ほしおさなえのレビュー一覧
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三日月堂シリーズで、ほしお作品にはまる。
以来、現在刊行中の『言葉の国のお菓子番』も、『紙屋ふじさき記念館』も読んでいる。
古民家、和紙、織物、活版印刷、和菓子など、レトロな手仕事をテーマにしているので、ついつい、手が伸びる。
さて、本書は川越を舞台にした『菓子屋横丁月光荘』。
いよいよこれが最終巻とのこと。
家の声が聞こえる遠野守人。
大学院を修了した今は、月光荘の管理人としてイベントの企画なども行っている。
恩師木谷先生に連れられて行った料亭で、家の発する声から、その家でかつて織物をしていたことを知る。
広瀬斜子(ひろせななこ)という、今は途絶えてしまった織物。
いつのまにか守人のまわ -
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ほしおさなえの菓子屋横丁月光荘文鳥の宿を読みました。
今回は雛の家、オカイコサマ、文鳥の宿の三部作です。
雛の家は前回片方が家事で焼け落ちた二軒家続きで、残った片方の天袋からお雛様がでてきた。
そして三人官女の一人が足りない。
その謎がわかってきます。
オカイコサマは主人公遠野の友人のお祖母さんが昔は多くの農家がやっていた養蚕にまつわる話です。
文鳥の宿は、廃業した料亭を孫娘が朝飯だけの宿としてリフォームして始めるのですが、そのリーフレットを作りたいと古書店浮き草に依頼してきます。
どれも温かい話です。
全部で何作あるのかなと思って調べたら6作でした。
あと三作も読まないと -
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ほしおさなえの菓子屋横丁月光荘浮草の灯を読みました。
今回は浮き草の灯、切り紙、二軒家の三部作です。
家の声が聞こえる主人公遠野は、川越の月光荘に住み、慣れてきました。
古書店浮草の主人が、病気で先がなくアルバイトの女の子に浮草を継いで欲しいと願います。
切り紙は、古い紙店を閉めてしまった父親と上手く話せないサラリーマンの息子がおばあちゃんの切り紙を通して歩み寄る話です。
二軒家は10年前に、片方が家事で焼け落ちた、双子のような建物の声が、小学生の間で幽霊騒ぎになっていてそこから三作目に続くようです。
古い街の人の繋がりが温かい気持ちにさせてくれます。 -
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こんかいもひとつばたごの連句の会が2回分、がっちりと描写される。
一句一句、どこで響いているのか、あるいは跳躍しているのか、考えながら追っかけていくのも楽しい。
一葉さんがひとつばたごに通い始め、一年。
会には新人さんもつぎつぎと現れてくる中、一首もとられなくて一葉さんが焦ったりもしているのがほほえましい。
この巻のテーマは創作、特に小説を書くことのようだ。
新たに登場した人の中には、詩人として活動する広田優という人物もいる。
大学でドイツ文学を研究する中で、詩人としても活動する、絶滅寸前の文学青年がそのままミドルエイジになったようなおじさまだ。
それから、人気小説家の柚子さんという元 -
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東浩紀さんの奥様ってどんな方だろうと思って読んでみた。予想通り、感情豊かで味わい深い物語であり素敵な方なんだろうなと思った。
「舟を編む」のときも思ったけど、言葉を扱う道具って、人の思考や表現やコミュニケーションに直接関わるものなので奥が深いし、それを生み出したり届けたりする人の責任感は予想以上に強いものだなと考えさせられた。
そして、活版印刷を中心に交わる登場人物達の背景や心情の切実さとか純粋さが印象に残る物語だった。特に「まわりから見て個性に映るものって、その人の世界への違和感から生まれるものなんじゃないかな。それが強い人ほど人を惹きつける。でも、本人にとっては苦しいものでしょう? それ -
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シリーズ2作目
連句を通じて人との結び付き、関わりが主のお話し。
連句会での出会いが更に広がりを見せていく今作。
言葉を紡いでいく連句になぞらえて、縁を繋げていくのが凄く好き。
今作は特に「命」が散りばめられていたけれど、亡き人を想い産まれてくる命を想う。
例えいま1人だとしても「独り」ではないんだなと、きっと誰かが光を当ててくれて、自分も誰かを光で照らす事が出来るんだなと。孤独な月も決して独りではない。
タイトルの意味が伝わりました。
ハラハラドキドキ、伏線回収も楽しいけれど、ゆったりと読める小説も良いですよね
ベランダで
ひとり眺める
夏の月
照らすひかりは
誰かの想い -
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ネタバレ【活版印刷三日月堂シリーズ01】
活版印刷というものを知らなかったが、ほっこり系のシリーズものと知り読み始めた。
・世界は森
お節介で面倒見のいいハルさん。ハルさんは夫を亡くしており、運送屋で働く。一人息子の森太郎が北海道の大学に進学するので、お祝いのプレゼントを悩んでいた。
その時に、活版印刷の『三日月堂』の孫である弓子さんが、川越に住み、運送屋のバイトをしたいと言ってきた。
そこで学生時代に憧れで、ハルさん自身がお祝いでもらった三日月堂のレターセットを思い出す。
『三日月堂』は祖父母・両親を亡くし、弓子さん一人で住んでいるが、学生時代に祖父と作業をしていたため、小さい機械なら動かせるから -
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連休最終日、あまりの暑さに、せめてお気に入りのシリーズを読もうと思い立つ。
久しぶりの一葉さん。
連句結社ひとつばたごの人たちとのつながりで、めでたく身の振り方も決まる。
この巻では、三回の句会が行われる。
歌仙(一つだけ半歌仙)ができあがるまで、それぞれの人の近況や過去が語られ、まさに「座」談会が再生されていくかのよう。
物語がほとんど句会の様子で構成されている…かのような印象を受けた。
その間、蒼子さんが連れ合いをなくし、治子さんが堅香子の危機を救ったことが明かされ、一葉の幼馴染の怜さんに子どもが授かる。
プロットが張り巡らされ、凝った小説が多いいまどき、こういうゆったりした小説は貴