あらすじ
編集者の母と二人暮らしの百花はある日、叔母に誘われた「紙こもの市」で紙雑貨の世界に魅了される。会場で紹介されたイケメンだが仏頂面の一成が、老舗企業「紙屋ふじさき」の親族でその記念館の館長と知るが、全くそりが合わない。しかし百花が作ったカードや紙小箱を一成の祖母薫子が気に入り、誘われて記念館のバイトをすることに。始めはそっけなかった一成との関係も、ある出来事で変わっていく。可愛くて優しい「紙雑貨」に、心もいやされる物語。
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あなたは、『紙が好き』でしょうか?
昨今、さまざまな場面から『紙』が消えつつあります。一年のはじまり、お正月の風物詩とも言われた年賀状もピークとされる2003年に比べて三分の一にまで減少したことがニュースとなりました。職場でも『紙』を減らすことが求められ、日常生活でも現金を持ち歩かなくなった人も珍しくはないでしょう。このまま時代が進むと、『紙』って博物館に展示されているあれのこと?と子供に質問される…そんな未来もありそうなくらいに『紙』は私たちの周りから減りつつあります。
しかし、その一方で『紙』そのものが持つ魅力が消えたわけではありません。
『たしかにわたしは紙に目がない。文具店や紙ものの置かれた雑貨店にはいると出てこなくなるタイプ』。
このレビューを読んでくださっているみなさんの中にもそれ、私のこと!と頷く方もいらっしゃると思います。そうです。『紙』というものは時代の流れの中でなくなっていくのではなくて、その魅力が形を変えて続いていく、可能性に満ち溢れたものでもあるのだと思います。
さてここに、『紙が好き』という一人の女子大生が主人公となる物語があります。『紙ってどうしてこんなに魅力的なんだろう』と『紙』の魅力に囚われた女性の思いに寄り添うこの作品。そんな女性が『紙』の魅力を伝える側にまわってもいくこの作品。そしてそれは、『紙屋ふじさき記念館』という場を通じて、『紙』の素晴らしさを読者も再認識させられる物語です。
『今度、紙小物のイベントがあるの。仕事でお世話になってる人が出店するみたいで、案内をもらったんだけど、いっしょに行かない?』と叔母の紫乃から誘いを受けたのは主人公の吉野百花(よしの ももか)。『紙小物のイベント?なんだろう、と思って』差し出された『リーフレット』に目を落とし、『「東京紙こもの市」と書かれている』表紙を見る百花。『なかを開くと、レターセットにポストカード、ポチ袋…』と『おしゃれな品々の写真がなら』んでいるのを見る百花は『これは…かわいい』と『思わずごくりと唾を呑』みます。『そもそもこれ、どんなイベントなの?どういう人が出店しているの?』等湧き上がる疑問を叔母にぶつけていく百花。そんな百花に一つひとつ丁寧に答えてくれる叔母は『どう?いっしょに行かない?』と誘ってくれます。『予定はないし、もちろん行きたい。だが…先立つものがない』と思う百花は、『実は…お金が…』と正直に告白します。『わたしの荷物持ちをしてくれたら、少しバイト代出すよ』と言う叔母に『またそうやって…』と母が牽制するものの話はまとまりました。『ところで、紫乃の知り合いってなんのお店を出してるの?』と訊く母に『和紙の店。お店で使う包装紙とか箱とか、ショップカードとか、だいたいそこの人に世話してもらってるんだ』と説明する叔母は『ちょっと浮き世離れしてるけど、紙を見る目だけはたしかなんだよね』と話します。
場面は変わり、『入場を待つ人々の長蛇の列』という会場にやってきた百花は、『想像以上に宝の山だ。どのブースにもかわいいものがあふれていて、頭がくらくらし』ます。『活版印刷の多色刷りのうつくしいカード、レトロな模様があしらわれた包装紙…』という品々を見て、『きれい、素敵、かわいいばかり連発』し、『かわいすぎて、もうどうしたらいいかわからない』と言う叔母に『叔母さん、落ち着こうよ』となだめる百花。取り敢えず『おのおの別々に場内一周』、『そのあいだは買わない。見て、目星をつけるだけ』と約束して叔母と別行動に移ります。
再度場面は変わり、『紙ってどうしてこんなに魅力的なんだろう』と、思いつつ場内をめぐる百花は、『すぐ破れそうだし、水にも弱いし、なんというか、儚い。だからだろうか。いくらきれいなものを手に入れても、結局使えない。いつか使う日を夢見て、そっと引き出しに取っておく』と『紙』のことを思う中、『小学生のときに』『事故で他界』した作家だった父親からもらった『束見本』のことを思い出します。『本を印刷製本する前に、実際の本と同じ紙で作られる見本』のことをいう『束見本』。約束の時間になり、叔母と合流した百花は、ランチを共にし、『叔母といっしょにもう一度会場』へと戻り、『ヨーロッパの包装紙』、『ごわごわとした手漉きの紙のマット』などを手に入れました。同様に気に入ったものを手に入れ、『満足そうににこにこ笑』う叔母は『じゃあ、帰ろうか』と声をかけてきます。それに、『叔母さん、なんか知り合いのブースに行くって言ってなかったっけ?』と訊きます。それに、『あ、いけない。忘れてた。そうだ、一成くんのとこに行くんだった』と思い出した叔母は、『よかった、帰る前に気づいて』と『マイペース』に答えます。そして、『リーフレットの地図』を開いて『和紙だから、和紙関連のブースが集まってるあたりだと思うんだけど…』と言う叔母と場所を確認して歩き始めた百花。やがて、『ああ、ここ、ここ』と叔母は足を止めますが、『そのブースの前だけ、人気が』ありません。『なんだか素っ気ない。店の人の姿もない』という中に、『紙屋ふじさき』というブース名を見る百花は、『奥の方の椅子に男の人がひとりで座って、本を読んでいる』のを目撃します。『一成くーん』と『叔母が声をかけると、男の人はやっとこちらに気づ』くと『にこりともしないで』『こちらにやって来』ます。『イベント、すごい盛況ね…』と声をかける叔母に『うちはご覧の通り、ヒマそのものですけど』と『無表情でそう続ける』男の人を見て『うーん、苦手だ、こういうタイプ』と思う百花。『ほんと、ヒマそうね』と『まったく臆さず、笑いながら言う』叔母に『どうしたらいいかわからず、机のうえに広がっている紙に目を落とした』百花は、『え?なに、これ。きれい』と、『思わず声が出そうにな』ります。『真っ白い薄い和紙かと思っていたが、穴がたくさん空いている』、『これ、紙なんだ』と、思う百花ですが、『破けてしまいそうで、手』を出すことができません。『あ、そうだった。一成くん、こちらは百花、わたしの姪。で、こちらは藤崎一成くん』と紹介してくれる叔母に、『吉野…百花です』と『緊張しながら頭をさげる』百花。そんな百花が、一成が館長を務める『紙屋ふじさき記念館』でアルバイトを始める先に『和紙』の魅力にどっぷりとハマっていく物語が描かれていきます。
“編集者の母と二人暮らしの百花はある日、叔母に誘われた「紙こもの市」で紙雑貨の世界に魅了される。会場で紹介されたイケメンだが仏頂面の一成が、老舗企業「紙屋ふじさき」の親族でその記念館の館長と知るが、全くそりが合わない。しかし百花が作ったカードや紙小箱を一成の祖母薫子が気に入り、誘われて記念館のバイトをすることに。始めはそっけなかった一成との関係も、ある出来事で変わっていく。可愛くて優しい「紙雑貨」に、心もいやされる物語”と内容紹介にうたわれるこの作品。幾つものシリーズを展開されていらっしゃるほしおさなえさん。そんなほしおさんが2020年からスタート、このレビュー執筆時点で第7作まで刊行されているのが「紙屋ふじさき記念館」シリーズです。そんなシリーズの記念すべき第1作となるこの作品では、この作品の中心となる『紙』の魅力はもちろんのこと主要登場人物となる吉野百花と藤崎一成の出会いが描かれていきます。
そんな物語では『紙』だけではなく、『紙屋ふじさき記念館』のある『日本橋』の街も描かれています。今までに1,000冊以上の小説ばかりを読んできて私ですが、『日本橋』が描かれた作品は記憶にありません。ということでまずはこの『日本橋』の描写から見てみましょう。百花たち大学生による『日本橋ツアー』の様子です。
『まずは三越前に集合し、日本銀行本店にある貨幣博物館へ。三井本館や三越の建物を見たあと、向かいのコレド室町と広場にある福徳神社を見て、良さそうな店で昼食』。
大学生たちの一日『日本橋』ツアーが描かれていきますが、これがなかなか楽しいです。
『予定通り貨幣博物館へ。日本銀行の施設だからだろうか、入口の警備がやたら厳重で、大きな荷物はロッカーに預けなければならない。古代、中世、近世、現代、それぞれの貨幣の実物が展示されている』。
『貨幣博物館』は行ったことがないです。そうか、『日本銀行本店』があるからこそなんですね。昨今、現金を持ち歩くこと自体少なくなってきた私ですが、こちはは是非行ってみたいです。
『博物館のあとは三井本館へ。重厚な石造りで、ヨーロッパの建物みたいだ』。
『これが財閥の富なんですかね』
『まさに歴史的建造物だな』
面々の素直な感想だけでなく、物語には、『占領中はGHQによってビルの一部が接収…』といった豆知識も記されていきます。まさしく都心にある観光地めぐりといった面持ちでしょうか。物語は、
『日本橋の近くの東京市道路元標と日本国道路元標を見た…欄干のうえの獅子や翼のある麒麟の像をながめながら日本橋を渡る』。
そんな風に首都高の地下化で再び脚光を浴びつつある『日本橋』へと歩みを進めていく様子が描かれていきます。思った以上に興味深い風景が描かれていく様子は間違いなくこの作品の魅力の一つだと思います。
さて、そんな『日本橋』の一つのビルの中にあるのがこの作品の書名にも冠され、またこの作品の主要な舞台となる『紙屋ふじさき記念館』です。まずはそれがどんなところかを見ておきましょう。
● 『紙屋ふじさき記念館』ってどんなところ?
・『館長』は、『藤崎産業の前社長の妻、藤崎薫子さん』の孫の藤崎一成
・『和紙専門だった』『江戸期創業の紙の店』『紙屋ふじさき』は『明治にはいって洋紙も扱うようにな』り、『戦後は株式会社藤崎産業と名前を変え』『大手企業』となった。『日本橋にはかつて本社だった四階だての古いビルが残って』おり、そこに居を構える
・『創業当時からの資料を集めた記念館』で『入場は無料』
・『「紙屋ふじさき記念館」という文字が彫られ』た『銀色のどっしりとした立て看板』があるが、一成が『面倒』という理由で出していない
・『入口の横の壁際には引き出し式の木の棚が置かれ、右と奥の壁にはガラスケースがならんでいた。ケースにはいろいろな紙や古文書のようなものが展示されている』
・一成『ひとりしかいない』記念館
・『どう見ても流行ってない』
はい、おおよそのイメージがお分かりいただけたかと思います。物語では、そんな『紙屋ふじさき記念館』が一つの舞台となりますが、それに関連して『紙』についても多方面から光が当てられていきます。もちろん、『紙』のそもそも論も説明されていきます。
『紙は木の繊維から作る。それは知ってるよね』、『木の皮を剝がして、煮熟して、アクを抜いて、塵を取って、繊維をほぐすために打解して、漉く。皮を剝がすのも、煮熟も、塵取りも、打解も全部人が手で行ってるわけだからね、当然全部微妙にちがうよ。漉き方もね』。
百花に『和紙』が出来上がるまでの一連の行程を説明する一成、という場面ですが、物語では『記念館』の展示物を上手く活用しながらわかりやすく進んでいきます。
『これが紙漉きに使う水槽だ。舟と呼ばれている』、『打解した繊維を水に溶かし、この舟いっぱいに入れる。そこに簀桁を入れる』。
そんな風に『紙』のまさしくイロハのイが語られる一方で、『紙に螺鈿細工をするってできるのかな?』という百花の疑問から展開していく話など、『紙』のさまざまな魅力に触れられていくだけでなく、
『オリジナルデザインのマスキングテープや付箋、ポチ袋に小箱。文具に似せたミニチュアグッズ。かわいい。ほしい』。
そんな風に『紙』をこよなく愛する百花の心の内など、物語は、全編を通して『紙』、『紙』、『紙』に満ち溢れています。
3つの短編が連作短編を構成するこの作品は、『紙が好き』という主人公の百花視点で終始展開していきます。
『紙ってどうしてこんなに魅力的なんだろう。すぐ破れそうだし、水にも弱いし、なんというか、儚い。だからだろうか。いくらきれいなものを手に入れても、結局使えない。いつか使う日を夢見て、そっと引き出しに取っておく』。
そんな風に語る百花は、叔母の紫乃に連れられ『東京紙こもの市』に出かけます。そして、そこで『紙屋ふじさき記念館』の館長でもある藤崎一成と出会ったことがきっかけで物語は大きく動き始めます。『どこを見ても人、人、人』という大盛況な盛り上がりを見せるイベントの中で、『そのブースの前だけ、人気がなかった』というブースの奥で一人本を読んでいるという摩訶不思議な存在感を示す一成。第一印象として『うーん、苦手だ、こういうタイプ。どう話したらいいのかわからなくなる』という思いを抱いて百花でしたが、あるきっかけもあり『紙屋ふじさき記念館』を訪れ、さらには横浜で来月開かれる『紙こもの市』を手伝う展開になります。
『やっぱり紙っていいなあ。小さくても、持っているとしあわせになる』。
物語は、『紙』と深く関わるようになる中で、自らの思いと向き合い、積極的に『紙屋ふじさき記念館』という場で自らができることにチャレンジしていく百花の姿が描かれていきます。
・『自分にできること。どんなことでも最初から完璧にできるわけがない』。
・『自分にできること。自信はない。でも、薫子さんはわたしにできることがあると言ってくれた』。
物語は、自分自身と向き合いながら一歩ずつ前に向かって歩みを進めていく百花と、そんな百花に刺激されて、少しずつ変化を見せていく一成の姿を描いていきます。物語は上記した通り『紙』の魅力全開に展開していきます。そして、そんな物語が描く結末、そこにはこの物語がシリーズ化されるのもさもありなんと思わせる『紙』の魅力がこの先も物語をぐんぐん牽引していくであろう極めて前向きな、清々しい物語が描かれていました。
『持ってるだけで紙はロマンよね。それはわかる』。
そんな風に思いをこめて語られる『紙』。そんな『紙』に多方向から光を当てていくこの作品には、普段何気なく手にしている『紙』が持つ素晴らしい魅力に気づかされる物語が描かれていました。『紙こもの市』に行ってみたくなるこの作品。これから始まる物語という印象の結末に、清々しい思いが湧き上がるこの作品。
『紙』を大切に思う人たちの熱い想いに感じ入る、素晴らしい作品でした。
Posted by ブクログ
初 ほしおさなえさん。素晴らしい。
和紙のこと、日本橋のこと、へえ!!なことばかり。
読んでいるとこちらまで優しい気持ちになれる。
このあと速攻で2冊購入しました。
Posted by ブクログ
昔ながらの紙「和紙」
その魅力を教えてくれる小説。
実際に紙こもの市があったら行きたいなぁ
私も散財してしまうこと間違いなし!
連続物だけど、3巻目から読んでしまい、主人公 百花がバイトすることになったきっかけや、紙こもの市に出店した品物を作るきっかけが知りたくって、1巻目を探して読みました。
2巻目の内容も、3巻目でなんとなーくわかるけど、やっぱり詳しく知りたい!
早く読みたいので、また探してこなくっちゃ!
Posted by ブクログ
ちょっと自分に自信のない百花が紙屋ふじさき記念館に出会い、アルバイトをすることになったお話。どの紙小物もステキすぎる。実物を見てみたい。百花のように器用だったら、いろんな紙を使って試したくなるかも。
Posted by ブクログ
第一話 麻の葉のカード
組子障子麻の葉 画像検索してみた。
美しい♡
第二話 貝殻の小箱
漆芸(しつげい) 螺鈿(らでん)
紙胎(したい) 紙の器に漆を塗る方法
乾漆(かんしつ) 布(麻布)に漆を塗る方法
デボス 裏面を凹ませる加工、空押し
エンボス 裏面を推しあげて浮かす加工
第三話 いろいろ紙ノート
日本橋髙島屋に居た象の髙子
動き出した紙屋ふじさき記念館のリニューアル
次巻が楽しみ
Posted by ブクログ
シリーズ一作目。日本橋にある「紙屋ふじさき記念館」が舞台。和紙のコーディネーターや記念館の館長でもある藤崎さんと、大学生の百花が主な登場人物。
「菓子屋横丁 月光荘」シリーズの木谷先生もちょこっと登場する。
記念館といいながら全く宣伝や案内・手入れ等をしていなかったものを、百花が拙いながらアイデアを出してイベントで売る商品を開発したり、友達の知恵も借りながらSNSで発信したり頑張る。紙に詳しく情熱がありながらも記念館に関してはやる気がなさそうだった藤崎さんも、百花の一生懸命さに乗せられだんだん変わっていく…という感じ。
文具好きがワクワク出来るストーリーでもある。竹尾のショールームとか、ゾクゾクするほど楽しかったなと思い出したり。
・紙は理論上の平面とは違う。乾燥して水分は抜けているな、もとは繊維が溶けた水(重なりあった森)でそれが圧縮されている。厚みがあり立体。
・紙は昔から強い力を宿すもの。文字は言葉を形にしたもので目に見えない重さがある、文字をのせる紙にはそれだけの力が宿っている
…というような言葉が印象に残った。
百貨店くらいしか行ったことがない日本橋を巡ってみたくなった。
就職したて時、そんなこと普段はしない父に、平日夜待ち合わせてその辺りの百貨店の特別そうなレストランに連れていってもらった。あれはどこだったんだろう?とずっと思っていたけれど、日本橋髙島屋の特別食堂だったかもしれない、とこの本を読んで思った。
Posted by ブクログ
百香は、叔母に誘われ「紙こもの市」へ行ってから紙の世界に魅了される。
そこから自分で紙を使ってカードを作る。
それがきっかけで、紙屋ふじさき記念館でバイトすることになる話。
紙好き、文具好きにはたまらない。
本屋にしろ文具店にしろ半日は潰せるのでわくわく感も半端ない。
物語は、人見知りする女子大生の百香と無愛想で頑固で偏屈な紙屋ふじさき記念館の館長との距離感も気になるところ。
いったい2人は上手く仕事していけるのだろうか…と気を揉みながらも楽しめる内容でもあり、和紙にも詳しくなれる。
紙はむかしから強い力を宿すもの。
文字は言葉を形にしたもの、目に見えない重さがある、文字をのせる紙にはそれだけの力が宿っている。
この言葉は、百香の亡き父が小説で書いていた。
確かにそうだと感じる。
なぜか、紙を触っていると安心するというのか、寛げるというのか。
とにかく紙が好きなのだと改めて思った。
最近、電子書籍にしようかと思っていたのだが、やはりまだまだ先になりそうだ。
Posted by ブクログ
ほしおさなえさんの、手仕事のシリーズ。今回は、和紙。
廃れていく和紙産業をなんとかしたいと願う、藤崎薫子が作った紙の博物館。そこで働く孫の一成は、和紙には殊の外思い入れを持っているが、何しろ愛想がないので接客には向いていない。定期的に開かれる「紙こもの展」でもブースは賑わう事がない。そこに紙小物の好きな百花が加わって・・・。
百花の発想を、形にしていく一成と、百花を支える大学のメンバーたち。和紙職人や、創作活動をする人たちの熱も伝わってきます。
手仕事というジャンルで描き続けるほしおさん、ご自身も活版印刷と和紙の紙小物を手掛けていらっしゃるようです。
好きなものを、形にする。それは文学でも同じなのかもしれません。
Posted by ブクログ
紙好きな女子大生が、イケメンだけど無愛想な上司がいる寂れた和紙の記念館でバイトをする話。
主人公のアイディアを基にした和紙を使ったこものが、認められて記念館を段々と盛り上げていく。
上手く行き過ぎな感じもしますが、何の取り柄もないと思っている主人公が、好きなものでやりたいことを少しずつ見つけていっている姿は、応援したくなります。
カバーは確かに電車の中で読むのは少し恥ずかしいですね。内容には合っているのですが。
Posted by ブクログ
活版印刷のほしおさんが、今度は和紙をとりあげる。
とはいえ、三日月堂のシリーズでも、細川紙のことがでていたから、和紙に光が当たるのも、自然な流れか?
主人公は吉野百花という大学生。
日本文学専攻で、小冊子研究会というサークルに入っている。
ちょっと内気なところがあるが、手先が器用で、紙を使った小物を作るアイディアも豊か。
その百花が、器ものを商う叔母、紫乃の導きで、製紙業を営む藤崎産業の記念館で働くことになる。
創業一族の館長一成は、若く、紙への情熱も人一倍だが、和紙で商売が成り立つ時代ではないとあきらめ、無気力になっている。
少し偏屈な一成が、百花の懸命さにふれて変わっていく、という筋書きはまあ、安心感のある展開。
続巻もあるようなので、今後、どんな和紙の世界が繰り広げられるか、楽しみ。
紙屋ふじさきをSNSでPRする件も面白かった。
しかしこれは、サザエさんとは異なり、年を取らない小説ではなさそう。
百花は大学二年生。
就活で苦戦する先輩の様子が描かれるように、百花にもやがて立場の変化は訪れるだろう。
大河シリーズにはならない気がする。
Posted by ブクログ
ほしおさんって手仕事そのものを創る人じゃなくて
それを文字にする人なんだな
既刊の本を見てそう感じた
取材するだけじゃ無くてどう表現するかっていうのも重要ですね
さて今回のテーマは和紙です!
今立と名塩を訪ねたことがあるので興味のあるジャンルです(^^)
続けて続刊の「物語ペーパー」
大学生のサークルの様子とか新商品開発とか
現実的では無いけどワクワクするストーリーです
それでも美濃和紙の章では現実に旅に出られそうな(^^)
この本を貸してくれたMZTさんも行きたいって!
ちょうどNHKのせかほしで特集していたらしいです
伝統工芸を現代につなぐのは素晴らしいです!
後半は三日月堂の流れを感じるストーリー
ほしおさんは、最近お父さんを亡くされたとの事
故人の思い出が感じられてじんわりきますね
Posted by ブクログ
「活版印刷」シリーズの作者が描く「和紙」をテーマにした新シリーズ。
大学2年生の百花は、陶器のお店を営む叔母の紫乃に連れられて、「紙こもの市」を訪れる。
紙製品の展示会にテンションの上がる百花。しかし、紫乃の仕事の取引相手である紙屋ふじさきのブースを最後に訪れ、やる気のない藤崎一成に出会い、一気にテンションが下がってしまう。
ブースは出しているものの、全く売る気のない一成。しかし、そこには百花の心を揺さぶる和紙の数々が…
和紙を通じて、心も通いだす百花と一成の様子が丁寧に描かれる。
今回の物語の舞台は「日本橋」。「活版印刷」の川越もいいけど、日本橋の街の描写もいい。
出版社が違うから、直接「活版印刷」の話は出て来ないが、「細川紙」「楮」など「活版印刷」ファンには堪らないキーワードも。
百花が家にあるもので、いろいろ和紙雑貨を作るシーンも思わず真似したくなる。
Posted by ブクログ
よくものつくり系のイベントに行くので散財する気持ちはよくわかります。
主人公が作っているものとかすごく欲しいです、使い道とか考えてはいけないけども。
愛想のない藤崎さんとの関係がこれからどうなるのか気になります。
Posted by ブクログ
紙の小物はいいですね。
おしくて使えない気持ちよくわかります。
そんな「紙」好きの気持ちを高める本でした。
文庫では望むべくもないが、タイトルの部分のみ和紙とかの装丁本だと、所有欲をそそらるな。でも作るの大変だし売れないか。
そんな想像までさせてくれる本でした。
続きも期待しています。
Posted by ブクログ
大学生の百花は、叔母に誘われて「紙こもの市」に出かけた。
そこで、無愛想な一成と出会う。
彼は、老舗企業「紙屋ふじさき」の一族で「紙屋ふじさき記念館」の館長だった。
その記念館は、資料庫に毛が生えたくらいの館で、来場者は、一人も居なかった。
Posted by ブクログ
「紙小物」は確かに魅力的。少し専門的な事の入り口を小説で分かりやすく、更に興味を持てるようにしてもらった感じ。ただ、最終話の象の高子に対する百花の父の感想は、心打たれました。
Posted by ブクログ
工芸品として見る事の多い和紙ですが、昔から生活に溶け込んでいたものだったんだと改めて感じました。
和紙ってなんであんなに魅力的なんでしょうね……。
Posted by ブクログ
4作目を先に読んでしまったシリーズの1作目。なるほどこういう話から始まったのね。マイナス思考の百花に、ムチャめんどくさい一成。最初にこれ読んだらめげてたかも。まあ、でも後半にはちょっとづつ変わっていく
Posted by ブクログ
★紙はむかしから強い力を宿すものだった。(p.266)
文具好き女子も増えているのでかなり受けそうな題材。/百花は紙グッズや豆本好きな手先の器用な大学生。/紙屋ふじさき記念館館長の一成は紙さえあれば満足という紙大好き人間だが商売っ気がなくぶっきらぼう。/紙こもの市で大量の紙を買った百花は出店していた紙屋ふじさきの紙で祖父母の家の障子と同じ麻の葉模様のグリーティングカードをつくりたくなった。/それをきっかけに対人関係の不器用な二人がコンビを組むことになった(百花が紙屋ふじさき記念館でアルバイトすることになった)。/かたくなな一成を百花が少しずつ解凍していく。
■紙屋ふじさき記念館についての簡単なメモ(★は主要語)
【一行目】
そもそものはじまりは叔母からの誘いだった。(第一巻 麻の葉のカード)
【空き箱】《そうですね、なにも入れません。入れられません。空き箱だからロマンがあるのです。》麻の葉のカードp.13
【朝子/あさこ】瓜生朝子。藤崎産業の前社長の妻である藤崎薫子の秘書。
【飯田市】水引の産地。百花の母である冬海と叔母である紫乃の産地でもある。
【石井】小冊子研究会の後輩。一年女子。スイーツを擬人化したイラストを描いている。
【乾】小冊子研究会の後輩。一年男子。四百字以内の超短編ミステリを高校時代からブログに書き続けている。立花ゼミ所属。
【今村紫乃/いまむら・しの】→紫乃
【いろいろ紙ノート】百花が余り紙で父といっしょにつくっていたノート。けっきょくなにも書けなかった。
【瓜生朝子/うりゅう・あさこ】→朝子
【薫子★】藤崎薫子。藤崎産業前社長の妻。大株主でいまだ発言権は強い。八十歳になってSNSをはじめた。偏屈な一成のことを心配しており新しいなにかをもたらしてくれそうな百花を取り込もうとしている。《いまは限られた一部の人に高級なものを売るより、多くの人に小さな幸せを届けた方がうまくいく時代だと思う》麻の葉のカードp.210
【一成★/かずなり】紫乃の知人。端正な顔立ち。ぶっきらぼうなタイプ。紙屋ふじさき記念館の館長。株式会社藤崎産業の社長の甥。母は声楽家。
【紙屋ふじさき】《江戸期創業の紙の店。日本橋にあり、以前は和紙専門だったが、明治にはいって洋紙も扱うようになった。戦後は株式会社藤崎産業と名前を変え、書籍用紙から医療用の不織布まで幅広く扱う大手企業になっている。》麻の葉のカードp.29。薫子の肝いりで現在では和紙を扱う部門として「紙屋ふじさき記念館」がある。
【紙屋ふじさき記念館★】株式会社藤崎産業の日本橋にある旧本社ビル四階で創業当時からの資料を集めている。館長は一成。もうすぐなくなるかもしれないが薫子は残したいと考えているので一成にハッパをかけている。
【カルトナージュ】《フランスの伝統的な工芸品よ。厚紙で作った箱に紙や布を貼って飾るの。》麻の葉のカードp.18
【木谷/きたに】百花たちの大学の先生。近代小説の舞台になった町についてフルイ地図と現在の地図を比較しながら奇術を検証する。という話から『菓子屋横丁月光荘』の木谷先生と思われる。
【クラフトパンチ】型抜き用のパンチ。さまざまな型があるらしい。
【坂本泉】小冊子研究会の先輩。四年生。莉子の高校時代の先輩で小冊子研究会に誘った。現在就活で苦闘中。
【真田/さなだ】久川の助手。
【紙胎/したい】紙に漆を塗る手法。
【紫乃★/しの】今村紫乃。百花の叔母。冬海の妹。独身。日日草という器の店をやってる。おおらかなタイプ。
【小冊子研究会★】大学で百花や莉子が入っているサークル。部員は八名。
【髙子】日本橋の高島屋屋上で飼われていた象。
【立花】百花たちの大学の先生。乾がゼミに所属している。『菓子屋横丁月光荘』の立花先生と思われる。
【たとう紙】着物を包む紙。
【東京紙こもの市】さまざまな業者が出店しさまざまな紙のアイテムを出品する。盛況。見ていると語彙が低下し「きれい」「素敵」「かわいい」しか発しなくなり、皆、紙の亡者になる。三日月堂の印刷物もあるかも。
【戸川/とがわ】漆芸家。螺鈿が得意。
【徳山/とくやま】紙屋ふじさき記念館の、一成の前の館長。
【豊崎翠/とよさき・みどり】薫子の友人の孫。祖母がやっていた人形町のお茶の店を継ぎたいと考えている。
【西園】小冊子研究会の先輩。三年男子。立花ゼミ所属。
【八十八夜】豊崎翠が祖母から継ごうとしているお茶の店。リニューアル中。
【久川/ひさかわ】建築士。八十八夜の改装を請け負った。
【日日草】紫乃の経営している器の店。一週間単位で作家の個展やグループ展を開いている。
【房野/ふさの】和紙作家。八十八夜の壁面を飾る紙をつくった。
【藤崎薫子/ふじさき・かおるこ】→薫子
【藤崎一成/ふじさき・かずなり】→一成
【細川紙】埼玉県小川町でつくられる和紙。ユネスコ文化遺産に登録されている。
【真琴】小冊子研究会の先輩。四年。家業を継ぐ予定。
【松下】小冊子研究会の後輩。一年女子。高校時代に短歌の賞を取ったこともある和風美人。
【耳付きの紙】端っこがきれいにカットされたものではなく毛羽立っているタイプの紙。おおむね高級品。
【百花★/ももか】吉野百花。吉野冬美と雪彦の娘。大学二年生。紙アイテムが好き。どうやら紙そのものが好きなようで包装紙や量り売りの紙に惹かれる。手先が器用で豆本をつくったりもしたが絵のない本、文字のない本だった。大学では日本文学専攻でサークルは「小冊子研究会」。
【森沢】小冊子研究会の先輩。三年男子。動画撮影が得意でネットにもアップしている。題材は主に自転車旅行。
【百花の祖母】飯田市で以前は水引をつくる仕事をしていた。
【柳田/やなぎだ】昔、記念館の近くで筆耕の仕事をしていた。仕事柄よく来ていたそうだ。
【ユネスコ無形文化遺産】和紙で登録されているのは石州半紙(せきしゅうはんし)、本美濃紙(ほんみのし)、細川紙の三種。いずれも楮だけでつくられている。
【吉野冬海★/よしの・ふゆみ】百花の母。雪彦の妻で十五歳年下。紫乃の姉。編集者。現実的なタイプ(と百花は考えているようだがそうでもなさそう)。
【吉野百花/よしの・ももか】→百花
【吉野雪彦★/よしの・ゆきひこ】百花の父。作家。冬海の夫で十五歳年上。結婚したときはすでに作家だったので母も作家としての吉野雪彦しか知らない。紙が好きで手帳屋になりたかったのだとか。百花といっしょにいろんな紙を使ってノートをよくつくった。
「わたし」が小学生のとき事故で他界。無口だったそうだ。《頭にある言葉は、全部原稿用紙に吸いこまれちゃってたんじゃないかな。》麻の葉のカードp.307。《お父さんのことは、全部お父さんの書いた本で知ったような気がする。》麻の葉のカードp.308
【落水紙/らくすいし】和紙。小さな穴がたくさん開いてレースのようになっている。《紙漉きで、まだ紙が乾く前に水をシャワーみたいにあてる》麻の葉のカードp.26
【和紙】繊維が長いので洋紙より丈夫。
【和紙の原料】よく知られているのは楮、三椏、雁皮。
【莉子★/りこ】百花の友人。大学で同じ「小冊子研究会」に入っている。コミュニケーション力やプロデュース力が強い。
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私も本は紙ベースで読みたい派です。
和紙の見本帳見てみたいです。「紙こもの市」なんてあったら私もひと財産使ってしまいそう…。続きも楽しみです。
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ほしおさんの新シリーズを、といってももう4冊出てるので今更だけど、買ってみる。
三日月堂の中でもどんな紙に印刷するかということがよく出て来ていたが、この本はその紙、主に和紙を扱ったお話。
いきなり紙で作られた小物の話になるのだが、それらに対して「かわいい」という気持ちをあまり持てないので、今ひとつ興が乗らないところは否めず。
色々な紙が紹介されるが、目で見て手で触らないとどんな紙か分からないところが、作中、記念館の説明が文字だけで分かりにくいと言っているのと重なる。
3つ目の話で偏屈で引きこもりの一成がようやく打ち解けてきたけど、彼の人物像にあまり魅力を感じずで、百花ちゃんもちゃんと出来る子なんだから、遠慮せずに頑張って欲しいな。
まあ、やらす/やることなかったからとは言え、アルバイトの仕事が掃除から始まったのは良かった。掃除は仕事を始める以前の基本だし。
SNSを使った集客とか、鎌倉や日本橋ツアーは要るんだろうけど、ページの量は何かバランスが悪い感じ。
この作者らしいところは随所に見られ、全体的な雰囲気も嫌いではないけれど、続けて読むかというとやや微妙。
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百花は、日本文学を学ぶ大学二年生。
ある日、叔母の誘いで出かけた「東京紙こもの市」というイベントで、和紙の専門店「紙屋ふじさき」のブースにいた無愛想な青年・藤崎一成に紹介される。
そこで魅了された美しい和紙を使って、組子細工の障子をイメージした麻の葉文様のカードを手作りした事から、百花は一成と共に次の「こもの市」に出品する商品を企画することに…
人見知りだった百花が、家族や友人の後押しで、ものづくりの喜びを通して成長してゆく。
『活版印刷三日月堂』で出会ったほしおさなえさんの新しいシリーズということで手に取った。
百花と一成の成長物語であり、和紙をはじめとする手仕事礼讃の物語。
つまらなくはない。私も文具大好き、紙大好き、もちろん本も好きなわけで、素晴らしい素材や工芸品にときめく百花の気持ちはよくわかる。
ただ、失礼ながら、『三日月堂』の好評に目をつけて、それじゃもう少し若い女性、ハンドクラフト好きも喜ぶようにして、イケメンもセットして恋愛要素アリの青春にしましょうよ〜、という気配に、少々冷めてしまった。
小説家の父と女性誌の編集者の母、洒落た器の店を営む叔母に、老舗一族のイケメン青年、自由が丘に住んで銀座でアルバイト…
浮わついたところのない作風に、ファンタジーかと思うような要素を盛りすぎて、平凡な夢物語に感じてしまったような。
続きは…見かけたら、読むかも。
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紙好きとしては、何度も頷きながら読んだ。給料をもらった中身ではなく、入っていた和紙の封筒にため息をつく百花。分かる〜。
そして藤崎産業の取締役の薫子さん。80歳は過ぎているらしいが、SNSを使ったりしている館長のお祖母さん。「小さいことからでも、はじめれば進む。なにもやらなかったらゼロのままでしょう?」素敵だ。
肝心な百花は自信のない大学生だし、記念館の館長の一成は親の力で生計を立てているようにしか見えない。主人公2人が余り魅力的ではないのが残念だ。続編で成長するのか?
後、もう一つ、表紙が少し残念かな…
実在する「はいばら」や「竹尾」など、すぐにでも行ってみたくなった。
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川越かなと思って読み始めたけど、東京だった。 紙、特に和紙に重きを置いたテーマで、これは好きなやつ! 主人公は自信がないながらも、一生懸命だししっかりしてる子で好印象。今後も気になるので続きも読みたい。
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馴染みのない専門用語や地名、建築物名が多数出てきて、イメージしにくかったため、気になったものを検索しながら読んだので時間がかかった。
冒頭に出てくる組子の障子がもう、何度読み返してもイメージ出来ず、画像を見てイメージしつつ、それをカードに?とまたイメージ出来ず…。読み進めていって何とか分かった。
ストーリー自体は面白く、和紙にも魅力を感じたので、百花と同様、知識があればもっと楽しめるんだろうな、と思った。
象の話も切なくなった。
続きが楽しみ。
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ちょっと想像していた話とは違っていたかな。
紙や紙小物が好きな女子大生と和紙を愛する仏頂面のイケメン御曹司の話。
これから記念館はどうなっていくのか。
まだ物語は始まったばかり。
薫子さんや紫乃さんがすてき。
三日月堂を思い浮かべるような一節も。
活版印刷三日月堂を思って読むと全く違うかも。