ほしおさなえのレビュー一覧

  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

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    金継をする祖母、ホテルに勤める娘、高校生の孫の、それぞれの生き方を丁寧に描いた物語。
    飛騨高山から大子へと、祖母の思い出の人を追う祖母と孫の旅。そこへ娘が合流し、今まで胸にしまっておいた思いを互いに語る。
    派手さはないが、胸に染み入って引き込まれた。
    漆に関わる人達の仕事ぶりを読みながら、以前思い切って購入した拭漆のお椀の美しさを思い浮かべた。これからも大切に使おうと思う。

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    2020年02月12日
  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

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    この作者ならではの、あたたかで芯の通った女性の生き方が清々しい。
    金継ぎという地味な仕事の中に自分なりの意義を見つけて技術を継承していく孫娘の真緒。
    女三代の人生には、それぞれ葛藤も諦めもあったが、またそれぞれに希望もある。

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    2020年02月01日
  • 菓子屋横丁月光荘 浮草の灯

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    ネタバレ

    活版印刷の登場人物がたくさん出てきた。
    ちょっと混乱したけど物語がより深くなった。
    切り絵は楽しそう。
    建物の声から会話に進化(?)したけど、
    ファンタジーと思えばそんな感じもありかもとは思うが、ん~~~ビミョー。

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    2020年01月12日
  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

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    ネタバレ

    この作者さんらしい暖かな世界観。漆や飛騨春慶や金継ぎの知識がいっぱい詰まってるのに読みやすい。結局修次さんに会えなかったことは残念だっただろうけど、行ったことで色々な気持ちの整理がついたんだろうね。今の世の中、壊れたら捨てるのが普通で修理する方が高くつくから、金継ぎを頼むこと自体がすごく贅沢なことなんだろうけど、きっとそうやって繕った茶碗には新品にはない深い味わいがあるんだろうな。この作者はそういう廃れそうだけど残したい技術に心惹かれるんだろうね。

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    2020年01月08日
  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

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    ネタバレ

    強き者、汝の名は…


    きちんと後悔しているひとって、格好いいなぁ。

    ちゃんと後悔する為には、勇気を出して踏み込んで、そこにあるものを受け止めて精査して、自分のしたことを噛み締めて、
    そこから、出来得ることをすべて尽くして。それでも届かなかったところに、ほんとうの後悔があるんだろうなぁ、と。
    そうして、ほんとうの後悔をしたからこそ、
    その後悔は、ひとに渡せる形になるのだろう。

    継承する、ということを強く感じる物語でした。

    直近に読んだ弔堂/京極の、あの世論と云うか、わたくしの死んだあとの世界、という考え方に繋がるものがあって。
    こういう偶然というか、何気なくテーマが繋がる、みたいなのも本

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    2019年11月26日
  • 菓子屋横丁月光荘 浮草の灯

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    「菓子屋横丁月光荘」の2冊目。
    どこかで読んだような話と思えば、三日月堂の最終巻に出てきた古書店・浮草の話じゃないか。
    店番の安西さんは、同じ巻の第2話の就活に悩む女子大生だよね。
    ネットで見ると、作者は同じ時期にこれらの話を書いたようで、あちらの話をこちらから見ればという趣向。

    何という話でもなかった最初の巻だったが、この巻になって、三日月堂に近しいテイストを感じて、なかなか良くなってきた。

    昔と違って、歳を取って、最近、仕事で気持ちの通わない人とやり取りするのが億劫になっているのだけど、『人とかかわるのに痛みはつきもの。心を閉じてしまえばどんどん鈍感になれる。まわりになにも働きかけない

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    2019年09月29日
  • 銀塩写真探偵 一九八五年の光

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    なんとなくプロローグのような物語。フィルム撮影と現像が重要な物語なので、主人公がフィルム撮影に興味を持って、撮影、現像を始めるまでにかなりのページを割いてる。物語のメインである銀塩写真探偵に関しては、主人公がその入り口に立ったくらいのところで終わってしまっている。これは続いてくれないと、なんだか中途半端な感じになっちゃうなぁ。

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    2018年07月20日
  • みずうみの歌

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    水に沈んだ街の物語。
    思い出の品をサルベージする仕事をしつつ、やがて自分のルーツを探る旅に出る。
    ノスタルジックな雰囲気が素敵でした。

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    2014年02月11日
  • みずうみの歌

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    ネタバレ

    静かに語りかけてくるような素敵な作品でした。
    とても良かったです。

    水の底に沈んでしまった街という物語の舞台が魅力的。
    登場人物達の抱える喪失感や苦悩といったものを映す鏡のようで。
    一方で水の底からサルベージされるかつての住人達の思い出の数々が温かな光を感じさせる。
    その対比の描かれ方が好きです。
    美しく透明感のある描写が物語に彩りを加え、不思議な世界へと導いてくれる。

    そしてバックアップワールドを描いた作中作がこれまた非常に魅力的でした。
    こういった概念の作品も好きなので、それ単体で読んでみたいな、と。

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    2013年12月21日
  • 活版印刷三日月堂 庭のアルバム

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    第一話チケットと昆布巻

    主人公の竹野がなかなかとして捻くれている。
    自分の仕事に満足出来ていなくて、試行錯誤中なのだと思うけど…。
    でも、弓子さんの活版印刷への姿勢を見て、自分自身の仕事への向き合い方を学んでいく。

    古い物の良さって何なんだろう。
    私自身もわかってないなあ。


    第二話カナコの歌

    弓子さんのお母さんのカナコさんの物語。
    カナコさんは透明感、清潔感があるとても素敵な人だ。
    突然の病気で戸惑いや恐怖、残される弓子さんのこと、たくさんの思いがあったことであろう。
    そして、周りの友人にも、もちろん生活があるんだけど…
    友人の裕美にはもう少しカナコに寄り添って欲しかったな

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    2025年11月27日
  • 言葉の園のお菓子番 森に行く夢

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    3作目。特にどうと云うことはないし、連句はさっぱりだが、なんとなく読んでて気持ちのいい小説。昔の少女漫画の話はちょっと懐かしかった

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    2025年11月17日
  • 星降る海 琴子は着物の夢を見る

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    誰も見覚えのない手描き友禅の謎を追いながら、”願い"の持つ力と”欲望"が生んだ切ない記憶を辿る。それが主人公の母親に繋がってくる展開が面白かった。「願いと妬みはセット」という言葉には説得力があって頷くしかない。このシリーズもそろそろ完結なのかなあ。

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    2025年11月17日
  • 梅、香る 琴子は着物の夢を見る

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    "付喪神”と言う通り、大事に使われたものには想いが宿るのだと思う。私は振袖を着なかったけど、代々受け継げるものがあるのは素敵。今回の振袖にも、また新しい世代の想いが刻まれていくんだろうな。丁寧に仕立てられた着物を想像しながら読むのも楽しかった。

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    2025年11月16日
  • 活版印刷三日月堂 海からの手紙

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    ★ちょうちょうの朗読会

    出来上がった朗読会のプログラム、私も見たいなあ。
    想像しながら一生懸命読むんだけど、想像がおいつかない。(^^;

    ★我らの西部劇

    父と子の心の確執や成長の物語


    前作同様に、活版印刷や店主の弓子さんと会話する事により、気づきを得たり成長したり。
    何が違うのかはわからないけど、前作の方がスっと理解できて感動もしたような。
    登場人物たちの状況が私の身近であるかどうかの違いなのかな。
    とはいえ、続きも気になるので次回作も読みます!

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    2025年11月13日
  • 銀河ホテルの居候 落葉松の森を歩いて

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    ネタバレ

    「第3和 十人十色 Blue Lagoon」

    定年を迎える教授の最後のゼミ旅行のお話。学生が卒論制作をすることで、学びが深まるだけでなく、教授である主人公もゼミ生の数だけ思うところがあったのではないか、もしかすると学生よりも多くのことを得られたのではないかと思いました。

    「元気で楽しく」
    色々と心に響く言葉がありましたが、極めて簡潔なこの言葉が特に印象に残りました。

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    2025年11月08日
  • 銀河ホテルの居候 光り続ける灯台のように

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    ネタバレ

    明大 「君や結菜は、原因を自分の外に出して、外から見ることができるタイプなんだよね。自分の感情が原因だった場合も、とにかく外に出して対象を見ようとする」

    茜 「それが言語化するってこと?」

    明大 「そうそう。そうなれば対象をなんとかするとか、対象の捉え方や距離の取り方を変えるとかいろいろやりようが出てくるよ」

    私は言語化するタイプです。言語化できないで混沌としてしまう人がいると考えたことがありませんでした。

    明大は元々、問題を言語化できるタイプではなく、後天的に言語化することを習得。自分の弱点を自覚して修正していく力は、見習いたいと思いました。

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    2025年11月08日
  • 琴子は着物の夢を見る

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    ネタバレ

    「このままいくとすぐに八十や九十になってしまいそうだ。そして死ぬ。だけどまだまだ読んでいないものがたくさんありますからね。死ぬまでにどれだけ読めるか」

    たくさん読むものがあると思うと私もワクワクします。積読の言い訳にもなると思いました。

    戦争がもたらした少女時代の悲劇。戦時中にはこのような話が数えきれないほどあったのでしょうが、小説中に描かれると非常に生々しく、改めて戦争の残酷さを感じました。

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    2025年11月06日
  • 琴子は着物の夢を見る

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    かつて織物で栄えた東京・八王子が舞台の作品
    着物屋の養女、息子として幼い頃から着物に触れてきた琴子と柿彦がリユース着物を取り扱う店を出すことになる。
    琴子には着物に触れるとその着物が宿す記憶を見ることができる体質を持つ。
    日々たくさんの着物を査定する中で出会ったのは戦時中に着られていたであろう〝銘仙〟。
    昔は普段着として着られていた着物。特に戦時中に着られていたその着物にはどんな記憶が、想いが宿っているのかを探る物語。
    今は着物が身近な存在ではないけど、だからこそ特別なものとして、日本の古き良き伝統として丁寧に繊細に物語が描かれていた

    〝衣は人を包む。包んで守る。そのために作られている。だか

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    2025年10月28日
  • おかえり草 祓い師笹目とウツログサ2

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    ネタバレ

    【収録作品】オカエリソウ/サザナミモ/シンキロウゴケ/マドロミソウ/フタツカゲ

    静謐な物語集。
    前作よりもいっそう静かな気がする。

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    2025年10月25日
  • 言葉の園のお菓子番~大切な場所

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    連句のところは面白いのだけど、きりん座のゴタゴタのところは読むのが面倒でした。あんまりよく知らない人たちのいざござを噂話の形式で語られるので、こっちは興味ない人達なんだけど、、、と思いながら読んでました。主人公の成長には必要な展開なのかもしれないけど、噂話じゃなくストーリーを入れ込んで欲しかったです。ひとつばたごの人達のエピソードの方がいいな。

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    2025年10月22日