ほしおさなえのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「三日月堂」「月光荘」「紙屋ふじさき」と読んできたが、ほしおさんの別のシリーズに行ってみる。
ちょっと少年少女向きって感じだが、疲れている頭にはちょうど良いか。
小学校5年生の七子が父親の仕事の都合で母親が昔住んでいた町に引っ越しをするところから始まるお話。
引っ越した先の古い一戸建ての家では、夜中に誰かは話している声が聞こえたり不思議なことが起こったり。どうやらこの町ではものに宿った魂(ものだま)の声が、聞こえる人には聞こえるらしい…。
七子は、ものだまの声を聞くことが出来る同級生の鳥羽と一緒に、周りで起こる不思議なことを解き明かしていくことになるが、最初の話は人物紹介や背景・設定の説明もあっていささかゆったり、まだ序の口といった趣き。
二話目でようやく少女探偵団っぽくなってきた。
行きつ戻りつの推理はやや子どもっぽいが、伝言板の暗号の謎解きは鉄道好きには結構楽しい。
その上で、暗号が解けてからがこの作者の真骨頂。増田くんやそのおばあちゃんが伝言板を通して伝えたかった思いにしんみり。
のみならず、多くの人が思いを伝言板に託した時代のことが偲ばれ、『いろんな人がいろんなこと思ってるんだなあ、って、それ見てるだけで、なんか力が湧いてくるんだ』というそば屋のおじさんの言葉にまたじんわり。
続きもそのうち読んでみようと思う。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第四作の「故郷の色 海の色」を入手できず、先にこちらを読む。
記念館はどうやら閉館することが決まったらしい。
この巻では、小冊子研究会で小川町に紙すきを見学に行くところから始まる。
そこで出会った指導員の岡本さんは、本職は料紙を作る職人さんで、墨流しの技術を持つ。
そんな縁で、墨流しを使った文箱を、最後のワークショップで作ることに決まる。
ところが、新型コロナウィルスが流行し始め、紙を扱う藤崎産業にも大きな影響が出始める。
小冊子研究会のメンバーたちの遠足の様子は、読むのは楽しいが、莉子以外、正直もはや誰が誰だか…。
しかも、菓子屋横町月光荘のシリーズとの混線してきたし。
今回は料紙のことが取り上げられ、書道のことも出てきた。
次の巻にもこの話続くのかしら?
なんとなく、次の巻あたりで最終巻になるのでは、という気がしているが。
小川町での楮かしきの様子が興味深い。
そして江戸から戦時中までの、小川町の紙づくりの歴史も詳しく知ることができた。 -
Posted by ブクログ
本編の番外編で、本編より少し短いお話が7編入ってました。全て本編に出てくる方々の『過去』のお話です。
本編の裏側を見ることが出来て嬉しかったです。本編ではもう亡くなってたりする方々の目線でお話が進んだり。「あのエピソードの時こう感じてたんだ」とかがわかったり、より深く楽しむことが出来ました。
弓子さんの弓子さんのご両親の馴れ初めや弓子さんに対する想いと願い…弓子さんの祖父母の想いや気持ち…。幼い頃から弓子さんはとても愛されていたんだなと思ったら胸の奥がポカポカして、嬉しくなりました❥
切ない気持ちにもなるけれど、それが日常の一コマなんだなと思いました。
-
Posted by ブクログ
清瀬駅、鎌倉高校前駅、下灘駅、京都駅。
それぞれの駅にまつわる心優しいアンソロジー。
清瀬駅以外は、美しい風景も目に浮かぶようで、疲れた心にはとても染みる。
手に取った理由はほしおさなえの作品が収録されているからで、それ以外の作家さんは初読み。
そして、意外にもほしお作品以外がとても良かった。
特にお気に入りは下灘駅を舞台にした「どこまでもブルー」。
作品にも描かれているが、鉄道ファンならば知らない人がいないと言ってもいいくらい絶景の下灘駅。
その下灘駅を日常的に利用する地元の人に移る観光客の描写が絶妙だったが、後半描かれる主人公の亡くなった母の想いがとても切なかった。
「クジラ・トレイン」以外は家族の絆を描いているが、どの作品も後ろ向きになった心をそっと包んでくれて、前に歩き出す力をくれる良作だと思う。
そこまで堅苦しくもないので、リラックスしたい時に読むのもおすすめ。