ほしおさなえのレビュー一覧
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シリーズ6作目
積読していたので、5作目から続けて読むことが出来た。
祖母を引き継いでお菓子を持って参加した連句会に足を運ぶのも2年以上の月日が経った主人公「一葉」。
他の会との交流を通して「大輔」さんと出会う。
坂道の写真が好きという共通点を持った大輔さんと一葉の父親が、写真を撮りに行ったり雑誌を出したりと
新たな動きを見せる場面には、娘を通して青春を再び動かし始め、1つの思い出の着地点を作った父親の姿が素敵だった。
一方で、連句会のメンバーや、他の会に参加する人たちと比べて、自分は何者なのか。何者にもなれない、何者かになろうともしてこなかったのではないかと悩む一葉には「それでいい。考えるだけでも立派。大丈夫よ。」とエールを送った。
最終章「梅の咲く庭」では
梅を見ながら「梅はほこほこするよね、丸くてあったかくて...」という言葉が出てきた。
桜よりも梅好きな私としては、そうか!こう表現したら伝わるのか!と膝を打った。
まだまだ師走を迎えるような季節だけど、来年の梅を見るときには、私もほこほこしようと決めた。
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第一話チケットと昆布巻
主人公の竹野がなかなかとして捻くれている。
自分の仕事に満足出来ていなくて、試行錯誤中なのだと思うけど…。
でも、弓子さんの活版印刷への姿勢を見て、自分自身の仕事への向き合い方を学んでいく。
古い物の良さって何なんだろう。
私自身もわかってないなあ。
第二話カナコの歌
弓子さんのお母さんのカナコさんの物語。
カナコさんは透明感、清潔感があるとても素敵な人だ。
突然の病気で戸惑いや恐怖、残される弓子さんのこと、たくさんの思いがあったことであろう。
そして、周りの友人にも、もちろん生活があるんだけど…
友人の裕美にはもう少しカナコに寄り添って欲しかったなあ。
きっとその頃は皆が若くて未熟だったんだよね。今からでも遅くない。
周りに目を向けて欲しいなあ。
第三話庭のアルバム
主人公の高校生の楓の気持ち、よくわかる。
その楓とその作品をしっかりと見つめてくれる弓子さん。
気難しい性格のおばあさんが孫の楓の気持ちに寄り添ってくれるのも嬉しかった。
生活にキラメキ☆が出来てよかったね、楓ちゃん!
私も嬉しくなった。
弓子さん、ありがとう。
第四 話川の合流する場所で
ゆうせいと弓子。
似た空気をまとう二人。
上手く行きそう。
次巻で二人の関係が発展していることを祈ります。
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かつて織物で栄えた東京・八王子が舞台の作品
着物屋の養女、息子として幼い頃から着物に触れてきた琴子と柿彦がリユース着物を取り扱う店を出すことになる。
琴子には着物に触れるとその着物が宿す記憶を見ることができる体質を持つ。
日々たくさんの着物を査定する中で出会ったのは戦時中に着られていたであろう〝銘仙〟。
昔は普段着として着られていた着物。特に戦時中に着られていたその着物にはどんな記憶が、想いが宿っているのかを探る物語。
今は着物が身近な存在ではないけど、だからこそ特別なものとして、日本の古き良き伝統として丁寧に繊細に物語が描かれていた
〝衣は人を包む。包んで守る。そのために作られている。だから持ち主の見たものをそのまま染み込ませ、包み、守ろうとする。人に着られなくなっても。〟
綺麗なものを身に纏っていても抱えた想いが着た数の分だけ宿ってる。
とても素敵なストーリー設定でした。 -
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「言葉の園のお菓子番」の5冊目。
前巻で知り合った「きりん座」のメンバーを「ひとつばたご」に招いたり逆に「きりん座」の定例会に参加したりで、一葉を取り巻く世界はまた広がりを見せる。新たな人とのつながり、そこから思い起こされる過去の記憶、触発される歌心…。
様々な年代が集まる「ひとつばたご」と若い世代が中心の「きりん座」の対比が面白く、「きりん座」で出している同人誌からつながった文芸マーケット(文学フリマみたいなイベント)にも惹かれる。
学生の頃に写真をやっていたという一葉の父の応募した写真が入選した時のエピソードにもほのぼのとする。
すぐ前の句とは異なる情景を詠みながら、前の句に込められた思いを際立たせるとともに続く句への飛躍をも感じさせる、そうした連句の面白味を感じさせられた二例。
夕暮れの花の舞い散る階段に
あたたかな日の父の思い出
はじめての線を一本引いて夏
まぶしき空に立ち上がる虹 -
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〔Ⅰ〕記念館再起動準備の巻、とはいえ全体がエピローグという感じでもあり、駆け足的ではあるけれどめでたく始まりを迎える。
〔Ⅱ〕コロナ禍は少しずつ終息に向かっているようではある/第一巻からいずれ移転しそうな気がしていた川越で新たに出発する記念館の建物を改修してくれるのは月光荘も手がけた真山さん/新人だけのプロジェクトチームのメンバーは百花、松岡、本宮、烏丸/紙こもの市も再開/ビジネスの場でも使える「ベーシックライン」としてまず懐紙/百花の父の『東京散歩』再刊予定。同時に未刊行エッセイ書籍化の話が出てき、そちらの発行は道草書房、印刷は三日月堂/月光荘の名前もちょっと出てくる。近いうちに守人くんとも出会うでしょう。
〔Ⅲ〕記念館を活性化させたのも、一成さんを本気にさせたのも、父の本を再刊させるきっかけを作ったのも百花さんと言える。本人が考えているよりずっと大きな影響力を持っているかもしれない彼女はこれから何をしでかしてくれるでしょう?