あらすじ
大学を卒業し、晴れて念願の藤崎産業に入社した百花(ももか)。
感染症によっていまだ分断が続いている世の中に不安や孤独を感じながらも、自分なりにできることを模索していこうとする。
日本橋にあった「紙屋ふじさき記念館」は閉館してしまったが、一成(かずなり)は記念館の再オープンに向けてあたらしい候補地を探しており、川越の古い商家の建物を使うことが決まった。
百花は会社で「記念館準備室」に所属し、新記念館の開館に向けたプロジェクトに携わることに。
どのような記念館にすれば「和紙」を今の世の中に広めることができるのか、プレッシャーを感じつつも、新卒の同期数名とともに様々な課題に取り組んでいく。
それと同時に、百花の亡き父の作品『東京散歩』を復刊する動きが現れて……?
「紙」がつなぐ人々の想いとあたたかな絆の物語、感動のフィナーレ!
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Posted by ブクログ
内容がコロナを反映。前巻でもコロナ話題あったもんな。未曾有の事件などがあると作家さんたちも大変だよな。
さすが紙屋ふじさき。読んでいて、楽しい。
今回は百花が藤崎産業に入社するところから始まる。コロナ禍で閉館セレモニーのできなかった記念館は場所を変えてリニューアル。なんとその場は!川越。いいじゃん、いいじゃん、三日月堂や月光荘に関連したお店とかとも協力するみたいだし。
やっぱり物語ペーパー、私も欲しい。ってか、記念館グッズ、欲しい。
Posted by ブクログ
終わってしまった…世捨てハイスペック紙オタクだった藤崎さんが、冗談を言ったりにっこり笑ったりする姿におばちゃんホロリ。百花ちゃんはずっとずっとそばに居て、廃材の和紙の如く都度都度蘇らせて上げてほしい。ほしお作品の人々が川越に集結してきたのでシリーズまたいだビックイベントが開催されると良いなぁ。
このシリーズで知り、訪ねた場所、探した物は数知れない。作中の紙屋さんがどんなものなのか名古屋の「紙の温度」さんに行ってよく分かった。ネパールの和紙「ロクタ紙」即刻購入しましたとも。
うだつの上がる町並みを実際に訪れて、あるお店の方に言われたのは、紙の種類の違いはネットでは伝えられない。だからうちはネット販売はしていない。確かに目の前の2つの物は形こそ同じようだが明確に違いがあった。色、質感、紙の厚さ、重さ、カメラには同じように写るのに。作中にあるように、ネットは視覚と聴覚情報に偏っている。実感としてよく分かった。
今年は名古屋に知己を得たし、次回の美濃旅行は絶対に火曜日(定休日)じゃない日に行くぞ(涙)
紙媒体の世界を維持してゆくのは今とても難しくなっている。だけどデジタルデータは完成していてもそれ単体では存在できない。内容を現すには必ず電力と機械が要る。私の体でもってすぐにアクセス出来る物。実体の力は絶大だ。人間が身体から解き放たれることは無いから。データと物は役割が違うのだ。
ほしおさんの作品はただの紹介ではなく、羅列ではく、物の本質を見つめようとする姿勢がある。
決して古きを崇め、新しきを否定したりしない。今ある技術を生かしたまま、どのようにしたら未来に活かしていけるのかを模索する。そこがとてもとても好きだ。
川越シリーズもこれで全て終了と無事完結。川越に舞台が移り「活版印刷三日月堂」「菓子屋横丁月光荘」も随所に登場するシリーズを締めくくる今作は感慨深かった。
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ほしおさんの文章は、細かい技術的な説明も、登場人物の言葉としてすっと入ってくる。主人公の成長ものがたり、少し駆け足と感じる部分もあったけれど、コロナ禍だからこその内容でとても良かった。
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コロナ禍が少しずつ落ち着いてきて、新しい記念館がオープンする。お父さんの小説も復刊したりエッセイが本になったり。これまで積み上げてきたものが着々と形になっていく感じ。私が紙の文化に貢献できることってなんだろう。紙媒体の本を読み続けることとかかな。手紙とかカードを贈るとか。和紙のピアスも持ってたっけ。他にもあるかな。紙こもの市行ってみたいものです。
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コロナ禍で閉店セレモニーもできずに閉じてしまった記念館は、川越で新しくオープンすることになる。プロジェクトチームのメンバーとして様々なアイデアを出し合い準備していくのは、大変だけれど楽しそうだった。新しい記念館には紙漉きのコーナーも作るということで美濃で紙漉きの研修も受ける。最初はもちろん上手くいかないが、2日目には「自分が自分であることを忘れて、紙漉きの世界に溶けこんでいく感じ。」を得る。心が自由になる。ものづくりはやっぱり良いなぁと思った。オープンセレモニーの司会という大役を果たした百花は、最初に記念館のアルバイトをしていたオドオドして自信なさそうな大学生の頃と比べると、立派になったなぁと感動。これからも、藤崎さんと一緒にずっとがんばっていってほしい。公私共に?
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シリーズ完結編。
コロナ禍で自分たちの原点を見つめ直したり、新しいことに挑戦したり姿が印象的でした。
変わらないものを忘れず、時代の変化にもがきながらも対応していくことの大事さを感じました。
Posted by ブクログ
シリーズ完結巻。
今までを振り返ることもできる納得の最終巻。
ふじさき記念館でアルバイトを始めてから大学卒業後に、晴れて藤崎産業に入社した百花。
これまでのワークショップや関わってきた人たちとの再び交流ができるであろうことは、川越で新記念館が開館されることでわかる。
今回も新入社員とともに新記念館の準備に奔走する。
第一話 記念館準備室は、紙屋ふじさきとして世の中に提示できることがなにかを考えるスタート。
第二話 誕生の日は、百花の亡き父の『東京散歩』の復刊にという話から雑誌に掲載されたエッセイがあったことを母が思い出し…。
第三話 あたらしい場所は、百花が入社して1年半が経ち、父のエッセイが『手仕事をめぐる旅』として刊行することに。
地域イベントでも紙貼りパネルを利用して子どもたち参加型で余り紙を使ってのワークショップは、大いに盛り上がる。
そして、新『紙屋ふじさき記念館』がオープンへ。
紙に纏わる知らないことを社会見学に参加したような気分で一緒に楽しんだことを思い出しながらの完結編だった。
ほんとうに最後なのか…。
Posted by ブクログ
小説というより説明文みたいな文章に毎回うーむとなってしまうけど、アイディアが楽しくてわくわく読んでしまうシリーズでした。今回も楽しそうなイベント良いなぁと思いながら読んでた。紙って、良いですよね。
Posted by ブクログ
いよいよ完結
百花も大人になりました。
今までの6巻を
あんなこともこんなこともあったと
走馬灯のように思い出しつつ
百花の成長もしっかり描かれています。
またいつか違う作品でひょっこり
百花の様子を知ることが出来るかもしれませんね。
今の時代だからこそ
丁寧なもの作りを大切にしていきたいと感じるシリーズでした。
Posted by ブクログ
紙に関係する事がふんだんに盛り込まれた物語でした。著者の紙に対する想いが感じられ、自分も少し愛着が出てきたかなと思ってます。シリーズ完結は残念だけど、また別の物語で登場人物に会えたらいいなと思う読後でした。
Posted by ブクログ
大好きなシリーズの最終巻。
主人公だけでなく、他の登場人物の成長も感じられたお話でした。浩介さんの場面では改めて、コロナ禍が人と人の関係だけでなく、個人の考え方にまで与えた影響を考えさせられました。
物語は新記念館の開館を迎え、前へ進む形で終わりを迎えるのがすごく好きだなと思いました。あと著者の他のシリーズの登場人物や建物・店の名前が出てくるので、ふふふっと口角が上がってしまいました。
このシリーズは個人的に、自分と共通点や近い点が多い(紙雑貨好き、川越と日本橋の立地、百花の大学の場所、1つ違いの学年……)ので、終わってしまうのが、少し寂しいです
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シリーズ遂に完結。
リニューアルした記念館が、漸く川越でオープン。
百花も新入社員となり、プロジェクトの一員として奮闘する。
藤崎さんは百花と関わることで世界が開けたようで、とても前向きになった。
藤崎さんを敵視していた浩一もコロナ禍を経て自分を見つめ直し、会社を盛り立てようと共に歩んでくれそうな気配。
この先を感じさせてくれる、とても心地よい終わり方だった。
Posted by ブクログ
紙屋ふじさき記念館シリーズ7作品目で、この巻で完結です。
藤崎産業に入社した百花が、記念館準備室に配属になり、一緒に配属された同期入社メンバーと協力し、模索しながら新しい記念館の開設に向けて取り組んでいく過程が、ちょっと駆け足気味に描かれます。
新しい記念館は川越。元は呉服店だった店蔵を改装することになり、記念館のコンセプト、展示構成、内装などを、イチから組み立てていきます。
一成がトップにいるとはいえ、新卒新入社員達で、会社にとってそれなりの規模であろう新規プロジェクトに、これだけガッツリと、しかも割と自由にやらせてもらえれば楽しいだろうなぁ。その分プレッシャーもあるとは思うけど。
途中、物語ペーパーの題材となっていたお父さんの著書の復刊が決定したり、過去のシリーズ作品で登場した人たちや、旧記念館でプロデュースしてきたブランドが次々と登場(回想)してきたり、ちょっと総集編っぽく「まとめに入った」印象を受けました。
ラストも、新記念館のオープン記念式典が始まるところで終わっているので、個人的には、物語としての「余韻」や、「未来への展望」を感じさせるというよりは、少し物足りなさを感じる幕切れに感じました。もう少し続きが読みたかったなぁ。
ただ、シリーズ全体としては、とても好きな作品です。
Posted by ブクログ
シリーズ完結編。
前作で藤崎産業に入社が決まった百花が、藤崎産業に入社して、新しい記念館をオープンするまでの2年が急ぎ足で描かれる。
正直、あと2作ぐらい分けて描いてもいいのでは?と思うところもあったけど、オープンまでにクリアしなければいけないタスクと、コロナが落ち着いて、徐々に取り戻していく日常と、百花の亡くなった父の本の再刊行と、いろいろな出来事が並行して描かれており、かなり読みごたえはあった。
コロナで会っていなかった一成も、創業家の一員として、かなり自覚が出て来て、1作目に比べて、百花以上に成長したなぁ、と感じた。
ここ最近作者のシリーズ作品が完結を迎えるものが続いているが、これまで各シリーズに登場した人物も勢ぞろい感もあり、ファンならば堪らない完結作となるだろう。
紙の話もすごく勉強になったし、時折出て来る飯田や美濃の情景ある描写も好きだったので、終わってしまうのはかなり寂しい。
Posted by ブクログ
今作で完結。
新しい仲間と新しい記念館を作り上げていく過程は楽しい。今までの記念館の歴史を振り返る感じではあった。
またここから新しいシリーズができそうな気もしますが、どうでしょうねえ。
Posted by ブクログ
無事藤崎産業に入社した百花が、新記念館の開館に向けて奮闘します。
前作では現実世界と同じくコロナ禍の中でもがく様子が綴られて、果たしてどうなるのかとくるしくなるような思いだったけれど、それが綺麗に取り去られた、爽快な完結でした。
ほんとにこれで終わりなの?って思うくらいに、これからも、と未来を想像させる終わりで、百花たちのこれからは続いていくけど、その様子が読めないことがさみしいです。
Posted by ブクログ
紙屋ふじさき記念館終わってしまいましたね。
まあ話的にはこれから始まるですが。
紙も小物も文具も好きなので本当に楽しかったです。こもの市に行きたくなったし、水引もその本も買ってしまいました。
本当に文具やその周りの物が何て魅力的なんだろう。先人達の日々の研鑽と努力が今でもその物達を輝かせていると思いました。
このシリーズは終わってもまた別の話で記念館の人達と会えると信じて待っています。
Posted by ブクログ
〔Ⅰ〕記念館再起動準備の巻、とはいえ全体がエピローグという感じでもあり、駆け足的ではあるけれどめでたく始まりを迎える。
〔Ⅱ〕コロナ禍は少しずつ終息に向かっているようではある/第一巻からいずれ移転しそうな気がしていた川越で新たに出発する記念館の建物を改修してくれるのは月光荘も手がけた真山さん/新人だけのプロジェクトチームのメンバーは百花、松岡、本宮、烏丸/紙こもの市も再開/ビジネスの場でも使える「ベーシックライン」としてまず懐紙/百花の父の『東京散歩』再刊予定。同時に未刊行エッセイ書籍化の話が出てき、そちらの発行は道草書房、印刷は三日月堂/月光荘の名前もちょっと出てくる。近いうちに守人くんとも出会うでしょう。
〔Ⅲ〕記念館を活性化させたのも、一成さんを本気にさせたのも、父の本を再刊させるきっかけを作ったのも百花さんと言える。本人が考えているよりずっと大きな影響力を持っているかもしれない彼女はこれから何をしでかしてくれるでしょう?
Posted by ブクログ
いつの間にか、このシリーズも完結していて、残り4冊を一気に読んだ。
想像通り、記念館は川越に移転し、百花の父の雑誌に書かれていた小説が「手仕事をめぐる旅」として単行本化されることになり、絶版になっていた「東京散歩」もあらためて出版される運びとなった。
コロナ禍を経て、こもの市も開かれ、懐かしい三日月堂や、月光荘のお話に出ていた川越の笠原紙店なども登場する。こうして川越での手仕事が一堂に介したところで大団円となる。
一成と対立しがちだった浩介も、コロナ禍を経て和解したようだし、新入社員ばかりで記念館のオープンを任されたことも杞憂に終わり、何一つ障害なく、新しい記念館のオープンを迎えられた。皆いい人ばかりで、そこに複雑なドラマはなかったが、この物語はそれでいいのかとも思う。読み手が安心して読めるのは、そこにあるのかもしれない。
仕事に徹した描写で、恋愛を織り込まなかったこともこの小説に合っていた。川越のシリーズがまだ続くのかわからないが、またどこか他の小説のなかで、三日月堂の弓子さんのように、ふと、百花と一成のその後が垣間見られるかもしれない。
(星が少ないのは、一気読みして、登場人物がごちゃごちゃになったせいかも)
Posted by ブクログ
手芸を嗜むこともあり、モノづくりが関わる物語はジャンルを問わずに好きです。
和紙というのは高級品というイメージが先行しており、実際に触れた経験はほとんど記憶にないです。このシリーズを読んでいると和紙を実際に見て触りたくなります。
この巻で、主人公の和紙を巡る物語はおしまいです。藤崎さんとの関係がもしかしてワンステップ登るのかしらなんて思っていましたが、あくまでも上司と部下の関係以上同志という関係でしょうか、素敵なコンビになったと思います。
百花の仕事に対する真面目な姿勢がそこに現れているようで恋愛関連に発展しなかったことにやや残念なようなホッとしました。(というより、そもそも新入社員で新プロジェクトにも関わるとなったらそんな時間は持てないでしょうね。)
最初の孤高の藤崎さんが会社を通じた社会貢献まで考えるようになったと考えると感慨深さも覚えました。
コロナ禍という今もなお世界を悩ます前人未到の問題の中で、主人公やその仲間たちのようにここまで前向きに模索できた方たちは本来は少数かもしれないですが、人との関係が薄くなるからこその本物の手触りや感触を求めるというのは非常に納得できるものがありました。
なんだかんだ、主人公は人に恵まれ発想力に恵まれ性格も態度も良いという理想的な新社会人で、物事が上手くいきすぎている感も否めませんが私は好きなシリーズです。
この作家さんの書かれる物語は、それぞれの物語がリンクしているようなので紙屋ふじさきのその後も見れたら嬉しいと思います。
Posted by ブクログ
【収録作品】
第一話 記念館準備室
第二話 誕生の日
第三話 あたらしい場所
シリーズ完結巻とのことで、ちょっと寂しい。
仕事と生き方が結びついて、関わる人たちがみな前向きで、みんながこうやって暮らしていけたら、生きやすいだろうな。
Posted by ブクログ
シリーズも最終章という事で今まで作ってきたモノや出会った人達が出て来て、ちょっと思い出すのも大変だった。
百花は最後までいい子過ぎるキャラだったな。
Posted by ブクログ
いよいよ最終巻。
百花は藤崎産業に入社し、新しい記念館準備室に配属される。
記念館は川越にあり、古い商家をリノベーションしたもの。
同期の本宮さん、松岡さん、烏丸さんと、アイディアを出し合いながら、内装やどんな内容にしていくかを決めていく。
この雰囲気は、これまでの学園祭の時の雰囲気や、月光荘の終りの方とも似ている。
これまで出てきた人々だけでなく、他の作品にも出てくる人(例えば三日月堂の弓子さん)なんかもちらっと出てきて、いかにも「大団円」な感じが演出される。
・・・人が多すぎて、これって誰だっけ感が否めない。
他の皆さんはもっとこのシリーズを読みこんでいて、困らないのだろうか。
この間まで紫式部の職場生活を読んでいたせいか、新入社員の同期の間の軋轢が生まれたりしないかと思ったりもした。
一人だけバイト出身で、創業家の一成とつながっているという立場は、紫式部の場合のように攻撃されやすい気がしたのだ。
が、この作品に限って、そういうドロドロはない。
みんな大人で協力的。
クリーンな物語だった。
Posted by ブクログ
シリーズ7作目で完結編。うまくまとめられたと思う。このシリーズ、コロナ禍の状況もうまく取り入れられており、好感を覚えた。さて、次はどんなシリーズを立ち上げてくれるのかな?
Posted by ブクログ
いまを生きる私たちのために和紙を役立てる
小説家ってすごい
イマジナリーの中で経営なんかもできちゃう
そして読んだ人を洗脳しちゃうんだよね
まぁほしおさんの世界好きだから良いんだけど笑
今までの物語がスクロールされて
大団円に近づいている気がする
とはいえ急いだ展開と聞いていたので
後半が飛ばし気味になってくると
とうとう来たかという感じ
終わって行くのが惜しくなる
和紙と人々のつながりの物語
…のはずだったのでしょうけど
思わず時代を感じさせる内容にもなりました
感染症で疲弊していたあの頃の記録は
後でどんな印象に変わるのでしょう…?
ともあれシリーズ完結です
おめでとうございます(^^)
Posted by ブクログ
このシリーズ7冊目。でもって完結巻ということのようね。
いよいよ藤崎産業の社員となった百花が同期の3人と一緒に記念館の移転開館に向けた道筋をつけていく様子が描かれる。
その過程では、飯田や美濃など今まで訪れた場所、物語ペーパーや組子障子のカードをはじめとしたこれまで創ってきたグッズ、三日月堂やモリノインク、文字箱などの関係した先々のことが現われ、紙こもの市も再開されるなど、まるでシリーズ総集編の趣。
物語としては、なんだかツール・ド・フランスの最終日のパレード走行を思わせる、全体的に緩い感じの話になってしまったが、折々にはこのシリーズらしい慎ましやかでもホッとする話も織り込まれていて、ずっと読み続けていた者としてはまずまず面白く読めた。
在りし日の父が隣で眠っている妻のお腹の中の子どもに語りかける情景や道草書房の社長が語る子どもの名前に対する親の思いにはホロリとする。
そうして生まれた百花は相変わらず自己肯定感は低めだが、それでも与えられた役割を『やるしかない』と受けて立てるようになって、父が『よく生きる』と遺した、少しでも良い方向に進もうという生き方がしっかり受け継がれていく様が好ましい。
ついでに言えば、一成も自分のことを『世間の標準から少しずれている』と語るようになり、最初の巻からするとふた皮くらいむけたみたいでほっこりする。
第5巻の感想に、コロナ禍について『このお話にわざわざこの話題を入れるか』と書いたが、それを乗り越えこれまでとは異なる新しい生活様式を作り定着させつつある今、『和紙とともにある暮らしを提案する』という新記念館のコンセプトに象徴される、伝統を守りながら発展させていく様々な取組みを描いてきたこのシリーズの志はピタリと嵌ったようにも思った。
Posted by ブクログ
なかなか辛かったです…
半分くらいは、前回までのおさらい、という様なストーリーで、とにかく話が進まない。
そこから徐々に進むが足踏みで、残り30ページが一気にイベントへ。
これまでがあって、新しいふじさき記念館がある。
これまでの百花があって、藤崎産業の百花がある。
というのはよく伝わった。
もう読みたくないかなと思ってしまった…