ほしおさなえのレビュー一覧
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はじめての作家さんです。
シリーズもの大好きなので
楽しみにしていました。
活版印刷 三日月堂
名前からして
現実にあれば是非行ってみたい
雰囲気があふれています。
かわいかったり、素敵な文具類を
見るのが大好きな私なので
三日月堂の名前入りの便箋封筒や
カフェの素敵なショップカード
俳句が印刷してあるコースター
など、わくわくするような
お話ばかり…
三日月堂の弓子さんをはじめ
周りにいる温かく、少しだけ
悩みをもつ人たちもみなさん素敵な人たち
センスがよくて温かみのある作品が出来上がっていくたびに三日月堂は愛着のある印刷屋さんになっていきます。
続きが読めると思うとこの街の一員になれたようでとてもうれしくて次がまた楽しみです。 -
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「いまや連句会は私の生活の一部」
3回目の春を迎えた一葉は、連句の大会で知り合った「きりん座」のメンバーと交流を始める。
城崎大輔に誘われ連句会を訪れた一葉。そこには大学時代憧れていた今井先輩に似た岸本久輝がいた。 恋の訪れを思わせるシリーズ(五)
父親の夕焼けだんだんの話にじんわりさせられた。文芸同人誌を出すマーケットは知らなかったが、行ったらとても楽しそう!
就活の悩みを抱えていた蛍さんの内定が決まり、個人の歌集を出したい、ひとつばたごの同人誌を作りたいと、連句の仲間たちにも新しい風が吹き始める。
父親のモノクロ写真と大輔さんの写真を合わせた雑誌を出すことになるが、令和のJK、海月さんの言葉がストレートすぎて思わず笑ってしまった。
「きりん座の大輔さんと雑誌を作るって、大輔さんとお付き合いすることになった、っていうことですか?」
一葉の文とイラストが二人の写真をどのように繋げるのか、雑誌が出来るシリーズ(六)も楽しみに読みたい。
「自分の中から言葉が湧き上がってくる表現者と、互いの気持ちを通わせて言葉が生まれてくるのを楽しみたい人の双方がいるから連句が巻ける。」
なるほどと思える言葉にまた出会えた。
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活版印刷三日月堂の番外編。
『空色の冊子』が"過去編”だとしたら、この『小さな折り紙』は本編の"その後”になる。"未来編”とも言えるか…。
『庭の昼食』がとても良かった。
本編のその背景にあたる本作。色んな方面から多角的に捉えることができるって、奥行きが広がる感覚になる。俯瞰するってこういうことなのかな?
物事って人によって見方が違う。それだけではなく、見え方も変わる。
自分からの見え方だけでなく、色んな人の見え方によって、大きく深く見えることもあるのかもしれない。
サブタイトルにもなっている『小さな折り紙』
弓子の子供の頃から、本編を経てのその後。
園長の目を通し、見守っているような気持ちになりつつ、園児たちの卒園と未来へのはなむけの応援と想いに胸が熱くなる。
その場に居る何人もの人たちそれぞれの想いが重なり繋がってひとつの思い出を作る過程っていいなとしみじみと味わい深い感覚で本を閉じた。 -
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このシリーズもいつの間にか完結していた。4,5,6巻をまとめて読む。
終わってみると、このシリーズは川越という場所を主役にした壮大な群像劇だったな、と思う。活版印刷三日月堂も出てくるし、藤崎記念館の名は出てこないが、和紙の店も出てくる。(このシリーズも最後まで読んでいなかったので忘れてるが、そちらを読めばまたこれとリンクしているのかも)
家の声が聞けるというファンタジーに関しては、今は、遠野守人の創作のモチーフだったのではと思える。守人は喜代さんも家の声が聞けるときいて、喜代さんとの確かな繋がりを覚えるが、それも創作へと繋がっていく。ファンタジーは、守人の心の中で深く意識されるが、現実の人間関係をつなぐものではない。田辺にもそのことを言えずにいたが、それと現実の田辺との関係は別であると気づいて打ち明けている。
遠野守人が少しずつ、川越のいろいろな活動に関わっていくことで、人と知り合い、付き合いを深めていく過程は、極めて現実的だ。彼は辿々しいながらも、確かな関係を作っていく。
川越シリーズは他の小説とも繋がっているが、まだ、川越を舞台にした物語が続くのだろうか。 -
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ほしおさんと言えば、柔らかい雰囲気で優しい作品のイメージ。
本作はそんな印象とは少し違っていて、全体的に薄いモヤがかかっているような感じ。心の機微や「生きること」について描かれています。
こんな作品も書かれるんだとちょっと驚きました。
ずっと「生」と「死」を意識させられていた。
「染織」という世界の奥の深さとその魅力を描きながら、無気力な槐と従兄弟の輪が「生きること」に向き合い、成長していく姿が描かれています。
みんな何かが足りなくて、迷い、苦しくなりながらも今を生きている。
彼女たちの抱えている闇や不安定さから目を離せなくなってしまいました。
人生何があるかわからない。何が良いかなんてわからない。誰かにとってのベストが、別の誰かにとって必ずしもベストだとは限らない。
目に見えている姿だけが全てじゃないし、道はいくつもある。
ただ、良いと思える選択をしていくだけ──。
誰もが自分なりの歩みで、人生を一歩一歩進んで、楽しさや小さな幸せを感じ、肯定的に生きられたらいいなと思う。
槐に輪、ふたりが自分の人生を前向きに歩めるようになったことにホッとした。
個人的に染織家という職業に憧れと興味がある。以前体験した“さおり織り”で目にした、多種多様な糸が壁一面に並んでいる光景は本当に美しかった。
草木染め、藍染め、元々興味がありましたが更に興味が増しました。
表題が心にしっくりくる。
静かで、深い物語でした。
『そもそも、才能というのは世界からのズレなのだ。人とちがうから才能があると言われる。それ自体が苦しいことなんじゃないか、と思う。』
『先に道があったんじゃなくて、歩いたところが道になった。』
『だれかと手を繋がないと越えられない壁もある。おたがいにわかりあうためじゃない、壁を越えるために手を繋がないといけないときがある。』
「染織」「織物」の世界を描いた作品を読むのはは、下記とあわせてこれで4冊目。
雲を紡ぐ 伊吹有喜
野生の風 村山由香
いろは匂へど 瀧羽麻子 -
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言葉の園のお菓子番シリーズ(三)
亡き祖母の縁で連句会「ひとつばたご」に通い始めた一葉。ポップを書きながらブックカフェに勤めて4ヶ月が経つ。
一葉の勤めるあずきブックスで少女マンガイベントが提案される。連句会でも陽一さんの句「夏のおわりのト短調聴く」がとられ、マンガ談義に花が咲く。
「大島弓子の描いた『夏のおわりのト短調』は叔母でなく、本当は母が壊れる話なのかも!」と語る小説家・上坂柚子さんは歌人の川島久子さんに連れられやって来た。
「親も弱さを持つ小さな人間に過ぎず、世界も信用ならないものだと、見え方ががらりと変わる。それが思春期でしょう」航人さんの重みのある言葉に、このマンガを読んでみたくなった。
一葉の司会で始まったトークイベント。
ゲストはもちろん久子さんと柚子さん。
二人のトークで盛り上がる会場。
緊張感とワクワク感が伝わって来た。
イベントを通じて自分にはまだまだ知らない事が多く勉強が必要だと思う一葉。
イベントで知り合った詩人の広田優氏が連句会に現れて…
四話「句の心」の終わりは全員で巻いた歌仙
「人のむづかし」 捌 草野航人
発句から挙句まで36句全てが載せられていて感動する。
ほしおさなえさんが主催する連句会「連なる楽しみ」で実際に巻かれた歌仙を一部変更したものだと読後に知った。
連衆には歌人の東直子さんや千葉聡さん、翻訳家の三辺律子さん、編集者の矢内裕子さんなど知っている方の名前もあり、どの句だろうと想像するのも楽しかった。
連句は正解のない分岐の連続。人生そのもの!
調布の神代植物公園にヒトツバタゴ
(なんじゃもんじゃの木)があるそう!
白い花が咲く5月に会いにいきたい。
両国にある「越後屋若狭」の水ようかんが美味しそう。江戸時代を思わせる店をいつか訪れてみたい。
回を重ねるごとに登場人物が増えていく。「人物紹介」を載せてあり迷わず読むことができた。
(四)「復活祭の卵」もとても楽しみ!
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ネタバレコロナ禍で閉店セレモニーもできずに閉じてしまった記念館は、川越で新しくオープンすることになる。プロジェクトチームのメンバーとして様々なアイデアを出し合い準備していくのは、大変だけれど楽しそうだった。新しい記念館には紙漉きのコーナーも作るということで美濃で紙漉きの研修も受ける。最初はもちろん上手くいかないが、2日目には「自分が自分であることを忘れて、紙漉きの世界に溶けこんでいく感じ。」を得る。心が自由になる。ものづくりはやっぱり良いなぁと思った。オープンセレモニーの司会という大役を果たした百花は、最初に記念館のアルバイトをしていたオドオドして自信なさそうな大学生の頃と比べると、立派になったなぁと感動。これからも、藤崎さんと一緒にずっとがんばっていってほしい。公私共に?
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『植物の妖怪とも称されるウツログサ。多くは無害だが人についたものは宿主の欲望を読んで成長することもある』
生まれながらに隣に穴がついてまわっていた「アナホコリ」
恋すると爪から芽が出て成長する「オモイグサ」
文字が体に纏わりつき変化していく「ツヅリグサ」
村人みなが瓢箪を背負っている「ウリフネ」
空に浮かんでいる透明な綿菓子のような「ヒカリワタ」
憑いている人、あるいは一部の人にしか見えないウツログサ。すっかり取り憑かれている人もいれば、そこにいるのが当たり前すぎて違和感を感じていない人も。
皆、見えない人たちとの疎外感や違和感を感じつつも困り果てているという感じはない。
だが様々なウツログサが見え、祓うことが出来るという年齢不詳の男・笹目と出会うことで決断の時が来る。
笹目は決して祓うことを強制しない。
本人が困っていないなら祓う必要はないという。
長年寄り添ってきたウツログサとの別れを決断する人、ともに生きることを選ぶ人、ついに取り込まれた人、その結末は様々。
妖怪と聞くと悪いイメージしかないが、中にはその存在に救われた人もいるし新たな一歩を踏み出そうとする人もいる。
笹目の一歩も二歩も引いた立ち位置や、それぞれの物語が淡々と語られているところなど、なかなか新鮮なファンタジーだった。
ほしおさんは「菓子屋横丁」シリーズしか読んだことがないが、こういう作品もあるのかという発見ができて良かった。 -
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言葉の園のお菓子番シリーズの(ニ)
カバー絵は歳時記を抱いて立つ一葉。彼女を優しく包むように咲く白い花はヒトツバタゴ(なんじゃもんじゃ)です。
花の名が連句会につけられた謎が明かされるニ巻目は、生と死について、人が生きて行く意味を考えさせられました。
勤めていた書店が閉鎖して実家に戻り、亡くなった祖母、治子の代わりに連句会「ひとつばたご」に通うようになった一葉。約束事の多い連句は難しいけれど皆で巻く楽しさもわかる様になった。
連句仲間の萌さんに「手作りマーケットに出す焼き菓子に付けるタグを考えて欲しい」と頼まれ、一葉は萌さんの句とお子さんの絵を入れた豆絵本を作る。蛍さんの妹の海月さんと出会い、祖母を知る歌人、川島久子さんからはブックカフェの書店員の仕事を紹介されて…と、連句を通して人と人が次々に繋がっていく面白さがありました。
一巻で連句に興味を持ち、二巻では主人公の一葉と共にどんな句を付けたら良いだろうと考える楽しさも味わうことが出来ました。
石垣りん『シジミ』を読んでみたい!
銀座清月堂の 「おとし文」や、富山県高岡市の
不破福寿堂「鹿の子餅」がとても美味しそう!
あずきブックスの「果物の香りのお茶」も飲んでみたいなぁ。
「初夏になると真っ白な花が咲いてすごくきれい。こんもり白い花がついて、雪が積もったみたいで・・」航人さんの前に並ぶいくつもの白い短冊がまるでヒトツバタゴのようで・・
蒼子さんの亡き夫、茂明さんの最後の句をながめながら「ひとつばたごに会いに来てくれたのかもしれない」と思った一葉の優しさに心が癒されるようでした。
「その人のぬくもりといる花の夜」蒼子