ほしおさなえのレビュー一覧

  • 言葉の園のお菓子番~復活祭の卵

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    このシリーズも4作目
    主人公の「一葉」が連句の会「ひとつばたご」に通うようになって一年半ほどとなった。
    初心者から初級者位になって、連句のことも会に集う人たちのことも少しずつ、見えてきた。

    この会の主宰「航人」さんは生い立ちから愛されることがうまく出来ない人。
    でも懸命に人を思って生きている。
    「人って放っておくと自分のことばかり考えてしまうから。人はもっとほかの人のことを考えたほうがいいと思うんです。」
    「僕は大丈夫ですよ。大丈夫じゃないけど、大人ですからね。」
    そして、航人さんを昔から見てきた佳子さんはこう言う。
    「その傷は、彼女が変わったからと言って帳消しにはならない。そんな都合のいい

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    2025年08月19日
  • 言葉の園のお菓子番 森に行く夢

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    祖母のメモから始まった連句の会。
    毎月持っていくお菓子は、この会のお菓子番だった祖母が残したメモ通り。
    でも、今回の会に参加する新しい人はあんこが苦手だと言う。
    祖母が残したメモの今月のお菓子は「桜餅」。
    どうしたものかと悩んでいたら
    祖母が「定番は大事だけどルールじゃない。ただのルールになってしまったら、心がないじゃない」と話していたことを聞く。
    臨機応変に、新しいものも取り入れることで定番の良さを知ることもあるだろう。
    定番に固執することで、通り過ぎてしまう新しい風もあるだろう。


    今回はシリーズ3作目。
    少しずつ連句の会や仕事に慣れ始めた主人公「一葉」が、苦手意識があったことや、新しい

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    2025年08月17日
  • 言葉の園のお菓子番 孤独な月

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    連句の法則は難しい。捌きという人が居るからその人の導きに従いながら作っていく。現代的な歌も多くそんなに堅苦しくないのかもと思えた。
    登場するお菓子、和菓子がどれも美味しそう。
    ブックカフェがおしゃれで近くにあったら通いたい。

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    2025年08月08日
  • 言葉の園のお菓子番 孤独な月

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    シリーズ第2段

    前作で祖母の残したノートを読んだことから連句会「ひとつばたご」に参加した一葉。
    相変わらず月に1度、お菓子番だった祖母の代わりに毎月お菓子を買って参加していた。
    本屋時代に培った店内ポップ作成の仕事も少しずつ続けていた一葉に新しいお仕事のきっかけが訪れる。これも連句会「ひとつばたご」が繋いでくれたご縁。繋がれるご縁もあれば、1番大切な人との縁が途絶えてしまうこともある。
    それが人生。繋がって、切って、忘れて、覚えていく。
    各章に出てくる連句には難しい箇所もあり、理解出来ないことも多々あって読み止まってしまうこともあるけれど、眺めていると言葉が沁みて入ってくるこの物語。

    次も

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    2025年08月04日
  • おかえり草 祓い師笹目とウツログサ2

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    連作短篇5篇
    不思議なウツログサのもたらす怪異とそれを解き明かしてくれる祓い師笹目。「フタツカゲ」が良かった。

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    2025年08月02日
  • 歌う家 菓子屋横丁月光荘

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    1回目に読んだ時は、家の声が聞こえる設定にあまり馴染むことが出来なかったが、読み心地は悪くなく、積極的ではないが読み進めたいなあという気持ちになった。
    全巻読み終わった後に再度読んだ時も、後の巻で見られるような家と積極的な会話がないので、少し物足りなさを感じた。1回目と同様、読後感は良かった。

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    2025年07月29日
  • 活版印刷三日月堂 星たちの栞

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    ほしおさなえさんの作品が好きで、ずっと気になっていた一冊。
    活版印刷という静かで手間のかかる仕事を通して、人と人との心の機微が丁寧に描かれていて、読むたびに穏やかな気持ちになれました。
    大きな事件は起きないけれど、そのぶん登場人物たちのちょっとした一言や表情がじんわりと沁みてきます。
    自分の心のざわつきも落ち着いていくような、そんな読後感でした。疲れているときや、やさしい物語に包まれたいときに読み返したい一冊です。

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    2025年07月27日
  • 梅、香る 琴子は着物の夢を見る

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    ネタバレ

    前作は戦争を絡めたずっしりと重い話だったが、今回は多少は身近な話で、総絞りの振袖に秘められた切ない恋のお話だった。

    琴子が夢を見るたびに、秘密のベールが一枚ずつ剥がされていくようで、少し酷く感じてしまった。
    その反面、次はどんな光景が広がるのか、美しい振袖を思い浮かべながら期待する気持ちが湧き上がってくる。
    まさに覗き見なのだが、最後の光景はこちらも辛かった。

    母より先に逝ってしまった娘、若くして和解できずに逝ってしまった想い人、思い出を処分して施設に行く母。
    みんなみんな悲しい。
    だけど救いがあるとしたら、娘の気持ちを汲むことができたことだろう。
    一区切りつけて、新たな生活をスタートでき

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    2025年07月20日
  • 梅、香る 琴子は着物の夢を見る

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    ネタバレ

    着物に宿る思いを感じ取る琴子2作目。50代で病死した娘(真子)の振袖を視ることになり、大学時代の漫画家志望の彼との別れと真子の想いを知る。鈴をお守りに渡す柿彦の優しさよ。琴子と柿彦、柿彦の実家の人々のお話にも、いつかなるのかな。スピリチュアルな力を持った人ってさ、自分を大切にしない傾向あるよね(笑) 琴子が衰弱しない方法、あみ出してほしいよな、って(余計なお世話?)思ってしまう。読みやすかったけど、ジュンコさんに七回忌まで話さない、ほどの内容でもなかったような気もした。

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    2025年07月09日
  • 琴子は着物の夢を見る

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    ネタバレ

    ほしおさなえさんらしい物語。着物に宿る思いを感じ取る事ができる琴子。琴子の(複雑だけど)従兄弟の柿彦と共に、着物のリユースの仕事をしている。今回は戦争が絡むので特に重たく、琴子も夢に引き込まれ帰ってこれなくなりそうに。夢を見ると琴子も疲弊し、白髪も増えるというので、これ面白いシリーズだけど、琴子の身体が心配じゃん。と思ってしまった。

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    2025年07月09日
  • 祓い師 笹目とウツログサ

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    ネタバレ

    この作者さんにしては珍しく、ちょっとダークな感じの作品。人には見えない、人の憑く植物を祓う仕事についている笹目という不思議な男。ウツログサのせいなのか、そういう人にウツログサが憑くのか、何話かは切ない気持ちになる。わたし的には「ウリフネ」の話が良かった。続きがあるようだから読みたい。笹目の行く末も気になる。

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    2025年07月07日
  • 紙屋ふじさき記念館 麻の葉のカード

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    「紙小物」は確かに魅力的。少し専門的な事の入り口を小説で分かりやすく、更に興味を持てるようにしてもらった感じ。ただ、最終話の象の高子に対する百花の父の感想は、心打たれました。

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    2025年07月06日
  • 梅、香る 琴子は着物の夢を見る

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    連作短編でなく、通しで一つの着物に対する思いを紐解くつくりで、とても素敵なお話しでした。
    ほしおさんらしい、静謐に感じる文書はこびで、自分は好みです。月光荘の女性版になるシリーズでしょうか。

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    2025年07月01日
  • 言葉の園のお菓子番 見えない花

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    連句って難しい・・って思って読み始めたが、やはり言葉に想いが込められていることに間違いはなく、一気に読み切ってしまった。みんな適度な距離感ってのがいいですね。

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    2025年06月22日
  • 言葉の舟 心に響く140字小説の作り方

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     140字小説って初めて聞いた。それだけの文字数で小説が書けるの?って思ったけれど、成立するんですね。
     140字なら書けるかなって思ったけれど、小説として書こうとすると、難しい。その中に起承転結を組み込むのだから。
     でも、面白そう。チャレンジしてみたくなった。

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    2025年06月15日
  • 言葉の園のお菓子番~大切な場所

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    シリーズ第六弾。

    連句会「ひとつばたご」での交流を通して、主人公・一葉の気づきと成長を描く連作六編が収録されております。

    今回は前作で触れていた、「きりん座」の大輔さんと一葉のお父さんとの合同写真同人誌・『坂道ノート』作りの話が中心って感じですかね。
    とにかく一葉のお父さんが楽しそうだったのが印象的で、大輔さんとも意気投合して打ち合わせも撮影もやる気満々でしたし、雑誌作りをきっかけに学生時代の写真仲間との交流も復活したりと、イキイキ輝いている様子が伝わってきました。
    勿論、一葉も『坂道ノート』のイラストやフリーペーパー制作、そして大輔さんと共に文芸マーケットに参加したりと連句以外での活動も

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    2025年06月14日
  • 言葉の園のお菓子番~復活祭の卵

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    季語は歳時記で選ぶということなんですが、歳時記って更新されてるものなんですかね?季節を表す言葉は時代によってどんどん変わってきていると思うので、ましてや最近の時流の変化はすさまじく真面目に更新していくとどんどん増えていく。また少しはもう時代になくなったものを削るって事もあるのかなぁとも思いました。
    どうなんでしょうね。
    読み続けてますがまだ連句を理解できていない〜

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    2025年06月13日
  • 銀河ホテルの居候 光り続ける灯台のように

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    今作は長年連れ添った妻の手紙を受け取りにきた夫の話と、SNSで疲れ果てた末に気晴らしで訪れた女性と、仲は悪くないがどこか距離がある親子の三本立て。
    どれも、お話に寄り添ったインクが使われていて情景が浮かぶようだった。
    手紙も亡き妻へ宛てたもの、自身の決意の言葉、母親と一緒に遊べるように描いたゲーム。三者三葉でとてもよかった。お手紙ってどんな形でも相手に伝わればいいものだね。
    苅部さんの過去がやっと明かされたけど、結構ほの暗くて衝撃・・・。

    最近友達に色々なチケットなど一時だけ立て替えていただた際に、お代と一緒に少しのお手紙を添えている。お礼と楽しみにしている事など添えると、当日が待ち遠しくた

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    2025年06月12日
  • 梅、香る 琴子は着物の夢を見る

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    ネタバレ

    前回と違って自分の能力のことを他人に告げた上で着物の声を聞くことに
    柿彦は今回も冷静だったけど個人的にはこの2人の距離感が好きなので、もっと関わってほしいです

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    2025年06月12日
  • まぼろしを織る

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    母の死後、生きる意味が見いだせずにいる20代後半の女性、槐(えんじゅ)が主人公。川越で染織の工房を営む叔母の伊予子と、不慮の事故で心を閉ざしている大学四年生のいとこの綸(りん)との暮らしのなかでの物語でした。

    各章のタイトルが草木染の色の名前です。読んでいるうちに、草木染と手織りが特徴の伊那紬の色の美しさや繊細な織り目を実際に見てみたくなりました。それぞれの色が、木の枝や根などの自然の素材で作られたものだということや、どうやって染めるのかとか、手織りの織り方などが詳しく書かれていました。

    小説では、三人で暮らすうちにそれぞれが生きていく方向を見つけることが出来ました。信じられないような出来

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    2025年06月11日