ほしおさなえのレビュー一覧
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軽井沢にあるイギリス式建築のホテル。
イングリッシュガーデンも併設されている。
蔵書室の隣には手紙室があり、1000種類ものインク瓶が並べられている。
その部屋でワークショップを開催するのは、ホテルの従業員であり居候でもある、40代のイケメン。
と、なんともファンタジーのような舞台立て。
人生に疲れたり絶望した人がワークショップで手紙を書くために自分を見つめ直すことで、様々なことを思い出したり新しい視点を見つけて徐々に前を向けるようになる、というお話。
読みながら、私は逆に、人生に殊更な意味を求めないほうがいいな、と思った。
とても素敵なお話だと思うし、このようなお話で勇気づけられる人もたくさ -
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シリーズ7作目
祖母の遺したノートから見付けた連句の会「ひとつばたご」が、今では大切な場所になった「一葉」の物語も三年が経った。
職を失い、何者でもないと悩みながらも人と出会い仕事を見付け、自分自身のことも見付けられたような
「一葉」にほっとしつつ、少しずつ調っていく人生に共感した。
終盤、いつも参加者の立場だった一葉が、捌きというまとめていく立場を経験して、連句のまた違った1面に出会う場面に、私まで世界が広がるような気持ちになった。
連句を言葉で紡いでいくことで繋がった人たちと
言葉よりも深い場所で繋がっている。
私にはゼロから何か言葉を紡ぐことは、出来ないのでせめてとこのシリーズはやっぱ -
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シリーズ2作目。
亡くなった妻が残したメッセージから軽井沢を訪れた老紳士、SNSに疲れたOL、そしてフロントスタッフの三枝さんを主人公にした3篇。
銀河ホテルにある手紙室を舞台にした3つの物語は、過去、現在、未来、全てに繋がっているような気がして、文章を読んでいても、手紙室の重厚な雰囲気が伝わってくる。
正直、苅部の良さはまだ分からないし、インクと手紙だけで、どれだけ物語を広げていけるんだろうと、少し不安はあるが、ワークショップと言ってるところで今回の3作目のようなトリッキーな話もありなんだろう。
どうしても、紙屋ふじさき記念館の印象と重なり、この後どんな風にシリーズが続いていくのか、期待して -
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シリーズ7作目。
連句会「ひとつばたご」に一葉が通い始めて3年。
「ひとつばたご」の若手のメンバーたちは、オンラインで連句会を開催したり、文芸誌のコミケへの出展と大忙し。
これから連句の魅力を知って欲しいと言う趣旨で書いているので、7作読んで来ても、イマイチ連句のルールが分からない私にも今作はいろいろ分かりやすく、連句の面白さがシリーズ1で伝わってくる内容だった。
連句を趣味にしている人たちが、定期的に集まって、美味しいお菓子を食べるだけで、十分楽しいと思うし、一般的なサークル活動はそんなものだと思うけど、「ひとつばたご」のメンバーは未知なる世界へ挑戦していくのが凄いと思う。
話が広がっていく -
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ネタバレ本文から
p.134
古い紙の束に刻まれた文字。そこにはかつて生きていた人たちの言葉が宿っている。その人が死に、その身体がこの世から消えたあとも、言葉だけが文字になって残っている。
p.135
文字も着物の人の似姿だからだろうか。言葉は人の心をなぞろうとする。それを形にとどめたものが文字である。着物は人の身体を包み、身体の形をなぞる。そのとき心まで、なぞっているのかもしれない。
p.141
だれの目に触れることもなく、生き、死んでいくものなどこの世界には無数にある。
記録が残るものの方が稀なのだろう。そのようにして残すというのは、生きものにできることの範囲を超えたおそろしいことのように感じら -
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「こんなホテル、あったらいいな」が詰まった、南軽井沢の美しい洋館が舞台の物語。
ブラック企業に疲れ果てて実家へ帰ってきた、このホテルの息子が、風変わりな居候・苅部さんの主宰する手紙室を通して、自分自身を見つめ直していく。
作中に登場するフロントの女性が実践している「人の名前を覚えるアイデア」など、日常で真似したくなるようなエピソードもありつつ、全体的にじっくりと語りかけるような、丁寧で温かい言葉遣いが印象に残る。
ただ、人間の生々しい感情の揺らぎや、ビターな展開のドラマを好む自分にとっては、とても新鮮でお行儀が良い世界観に感じられたし、これこそが軽井沢の澄んだ空気にふさわしい、この著者な -
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自分の気持ちがわからない。
そんな人がこのホテルの手紙室で手紙を書くことで自分の気持ちと向き合うことができる。
確かに書くことで気持ちが整理されることはあることですよね。
書いてるうちに胸の底に眠っていた気持ちに気付かされたり…。
そんなワークショップがあるホテル。
手紙を書くにあたっての案内人は表題にある『居候』の人。
不思議な魅力のある人です。
(Word)
結局人生なんて短いものだ。これまでに出会った人とも別れていかなければならない。それならこれからだって、別れを恐れず、生きているかぎりいろんなことと出会っていこう。それがあたりまえだし、それでいいんだと思った。