ほしおさなえのレビュー一覧
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シリーズ第四弾。
活版印刷所「三日月堂」をめぐるシリーズも、この巻で本編完結との事で、一巻からの登場人物達が次々と登場するのも感慨深いですね。
登場当初は、運送会社でバイトをしていた弓子さんもすっかり三日月堂店主として板についてきた感じです。何より三日月堂という印刷所が、訪れる人達に気づきや癒しを与える場所になっていますよね。
この巻のハイライトは水上さんの本づくりの場面かと思うのですが、今まで三日月堂に関わってきた人達に加えて、水上さんの旧友の方々が一丸となって“活版印刷で本を作る”という、とんでもなく手間がかかることに取り組む様子に胸が熱くなりました。(でも楽しそう!)
このシリーズに出 -
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紙の博物館でアルバイトすることになった百花。愛想のない一成と一緒にいるのは気づまりだが、できることを一生懸命やっていく百花。看板を外に出すと、来館者が来るようになった。掃除をするうちに、たくさんの和紙を見て、ますます和紙にのめり込んでいく・・・。
出会う人が、お父さんの小説のファン率が高すぎてちょっと不自然に思ってしまったけど、その物語からもいろいろなものが生み出されていく。
百花があれこれ作ってみる、その手触りが伝わってくる。頭の中だけで考えたものではなく、実際に作ってみることで生まれる和紙のリアル。
百花が将来何を選択するかも気になるが、地図や立花ゼミの出現も、気になる。いとこがいる本社と -
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ほしおさなえさんの、手仕事のシリーズ。今回は、和紙。
廃れていく和紙産業をなんとかしたいと願う、藤崎薫子が作った紙の博物館。そこで働く孫の一成は、和紙には殊の外思い入れを持っているが、何しろ愛想がないので接客には向いていない。定期的に開かれる「紙こもの展」でもブースは賑わう事がない。そこに紙小物の好きな百花が加わって・・・。
百花の発想を、形にしていく一成と、百花を支える大学のメンバーたち。和紙職人や、創作活動をする人たちの熱も伝わってきます。
手仕事というジャンルで描き続けるほしおさん、ご自身も活版印刷と和紙の紙小物を手掛けていらっしゃるようです。
好きなものを、形にする。それは文学でも同じ -
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不思議な能力をいつ使うだろうか
汀さんに備わっている不思議な能力をもし自分が持っていたら、
どの写真に対していつ使うのだろうか?
汀さんは物語りの最後に出てきたあの写真にいつ不思議な能力を使うのだろうか?
どちらとも幸せな景色が見える! -
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ほしおさんらしい、伝統工芸とそれにかかわる人々を温かく描いた小説。
今回は少女時代を飛騨高山で過ごした縁で金継ぎをする女性千絵と、キャリアウーマンの娘結子、そしてその娘の高校生真緒の三代を軸に展開する。
金継ぎの技はもちろん、漆の特性、春慶塗の特徴、そして最近の漆畑を守る人々のことまで、丁寧に描かれる。
夫の浮気を耐え忍び、金継ぎにのめり込んだ千絵の世代から、女性の生き方が移り変わっていくことも、一つのテーマのようだ。
ちょっと残念だったのは、語り手の個性がわかりにくいことか?
三世代の女性たちが、章ごとに語り手を務めるのだけれど、ぼんやり読むと語り手は誰なのかわからなくなってしまう。 -
購入済み
和紙の世界
シリーズ第3作目。今回も和紙に纏わるエピソードがたくさん盛り込まれ紙も言葉も強くて暖かい。百花の世界が広がっていく物語、この優しい人達の集まるほしおワールドは、やっぱり素敵です。
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家の声が聞こえる、不思議な能力を持つ守人を主人公にしたシリーズ第3弾。
2作目で登場した「二軒家」を街づくりの為、改修するところから始まる。
改修しようと、「二軒家」の中を片付けるボランティアに参加した守人は、天袋に隠されていたひな人形を発見する。
以前、住んでいた家族には女の子の子供はおらず、しかも三人官女の一人が欠けていた。
そんな謎だらけのひな人形を、せっかくだからと月光荘に飾ることに。その飾りを観つつ、昔ながらの遊び「貝合わせ」を作るワークショップを開催することにした守人たち。
「貝合わせ」自体は記憶にないが、自分が子供の頃は、毎年近所の家でお雛様の飾りつけをしたことを思い出す。お雛様