あらすじ
見えないけれど、どこにでもいる
植物の妖怪とも称されるウツログサ。
多くは無害だが人についたものは宿主の欲望を読んで成長することもある。
幼いころから傍にある穴。誰にも言えず自分だけが見えることに
怖さを感じて――(「アナホコリ」)。
ニュータウンのひかり台でウツログサを祓う男と、
それに囚われた人々の心のうちをあざやかに描く。
『活版印刷三日月堂』の著者によるリアルで不思議な物語。文庫オリジナル。
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植物の妖怪、と呼ばれるウツログサにつかれた人々の物語。
しっとりとした、現代の民話のようでした。
幸せとは何か。
その人にとっての希望は何か。
それぞれのお話の主人公は、物語の終わりに何を選ぶのか。
余韻の残る物語でした。
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ウツログサという植物の妖怪みたいなものとそれが見えてしまったり、憑かれてしまった人とそれを祓う笹目との不思議なお話。
わたしはこういう世界観大好きで、短編になっているので、読みやすく、それぞれの人達のウツログサとの出会いがあって面白かったです。
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めもめも
例えば自分の嫌いなところ、見た目や性格も含めて
そういうのひっくるめて今まで自分と一番長く
付き合ってきたのは自分であり自分が一番よくわかっていて
一周回ってかわいい…
とはならんな
んーなんだろう違うな
自分でもほとほと嫌になる自分の性格の一部
やめたほうがいいと思うけどなぜか手放したくなく大事に思うもの
しんどいけど付き合っていきたいと思うもの
かな?
どことなくほの暗くて
その暗さがリアル
全部救われないってとこも
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ウツログサという、人には見ることの出来ない、草の妖怪のようなクサたち
アナホコリ、オモイグサ、ツヅリグサ
ウリフネ、ヒカリワタ
それを祓えるという祓い師 笹目
憑かれた人が笹目の近くにやってくる
そんなクサに憑かれたらどう感じるのだろう、祓ってほしい??
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『植物の妖怪とも称されるウツログサ。多くは無害だが人についたものは宿主の欲望を読んで成長することもある』
生まれながらに隣に穴がついてまわっていた「アナホコリ」
恋すると爪から芽が出て成長する「オモイグサ」
文字が体に纏わりつき変化していく「ツヅリグサ」
村人みなが瓢箪を背負っている「ウリフネ」
空に浮かんでいる透明な綿菓子のような「ヒカリワタ」
憑いている人、あるいは一部の人にしか見えないウツログサ。すっかり取り憑かれている人もいれば、そこにいるのが当たり前すぎて違和感を感じていない人も。
皆、見えない人たちとの疎外感や違和感を感じつつも困り果てているという感じはない。
だが様々なウツログサが見え、祓うことが出来るという年齢不詳の男・笹目と出会うことで決断の時が来る。
笹目は決して祓うことを強制しない。
本人が困っていないなら祓う必要はないという。
長年寄り添ってきたウツログサとの別れを決断する人、ともに生きることを選ぶ人、ついに取り込まれた人、その結末は様々。
妖怪と聞くと悪いイメージしかないが、中にはその存在に救われた人もいるし新たな一歩を踏み出そうとする人もいる。
笹目の一歩も二歩も引いた立ち位置や、それぞれの物語が淡々と語られているところなど、なかなか新鮮なファンタジーだった。
ほしおさんは「菓子屋横丁」シリーズしか読んだことがないが、こういう作品もあるのかという発見ができて良かった。
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目には見えぬが、まわりには「ウツログサ」と呼ばれる植物のような妖怪のようなものがいるという
多くは害はないが、人の欲望を読んで成長することもある
そんなウツログサを見ることができ、必要ならば祓うこともできるのが祓い師笹目という正体不明の男
それぞれ違うウツログサの話が5篇載っているが、中でも「ウリフネ」は折口信夫の民俗学の本からの引用もあり印象深い話だった。
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植物の妖怪のようなウツログサ。それが見える祓い師笹目が説きおこしてくれる不思議な現象を扱った短編集5篇。分からなければ怖いような気もするが、共存もできる存在で後を引く面白さがあって良かった。
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植物の妖怪、ウツログサを祓う笹目とウツログサを宿す人達の物語。ほしお先生のこれまでの作品とは違った雰囲気の物語で新鮮だった。ウツログサを祓う選択をする人もいれば祓わない人もいて、その選択の先にもどこか寂しさがある余韻の残るお話だった。これもシリーズ化して欲しい。
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植物やキノコやカビに近い、植物の妖怪のような、この世の理とは別のところで存在するもの、ウツログサ。
意思も何もないはずなのに、欲望のようなものを察して、宿主が喜ぶことをする。
これがまぁ、切ない。
5話の編成なのだけれど、ひとつひとつのおはなしに、1人の人生のうちの多くの年月が記されていて、そこにウツログサがどう関わっていたのか、それが物語の軸になっているから、ウツログサの存在が良くないものだと思っていても、いざ払うとなると迷いが出てしまう。
ずっと一緒に生きてきた、体の一部のようなものになってしまうんだなぁと、こちらまで切なくなる。
例えるなら蟲師のような。と、語彙力の乏しさを誤魔化すためにこの本の雰囲気を伝えるのなら、これが1番わかりやすいかもしれない。蟲師がわかる方になら。
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祓うひとにもわからないウツログサというあやかしのような不思議なものが見える人たちの話。
ウツログサとの付き合い方や考え方がみんな違うので、祓う祓わないも人それぞれ。
ウツログサに取り込まれたあとどうなるのか宇宙くらい怖いですが、気になりますね。
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続編のほうを購入してからこちらを購入。たまたま続編のほうを書店で見つけて購入したのですがその書店には1冊目がなく別の書店でこちらを購入しました。
以前は本はいつでも買える、手放してもいつでも買いなおせるって思っていたけどそうじゃないんだと遅まきながら気づいてから読みたい本を見つけた時は買うようにしてます
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この作者さんにしては珍しく、ちょっとダークな感じの作品。人には見えない、人の憑く植物を祓う仕事についている笹目という不思議な男。ウツログサのせいなのか、そういう人にウツログサが憑くのか、何話かは切ない気持ちになる。わたし的には「ウリフネ」の話が良かった。続きがあるようだから読みたい。笹目の行く末も気になる。
Posted by ブクログ
【収録作品】
序章
アナホコリ
オモイグサ
ツヅリグサ
ウリフネ
ヒカリワタ
ウツログサという植物の妖怪のようなものvs祓い師、というようなバトルもの……ではない。
「アナホコリ」以下の各話は、ウツログサに憑かれた人たちの視点で語られる。笹目との出会いで自分に憑いているものの正体を知った「わたし」たちは、それぞれ異なる決断を下す。
淡々とした語り口の、体温の低い物語。希望とも絶望ともちがう、ただ生きることが語られているように感じた。
Posted by ブクログ
蟲師の世界。文庫オリジナル作品なので、シリーズ化するのかな?序章のわたしの話がないので、続くような気もする。メインが蟲師よりは宿主の人間たちに寄っているように思う。