ほしおさなえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
シリーズ第六弾。
連句会「ひとつばたご」での交流を通して、主人公・一葉の気づきと成長を描く連作六編が収録されております。
今回は前作で触れていた、「きりん座」の大輔さんと一葉のお父さんとの合同写真同人誌・『坂道ノート』作りの話が中心って感じですかね。
とにかく一葉のお父さんが楽しそうだったのが印象的で、大輔さんとも意気投合して打ち合わせも撮影もやる気満々でしたし、雑誌作りをきっかけに学生時代の写真仲間との交流も復活したりと、イキイキ輝いている様子が伝わってきました。
勿論、一葉も『坂道ノート』のイラストやフリーペーパー制作、そして大輔さんと共に文芸マーケットに参加したりと連句以外での活動も充実してきていますよね。
そして一葉の働くブックカフェ〈あずきブックス〉も、“同人誌フェア”が好評なのに加えて、詩人の優さん主宰の「アカシア」の朗読会を開催したりと、イベントの幅が広がってきて、お約束のように何をやっても毎回盛況で何よりです。
・・といったポジティブな拡がりがある一方で、大輔さんの所属する連句会「きりん座」では人間関係のゴタゴタがあったりする場面も。
やはり同世代の“表現したい”人達が集まると色々あるようですね。
方や年齢幅の広い「ひとつばたご」は安定の平和っぷりで、今は若手中心に“オンライン連句会”へ向けて準備を進めている様子です。
ということで、今回もどんどん世界を広げていく一葉の充実ライフを楽しませて頂きました・・てか、広がりすぎて誰が誰だかわからなくなってきています~(^^;
ところで、第二話「特別な人」で登場した「みずのいろ」というお菓子がすごく気になったので、早速検索して画像を見てみたのですが、その円盤状の色ガラスのような美しいフォルムに思わず目を奪われてしまいました。
店舗販売しかしていないようで、なかなか手に入らないのが残念ですが、是非一度味わってみたいですね~。 -
Posted by ブクログ
母の死後、生きる意味が見いだせずにいる20代後半の女性、槐(えんじゅ)が主人公。川越で染織の工房を営む叔母の伊予子と、不慮の事故で心を閉ざしている大学四年生のいとこの綸(りん)との暮らしのなかでの物語でした。
各章のタイトルが草木染の色の名前です。読んでいるうちに、草木染と手織りが特徴の伊那紬の色の美しさや繊細な織り目を実際に見てみたくなりました。それぞれの色が、木の枝や根などの自然の素材で作られたものだということや、どうやって染めるのかとか、手織りの織り方などが詳しく書かれていました。
小説では、三人で暮らすうちにそれぞれが生きていく方向を見つけることが出来ました。信じられないような出来事や、親子関係の問題や、簡単に乗り越えられないことが起きても、救いはどこかにあるのかもしれないと思いました。自然の美しさを感じられること、夢中になれるものがあること、自分を必要としている人がいると思えることがあれば、人はなんとか生きていけると教えてくれたように思いました。
序章
一章 夜叉五倍子 (やしゃぶし)
二章 臭木(くさぎ)
三章 藍
四章 蘇芳(すおう)
五章 紫根(しこん)
終章
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Posted by ブクログ
ネタバレいつの間にか、このシリーズも完結していて、残り4冊を一気に読んだ。
想像通り、記念館は川越に移転し、百花の父の雑誌に書かれていた小説が「手仕事をめぐる旅」として単行本化されることになり、絶版になっていた「東京散歩」もあらためて出版される運びとなった。
コロナ禍を経て、こもの市も開かれ、懐かしい三日月堂や、月光荘のお話に出ていた川越の笠原紙店なども登場する。こうして川越での手仕事が一堂に介したところで大団円となる。
一成と対立しがちだった浩介も、コロナ禍を経て和解したようだし、新入社員ばかりで記念館のオープンを任されたことも杞憂に終わり、何一つ障害なく、新しい記念館のオープンを迎えられた。皆いい人ばかりで、そこに複雑なドラマはなかったが、この物語はそれでいいのかとも思う。読み手が安心して読めるのは、そこにあるのかもしれない。
仕事に徹した描写で、恋愛を織り込まなかったこともこの小説に合っていた。川越のシリーズがまだ続くのかわからないが、またどこか他の小説のなかで、三日月堂の弓子さんのように、ふと、百花と一成のその後が垣間見られるかもしれない。
(星が少ないのは、一気読みして、登場人物がごちゃごちゃになったせいかも)