【感想・ネタバレ】歌う家 菓子屋横丁月光荘のレビュー

あらすじ

家の声が聞こえる──幼い頃から不思議な力を持つ大学院生・遠野守人。縁あって、川越は菓子屋横丁の一角に建つ築七十年の古民家で、住みこみの管理人をすることになった。早くに両親を亡くし、人知れず心に抱くものがある守人だったが、情緒あふれる町の古きよきもの、そこに集う人々の物語にふれ、自分の過去にむきあっていく。人もものも、記憶を抱いて生まれ変わることができる。心のいちばんやわらかな場所にやさしく沁みる新シリーズ、第一作。

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Posted by ブクログ

家の声が聞こえる大学院生の物語。

それぞれの家のストーリーがあたたかく、切なく響きます。
叶った想い、叶わなかった想い、いろんな想いがあり、人生だなぁ、と思います。

どんなふうに登場人物たちの関係性が広がっていくのか、続きも楽しみです。

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2025年10月03日

Posted by ブクログ

「言葉の園のお菓子番」が素敵で思わずほしおさんの他の小説も…と思い、以前から気になっていた本書を手にした!(活版印刷三日月堂シリーズにも手を出しているのに、また新しいシリーズを読み始めてしまった…)
映画やドラマの聖地巡礼をテレビでよく見かけるが、あまり興味を持たなかった。
が、これを読んだら…行きたくなります!川越!
テレビで何度も見かける川越…素敵な町、見ているだけで好きな雰囲気だなぁと思ってはいたけれど、本書を読んだら益々興味津々(^^)

遠野くんやべんてんちゃん、遠野くんが管理人を勤める資料館、佐久間さんと藤村さんの珈琲豆のお店…川越の街も彼らが作り出す温かく少し不思議な空間もこれから本の中で(実際にも)たっぷりと味わっていきたいな!

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2025年04月24日

Posted by ブクログ

ほしおさなえの菓子屋横丁月光荘 歌う家を読みました。
主人公は、幼い頃から家の声が聞こえると言う不思議な力がありました。
大学院生になり、通学に片道2時間かかっていたのですが、教授から川越の築70年の家の管理人の話があり、川越に住むことになりました
川越は蔵造りの古い建物がたくさんあり、改築するにあたり、黒漆喰など建築家の私にとって興味深いものはたくさんあり、その建物とその周りの人たちの温かいやりとりがとても面白かったです。
シリーズの第一作なので、他の続編も読んでみたいと思います。

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2023年07月28日

Posted by ブクログ

またまた川越が舞台
男子学生が語る物語ってほしおさんには新しいパターンですね

梨木香歩「家守綺譚」や内田善美「草迷宮・草空間」のようなテイストで自分はとっても好きです!
一章ごとに違う家が登場する連作のようですね
安心して読めそう

MZTさんの布教本(^^)
まとめて貸してくれたのでしばらくはこの世界で楽しめそうです

●月光荘
歌う家 浮草の灯 文鳥の宿 丸窓

古家
次へ繋ぐのを見届けて安心する物語があったが
家に何か意思のようなものがあると思うと
自分は耐えられそうもない
出来るならばこの家に思い出が少ない人に渡したい

ただ現在家があるというのは幸せな事と思う

・切り紙
家族の価値観が違う
主人公の祖父は本人に良かれと思って
道筋を整えて行かせようとする
それが本当にベストなのか
そんな主題が見え隠れ

本人らしく生きていけばいいのだが
どこへも行こうとしない又は行けない時は待つだけでいいのか

小説に生きる人達は上手くつながって
生きる道筋を見つける…きっとそうだろうな

月光荘がなんだか可愛い

空っぽだった大地の下に豊かな場所がある…らしい
自分にもいつか見つけられるだろうか
…ダイジョウブ…

・オカイコサマ
家と話せる人が他にもいた…
小説の中だけのはずなのに事実そんな事がありそうに思ってしまう
ストーリーを追うだけじゃなくて
家についての真実を知りたくなってしまう


街づくりイベントで人が集まっていくのは楽しい
そんな章も良いのだが月光荘との会話が心地よい
唐突だったけど海に行くのは自分も風景が見えてよかった

月光荘の物語も進行形ではなく
終わりがあるのに気がついた
確か貸してくれた本は完結してた気がする
次の巻は最終になるのかなあ


最終巻?まで読みました
もしまだ続きがあるのなら
両親を一度に無くした事を昇華させてあげたい

旅に出るような番外編も読みたいな

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2022年12月23日

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ほしおさなえさんの本が読みたくて手にした本です。期待通り良い気持ちになれて嬉しいです。古い家にまつわる物語でもあり守人の物語でもあるようです。続きを読みたくなります。

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2025年08月27日

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馴染みのある川越を舞台に、やさしい物語が展開されていていた。
知っている地名、スポットがたくさん出てきて、楽しかった。
川越の奥深さを感じる物語で、特に夜の描写が印象に残っている。何度も川越には足を運んでいるが、不思議と「また行きたい」と思えるような作品。

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2024年05月25日

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シリーズ一作目。
「活版印刷三日月堂」シリーズと同じ、川越が舞台。
古い建物の声が聞こえるという大学院生の遠野が主人公。
川越のそのような建物を改修して、住んだりお店にしたりといった中でストーリーが展開する。ほっこりなごみ系。

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2024年04月10日

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悪い人が出てこなくて良い。ファンタジー要素がほんの少しなのも良い。古い町と建物、コーヒー香る場所を感じながら穏やかに読める。

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2022年12月22日

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川越を舞台にした、やさしく懐かしい感じのする物語。
出てくる登場人物がみんな素直で一生懸命で、こんなふうに生きられたらいいのにな、と思わせる。哀しい部分はあっても凄惨さやダークな感じはなく、安心して読むことができる。

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2022年06月07日

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家の声が聞こえる大学院生の守人。 川越の古民家で管理人としての暮らしをはじめる。 家の声はかつて暮らしていた人や建物の思いなのか。 誰かに見守られているように、暖かくなるお話。 同じ川越を舞台にした、活版印刷三日月堂のシリーズに出てきた喫茶店の名前が出てきて、繋がってるんだなと。

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2022年03月07日

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川崎、菓子屋横丁という言葉に惹かれて購入。
仙人みたいな主人公が、縁あって川越の菓子屋横丁で月光荘の管理人に。家と家族の物語。
三日月堂に出てきた桐一葉が登場して、にんまりした。

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2021年06月04日

Posted by ブクログ

ほしおさんの作品は、ここ数年たくさん読んできた方だと思う。
読む前は、主人公が家の声を聴くことができる力を持っているという設定に引いた。
が、読み終わってみると、主人公遠野守人の生い立ちが丁寧に描かれ、ファンタジー設定が浮いていない。
そこはさすがだなあ、と思った。

三日月堂シリーズと同様に川越の町が舞台。
前よりも町が丁寧に描かれているような気がするが、それは一連のほしお作品で私が教育されたからか?

古民家をリノベーションしていく話。
何だか「ふるカフェ ハルさんの休日」を見ている気分になる作品。

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2021年04月29日

Posted by ブクログ

主要人物のポテンシャル(魅力?能力?)がこれからもっと発揮されそうな気がするという意味で、本作はプロローグ的な印象を受けました。
続きがとても楽しみ。
三日月堂とのリンクもさらに増える?

川越、行ってみたいなぁ。

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2020年08月17日

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1回目に読んだ時は、家の声が聞こえる設定にあまり馴染むことが出来なかったが、読み心地は悪くなく、積極的ではないが読み進めたいなあという気持ちになった。
全巻読み終わった後に再度読んだ時も、後の巻で見られるような家と積極的な会話がないので、少し物足りなさを感じた。1回目と同様、読後感は良かった。

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2025年07月29日

Posted by ブクログ

あなたは、『家の声』を聞いたことがありますか?

  (*˙ᵕ˙*)え?

私たち人間は会話によってコミュニケーションをとる生き物です。会話は、文明を育み、今の世に続く人間社会の発展に欠かせないものでもあります。しかし、会話によってコミュニケーションを取るのは必ずしも人間だけではありません。近年の研究では、例えばイルカやクジラなどもいくつかの言葉を持っているとする説もあるようです。

しかし、幾ら研究が進んでも会話をするのは生物だけであることは変わらないでしょう。机や椅子が会話をする、そんな話はホラーの世界でしかありません。では、私たちが暮らす『家』はどうでしょう。『家』に心があって会話する、そんなことがあったとしたらそこにはどんな世界が広がっていくのでしょうか?

さてここに、『僕には家の声が聞こえる』と語る一人の大学院生が主人公となる物語があります。幼い頃から『家の声』を当たり前に聞きながら育った彼は、そんな『家の声』に心を傾けていきます。この作品はそんな大学院生が川越に移り住む物語。『築七十年』の『家の声』を聞く物語。そしてそれは、あなたにも聞こえるかもしれない『家の声』に耳を傾けてみたくなる?物語です。

『その声をはじめて聞いたのは、物心つく前だったのではないかと思う』と『家にいるとどこからか聞こえてくる声。そこにいる人、だれのものでもない』声のことを思うのは主人公の遠野守人(とおの もりと)。『その家が好きだった』と『古い木造の一軒家』に父と母と暮らしていた守人は『歌うようだったり、笑うようだったり、ささやくようだったり、寝息のようだったり、だが、なにを言っているのかまでは聞き取れない』という『その声を』聞きます。『赤ん坊のころからいつも聞こえていて』『あたりまえのものだ』と思っていた守人は、『母にそれが聞こえていない、と気づいたときは、ひどく驚』きました。そして、『小学校にあがる前の年』、『父が不在の夜』に『大きな台風が』接近し『夕方から雨と風がどんどんひどくな』り、『家がみしみしと軋』みます。そんな時、『これまで聞いたことのないような声』がし、『聞こえないの?すごく苦しそうなんだ』と訊くも母には聞こえていないことを知る守人。やがて風がやんだ次の日、『屋根が、丸ごと庭に落ちてい』ました。『この一件で』『前より声のことを強く意識するようになった』守人は、『声は絶対にある。でもほかの人には聞こえない。それでいい、と思』います。『これは建物の声なのだ』と思う守人。
場面は変わり、『ちょっとした提案があるんだけど』と大学院の指導教授である木谷に話しかけられた守人。そんな守人は『早くに両親を亡くし』、木更津にある『父方の祖父母』の家で暮らし、片道二時間かけて池袋にある大学へと通う日々を送っています。そんな守人に川越にある『築七十年の建物を改修した』友人が『建物の一階を地図資料館みたいな形で運営』するために『建物の世話をしながら住んでくれる人を探してる』と説明する木谷。『家賃はタダで、少しだけど給料も出す』と続ける木谷に興味がわく守人ですが、『築七十年』という古さに建物の声が気になります。『古い家だと聞こえることが多い。その声がおだやかなものであればよいが、そうでなかったら…』と思う守人。しかし、『一度見にいってみないか』という木谷の誘いに現地に赴くことを決めた守人。
再度場面は変わり、『小江戸』とも呼ばれる川越へとやってきた守人は『木の壁。入口の戸は、木の枠に模様入りのすりガラス』という家へとやってきました。『木谷先生のあとから、玄関のなかにはいった』守人は、『靴紐をほどこうとかがんだとき』『家の声』を聞きます。『聞こえるかも、と身がまえていたから、焦りはしなかった』という守人ですが、『これは、歌…?』と『抑揚があり、歌っているように聞こえる』声に耳をすまします。『なんの歌だろう?聞いたことがあるような気がするが、判然とし』ません。そんな時『いい家だ』、『なんだろう、すごく落ち着く感じだ』と言う木谷に、『え、ええ、そうですね』と言う守人は、『それ以上のものを感じ』ます。『薄暗いのにあかるい。怖いのにずっと居続けたくなる』とその感覚を思う守人。そんな守人が川越に移り住んだ先で、家の歌を聞く先の物語が描かれていきます。

“家の声が聞こえる ー 幼い頃から不思議な力を持つ大学院生・遠野守人。縁あって、川越は菓子屋横丁の一角に建つ築七十年の古民家で、住みこみの管理人をすることになった。早くに両親を亡くし、人知れず心に抱くものがある守人だったが、情緒あふれる町の古きよきもの、そこに集う人々の物語にふれ、自分の過去にむきあっていく”と内容紹介にうたわれるこの作品。読書情報誌「ランティエ」に2018年1月、3月〜6月号に連載された作品をベースに大幅に加筆修正の上刊行されています。そんなこの作品は「菓子屋横丁月光荘」シリーズの第1巻であり、このレビュー執筆時点で6巻まで刊行されています。

そんなこの作品の一番の魅力は作品の舞台だと思います。ほしおさなえさんというと「活版印刷三日月堂」シリーズがなんと言っても有名ですが、その舞台は埼玉県の『小江戸』とも言われる川越であり、この作品も同じく川越を舞台にします。そして、「活版印刷三日月堂」に比べてもはるかにその描写が濃厚であることを特徴としています。数多の小説には作品の舞台が物語を引っ張っていくものがあります。綿矢りささん「手のひらの京」、瀧羽麻子さん「左京区シリーズ」など京都を舞台とするもの、青山美智子さん「鎌倉うずまき紹介所」、小川糸さん「ツバキ文具店」など鎌倉を舞台とするものなど、リアルな街の描写を最前面に押し出して読者を魅了する作品は数多あります。一方でこの作品の舞台である川越は京都、鎌倉と比較すると訪れたことのない人も多い街だと思います。幸いにも私は一度だけ訪れたことがありますが、味わいのある街並みが強く印象に残っています。では、この作品で描写される川越を見てみましょう。まず意外な説明から入ります。

 『川越がいまのような町づくりを目指しはじめたのは一九八〇年代のことらしい』、『一九七〇年代には実質的な繁華街は駅周辺に移り、旧市街はすっかりさびれてしまっていた』、『それを住民たちが復活させ、いまの姿になった』

これには驚きました。あの街並みが整備されたのは、ほんの40年ほど前のことという衝撃の事実です。当時の住民の力がなければ今頃は失われていたかもしれないという街並み。『歴史的景観』を維持することの大切さ、難しさを感じます。では、実際の街並みを見てみましょう。『大正浪漫夢通りという小道』を進み、『商工会議所の角を左に折』れます。

 『右手に蔵造りの町並みが見えてきた』、『黒く重厚な店蔵が並び、江戸時代のようだ。テレビの映像では見たことがあったが、こうして実物を見ると想像以上に迫力があった』。

そんな光景を木谷はこんな風に解説します。

 『これが有名な一番街だよ。川越の蔵は貯蔵用の蔵じゃなくて、店蔵。通りに面して建ってるんだ。まあ、蔵っぽい建物のうち、本物は数が限られているみたいだけど』

『この蔵造りの町並みは江戸を真似たもの』であり、『東京では失われてしまった風景が残っている』という川越。『蔵造りは火災が起こったときに類焼を防ぐための耐火建築で、黒漆喰が特徴』といった豆知識もおり混ぜながら紹介されていきます。そして、その風景はこんな風に描写されます。

 『埼玉りそな銀行の古い洋館や、時の鐘という木造の鐘つき堂などもあり、着物姿で行き交う人や、外国人観光客らしい人たちも大勢いて、たいへんなにぎわいだ』

街のにぎわいが目に浮かぶように描写が次から次へとなされていきます。そして、それが止まることはありません。もう全編に渡って川越の魅力たっぷりに描かれていくのがこの作品の特徴です。正直な所、この作品の一番のポイントである『家の声』が聞こえるということが霞んでしまうくらいに、兎にも角にも川越、川越、川越…で展開します。川越を愛する方はもとより、『小江戸』川越に興味がある方にはこれ以上ない川越に満たされた作品だと思いました。

そんなこの作品は『僕には家の声が聞こえる』という主人公の守人の”不思議な力”に光が当たっていきます。『赤ん坊のころから』『家の声』を聞いて育った守人は、やがてそれが誰にでも聞こえるものではなく、自身に備わった”不思議な力”であることを認識します。

 『声は絶対にある。でもほかの人には聞こえない。それでいい、と思った』。

そんな守人は、『声が好き』になり、『人じゃないとわかっていても、それが聞こえると安心だった』という心持ちに変わっていきます。そして、大学院生となった守人は指導教授の木谷の提案で川越の『築七十年の建物を改修した』建物で管理人として暮らし始めます。

 『行っておいで』

そんな声を聞くようになる守人は、そこに『家も歌っている。声がふるえている』という経験をするようにもなります。

 『家の声がなんなのか、少しわかった気がした。言葉では説明できないけれど、僕とあの家が家族だったのと同じように、この人とこの家も家族だったのだ』。

そんな瞬間の到来。この作品は〈歌う家〉と〈かくれんぼ〉という二つの短編が連作短編を構成しています。いずれも舞台を川越とする中に、川越の古い家に、『声』を聞き、そこにあたたかな物語が広がっていきます。『僕には家の声が聞こえる』というと、そこにはファンタジーな物語が予想されます。しかし、そこに抱く感覚は、『小江戸』川越を舞台にした人々の日常を見る物語。古き良きものを大切にする人々それぞれの生活の様が丁寧に描かれていたのだと思います。

 『また声が聞こえた。かすかな声だ。声は大きくなったり小さくなったりする』。

『僕には家の声が聞こえる』という主人公の守人が川越にある『築七十年の建物』で暮らす様子が描かれていくこの作品。そこには、『家の声』に光を当てる物語が描かれていました。川越の街の描写に魅せられるこの作品。人々の優しさにほっこりとするこの作品。

ファンタジーな設定の物語にも関わらず、どこか懐かしい感覚にも包まれる、そんな作品でした。

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2024年08月21日

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『活版印刷三日月堂』と同じ川越が舞台。
表紙の絵も同じ人が書いているのかと思ったら違った(三日月堂は、中村至宏さん)。

月光荘の装画は丹地陽子さん。
三日月堂も月光荘も、素敵な表紙が目に留まって読むきっかけになった。
(『エチュード春一番』も『金曜日の本屋さん』も丹治陽子さんだった。)

やっぱり人が幸せになる話はいいなぁ。
守人も変わっていくのだろうか。
月光荘の歌う歌、聞いてみたい。

──
『菓子屋横丁月光荘 歌う家』
『菓子屋横丁月光荘 浮草の灯』
『菓子屋横丁月光荘 文鳥の宿』
『菓子屋横丁月光荘 丸窓』
『菓子屋横丁月光荘 金色姫』

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2024年04月19日

Posted by ブクログ

初めて読む作家さん。

家の声が聞こえる男子大学院生が小江戸川越の古民家で暮らし始めるところから、物語が展開していきます。

川越の実在する場所が出てくるので、気になる場所があったら実際に足を運べるの嬉しい。

川越の街の描き方や
家に魂が宿る考え方など
全体的に優しい雰囲気で、私は好きでした。
風の日に家が頑張ってくれたエピソードが特に好き。

シリーズもののようなので、続きも読んでみようと思います。

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

長距離移動のお供に、肩が凝らなさそうな短編集を連れて行こうと、未読棚からセレクト。題名だけ見て勝手にお菓子屋さんの話かと早とちりしてしまったが、古い家と昔ながらの街にまつわる話だった。
読み終わってから確認したら、新しいシリーズ第一作とのこと。うろうろと定まらない感じは、シリーズ全体のプロローグだからなのか。これからの展開に期待したい。

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2024年02月27日

Posted by ブクログ

川越に行ったばかりなので、ワクワクしながら読んだが…あまり最後まで気持ちが盛り上がらないまま終了。シリーズが出てるから面白いと思ったのに残念。

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2024年01月03日

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建物の声が聞こえる主人公が、川越の古民家に引っ越すお話。

昔ながらとかの家って何かいますよね。私も実家がそんな感じで、小さい頃は怖がってました…笑

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2023年10月28日

Posted by ブクログ

『活版印刷三日月堂』シリーズが良かったので、同著者の本書を手に取りました。
こちらも“三日月堂シリーズ”と同じく、川越が舞台となっております。

“家の声”が聞こえる、大学院生・遠野守人が主人公。
縁あって、川越・菓子屋横丁の一角に建つ古民家で、住みこみの管理人をすることになった守人ですが・・・。

長い時を経た家に、住んでいた人の記憶や思いが“声”となって聞こえてくる・・というと、何だかホラーな感じですが、全然怖くなくてむしろハートウォーミングなお話です。
幼い頃に両親と死に別れ、厳格な祖父に育てられた守人は、祖父に対するネガティブな気持ちを抱き続けていましたが、古き良き街とそこに暮らす又は訪れる人々と交流していくうちに、徐々に目を背けていた思いを受け入れていきつつあるようですね。
情緒あふれる街並みや建物の描写も魅力的で、川越を訪れてみたくなります。
ところで、“三日月堂シリーズ”に出てくる喫茶店〈桐一葉〉の名前が本書でも登場して、思わず口元が緩んでしまいました。

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2022年08月14日

Posted by ブクログ

仕事で川越に行く前に予習!と思って購入したけれど、当日は蔵の町にも到達出来ず…。
建築物好きとしては嬉しいテーマ(家と町のリノベーション+ヒト)。

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2022年06月15日

Posted by ブクログ

川越の街並みをじっくり見てみたくなるお話。ここに出てくるお家のモデルとかあるのかな。

お話的にはもう一歩欲しいかなと。あまり話に入り込めなかったかも。

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2022年06月06日

Posted by ブクログ

「活版印刷三日月堂」に続いて、埼玉県川越を舞台にしたシリーズの第1作。家の声が聞こえるって能力を持つ青年って云うことで、もっとファンタジー色が強いと思ってたら、この巻の2作では、さほど関係ない。次巻からはもっと話に絡んでくるのかな? 川越、行ったことあるが、改めて訪れたいね

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2022年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

碌にあらすじ知らないまま読んだので、思っていたのと違って少々戸惑った。
少しばかり、ファンタジック。でも嫌いじゃない。
川越には行ったことはないけれど、『活版印刷三日月堂』よりも踏み込んで、川越の魅力が伝わってくる。
登場人物が割と多めなので、忘れないうちに次巻へ。

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2021年03月16日

Posted by ブクログ

川越の古民家を舞台にした物語。
大学院生の遠野は、ある日ゼミの木谷先生より、川越の古民家の管理人みたいなことをしてみないか?と持ち掛けられる。
亡くなった祖父の家に一人で住み続ける遠野は、大学から近くなること、今住んでいる家を伯父たちが処分したがっていることから、引き受けることに。
1作目である今作は、舞台となる「月光荘」の歴史や、「月光荘」を取り巻く川越の街並みの説明がほとんど。
川越の街並みが目に浮かぶようだが、説明が多く、やたら知り合いが次から次へと湧いてきて、なかなか話に入り込めない。
遠野の家の声が聞こえるという特殊な能力も今後どのように活かさせて来るのか、1作目だけでは分からず…
木谷先生のコレクション・古地図の話も今後はもっと出て来ると、さらに面白くなりそうだが、どうだろう・・・
「活版印刷」「紙屋ふじさき」が好きな作品なだけに、つい個人的なハードルが上がってしまう…

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2021年01月13日

Posted by ブクログ

・家の声を聞くことができる体質の青年が歌う家で暮らすことになる。
・「もういいかい」「まあだだよ」という声がする建物。
・川越が舞台。活版印刷三日月堂と同じ世界のようなので知った顔や店が出てくるかも?
・川越のCMでもあるかな?

▼月光荘についての簡単なメモ

【旭爵位文庫】実際にある施設らしい。安藤さんが佐久間さんと藤村さんに紹介したかった建物。写真を見ると昔よく行ってたタイプの店舗建築だった。
【旭湯】銭湯。遠野が月光荘に入った日に行った。リアルにある銭湯だったが最近なくなったらしい。
【安藤万年/あんどう・かずとし】べんてんちゃんの友人のトモちゃんのおじいさん。喫茶店「羅針盤」の経営者。月光荘に昔住んでいた女の子の知人。遠野守人くんの能力の理解者になってくれそうな雰囲気がある。
【家の声】遠野守人が聞くことができる。午前中に聞こえることはあまりなく夕方から夜にかけてよく聞こえるので物怪の一種かもしれないと守人は考えたりしている。
【家守/いえもり】家は人が暮らしていないとすぐ荒んでしまう傾向がある。それを防ぐため誰かに暮らしてもらうこともある。遠野守人くんはそういう役割だろう。「やもり」でもいいようだが両生類のヤモリと混同しそうだしここでは「いえもり」としとく。梨木香歩さんの『家守綺譚』は好きな作品だがなんとなくあれを思い出した。
【一行目】《その声をはじめて聞いたのは、物心つく前だったのではないかと思う。家にいるとどこからか聞こえてくる声。そこにいる人、だれのものでもない声。》p.8。いっとき本や作品の一行目ないしは一センテンスをコレクションしていたことがある。ただ、最近の作品はあまり一行目が魅力的でないのが多くいつの間にかやめていた。Eテレの2355やったかの読書週間特集で一行目を紹介するコーナーがあって「悪くないな」とか思ったんで復活してみようかと思う。
【大隅のおじいちゃんとおばあちゃん】月光荘に前に住んでた人たち。
【かくれんぼ】《かくれんぼというのは、隠れるためにするのではなく、だれかに見つけてもらうためにするのかもしれない。》第一巻p.197。
【菓子屋横丁】川越にある通り。元は菓子の製造卸の店が並んでいたが衰退し、後に駄菓子販売の店が並ぶ通りに変貌。月光荘がある。
【川越】《過去の姿が透けて見える》p.93。
【木谷】Y大学大学院で遠野の指導教官。専門は日本の近代文学で小説の舞台になった町の古い地図と現在の町を比較検証している。
【桐一葉/きりひとは】喫茶店。「活版印刷三日月堂」シリーズに出てくる店の名が出てきたので同じ世界のようだ。
【月光荘】遠野守人が管理人をすることになった町家。島田が老後の住まいとして改装している途中だが現在は利用の予定がなく管理人を探していた。遠野が初めて入ったとき歌声が聴こえた。「月光荘」という名前は近所の人が付けた愛称でなんでも小さな天窓のような丸窓があって夜になると家の中の光が満月のように見えていたかららしい。また家の中からものぼってくる月が見える。
【珈琲を自分で淹れる】《珈琲の時間はひとりの時間です》第一巻p.200。
【佐久間晃平/さくま・こうへい】喫茶店「羅針盤」の古くからの客。珈琲を淹れるのが趣味で焙煎屋を営むのが夢。四十二歳独身。一生結婚する気はないと宣言しているらしい。藤村さんは恋人のようだが?
【島田】月光荘の持ち主。木谷の知人。話し方からすると友人のようだ。
【蒼子/そうこ】本川蒼子。佐久間さんのお姉さん。
【遠野守人/とおの・もりひと】主人公。Y大学大学院生。建物の声が聞こえるタイプ。また、節目節目で彼の向かない方向から回避する道が示される運のいいタイプでもある。後輩からは悪い意味ではなく「仙人みたいな人」と言われている。
【遠野守人の父】実業家にと期待されていたがその道には進まず青年海外協力隊に参加、帰国後は大工になったもよう。
【藤村手鞠/ふじむら・てまり】喫茶店「羅針盤」の古くからの客。デザイナー。徳島出身で実家は和三盆の干菓子をつくっていたらしい。佐久間さんの恋人のようでもあるが? 三十五歳くらい。
【古い家】《古い建物に住むというのは、大きな魔物の腹にはいるのと同じだと思うんです。》by安藤さん、第一巻p.191。
【べんてんちゃん】→松村果歩
【まちづくりガイドライン】川越の旧市街、重要伝統的建造物群保存地区に設定されている規制。
【松村果歩/まつむら・かほ】木谷ゼミの三年。愛称は「べんてんちゃん」。家の松村菓子店が銭洗弁天のある熊野神社の近くだから。松村菓子店はカステラが美味しい。
【真山さん】月光荘の改築を手掛けた建築士。
【羅針盤】大隅さんの前に月光荘に住んでいた一家(月光荘を建てた人たち)の娘が同級生の安藤さんにくれた。くれた理由はわからない。いろいろあって安藤さんは今、喫茶店「羅針盤」を経営しておりその羅針盤は店に飾られている。

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2020年11月08日

Posted by ブクログ

幼い頃から『家の声が聞こえる』不思議な力を持つ大学院生の遠野守人。家族との縁が薄い彼に、大学の先生からの紹介で川越の菓子屋横丁にある古民家で住み込みの管理人をすることに。早速家主や先生と古民家に入った守人は、そこで家が歌っているのを聞き…。

予想していた内容とは違って守人はその不思議な力を人前で披露することはないし、家の歴史や過去の物語について謎解きすることもない。この辺りが私の好みとは少し外れていて物足りなかった。
ただ二話どちらの物語も温かなものだった。

家は大事にされればそれこそ何百年と生き続けるのだから、その中で幾世代も、幾人もの人や家族の人生を見守っている。
その人生では楽しいこと嬉しいこと幸せなことがある一方で辛いこと悲しいこと苦しいこともある。
二話とも家が守人に悲しみや苦しみの声を聞かせるのではなく、温かで楽しい声を聞かせてくれたのが印象的。
守人が両親の死をきっかけに家を出ることになった幼い頃の想い出のシーンでは、幼い守人の悲しみに共鳴するかのように家も慟哭していた。
ということは、今の守人の心の状態、そして家と寄り添おうとしている姿に家も共鳴しているのだろうか。
またはかつての住民が過去は苦しくても今は穏やかに前向きに生きていることを教えようとしているのか。

一歩違えばホラーになりそうな設定を温かなファンタジーに展開してくれたのは作家さんの持ち味だろうか。
初めて読む作家さんなので知らなかったが、他のシリーズとのリンクもあるようだ。

『草食系』を通り越して『仙人』と呼ばれるほど周囲からは内を見せない不思議な青年と見られている守人。そんな彼と対照的なキャラクターにしたいからか、後輩の『べんてんちゃん』こと松村果歩はグイグイ入ってくる。私は少々苦手なタイプだが、彼女の積極性で話が進むところもある。というより思うところをなかなか口に出せない守人では全く話が進まないのだから、べんてんちゃんに任せるしかないだろう。

この第一作ではそうして守人は家の物語を知り、『声』との答え合わせをする構成になっているが、第二作以降はどうなるのだろう。
守人に変化が起こるのか。

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2020年09月11日

Posted by ブクログ

歴史を重ねて趣のある古民家に手を加えて再生し、商売を始める人たちが我がまちにも増えている。こうした店がもっと軒を連ねてくれれば、城下町として魅力を増すのだけれど。と、読むほどに川越市をうらやましく思う。実際に昨年訪ねて、菓子屋横丁ほか散策して楽しめた。この小説そのものは、主人公ほか登場人物の人生の背景を縷々紹介されて…ま、これからいろんな広がりがあるのでしょう。

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2020年07月29日

Posted by ブクログ

守人は、幼い頃からふとした時に家の声が聞こえる、不思議な力を持つ大学院生。
指導教授の紹介で川越の築七十年の古民家に移り住むことになった守人に聞こえたのは、その家の歌う、少し調子外れな童謡だった。

川越で生まれ育った人も、その佇まいに惹かれて集まった人も、古き良きものを愛でる優しい人ばかり。
守人も、そんな人々との交流の中で、心をひらいていく。


ふんわり、ほのぼのに浸れる。
同じ川越を舞台にした「三日月堂」のシリーズと違い、どこか薄味。
彼の持つ力のことを考えれば、建築関係の道に進むとか、古民家再生の仕事に関わる仕事に就きたいとか考えそうだけれど…
守人が家の声を聞いても、それは彼の胸の内にとどめられているままで、少し歯痒いような。

ちょっと、観光案内的な描写が多すぎるような気もする。川越が、魅力的な町だということはよぉ〜くわかりましたよ…

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2024年12月10日

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