ほしおさなえのレビュー一覧
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シリーズ第3弾。
軽井沢にある銀河ホテルの手紙室。
ホテルのアクティビティの一環として「手紙教室」がある。
文字じゃなくてもいい。誰に書いてもいい。
出さなくてもいい。ゲームでもいい。
1000色並べられたインクから好きな色を選び何を書こうか考える。そんな素敵な時間を過ごす物語が3つ。
3つとも、銀河ホテルの手紙室を訪れる人たちの人生が丁寧に描かれていた。時おり、これは銀河ホテルを舞台にする意味があるのだろうか?と読み進めていくと、この場所だからこそ、過ごせる時間があるのかもしれないなと思える結びにつながる。
私は第3話の「十人十色」がとても好きだった。
定年を迎える大学講師が、銀河ホテルで -
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このシリーズも4作目
主人公の「一葉」が連句の会「ひとつばたご」に通うようになって一年半ほどとなった。
初心者から初級者位になって、連句のことも会に集う人たちのことも少しずつ、見えてきた。
この会の主宰「航人」さんは生い立ちから愛されることがうまく出来ない人。
でも懸命に人を思って生きている。
「人って放っておくと自分のことばかり考えてしまうから。人はもっとほかの人のことを考えたほうがいいと思うんです。」
「僕は大丈夫ですよ。大丈夫じゃないけど、大人ですからね。」
そして、航人さんを昔から見てきた佳子さんはこう言う。
「その傷は、彼女が変わったからと言って帳消しにはならない。そんな都合のいい -
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祖母のメモから始まった連句の会。
毎月持っていくお菓子は、この会のお菓子番だった祖母が残したメモ通り。
でも、今回の会に参加する新しい人はあんこが苦手だと言う。
祖母が残したメモの今月のお菓子は「桜餅」。
どうしたものかと悩んでいたら
祖母が「定番は大事だけどルールじゃない。ただのルールになってしまったら、心がないじゃない」と話していたことを聞く。
臨機応変に、新しいものも取り入れることで定番の良さを知ることもあるだろう。
定番に固執することで、通り過ぎてしまう新しい風もあるだろう。
今回はシリーズ3作目。
少しずつ連句の会や仕事に慣れ始めた主人公「一葉」が、苦手意識があったことや、新しい -
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シリーズ第2段
前作で祖母の残したノートを読んだことから連句会「ひとつばたご」に参加した一葉。
相変わらず月に1度、お菓子番だった祖母の代わりに毎月お菓子を買って参加していた。
本屋時代に培った店内ポップ作成の仕事も少しずつ続けていた一葉に新しいお仕事のきっかけが訪れる。これも連句会「ひとつばたご」が繋いでくれたご縁。繋がれるご縁もあれば、1番大切な人との縁が途絶えてしまうこともある。
それが人生。繋がって、切って、忘れて、覚えていく。
各章に出てくる連句には難しい箇所もあり、理解出来ないことも多々あって読み止まってしまうこともあるけれど、眺めていると言葉が沁みて入ってくるこの物語。
次も -
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ネタバレ前作は戦争を絡めたずっしりと重い話だったが、今回は多少は身近な話で、総絞りの振袖に秘められた切ない恋のお話だった。
琴子が夢を見るたびに、秘密のベールが一枚ずつ剥がされていくようで、少し酷く感じてしまった。
その反面、次はどんな光景が広がるのか、美しい振袖を思い浮かべながら期待する気持ちが湧き上がってくる。
まさに覗き見なのだが、最後の光景はこちらも辛かった。
母より先に逝ってしまった娘、若くして和解できずに逝ってしまった想い人、思い出を処分して施設に行く母。
みんなみんな悲しい。
だけど救いがあるとしたら、娘の気持ちを汲むことができたことだろう。
一区切りつけて、新たな生活をスタートでき