あらすじ
八王子のリユース着物店「本庄の蔵」で着物査定を担当する本庄琴子は、出張買取のため店主・柿彦の運転する車で、横浜に住む日向菊子の家に向かった。「本庄の蔵では着物についた念を祓ってくれる」という噂が流れており、菊子はそれを聞いて依頼してきたらしい。着物の記憶が見えることを、柿彦以外には誰にも話したことのない琴子だったが、菊子の家で触れた振袖の強い「意志」に、つい……。繊細な手仕事で作られた総絞りの振袖が記憶していた恋の物語。シリーズ第二巻!
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シリーズ二作目。着物も伝統的な手仕事で作られたものということが良く分かる。だからこそ、想いも宿ることも不思議ではないけど、琴子さんが心配。柿彦さんの存在が大きいかつ良き理解者。
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娘の残した振り袖に残る記憶は
彼女しか知らない想いを
琴子は読み取れるのだろうか
周りの人が思い出すこともあって
記憶って不思議なからくりみたい
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シリーズ第2弾。着物の記憶が見える琴子が今回見るのは総絞りの振袖が記憶していた恋の物語。切ないけれど素敵なお話。夢が叶って続けられている人ってほんのひと握り。だからこそ皆現実と折り合いをつけている。このシリーズは着物についても色々知れて興味深い。
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"付喪神”と言う通り、大事に使われたものには想いが宿るのだと思う。私は振袖を着なかったけど、代々受け継げるものがあるのは素敵。今回の振袖にも、また新しい世代の想いが刻まれていくんだろうな。丁寧に仕立てられた着物を想像しながら読むのも楽しかった。
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振袖の「意志」を感じた琴子は、依頼主に自分の力について語り、振袖を預かって夢を見る。
柿彦の懸念はもっともなことで、この先どう進むのか興味深い。着物にはとんと縁が無いけれど、こういう物語を読むと着られたらよかったなとは思う。
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着物と残された想い、記憶巡る物語の2巻。
前作は戦時下の記憶で、持ち主が戦時下女学生だったので、おおよそわたしの祖母より数歳年上くらい。今作は親くらいのお話だった。
世代も超えていくところは着物らしいなと思った。
強い思いは持ち主が死しても残るなんて聞くことあるけど、それに当てはめると今作は(いや、前作も?)「後悔」かなと思う。……それ以外の想い、記憶のお話が読んでみたいかなと思った。
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前作は戦争を絡めたずっしりと重い話だったが、今回は多少は身近な話で、総絞りの振袖に秘められた切ない恋のお話だった。
琴子が夢を見るたびに、秘密のベールが一枚ずつ剥がされていくようで、少し酷く感じてしまった。
その反面、次はどんな光景が広がるのか、美しい振袖を思い浮かべながら期待する気持ちが湧き上がってくる。
まさに覗き見なのだが、最後の光景はこちらも辛かった。
母より先に逝ってしまった娘、若くして和解できずに逝ってしまった想い人、思い出を処分して施設に行く母。
みんなみんな悲しい。
だけど救いがあるとしたら、娘の気持ちを汲むことができたことだろう。
一区切りつけて、新たな生活をスタートできたことはよかったと思う。
前作に引き続き、八王子〜横浜を繋ぐシルクロードの話、また「松竹梅」の本当の意味を知れたことは、とても有意義だったと思う。
しばらくシリーズが続きそうで楽しみだ。
2025/06/29 07:31
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着物に宿る思いを感じ取る琴子2作目。50代で病死した娘(真子)の振袖を視ることになり、大学時代の漫画家志望の彼との別れと真子の想いを知る。鈴をお守りに渡す柿彦の優しさよ。琴子と柿彦、柿彦の実家の人々のお話にも、いつかなるのかな。スピリチュアルな力を持った人ってさ、自分を大切にしない傾向あるよね(笑) 琴子が衰弱しない方法、あみ出してほしいよな、って(余計なお世話?)思ってしまう。読みやすかったけど、ジュンコさんに七回忌まで話さない、ほどの内容でもなかったような気もした。
Posted by ブクログ
連作短編でなく、通しで一つの着物に対する思いを紐解くつくりで、とても素敵なお話しでした。
ほしおさんらしい、静謐に感じる文書はこびで、自分は好みです。月光荘の女性版になるシリーズでしょうか。