ほしおさなえのレビュー一覧
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なんということないストーリーですが、金継を少しかじっている身としては興味深い内容。高山飛騨春慶塗師の家に育った金継師の祖母から孫が漆の扱いを習う。
最後には2人で漆の産地、茨城の大子まで旅行に行き漆掻きまで見学する。ネットで調べると、今も漆を植樹して、漆掻き、木地作り、漆塗りまで全て自分でされる木漆工芸家の方が実際に大子にいらっしゃるのですね。漆は一度掻いてしまえば伐採処理しなくてはならないし、新しく植樹しても成長するまでに10年はかかる。たいへんな作業だ。でも日本産漆の伝統を守ってくださる方がいるから、日本の高い技術で質のいい漆器を産み出していけるのだ。感謝です。 -
Posted by ブクログ
割れた器を修復する「金継ぎ」。金継ぎという言葉を始めて知りました。
孫の高校生真緒は、金継ぎをする祖母千絵に仕事を習い始める。その中で、祖母の思い出、会いたい人に会う旅に二人で出る。
金継ぎは割れた陶器をつなぐだけではなく、持ち主の思い出もこめるもの。
ステキな仕事だなと思った。
金継ぎの写真をネットで探してみたが、どれも割れたものとわからない、そのものの模様のような感じになっている。本の中で、元通りに戻すだけではなく、新たなデザインとなるようなことが書かれていたので、こういうことかと納得できた。
私の母もどこか行きたい場所・会いたい人はいるのだろうか。ふと気になった。 -
Posted by ブクログ
守人は、幼い頃からふとした時に家の声が聞こえる、不思議な力を持つ大学院生。
指導教授の紹介で川越の築七十年の古民家に移り住むことになった守人に聞こえたのは、その家の歌う、少し調子外れな童謡だった。
川越で生まれ育った人も、その佇まいに惹かれて集まった人も、古き良きものを愛でる優しい人ばかり。
守人も、そんな人々との交流の中で、心をひらいていく。
ふんわり、ほのぼのに浸れる。
同じ川越を舞台にした「三日月堂」のシリーズと違い、どこか薄味。
彼の持つ力のことを考えれば、建築関係の道に進むとか、古民家再生の仕事に関わる仕事に就きたいとか考えそうだけれど…
守人が家の声を聞いても、それは彼の胸の -