ほしおさなえのレビュー一覧
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購入済み
不思議な能力をいつ使うだろうか
汀さんに備わっている不思議な能力をもし自分が持っていたら、
どの写真に対していつ使うのだろうか?
汀さんは物語りの最後に出てきたあの写真にいつ不思議な能力を使うのだろうか?
どちらとも幸せな景色が見える! -
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ほしおさんらしい、伝統工芸とそれにかかわる人々を温かく描いた小説。
今回は少女時代を飛騨高山で過ごした縁で金継ぎをする女性千絵と、キャリアウーマンの娘結子、そしてその娘の高校生真緒の三代を軸に展開する。
金継ぎの技はもちろん、漆の特性、春慶塗の特徴、そして最近の漆畑を守る人々のことまで、丁寧に描かれる。
夫の浮気を耐え忍び、金継ぎにのめり込んだ千絵の世代から、女性の生き方が移り変わっていくことも、一つのテーマのようだ。
ちょっと残念だったのは、語り手の個性がわかりにくいことか?
三世代の女性たちが、章ごとに語り手を務めるのだけれど、ぼんやり読むと語り手は誰なのかわからなくなってしまう。…私だけかもしれないが。
まあ、進路に真剣に悩み、工芸に興味を持つ真緒に、ギャル語で話してほしいとは思わないけれど。 -
購入済み
和紙の世界
シリーズ第3作目。今回も和紙に纏わるエピソードがたくさん盛り込まれ紙も言葉も強くて暖かい。百花の世界が広がっていく物語、この優しい人達の集まるほしおワールドは、やっぱり素敵です。
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Posted by ブクログ
家の声が聞こえる、不思議な能力を持つ守人を主人公にしたシリーズ第3弾。
2作目で登場した「二軒家」を街づくりの為、改修するところから始まる。
改修しようと、「二軒家」の中を片付けるボランティアに参加した守人は、天袋に隠されていたひな人形を発見する。
以前、住んでいた家族には女の子の子供はおらず、しかも三人官女の一人が欠けていた。
そんな謎だらけのひな人形を、せっかくだからと月光荘に飾ることに。その飾りを観つつ、昔ながらの遊び「貝合わせ」を作るワークショップを開催することにした守人たち。
「貝合わせ」自体は記憶にないが、自分が子供の頃は、毎年近所の家でお雛様の飾りつけをしたことを思い出す。お雛様や鯉のぼりを飾る習慣はいつから無くなってしまったのかと、感慨にふけりながら、読んだ。
2作目では、守人の同級生・田辺の祖父母にまつわるエピソード。3作目では以前は料亭だった「新井」と言うお店をリノベーションして、旅館にするに当たり、リーフレットを作成すると言うエピソードが語られる。
ここまでで、守人が川越に来て、約1年。
自分が何がしたいか、悩んでいた守人だったが、川越に来て、様々な人に出会い、様々な経験をして、自分の道を見つける。
と、ここできっとこの作者さんのことなので、このシリーズは終了なのだろう。
最後のエピソードでは思い切り「三日月堂」や「桐一葉」も登場し、「活版印刷」から読んでいるファンには嬉しい限り。
そして、今シリーズでも川越と言う街を舞台に、人と人との繋がりの大切さ、温かさを考えさせられた。
古くからの友人とでさえ、簡単に会えない時間が続き、ふさぎ込んでいた私の心にも「文鳥」がふらっと飛んできた。そんな感じのするラストだった。
コロナが終息したら、川越に行って、この作品と「活版印刷」を堪能しよう。 -
Posted by ブクログ
老舗紙メーカー、藤崎産業の資料館でバイトをする大学生、百花。
ものづくりが好きな百花の物語の続編。
小冊子研究会の文化祭、館長の先輩が開業した書店などのエピソードも楽しい。
蝋引きは、自分でもやってみたくなる。
今回も、百花が商品開発をする。
モデルで彫金のアクセサリー作家、淵山雫の新作のパッケージ、そして館長の先輩綿貫の書店で商う「物語ペーパー」など。
おとなしめな百花だが、今回の彼女は少し挑戦的。
というのも、彼女のボスに当たる館長・一成の従兄弟が雫に関わって登場したから。
何かと一成に敵愾心を持ち、資料館の廃止論者。
何かお家騒動の雰囲気が漂い、物語にも緊張感を生み出す。
今後も尾を引きそうな感じだ。
ところで、同じ著者の『活版印刷三日月堂』でも和紙のことが出ていた。
この作品では正面から和紙を題材にしている。
今まで何が不満って、どうして和紙を扱っていながら美濃和紙について全く言及がないのかということだった。
だって、和紙にとって、美濃は「聖地」だよ?
東京が舞台とはいえ、スルーはあんまりじゃない?
そうも思っていたが、やっと登場。
今回、名古屋での紙こもの市開催、そのついでの美濃市訪問がやっと叶う。
すてきな古い町として描かれていて、よかった。
さて、まだ続編が出そうだ。
先が楽しみになってきた。 -
Posted by ブクログ
・家の声を聞くことができる青年、守人の周辺で起こる優しいできごとのシリーズ二巻目。ようやく川越にも馴染んできた。
・三日月堂でも出てきた古書店「浮草」の顛末。あちらではさらっと描かれていた部分。浮草のつぶやく声は? そしてなんと月光荘と会話ができるようになる。
・廃業した和紙専門店。切り紙、窓紙づくりのワークショップを行う。
・オイテカナイデ、と語る家と少年。
▼月光荘についての簡単なメモ
【旭爵位文庫】実際にある施設らしい。安藤さんが佐久間さんと藤村さんに紹介したかった建物。写真を見ると昔よく行ってたタイプの店舗建築だった。
【旭湯】銭湯。遠野が月光荘に入った日に行った。リアルにある銭湯だったようだが最近なくなったらしい。
【安西明里/あんざい・あかり】Y大学立花ゼミの学生。古書店「浮草」でアルバイトをしている。三日月堂の登場人物の一人で、そのときは課題で川越を題材にした雑誌づくりをした。四人姉妹の末っ子。自信のないタイプで進路に悩んでいる。
【安藤万年/あんどう・かずとし】べんてんちゃんの友人のトモちゃんのおじいさん。喫茶店「羅針盤」の経営者。月光荘に昔住んでいた女の子の知人。遠野守人くんの能力の理解者になってくれそうな雰囲気がある。
【家の声】遠野守人が聞くことができる。午前中に聞こえることはあまりなく夕方から夜にかけてよく聞こえるので物怪の一種かもしれないと守人は考えたりしている。
【家守/いえもり】家は人が暮らしていないとすぐ荒んでしまう傾向がある。それを防ぐため誰かに暮らしてもらうこともある。遠野守人くんはそういう役割だろう。「やもり」でもいいようだが両生類のヤモリと混同しそうだしここでは「いえもり」としとく。梨木香歩さんの『家守綺譚』は好きな作品だがなんとなくあれを思い出した。
【石野】ふんわりした外見と裏腹に強情っ張りで毒舌。会社員になったがブラック企業だったらしい。
【一行目・第一巻】《その声をはじめて聞いたのは、物心つく前だったのではないかと思う。家にいるとどこからか聞こえてくる声。そこにいる人、だれのものでもない声。》p.8。いっとき本や作品の一行目ないしは一センテンスをコレクションしていたことがある。ただ、最近の作品はあまり一行目が魅力的でないのが多くいつの間にかやめていた。Eテレの2355やったかの読書週間特集で一行目を紹介するコーナーがあって「悪くないな」とか思ったんで復活してみようかと思う。
【一行目・第二巻】《九月のあいだは残暑が続いていたが、十月になってようやく少し涼しくなった。》
【浮草】古書店。三日月堂の話にも出てくる。児童書の棚もあるらしい。
【大隅のおじいちゃんとおばあちゃん】月光荘に前に住んでた人たち。
【かくれんぼ】《かくれんぼというのは、隠れるためにするのではなく、だれかに見つけてもらうためにするのかもしれない。》第一巻p.197。
【笠原宗介】守人たちのみっつ上の先輩。紙店の息子だが跡は継がず会社員になる。
【笠原方介】笠原宗介の父。気難しそうに見えるがそうでもない。代々継いできた紙店を廃業する。
【笠原美代子】笠原宗介の母。
【菓子屋横丁】川越にある通り。元は菓子の製造卸の店が並んでいたが衰退し、後に駄菓子販売の店が並ぶ通りに変貌。月光荘がある。
【川越】《過去の姿が透けて見える》第一巻p.93。
【神部/かんべ】笠原の会社の先輩。起業を考えている。
【木谷】Y大学大学院で遠野の指導教官。専門は日本の近代文学で小説の舞台になった町の古い地図と現在の町を比較検証している。郵便局員だった父が集めた昭和期の地図を月光荘で展示している。
【切り紙】紙を折って切ったりしてデザインされたものをつくる遊び。笠原宗介と神部が中心になって月光荘の空き部屋でワークショップが行われた。
【桐一葉/きりひとは】喫茶店。「活版印刷三日月堂」シリーズに出てくる店の名が出てきたので同じ世界のようだ。
【月光荘】遠野守人が管理人をすることになった町家。島田が老後の住まいとして改装している途中だが現在は利用の予定がなく管理人を探していた。遠野が初めて入ったとき歌声が聴こえた。「月光荘」という名前は近所の人が付けた愛称でなんでも小さな天窓のような丸窓があって夜になると家の中の光が満月のように見えていたかららしい。また家の中からものぼってくる月が見える。郵便局員だった木谷の父が集めた昭和期の地図を展示している。
【珈琲を自分で淹れる】《珈琲の時間はひとりの時間です》第一巻p.200。
【佐久間晃平/さくま・こうへい】喫茶店「羅針盤」の古くからの客。珈琲を淹れるのが趣味で焙煎屋を営むのが夢。四十二歳独身。一生結婚する気はないと宣言しているらしい。藤村さんは恋人のようだが?
【沢口】大学生のときの大学祭で同じ展示グループだった友人。姉御タイプ。
【島田】月光荘の持ち主。木谷の知人。話し方からすると友人のようだ。
【正月】《年明けは家たちがみんな黙る。》第二巻p.211。どうやらどこかに出かけているらしい。出雲とか?
【蒼子/そうこ】本川蒼子。佐久間さんのお姉さん。
【田辺】大学生のときの大学祭で同じ展示グループだった友人。コミュ力が高い。埼玉県の高校で教師をしている。
【魂】《人はその魂で人を支える。大人でも子どもでも老人でもみな魂をもっていて、魂には大きさなんてない。だから、だれだってだれかを支えることができる。》第二巻p.291
【月夜と眼鏡】小川未明作。第二巻「浮草の灯」で守人が古書店「浮草」で購入する。おそらく新潮文庫だろう。我が家にもある。ほとんどの本を売ってしまったときにも残したもののうち一冊。
【データ】《データというのは「ある」ようで「ない」。》第二巻p.133
【遠野守人/とおの・もりひと】主人公。Y大学大学院生。建物の声が聞こえるタイプ。また、節目節目で彼の向かない方向から回避する道が示される運のいいタイプでもある。後輩からは悪い意味ではなく「仙人みたいな人」と言われている。
【遠野守人の父】実業家にと期待されていたがその道には進まず青年海外協力隊に参加、帰国後は大工になったもよう。
【豊島つぐみ/とよしま】安西明里の立花ゼミでの友人。三日月堂の登場人物の一人でそのときは川越を題材にした雑誌づくりをした。Y大学の修士課程に進む予定。
【藤村手鞠/ふじむら・てまり】喫茶店「羅針盤」の古くからの客。デザイナー。徳島出身で実家は和三盆の干菓子をつくっていたらしい。佐久間さんの恋人のようでもあるが? 三十五歳くらい。
【古い家】《古い建物に住むというのは、大きな魔物の腹にはいるのと同じだと思うんです。》by安藤さん、第一巻p.191。
【べんてんちゃん】→松村果歩
【べんてんちゃんのお姉さん】→松村果奈
【牧野綾乃】悠くんのお母さん。離婚してシングルマザー。日本茶インストラクターをしていて駅ビルの日本茶の店で働いている。
【牧野悠】切り紙ワークショップに来ていた少年。「おいてかないで」という声がするとウワサの家を慰めようとしていた。
【まちづくりガイドライン】川越の旧市街、重要伝統的建造物群保存地区に設定されている規制。
【松村果奈/まつむら・かな】べんてんちゃんのお姉さん。保育士。
【松村果歩/まつむら・かほ】木谷ゼミの三年。愛称の「べんてんちゃん」は家の松村菓子店が銭洗弁天のある熊野神社の近くだから。松村菓子店はカステラが美味しい。川越の生き字引。
【松村徹二】べんてんちゃんのお父さん。菓子職人。婿に入った。
【松村桃子】べんてんちゃんのお母さん。
【窓花】切り紙を飾りとして窓に貼ったもの。川越という街には似合っていると守人は思う。
【真山さん】月光荘の改築を手掛けた建築士。
【水上】古書店「浮草」の主人。《なんだか、今日はいい日だなあ》第二巻p.98
【守谷】水上の前の古書店「浮草」店主。
【守谷さんの奥さん】本の声が聞こえる人だった。元々「浮草」は奥さんのお父さんの蔵書を他の人に渡すために始めた古書店だった。
【悠くん】→牧野悠
【悠くんのお母さん】→牧野綾乃
【羅針盤】大隅さんの前に月光荘に住んでいた一家(月光荘を建てた人たち)の娘が同級生の安藤さんにくれた。くれた理由はわからない。いろいろあって安藤さんは今、喫茶店「羅針盤」を経営しておりその羅針盤は店に飾られている。
【和ろうそくの店】旧花街を抜けたところで見つけた店。調べてみると「HAZE(ヘイズ)」という店があった。そこがモデルなのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
活版印刷のほしおさんが、今度は和紙をとりあげる。
とはいえ、三日月堂のシリーズでも、細川紙のことがでていたから、和紙に光が当たるのも、自然な流れか?
主人公は吉野百花という大学生。
日本文学専攻で、小冊子研究会というサークルに入っている。
ちょっと内気なところがあるが、手先が器用で、紙を使った小物を作るアイディアも豊か。
その百花が、器ものを商う叔母、紫乃の導きで、製紙業を営む藤崎産業の記念館で働くことになる。
創業一族の館長一成は、若く、紙への情熱も人一倍だが、和紙で商売が成り立つ時代ではないとあきらめ、無気力になっている。
少し偏屈な一成が、百花の懸命さにふれて変わっていく、という筋書きはまあ、安心感のある展開。
続巻もあるようなので、今後、どんな和紙の世界が繰り広げられるか、楽しみ。
紙屋ふじさきをSNSでPRする件も面白かった。
しかしこれは、サザエさんとは異なり、年を取らない小説ではなさそう。
百花は大学二年生。
就活で苦戦する先輩の様子が描かれるように、百花にもやがて立場の変化は訪れるだろう。
大河シリーズにはならない気がする。