ほしおさなえのレビュー一覧
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ネタバレ前作は戦争を絡めたずっしりと重い話だったが、今回は多少は身近な話で、総絞りの振袖に秘められた切ない恋のお話だった。
琴子が夢を見るたびに、秘密のベールが一枚ずつ剥がされていくようで、少し酷く感じてしまった。
その反面、次はどんな光景が広がるのか、美しい振袖を思い浮かべながら期待する気持ちが湧き上がってくる。
まさに覗き見なのだが、最後の光景はこちらも辛かった。
母より先に逝ってしまった娘、若くして和解できずに逝ってしまった想い人、思い出を処分して施設に行く母。
みんなみんな悲しい。
だけど救いがあるとしたら、娘の気持ちを汲むことができたことだろう。
一区切りつけて、新たな生活をスタートでき -
Posted by ブクログ
シリーズ第六弾。
連句会「ひとつばたご」での交流を通して、主人公・一葉の気づきと成長を描く連作六編が収録されております。
今回は前作で触れていた、「きりん座」の大輔さんと一葉のお父さんとの合同写真同人誌・『坂道ノート』作りの話が中心って感じですかね。
とにかく一葉のお父さんが楽しそうだったのが印象的で、大輔さんとも意気投合して打ち合わせも撮影もやる気満々でしたし、雑誌作りをきっかけに学生時代の写真仲間との交流も復活したりと、イキイキ輝いている様子が伝わってきました。
勿論、一葉も『坂道ノート』のイラストやフリーペーパー制作、そして大輔さんと共に文芸マーケットに参加したりと連句以外での活動も -
Posted by ブクログ
母の死後、生きる意味が見いだせずにいる20代後半の女性、槐(えんじゅ)が主人公。川越で染織の工房を営む叔母の伊予子と、不慮の事故で心を閉ざしている大学四年生のいとこの綸(りん)との暮らしのなかでの物語でした。
各章のタイトルが草木染の色の名前です。読んでいるうちに、草木染と手織りが特徴の伊那紬の色の美しさや繊細な織り目を実際に見てみたくなりました。それぞれの色が、木の枝や根などの自然の素材で作られたものだということや、どうやって染めるのかとか、手織りの織り方などが詳しく書かれていました。
小説では、三人で暮らすうちにそれぞれが生きていく方向を見つけることが出来ました。信じられないような出来