばたごの皆さんに私のことを伝えてくれるとうれしいです。
ずっと楽しかった、ありがとう」と書かれてあった。
「春の香りの菓子を携え 治子」
の句を見た一葉は、祖母に代わって三月の菓子「長命寺桜もち」を携え会に向かう。祖母の歩いた道筋を辿りながら自分の新たな一歩を踏み出す一葉にエールを送りたくなった。
連衆が座に集い連句を巻く(作る)
句は皆で出し合い『捌き』と呼ばれる進行役が合う句を選んでいく。
五七五の長句、七七の短句が三十六句つながる『歌仙』という形式を用いる。
「ひとつばたご」主宰の航人さんが解説を加えながら、『発句(ほっく)』『脇』『第三』…と次々に句が決まっていく。
「発句と脇はふたつでひとつの世界を作るように」季節は同じで名詞で終わる。
「なつかしき春の香の菓子並びをり」
蒼子さんの発句に、祖母の記憶を重ねて
「のどかに集う言の葉の園」と付けた一葉の句が『脇』に選ばれ嬉しくなった。
生前の祖母を知る人たちとの連句の会。
穏やかな雰囲気が伝わってきた。
決まり事はあるが自由に連想して構わない連句。なにかの想いをこっそりこめて句を出す。だれかがその意味を読みとり自分もこっそりなにかの想いをこめて句を打ち返す…連句にとても興味を覚えた。
季節の和菓子がどれも美味しそう!
パン屋さんのケークサレも食べてみたい。
物語の中には四季折々の東京の下町を巡る楽しみもあった。
鈴代さんから紹介された「パンとバイオリン」のポップを書いたことで、園芸店「houshi」、生活雑貨の「くらしごと」からも仕事の依頼がくるようになる。
一葉が書店員だった頃、お客さんとして来店していた萌さんと連句会で再会した偶然にも人の不思議な繋がりを感じた。
年齢や経歴を飛び越えて連句の"付け合い"が特別な繋がりを生む。こんな時間を私も持ちたいと思った。
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「連句の場は、がっちり向かい合うんじゃないところもいいんだよね。ずっとしっかり向き合ってたら、疲れちゃうし。お互いにお互いのことしか見えなくなって閉じてしまうでしょう。ちょっと斜めにチラチラ見るぐらいがちょうどいいんじゃない。」
俳句のように、個の力を競うのではなく、数人で全体の構成と調和を考えて一つの作品を作り上げる連句。決して立ち止まらず、戻らず、進み、主役になったり、引き立て役に徹したり。それは人生にも、人とのかかわり方にも通じる。俳句は無理でも連句ならできるかも。老後の楽しみの候補がまたひとつ増えた。
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あなたは、『連句』を知っているでしょうか?
『連句』?『俳句』じゃなくて?そうです、さてさては『連句』という言葉自体知りませんし、当然、全く知識がありません。これはなんなのでしょうか?『俳句』なら有名な松尾芭蕉さんのことを思い出しますが、『連句』というのはどんなものなのでしょうか?誰か教えてくれませんか?ポチッ!
『芭蕉さんといえば俳句だと思われているけど、俳句というのは明治になって作られた言葉で、もともと芭蕉さんたちが作っていたのは俳諧連歌って言われてたものなんだよ。連句はそれをもとにしているの』。
なるほど、便利な世の中ですね。答えが出てきました(笑)。松尾芭蕉さんが作っていたものは『俳句』とばかり思っていましたが、実はそうではなく、ここで話題にしている『連句』の元になったものなのですね。なるほど。『連句』についてもっと知りたくなりました。『連句』について誰かもっと詳しく教えてくれませんか?ポチッ!
さてここに、そんなあなたの疑問に答える物語があります。『連句』の世界が詳細な知識をもって語られていくこの作品。それだけでなく、”食”の世界も堪能できるこの作品。そしてそれは、『なにかの想いをこっそりこめて句を出す。だれかがその意味を読み取って、自分もこっそりなにかの想いをこめて句を打ち返してくる…』という先に繋がる『連句』の面白さにあなたもどハマりすること必至の物語です。
『三月のはじめ、実家に戻った。 勤めていた書店が突然閉店することになったのだ』と『大学を卒業してから四年ほど働いた』書店を後にしたのは主人公の豊田一葉(とよだ かずは)。この先のことを思い、『あたらしいことをはじめるならできるだけ若いうちの方がいい』と思うも、『自分はいったいなにをしたいのだろう』とも思う一葉。一方で『四年のあいだに本が増殖し』、『祖母が使っていた部屋に置くことになった』という中に、昨年亡くなった祖母の部屋で整理を始めます。そんな祖母の部屋に残された『本棚に近づ』くと、『小説に混ざって俳句の本』を見つけた一葉は『そういえば祖母はよく俳句を作っていた』、『いや、俳句じゃない。えーと、そう、連句だ』と過去を振り返ります。『ひとりで作る』『俳句』に対して、『複数の人が集まって作る』『連句』。『毎月連句の集まりに通っていた』という祖母に『いつか一葉もいっしょに行かない?』と誘われていたことを思い出す一葉は、『連句の記録』のノートを開きます。『なつかしい祖母の字だ』と開いたノートには『句がならんで』います。そんな中、『一月 銀座空也のもなか 二月 麻布豆源の豆菓子…』とお菓子の名前を見つけた一葉は『連句は休めないんだよ。わたしは「ひとつばたご」のお菓子番だから』と言っていた祖母の言葉を思い出します。さらに『一葉へ…いつか「ひとつばたご」に行ってわたしのことを伝えてくれるとうれしいです。そのときはこのお菓子を持っていってください…』という手紙を見つけた一葉は、『春の香りの菓子を携え 治子』という句が書かれているのを見て『行かなきゃ、と思』います。『連絡先のメールアドレス』を見つけ『自分が豊田治子の孫であること』等記して送信した一葉。やがて手嶋蒼子という人物から『よければ一度連句会にお越しください』と返信を受けた一葉は『行ってみようと心を決め』ます。そして、『お菓子は…』と思い、『祖母のメモ』に、『三月は「長命寺桜もち」とある』のを見つけた一葉。
場面は変わり、手嶋さんから言われた通り『筆記用具とお弁当、それに歳時記があるなら持ってきた方がいい』というアドバイスにしたがって予定の土曜日に会場へと向かう一葉は、まず言問橋にある『長命寺桜もち山本や』で桜もちを入手し、会場の西馬込へと向かいます。『どんな人がいるんだろう…大丈夫だろうか』と不安になる中、会場の襖を開けると『ああ、もしかして、一葉さん?』、『手嶋です。よくお越しくださいました』と迎え入れられた一葉。『こちらがこのひとつばたごの主宰の航人(こうじん)さん』…と面々を紹介される一葉が桜もちを差し出すと『うわあ、長命寺桜もち?治子さんがいつも持ってきてくれてた…』、『おいしそうですねえ』と喜ばれます。そして、『じゃあ、はじめましょうか…』と主宰の航人の掛け声に『カバンから歳時記と筆記用具を取り出す』面々。『今日は一葉さんがいらっしゃるので、少しずつ解説を加えながら進めていきますね』と『連句』について一つずつ解説しながらの『連句会』が始まりました。『まずは発句です。連句のはじめの句は「発句」と言います…みんなそれぞれその紙に句を書きます。そのなかで、僕が良いな、と思ったものを選びます』と説明する航人の指示に従って『短冊と呼ばれた紙に手をのばし、一枚取る』一葉。『一葉さんも一句書いてみてください…』と『発句は長句、つまり五七五…季語がはいっていなくちゃいけない…』と説明を受け思案する一葉ですがすぐには思い浮かべることができません。そんな中に出された句の中から『なつかしき春の香の菓子並びをり』を選んだ航人。それは、治子が『いつもその季節にぴったりのお菓子を持ってきてくれ』たことに思いを馳せるものでした。『では、次は脇です…』と進む『連句会』。そんな中に『祖母はここにいたんだ。わたしの祖母ではなく、治子さんとしてここにいる人たちと過ごした時間があったんだ』と理解する一葉。そんな一葉が『ひとつばたご』の集まりに参加する中に、自らが先へと歩んでいく道を見つけていく物語が始まりました。
“書店員の職を失った一葉は、連句の場のもたらす深い繋がりに背中を押され新しい一歩を踏み出していく。温かな共感と勇気が胸に満ちる感動作!”と内容紹介にうたわれるこの作品。第1巻が2021年3月に刊行され、このレビュー執筆時点で5巻まで刊行されている ほしおさなえさんの新たな人気シリーズです。ほしおさなえさんというと”活版印刷”に徹底的にこだわった「活版印刷三日月堂」シリーズが圧倒的に有名ですが、この作品では道具ではなく、コンテンツの側に光を当てていきます。それこそが『連句』です。『俳句』や『短歌』なら知っているけど『連句』って何?というのが私がこの作品を読み始めて抱いた率直な感想ですが、安心してください!もし、あなたも私と同じような思いを抱かれる方だったとしてもこの作品を読み終えた時には『連句』と、その面白さが語れるようになっていると思います。そう、この作品は”連句入門書”と言っても良いものなのです。かなり詳細な記述がなされていますが、まずここでは『連句』について最低限の知識をご紹介しましょう。
● 『連句』って何?
・『俳句はひとりで作るもの。でも連句は、複数の人が集まって作る。だれかの作った五七五に別のだれかが七七を付ける。それにまた別のだれかが五七五を付けて、というふうにつなげていく遊び』
・『連句を作っていくことを「巻く」と言います』
・『連句を巻く際、進行役となるのが「捌き(さばき)」。句は毎回みんなで出し合って、捌きがここに合う句を選んでいく』
・『連句のはじめの句は「発句」…発句は長句、つまり五七五…季語がはいっていなくちゃいけない』
・『二句目を「脇」と呼びます…発句と脇はふたつでひとつの世界を作る…だから季節は同じで、内容もあまり離れすぎていない方がいい』
最低限の記述を抜き出してみましたがいかがでしょうか?これだけでも『連句』のイメージがふわっと沸き上がるのではないでしょうか?もちろん、この先、どんどんどんどん深い世界が解説されていきます。私もここに今までのXX年の人生で全く知らなかった世界があることを知りました。面白いですね、この世界。そして、物語では『ひとつばたご』の集まりで完成した『連句』が章毎に作成されていく過程が描かれていきます。最初の章〈春の香りの〉では、『脇』まで出来上がった句が挙げられていますがご紹介しておきましょう。
『なつかしき春の香の菓子並びをり 蒼子
のどかに集う言の葉の園 一葉』
『句の下に作者の名前を入れる』という決まり事も紹介されます。そして、この句を見て『文字から春の匂いが漂ってくるみたい』と感じる一葉。いやあ、なんだか良い感じです。二章目以降もさまざまなやり取りの中に『連句』が完成されていきます。この『連句』ができていく過程を見るだけでもこの作品世界にすっかり魅せられてしまいました。
そんなこの作品は、実は『連句』以外の魅力にも満ち溢れています。その一つが『わたしは「ひとつばたご」のお菓子番』と認識していた祖母が残したメモに書かれた和菓子の数々が登場するところです。月一回の『連句会』。そんな場に参加することになった一葉は、祖母のメモに書かれた和菓子屋へと赴き、和菓子を買って会場へと持っていきます。この和菓子がまたたまらなく美味しそうなのです。二章目の〈一等賞になれなくても〉に登場する『向じま満ん草餅』をご紹介しましょう。『明治二年に創業した和菓子屋』という伝統あるお店の『草餅』です。
・『看板商品の草餅にはあん入りとあんなしの二種類がある。あん入りはこしあん。あんなしにはきな粉と白蜜がつく』。
・『外側の緑色のお餅の表面はつるんとして、ヨモギの香りがぷんと漂う』。
・『あんなし』は、『草餅にくぼみがあり、そこにきな粉を入れ、白蜜をかける』。
いやあ、もうこれだけで食べたい!という気持ちを抑えられなくなりそうです。ちなみにこの作品に登場する和菓子屋と和菓子は、小説の創作ではなくすべて実在するものです。つまり、我慢できなくなったら、食べにいくことができてしまう!これは良いですね!
『このあんなしを食べたかったの。きな粉も蜜もおいしいのよね』、『でも、あんも捨てがたいです』
そんな風に盛り上がる面々。”食”を楽しめる一面もある、それがこの作品のもう一つの魅力だと思いました。また、この作品では、主人公の一葉が勤めていた本屋さんで作っていた『ポップ』にも光が当たります。そして、そんな『ポップ』を起点にパン屋さん…と物語が繋がっていきます。そこには、それぞれのお店に関する、そうなんだ!という知識がさらに盛り込まれていきます。これは凄いです!もう一行一文字まで無駄がないくらいにまるで知識の泉のように、こんこんと湧き出してくるあれやこれやの知らない世界のお話。今までに850冊以上の小説ばかり読んできた さてさてですが、一冊の小説を読む前と読んだ後で、知識がここまで大きく膨らんだ作品は記憶にありません。この作品凄いです!
そんなこの作品は6つの章から構成されています。物語は、主人公の一葉が『勤めていた書店が突然閉店することになった』ことで実家へと戻り、増殖した本の整理をするために、昨年亡くなった祖母の部屋へと入ったことから動き始めます。祖母の本棚に『連句』のノートを見つけ『連句は休めないんだよ。わたしは「ひとつばたご」のお菓子番だから』と言っていた祖母のことを思い出す一葉は、意を決して『ひとつばたご』の集まりへと参加します。そこで、『連句』の世界へと踏み入っていく一葉は、ある思いに至ります。
『祖母はここにいたんだ。わたしの祖母ではなく、治子さんとしてここにいる人たちと過ごした時間があったんだ』。
『連句』の世界に触れ、その深い魅力に囚われていく一葉は、自らも句を巻き、『捌き』の航人によってその幾つかが選ばれてもいきます。物語は、そうして出来上がっていく『連句』で魅せていく物語が中心にある一方で、失業者の身である一葉が自らの生き方を模索していく姿が描かれていきます。そんな中に蘇る祖母の言葉。
『ねえ、一葉、別に一等賞にこだわらなくたっていいんじゃない?』、『一葉には一葉の良さがあるんだから、それでいいとおばあちゃんは思うなあ』
物語は、祖母のそんな言葉を振り返る一葉の姿も見せながら、かつて書店で好評を博していた一葉の『ポップ』が一つの起点を作り出していきます。人と人が『連句』で『和菓子』で、そして『ポップ』で繋がっていく物語。この作品は上記した通り、さまざまな分野の知識がとめどなく溢れ出す点がとても魅力の作品です。しかし、それ以上に印象に残るのが、人と人との繋がりという点です。5冊までシリーズ化もされているこの作品。この先どんな世界を、どんな繋がりを見せてくれるのだろう?2冊目を読むのがとても楽しみになる結末に、作品世界の魅力にどっぷり没入できた満足感を胸に本を置きました。
『句と句のあいだに集った人の想いがにじんでいる。これが連句の楽しみなのかもしれないな』。
祖母の残したノートをきっかけに『連句』の集まりに参加するようになった主人公の一葉。この作品では、そんな一葉が『連句』の世界に魅せられていく一方で、自らのあらたな人生に踏み出していく姿が描かれていました。『連句』の世界の奥深さにすっかり魅せられるこの作品。まさかの”食”の魅力にも溢れるこの作品。
小説を読むことで、自分の世界がどんどん広がっていく喜び、改めて小説を読む意義を感じた素晴らしい作品でした。
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言葉の奥深さを感じる作品。
連句、やってみたくなる。俳句や短歌に比べ、決まり事が多い印象。複数人での質の高い言葉遊び。
言葉の使い方が、一人一人の思考や生き方に直結しているのかもしれない。
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書店員をやめて、祖母が通っていた連句の会に通い始め、連句の会とPOP作りを通じて世界を広げていく話。俳句とは違い皆と作り上げる連句の世界。美しい言葉を読みたい人に。
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連句の存在を初めて知った。
主人公は、亡くなった祖母が参加していた連句に参加し、自分も句を作るようになっていく。周りの人が作った句から発想を得たり、思い出が蘇ったりする。
周囲との距離感がとても心地よい。
思い返せば、小さな頃から私は深く思考していない気がする。反射のように何かの事柄や発言に反応するが、じっくり向き合う時間は作ってこなかった。作文や作品も、いかにすれば「まあまあ」レベルの評価が得られるか、のほうが気になってしまったり。
物語に出てくる物を考える人に憧れる。
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この作品を読んで初めて連句の事を知りました。
ルールは難しそうだけど世代や性別が様々な人たちと作り上げ、出来上がっていく連句に言葉の美しさを覚えました。
そしてこの作品を手に取ったきっかけが書店のポップを見てだったのでやっぱりポップって重要だよなぁ…と。作中の月替わりのお菓子も美味しそうで、東京へ行った際は食してみたいものです。1冊目読み途中でしたがこれからの主人公や登場人物の行く末も楽しみに次のシリーズも読み進めたいです。
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祖母の好きだったことを受け継いで、自分も楽しめるって、ステキだな。
毎月のお菓子も美味しそうで、私も食べてみたい。
連句は初めて知ったけど、みんなで作り上げていく過程はとても楽しそうだと思った。
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何ヶ月にもわたって、ちまちま読み進めていた電子書籍。
好きな漫画で取り扱っていた連句の会に参加する話。改めて連句面白そう。連句会をオンラインで眺める会って世にはないんだろうか。
連句会を機に新しい交流やポップの仕事につながったりと、私の好きな要素が多く含まれていて、細切れになりながらも読んでいて穏やかな気持ちになれた。
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和菓子と連句というどちらも興味のある世界。和菓子は実在するお店なので行ってみたくなります。連句の世界も初めて知りましたがなんとも奥深く、人と人を結びつける素敵な文化だと思います。
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勤めていた書店が、閉店することになり実家に戻った「一葉」。本と本棚を入れるスペースが自室にはなかったため、生前祖母が使っていた部屋に置くことになった。
祖母の部屋で本を片付けているとき、祖母のことを思い出す。
「おばあちゃんはやさしかった。」
祖母が使っていた本棚を見ると、俳句の本が目に留まる「そういえば、祖母は俳句をよく作っていた。いや、俳句じゃない。連句だ。」
祖母は昔から毎月連句の集まりに通っていた。
「いつか、一葉も一緒に行かない?」
残念ながら日々の仕事に追われ行くことは叶わなかった。
体調を崩し、入院した祖母が「ここから戻れなかったら、本棚にあるノートを見てほしいの。」
そう言っていた祖母の言葉も思いだし、ノートを手に取ってみると、連句が綴られており1度位は一緒に行けば良かったなぁと思いを馳せる。
そのノートには、1枚のメモがはさまっており12ヶ月分のお菓子の名前と一葉へのメッセージが残されていた。
「私はお菓子番だったのよ」と笑って話していた祖母に代わり桜餅を持って、連句の会「ひとつばたご」に顔を出す一葉。そこで出会う人たちから、祖母「治子」の祖母ではない姿に触れることが出来た。
連句というものは難しく、理解出来ないことが多い一葉だったが、出会った人たちとの交流を通して祖母が語っていた言葉の意味や、思い出にふれていくことでかけがえのない体験をしていることに気付いていく。
一方で、書店時代に店内ポップを手掛けていた一葉は連句の会の女性から、知り合いのお店のポップを手掛けてみないか?と誘われる。その輪がつながり、一葉は自分に出来ること、向いていることはこういうことなのではないかと感じることが出来る。
未だ、仕事は見つからないが、少しずつ前を向いて歩いていっている自分に気付いていく…。
と、珍しくあらすじを書いてみたくなるような
丁寧なお話でした。
連句に出てくる季語や決まりごとなども難しかったけれど、全部理解出来なくてもいいんだと思えるような優しさや、ポップ作成パートで出てくるパン屋さんや道具屋さんの、作り手への敬意が溢れた丁寧な1冊だった。
題名で、読みたいなと思っていて本屋さんでシリーズものだと知ったので、続きが楽しみなシリーズがまた増えてしまったと嬉しくなりました。
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シリーズもの。
知っている土地が出てきて、嬉しくなりました。
次巻も読みながら、人と言葉を紡いでいく「連句」の魅力に触れていきたいと思います。
Posted by ブクログ
祖母が参加していた連句会に参加する一葉の話。連句というものを初めて知ったし、皆で仕上げていく面白さと奥深さ!分からない人と一緒にいて考える、という考えが素敵で取り入れていきたい。言葉を大切に紡いでいく連句って良いなぁ。
Posted by ブクログ
はじめましての作家さん。
でも、「活版印刷三日月堂」や「紙屋ふじさき記念館」などなどは書店で見かけたことはよくありました。そして、とうとうお菓子番という書名に惹かれて、シリーズものと分かっていましたが手に取りました。
主人公は豊田一葉。
勤めていた書店が閉店になった元書店員。
作品の主な舞台は一葉の祖母が通っていた連句の会「ひとつばたご」
登場人物は連句の会の人たちとその人たちの知人。
お菓子番というだけあってひと月に一回ある連句の会にお菓子を持っていきます。これらのお菓子は季節の和菓子が多くて、全く同じではないでしょうが知ってる物もあって嬉しく思いました。
また、連句というものを初めて知りました。
色々とルールがあるようですが、みんなで句を考えるシーンは面白かったです。
Posted by ブクログ
勤めている書店が閉店した一葉は祖母の手紙に導かれて連句の会ひとつばたごに入会する。
一葉はポップやリーフレットを作成をお仕事にするのかな。とんとん拍子に3件お仕事が繋がったけどこれで生活はなかなか大変だと思うからなにか強みがあるといいけど。出てくるお菓子がどれも美味しそうなんだけど、今回一番心惹かれたのは食器の応量器。食器てあれこれ買っちゃうけど結局使うのはいつも同もの。人生最後は応量器だけでいいのでは、と思った。
Posted by ブクログ
ほしおさなえさんの作品はどれも優しい雰囲気で包まれてる。言葉が柔らかい。
優しいながらも背中をしっかり押してくれるような前向きさがあって好き。
連句というのも初めて知った。
Posted by ブクログ
勤めていた書店が閉店してしまい、職を失った一葉。実家に帰り、亡くなった祖母の連句のノートを見たことがきっかけで、連句の会に参加するようになる。
タイトルから連想するよりもお菓子要素が少なくて、ちょっと肩透かしではあった。話の柱は、連句。私は文章を書くのは好きだけど、短歌や俳句は無理かな〜と思っているので、初心者の一葉といっしょにいろいろ覚えていく。いや、覚えていないけど、こんな世界なんだな〜と朧げに感じながら読み進んでいく。なんとなく、連句の世界を堪能できた気がした。
もう一つの柱は、一葉のゆるやかな成長。話の中で就職はできなかったけど、書店員時代に手がけていたポップが縁で人脈が広がっていく。そして連句の会では、さまざまな年齢、職業の人との交流で世界が広がっていく。きっかけを作ってくれた祖母がすでに亡くなっている現実に、少ししんみりしてしまうこともあるけど、気持ちが前向きになって、顔を上げて歩んでいける、そんな感じで話は終わる。
続編ありそうな終わり方だったので、シリーズ化するのかな??だったら、楽しみ。
Posted by ブクログ
連句を巻いてる皆さん、本当に楽しそうです。趣味を始めるなら、一人じゃなく、他の人と創るものがいいな、と思えるお話でした。とっても楽しく読みました。
この本には、色々な要素が盛り込まれています。素敵な方々、食べ物や雑貨たちが登場します。まるでスイーツ盛り合わせのセット?みたいな、いろんな視点で楽しめる作品でした。
主役は、なんといっても「連句」ですね。句を詠むだけだと思っていた「連句」が、座のチーム力で「森羅万象」を詠む、「様式」の世界だったとは、驚きました。
そして次が、すでに亡くなった方々、特に主人公の一葉(かずは)さんのおばあ様の治子さんが印象的でした。孫娘にも連句を勧めた治子さん、一緒に連句はできなかったのですが、プランBは成功です。連句には人を救う力があるんでしょうね、治子さんはその経験から、孫娘の幸せを願い、連句を勧められたんでしょう。
治子さん、「朝ドラ」だったら絶対にナレーション担当ですね。
最後は、自称お菓子番の治子さんが選んだ和菓子たち、ネットで写真を見ながら読みました。おいしそうです。
それから、パン屋さんの「パンとバイオリン」さんのパンたち。グルテンとか気にせず、おなかいっぱい食べたかったです。
一葉さんが、元気を取り戻してきて、心配していたお母さんも嬉しそうでした。続編では、さらに元気になって、パワーをもらえることを楽しみにしています。
Posted by ブクログ
装丁が綺麗だったので選んだ本。
1ページ目を読んで買うことに決めた。
でも、読み進めていったら想像していた話とは違っていて…
「連句」初めて聞いた言葉。
この本を読んでもルールとか作り方とか全然わからない。
繋がりも。
でも美しい言葉が並んでいたり、美味しそうなおやつが出てきたり、いろいろ楽しめるものがありました。
仕事がなくなった一葉。
でも人との繋がりから仕事が来るようになって…
人は自分のために、自分は人のために、何か役に立っているんだなと教えてくれた。
人との出会いは大事。
私も出会いを大切にしていこうと思います。
この先のおやつも気になるし、一葉がどうなっていくのかも知りたい。
続編を読んでみようかな。
Posted by ブクログ
連句って難しい・・って思って読み始めたが、やはり言葉に想いが込められていることに間違いはなく、一気に読み切ってしまった。みんな適度な距離感ってのがいいですね。
Posted by ブクログ
途中まで、仕事もお菓子も俳句も方向性がばらばらでいそがしいよ〜と思ったけど、人生はきほんいそがしいよなと思い直した 登場人物みんなやさしくてよかった
Posted by ブクログ
ほしおさんのちょっと前のシリーズ。これまで読んできた川越の話と共通するような優しさがこのシリーズにもある。連句はさっぱり分からないけど、読んでて感じがいい。とても私にできるとは思えないけどね
Posted by ブクログ
とてもきれいな装丁に引かれ、さらにお菓子ときたら読むしかないっ!と思い手にとったが、あまり馴染みのない連句というのが物語の根幹で少し難しそうと思った。
しかし読みやすく連句の世界をじっくり知ることができた。言葉の表しかたって沢山あるのだな。
シリーズ物と知り、連句を通じてポップのお仕事も軌道に乗る一葉さんの今後と会のみんなとの関わりがどうなるのか気になる。
登場するお菓子や土地は知っている所ばかりでさっそく言問団子を購入した。今は反対車線の歩道にある桜と梅が咲き始めていてお花見にはぴったり。少し歩いたら長命寺のお店も草餅のお店もあり、あの辺りはいわば甘味ロードだ。
桃林堂さんなんて、昨年前を通った時に気になっていたお店だ。こんどまた行ってみよう…
あんみつ羊かんだけは知らなかったので、食べたいリストに追加。
後半本編そっちのけでグルメリサーチに使っていて申し訳ない…。
Posted by ブクログ
連句というものをはじめて知りました。
勤めていた書店の閉店により無職になってしまった一葉。亡き祖母の遺言から、通い始めることになる連句の会「ひとつばたご」での人との出会いや連句との出会いで広がっていく一葉の世界。
心温まるお話でした。
Posted by ブクログ
連句やってみたいけど、その前に毎回遠いところでも負担と感じずにお菓子を届けてる主人公すごい。
私はなんでこんなに今時間に追われてるんだろうな、とひたすら思いつつ、連句かぁ〜いいなぁと思った。時間に追われるというより時間の捌き方だよね。
Posted by ブクログ
この作者さん、「三日月堂」「月光荘」「紙屋ふじさき」「ものだま探偵団」と読んできて、また別のシリーズに行ってみる。
今回の題材は「連句」。
勤めていた書店の閉店で職を失い実家に戻った一葉が、亡き祖母の遺品から連句のノートを見つける。亡き祖母のことを知らせに連句の席を訪れた一葉は、メンバーに迎え入れられ連句に参加することになる、という出だし。
なつかしき春の香の菓子並びけり
のどかに集う言の葉の園
連句とは全く知らなかった世界だが、最初の句からしてほんのり良かった。
次々と出て来る連句のルールがさっぱり頭に入らないのは困ったものだが、それでもなかなか興味深くはある。
『連句を続けていると月と花は別格に思えてくる。月がいつも空にあるのがいいんです』『月は満ち欠けがあるから月単位の時間を感じられるし、花はやっぱり生きているからかな』なんてとてもよく分かるが、年を取ればこそか。
連句以外にも、おいしそうな季節のお菓子や東京の色々な町の風情が描かれ、パンや苔や雑貨の話になったり、それらのお店を流行らすためのポップづくりの話になったり、飽きずに読める。
更には、連句のメンバーの年齢・性別・職業などが異なる人たちが、雑談の中では恋や男女の機微について語ったり、世俗的な句に飛んでみたり、そのあたりは森羅万象を描く連句の楽しみ方に似て、ここもまた面白く読めた。