ほしおさなえのレビュー一覧
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ネタバレ百花は、日本文学を学ぶ大学二年生。
ある日、叔母の誘いで出かけた「東京紙こもの市」というイベントで、和紙の専門店「紙屋ふじさき」のブースにいた無愛想な青年・藤崎一成に紹介される。
そこで魅了された美しい和紙を使って、組子細工の障子をイメージした麻の葉文様のカードを手作りした事から、百花は一成と共に次の「こもの市」に出品する商品を企画することに…
人見知りだった百花が、家族や友人の後押しで、ものづくりの喜びを通して成長してゆく。
『活版印刷三日月堂』で出会ったほしおさなえさんの新しいシリーズということで手に取った。
百花と一成の成長物語であり、和紙をはじめとする手仕事礼讃の物語。
つまら -
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三日月堂シリーズ、「未来」が描かれる番外編(シリーズ六冊目)。
今までのシリーズに登場した人達の、サイドストーリーや後日談・6篇が収録されています。
今回も、活版印刷で刷られた扉ページが“お出迎え”してくれるのが嬉しいですね。
どの話も優しい視点から“それぞれの生きる道”が描かれていて、温かな気持ちになります。
第六話「小さな折り紙」では、弓子さんと悠生さんの息子・佑くんも登場し、時の流れを感じます。
そう、誰もが昔は子どもでしたし、子ども達も時を経て大人になっていく・・この、あまりに当たり前な人の営みがとても尊いものなのだと本書は思わせてくれます。
因みに第一話「マドンナの憂鬱」の柚原さん -
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ネタバレ水引って、熨斗のイメージしかなかったけれど、画像検索してみると、素敵な小物が沢山!
中には結構な大作もあって、水引に対するイメージが変わった。
水引は元々『結』のためのもので、それが吉野家の結びつきを強くしていく過程も沁みた。
中学生の時にカートリッジ式の簡易万年筆にはまり、そればかり使っていたこと、社会人になってガラスペンに出会い(実用的ではなかったので飾ってた)、眺めていたことを思い出した。
あのガラスペン、引っ越しの際に片づけたまま出してないが、どこにしまったんだろう…。
カラーインクの和紙の箱、想像が膨らんでわくわくした。素敵! -
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ネタバレ七段飾りの雛人形。以前の実家にもあったなぁ。
大きくて、飾るのにも片づけるのにも手間が掛かり、その上、小学生だった私はそんなものに興味は無くて。
凄いとは思ったけど、嬉しいとは思わなかった。
買ってきた親に悪いから、それなりの反応はして見せたけど。
結局、2、3回しか飾らなかったように思う。
「雛の家」の二軒家の雛人形、役目を終えた人形が戻ってきて、揃って飾ってもらえて良かった。いい話だった。
家の声が聞こえる人が他にもいることを知り、しかもその方の家を建てた人と自分は血縁関係で、家を建てたその人も、家の声を聞くことが出来たという。
守人がこのことを知っていく下りがとても響いた。
特に、喜代さ -
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シリーズ3作目。
今作は百花たちがお正月を母の生家のある長野県飯田市で過ごす様子から描かれる。
母の実家に帰った百花は、祖母がかつて水引の職人であったことを知る。
おせち料理をせっせと作る母たちの輪に入れずにいた百花は、祖母が作っていた水引の箸置きを作る手伝いをすることにしたが、いざ水引を結っていくと、その奥深さにはまっていく百花。お正月休みが明ける頃にはみんなで吊るし雛ではなく「吊るし水引」を作成してしまうほど。
一方、年が明けた記念館では、新たに「物語ペーパー」を作成する準備に追われていた。
その準備に集まった関係者から、記念館の使っていないスペースを利用し、ワークショップを開くことを提案 -
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家の声が聞こえる主人公と川越の街を描いたシリーズ2作目。
今作では古書店の「浮草」のご主人が余命わずかな話から始まり、紙を作る家業を継がなかった守人の先輩の後悔の話から守人が管理人を勤める「月光荘」での切り絵の体験会をやってみようと言う企画を通して、家族の絆を改めて考えさせる内容。
「浮草」も、「浮草」に出て来る「雲日記」も三日月堂から繋がるお話。はっきり「三日月堂」とは出してないけど、ファンには堪らない内容だろう。
主人公の守人はいまいちテンションが低めで、いつも自分の中の何かと格闘している、そんなイメージであまり本文に貢献している感じがしないのだけれど、後輩の「べんてんちゃん」がナビゲーシ -
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川越の古民家を舞台にした物語。
大学院生の遠野は、ある日ゼミの木谷先生より、川越の古民家の管理人みたいなことをしてみないか?と持ち掛けられる。
亡くなった祖父の家に一人で住み続ける遠野は、大学から近くなること、今住んでいる家を伯父たちが処分したがっていることから、引き受けることに。
1作目である今作は、舞台となる「月光荘」の歴史や、「月光荘」を取り巻く川越の街並みの説明がほとんど。
川越の街並みが目に浮かぶようだが、説明が多く、やたら知り合いが次から次へと湧いてきて、なかなか話に入り込めない。
遠野の家の声が聞こえるという特殊な能力も今後どのように活かさせて来るのか、1作目だけでは分からず…
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紙好きとしては、何度も頷きながら読んだ。給料をもらった中身ではなく、入っていた和紙の封筒にため息をつく百花。分かる〜。
そして藤崎産業の取締役の薫子さん。80歳は過ぎているらしいが、SNSを使ったりしている館長のお祖母さん。「小さいことからでも、はじめれば進む。なにもやらなかったらゼロのままでしょう?」素敵だ。
肝心な百花は自信のない大学生だし、記念館の館長の一成は親の力で生計を立てているようにしか見えない。主人公2人が余り魅力的ではないのが残念だ。続編で成長するのか?
後、もう一つ、表紙が少し残念かな…
実在する「はいばら」や「竹尾」など、すぐにでも行ってみたくなった。