ほしおさなえのレビュー一覧
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ネタバレ強き者、汝の名は…
きちんと後悔しているひとって、格好いいなぁ。
ちゃんと後悔する為には、勇気を出して踏み込んで、そこにあるものを受け止めて精査して、自分のしたことを噛み締めて、
そこから、出来得ることをすべて尽くして。それでも届かなかったところに、ほんとうの後悔があるんだろうなぁ、と。
そうして、ほんとうの後悔をしたからこそ、
その後悔は、ひとに渡せる形になるのだろう。
継承する、ということを強く感じる物語でした。
直近に読んだ弔堂/京極の、あの世論と云うか、わたくしの死んだあとの世界、という考え方に繋がるものがあって。
こういう偶然というか、何気なくテーマが繋がる、みたいなのも本 -
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「菓子屋横丁月光荘」の2冊目。
どこかで読んだような話と思えば、三日月堂の最終巻に出てきた古書店・浮草の話じゃないか。
店番の安西さんは、同じ巻の第2話の就活に悩む女子大生だよね。
ネットで見ると、作者は同じ時期にこれらの話を書いたようで、あちらの話をこちらから見ればという趣向。
何という話でもなかった最初の巻だったが、この巻になって、三日月堂に近しいテイストを感じて、なかなか良くなってきた。
昔と違って、歳を取って、最近、仕事で気持ちの通わない人とやり取りするのが億劫になっているのだけど、『人とかかわるのに痛みはつきもの。心を閉じてしまえばどんどん鈍感になれる。まわりになにも働きかけない -
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第一話チケットと昆布巻
主人公の竹野がなかなかとして捻くれている。
自分の仕事に満足出来ていなくて、試行錯誤中なのだと思うけど…。
でも、弓子さんの活版印刷への姿勢を見て、自分自身の仕事への向き合い方を学んでいく。
古い物の良さって何なんだろう。
私自身もわかってないなあ。
第二話カナコの歌
弓子さんのお母さんのカナコさんの物語。
カナコさんは透明感、清潔感があるとても素敵な人だ。
突然の病気で戸惑いや恐怖、残される弓子さんのこと、たくさんの思いがあったことであろう。
そして、周りの友人にも、もちろん生活があるんだけど…
友人の裕美にはもう少しカナコに寄り添って欲しかったな -
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ネタバレ明大 「君や結菜は、原因を自分の外に出して、外から見ることができるタイプなんだよね。自分の感情が原因だった場合も、とにかく外に出して対象を見ようとする」
茜 「それが言語化するってこと?」
明大 「そうそう。そうなれば対象をなんとかするとか、対象の捉え方や距離の取り方を変えるとかいろいろやりようが出てくるよ」
私は言語化するタイプです。言語化できないで混沌としてしまう人がいると考えたことがありませんでした。
明大は元々、問題を言語化できるタイプではなく、後天的に言語化することを習得。自分の弱点を自覚して修正していく力は、見習いたいと思いました。 -
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かつて織物で栄えた東京・八王子が舞台の作品
着物屋の養女、息子として幼い頃から着物に触れてきた琴子と柿彦がリユース着物を取り扱う店を出すことになる。
琴子には着物に触れるとその着物が宿す記憶を見ることができる体質を持つ。
日々たくさんの着物を査定する中で出会ったのは戦時中に着られていたであろう〝銘仙〟。
昔は普段着として着られていた着物。特に戦時中に着られていたその着物にはどんな記憶が、想いが宿っているのかを探る物語。
今は着物が身近な存在ではないけど、だからこそ特別なものとして、日本の古き良き伝統として丁寧に繊細に物語が描かれていた
〝衣は人を包む。包んで守る。そのために作られている。だか