ほしおさなえのレビュー一覧
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とてもきれいな装丁に引かれ、さらにお菓子ときたら読むしかないっ!と思い手にとったが、あまり馴染みのない連句というのが物語の根幹で少し難しそうと思った。
しかし読みやすく連句の世界をじっくり知ることができた。言葉の表しかたって沢山あるのだな。
シリーズ物と知り、連句を通じてポップのお仕事も軌道に乗る一葉さんの今後と会のみんなとの関わりがどうなるのか気になる。
登場するお菓子や土地は知っている所ばかりでさっそく言問団子を購入した。今は反対車線の歩道にある桜と梅が咲き始めていてお花見にはぴったり。少し歩いたら長命寺のお店も草餅のお店もあり、あの辺りはいわば甘味ロードだ。
桃林堂さんなんて、昨年前を通った時に気になっていたお店だ。こんどまた行ってみよう…
あんみつ羊かんだけは知らなかったので、食べたいリストに追加。
後半本編そっちのけでグルメリサーチに使っていて申し訳ない…。 -
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活版印刷三日月堂の番外編。
東日本大震災から14年目の昨日、東日本大震災の描写があるシーンを目にした。
すごいタイミングに見えない何かを感じる。
祖母・祖父・父を見送り、この流れで活版印刷の第1弾に繋がっていったのかと本編で目にしたあれやこれやを思い出し感慨深さを味わった。
本編に繋がっていた色んなシーンそれぞれが思い出され、本編がより奥行のある物語として存在してくれた。
色々な人とを見送ったり、失われたものを思い浮かべたりする機会も多かったので、読み終えた今、少し淋しさを感じる読後感を味わっている。
でも!この後ものすごく素晴らしく力強い世界が広がって行くんだよなということを思い出す。
よし、私も頑張ろう!そんな力が自分の中から顔を出す。 -
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ネタバレ手芸を嗜むこともあり、モノづくりが関わる物語はジャンルを問わずに好きです。
和紙というのは高級品というイメージが先行しており、実際に触れた経験はほとんど記憶にないです。このシリーズを読んでいると和紙を実際に見て触りたくなります。
この巻で、主人公の和紙を巡る物語はおしまいです。藤崎さんとの関係がもしかしてワンステップ登るのかしらなんて思っていましたが、あくまでも上司と部下の関係以上同志という関係でしょうか、素敵なコンビになったと思います。
百花の仕事に対する真面目な姿勢がそこに現れているようで恋愛関連に発展しなかったことにやや残念なようなホッとしました。(というより、そもそも新入社員で新プロジェクトにも関わるとなったらそんな時間は持てないでしょうね。)
最初の孤高の藤崎さんが会社を通じた社会貢献まで考えるようになったと考えると感慨深さも覚えました。
コロナ禍という今もなお世界を悩ます前人未到の問題の中で、主人公やその仲間たちのようにここまで前向きに模索できた方たちは本来は少数かもしれないですが、人との関係が薄くなるからこその本物の手触りや感触を求めるというのは非常に納得できるものがありました。
なんだかんだ、主人公は人に恵まれ発想力に恵まれ性格も態度も良いという理想的な新社会人で、物事が上手くいきすぎている感も否めませんが私は好きなシリーズです。
この作家さんの書かれる物語は、それぞれの物語がリンクしているようなので紙屋ふじさきのその後も見れたら嬉しいと思います。 -
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今回のほしおさんは、器を繕う金継ぎ(というのだな。初めて知った)から始まるお話。
夫亡き後に金継ぎをしながら暮らす祖母と、両親が離婚した後に母とともに祖母の家に越してきた高2の孫・真緒を中心にした物語は、おばあちゃんの人生の振返り+真緒の未来を模索する、それぞれの“深い旅”を中心にして、金継ぎ、とりわけ漆に関する蘊蓄を加えて、飛騨高山観光の見所を添えた作り。
大きな起伏はなくても要所要所ではうまいこと締められる。君枝さん夫婦のカフェオレボウルを巡るエピソード、修次さんから渡されたかんざしに秘められたおばあちゃんの気持ち、修次さんの森を見てもう一度漆を掻こうと決めた谷口さんの思い、それぞれに老いて人生を振り返る人の心情がなかなか沁みる。
サラサラと読め深みを感じるところまではなかったが、“うつくしいもの”が人の心に与える力には共感できた。
高山には一度行ったことがあるが、また行ってみたいと思った。
(2025.2.2追記)
後から読んだ配偶者から我が家にある菓子器が飛騨春慶塗だと教えられた。
なんでも、嫁入り道具として持ってきたものらしく、他にも茶托やお盆も出して見せられ、へぇ~となった。 -
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ネタバレ着物の持つ記憶が視える琴子。
両親を失い、養父母のもとで育ち、叔母、甥の関係である柿彦だけが琴子の力を知っている。
しかし、琴子は着物の記憶を探ることで疲弊し、その世界から戻れないかもしれない危うさも持つ。
琴子の生きづらさ、柿彦以外本来の自分を見せられず、世間から少し距離を置く姿は静かだが、
少し寂しく感じる。
色々な着物の遍歴を辿る話と思ったが、たつ子の銘仙の着物だけに向き合う話だった。
銘仙の着物を持っていたので、その歴史がわかって興味深かったが、たつ子の着物が持つ記憶は、時代的に想像のつくものだったので、もう少し掘り下げても良かったかも。
しかし、戦争のもつ残酷さが着物にも記憶として持ち続けていることに、悲しみも感じる。
文章はほしおさんらしい。 -
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ネタバレシリーズ第四弾。
連句会「ひとつばたご」での交流を通して、主人公・一葉の気付き、成長を描く連作六編が収録されております。
一葉が働くブックカフェ〈あずきブックス〉で、イベント第二弾として、連句会メンバーでもある歌人の久子さんを招いて短歌のトークイベントを開催することに。
その準備を進める一葉に、連句会で知り合った小説家・柚子さんから、「ひとつばたご」主宰の航人さんの過去に関わる人物についての相談が持ち掛けられて・・・。
前巻の少女マンガのイベントに続いて、今回の短歌イベント企画も大好評!ということで、これってほしおさんの著作あるあるだと思うのですが、こういったイベント系の集客が上手くいきすぎる気が・・ま、どれも楽しそうなイベントなのでいいんですけどね~。
さて、今回は航人さんの過去の話が出てきて、その中で航人さんの元妻で今は小説家となっている森原さんとのデリケートな事情が絡んだ展開に。
これは、複数の連句会が集まって開催される、“連句大会”に「ひとつばたご」も参加することになったのは良いのですが、その大会に前述の航人さんの別れた妻・森原さんの属する座も参加することが判った為、事情を知る人達がザワついてしまったわけなのですが、結果的に二人が再会して言葉を交わすことができて良かったと思います。
因みに、その話の中で出てきた、森原さんの著者「おもいで糸巻き堂」の内容が、作中作にしておくには惜しい程面白そうだったので、私も読んでみたくなりました。
そんな訳で、トークイベントで短歌作りに悩んだり(連句をやっているのだから短歌もいけるのでは?と思いきや一葉的には“それとこれとは別”だったようです)、航人さんと森原さんの件に関わったり、連句大会で新たな出会いがあったりと、世界(ご縁)が広がっていくと共に一葉自身も前進していく様が良いですね。
複雑な連句のルールも、毎回丁寧にさらってくれるので、何となくですが解ってきたかも?と思えるようになりました。
それにしても、本書に出てくる連句や短歌を見て、日本語の多様さや美しさを歌に込める感性にいつも感心します。
次巻ではどのような“ご縁”があるのか、読むのが楽しみですね~。