ほしおさなえのレビュー一覧

  • 言葉の園のお菓子番 森に行く夢

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    「言葉の園のお菓子番」の3冊目。
    今回はいつものメンバーだけでなく歌人の久子さんが連れてきた作家先生の柚子さんや詩人の広田さんなどが彩りを添えて話が進む。
    お菓子も色々な事情でいつもとは異なるお菓子が用意されるなど、3冊目になって目先も変えられて、お陰で今回もまた楽しく読めた。

    シリーズを通して一葉の成長物語になっているのだが、連歌を巻いたりトークイベントで司会を任されたりの中で、他のメンバーの生き方にも後押しされて、徐々に心持ちが変わっていく様が好ましい。
    同じ連衆が集まって同じ発句からはじめたとしても捌きによってはまったくちがう一巻になる、『正解のない分岐の連続』という連歌のあり様に、人生というものについても考えさせられる。『長く生きればやりなおし利く』なんて句もいいね。


    詩人の広田さんの句がなかなか素敵。

     緑陰やまだらになりて歩きをり

     水滴となりあの人の胸に棲む


    長編小説の公募の一次選考にも通らず落ち込む蛍さんの吹っ切れ方も良いな。一度つまずいて知る世界もあるよね。

     花が舞うやぶれかぶれで生きている


    久子さんの教え子という若い人もたくさん参加してきて今までとは違った感じの句が新鮮に感じられる一方、ベテランの酸いも甘いも噛み分けた句がまた身に沁みた。

     山笑えども人のむずかし

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    2024年02月08日
  • まぼろしを織る

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    ほしおさなえは「三日月堂シリーズ」しか読んだことがなかった。
    三日月堂シリーズは優しくて温かい話だけど、この作品は全体的にちょっと重い。
    でも良い話だった。

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    2024年02月05日
  • 紙屋ふじさき記念館 故郷の色 海の色

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    今度は、活版印刷。
    川越もずいぶん魅力的に描かれてる。
    そして藤崎さんの両親登場。
    記念館の今後がどうなっていくのか、ますます先が楽しみ。

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    2024年01月31日
  • 紙屋ふじさき記念館 結のアルバム

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    『菓子屋横丁月光荘』シリーズが完結し、そちらを読み終わった。
    その間、こちらのシリーズも買って手元にあったけれど、いったん封印。
    話が混線しそうな気がしたから。

    作中にもコロナ禍が起こる。
    当時の自分などは、職も住むところの心配もなく、暢気なものだったと思っていたが、本書の記述を読んで、なかなかつらくなってきた。
    あの頃感じていた不安を、おそらく自分は抑圧していたのだと思いいたった。
    そう思うと、若い世代ほど影響が長く続いていくのでは、といまさらながら心配になる。
    一時は、つらくてこの本を読むのをやめようかとも思った。

    やめなかったのは、ほしお作品で、たぶん悪い結末はないと思われたから。
    百花もめでたく藤崎産業の内定を得るし。
    笹山ゼミの4年生全員が卒論を出せたし。
    小冊子研究会の学校祭企画もだが、百花が夫婦箱を作るところは、わくわくした。

    前巻の『春霞の小箱』を読んだとき、次で終わりかなあ、と感じたが、もう一冊出たようだ(ちなみに、それは昨日ゲットした)。
    次巻では、ふじさき記念館の復活が描かれるようだ。
    川越の呉服商の建物をリノベーションするらしい。
    そして、すべての作品は川越に通ず、ということか。
    主人公は百花というより、記念館の方だったのかも?

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    2024年01月21日
  • 言葉の園のお菓子番~復活祭の卵

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    シリーズ第4弾。

    亡くなった祖母が書き残したお菓子のメモをもとに、祖母の代わりにお菓子を届けるつもりでひとつばたごにやってきて、なぜか連句を巻くことになり、気づけばそれからもう二年通い続けている一葉。

    連句とは…から始まり、読むたびに少しはわかり始めてきて、だけどシリーズ化するたびに一から学ぶことも多く、新たな発見もあり毎回違った感覚になる。

    短歌すらまともに作れないのに連句だともっと敷居が高くて、だれかの句に付けるというのも、雰囲気を壊さないだろうか、とか不自然にならないだろうか、とか考えてしまう。
    だが、さすがにこの物語を読んでいると楽しさも響き合ってるという感覚もあって、同じように参加者の一人となっているのが不思議である。
    言葉が連れ立ってやってくる…ということ。
    それこそが連句の醍醐味なんだろうなぁと感じた。

    今回は、「おもいで糸巻き堂」で、航人さんの別れた奥さんが小説を書いていたことに触れていたが、自分もこの小説の中に惹き込まれていくようで…これがとても印象深く残った。

    そこから続く「抜けない棘」も連句の大会のピリッとしたなかにもワクワク感やドキドキ感などが伝わってきて、そして静かに佇む2人…航人さんと森原さん(鹿島千草)の前へ進むであろう未来が見えたようでほっとした。


    毎回のお菓子も楽しめるひとつだが、今回はちょっと変わった「棗バター」に興味を感じた。
    ぜひ食べてみたいと思う。




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    2024年01月18日
  • 菓子屋横丁月光荘 光の糸

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    ほしおさなえさんをきっかけに去年の9月に川越を訪れた。菓子屋横丁や蔵の町並み、氷川神社、、川越城本丸御殿などを巡った。たくさんの観光客で、とにかく暑かった。
    今回は月光荘より田辺家がメイン。とんとんからーの蕎麦会席の古民家が切なかった。守人と豊島さんの今後が気になる。

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    2024年01月13日
  • 紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所

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    シリーズ完結編。
    前作で藤崎産業に入社が決まった百花が、藤崎産業に入社して、新しい記念館をオープンするまでの2年が急ぎ足で描かれる。
    正直、あと2作ぐらい分けて描いてもいいのでは?と思うところもあったけど、オープンまでにクリアしなければいけないタスクと、コロナが落ち着いて、徐々に取り戻していく日常と、百花の亡くなった父の本の再刊行と、いろいろな出来事が並行して描かれており、かなり読みごたえはあった。
    コロナで会っていなかった一成も、創業家の一員として、かなり自覚が出て来て、1作目に比べて、百花以上に成長したなぁ、と感じた。
    ここ最近作者のシリーズ作品が完結を迎えるものが続いているが、これまで各シリーズに登場した人物も勢ぞろい感もあり、ファンならば堪らない完結作となるだろう。
    紙の話もすごく勉強になったし、時折出て来る飯田や美濃の情景ある描写も好きだったので、終わってしまうのはかなり寂しい。

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    2024年01月01日
  • 紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所

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    今作で完結。
    新しい仲間と新しい記念館を作り上げていく過程は楽しい。今までの記念館の歴史を振り返る感じではあった。
    またここから新しいシリーズができそうな気もしますが、どうでしょうねえ。

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    2023年12月13日
  • 紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所

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    無事藤崎産業に入社した百花が、新記念館の開館に向けて奮闘します。

    前作では現実世界と同じくコロナ禍の中でもがく様子が綴られて、果たしてどうなるのかとくるしくなるような思いだったけれど、それが綺麗に取り去られた、爽快な完結でした。

    ほんとにこれで終わりなの?って思うくらいに、これからも、と未来を想像させる終わりで、百花たちのこれからは続いていくけど、その様子が読めないことがさみしいです。

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    2023年12月09日
  • 活版印刷三日月堂 星たちの栞

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    ふれる機会のなかった活版印刷というものを知り、
    文字の温かさとか、残されていく技術の大切さを感じながら読み進めた。
    穏やかな中にも芯を感じる物語で、読んでいてとても心地よかった。

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    2023年12月09日
  • 紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所

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    紙屋ふじさき記念館終わってしまいましたね。
    まあ話的にはこれから始まるですが。
    紙も小物も文具も好きなので本当に楽しかったです。こもの市に行きたくなったし、水引もその本も買ってしまいました。
    本当に文具やその周りの物が何て魅力的なんだろう。先人達の日々の研鑽と努力が今でもその物達を輝かせていると思いました。
    このシリーズは終わってもまた別の話で記念館の人達と会えると信じて待っています。

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    2023年12月09日
  • 活版印刷三日月堂 星たちの栞

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    1話目が特に好き!読んでて活字の良さを感じて読書好きになりそう。どう表現したらいいかわかんないけど、紙の質感インクの匂いとか、見えないし触らないのに読んでて感じることができて好きな作品。まだ2巻までしか見てないのでまた読み続けたい。

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    2023年11月24日
  • 言葉の園のお菓子番~復活祭の卵

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    シリーズ第4巻。
    ひとりでは作れない、誰かと巻くからこそのおもしろさや気づきがある連句というものを通して、いろいろな事に出会う様子が描かれています。
    毎回登場するお菓子が楽しみで、描写の美味しそうなこと!
    あぁ、亥の子餠食べたい。

    サブタイトルの「復活祭の卵」はどういうことだろう?と思っていたのですが…
    読んでみると、あのひとが痛みや悲しみ、後悔はありつつも、前向きに進む、そんな未来を感じる巻でした。


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    2023年11月17日
  • 言葉の園のお菓子番 孤独な月

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    「言葉の園のお菓子番」の2冊目。
    仕事が忙しくて、主な読書時間たる通勤電車の中でも目を瞑って頭を休ませたい感じで、なかなか本読みが進まずだったが、ゆるゆると進むこのお話は今の状況にはちょうど良かったかも。

    今回も連句会を中心に、一葉が用意するお菓子やお茶、彼女の仕事(ポップの仕事に加えてブックカフェで働くことになった)をはじめとしてあれやこれやが語られる。
    前作でも紹介されているとはいえ、正直誰が誰やら分からなかった連句会のメンバーだったが、萌さん、蛍さん(+妹の海月さん)、蒼子さん、直也さん、それぞれ印象的な出来事が描かれて、ようやく個性も分かってきた。ゲストみたいなベテラン歌人の久子さんや睡月さんのアクの強さもアクセント。捌きの航人さんのエピソードには、治子おばあちゃんが集まりの中で果たした大事な役割も知れる。
    毎度手を変え品を変え同じような話を読まされているような気もするが、それでもこの作者のお話はとても良い。


     亡き人がとなりに座る花の席

     人々の心を照らし月静か

     その人のぬくもりといる花の夜

    今日はかつて一緒に仕事をしていた人たちとの会食の日で、コロナ禍で4年の間が開いていたのだが、この間に亡くなった人あり体調がすぐれず来れなかった人もあり。
    かつての思い出に、これらの句がしんみりと心に沁みる歳になってしまったな。


    ヒトツバタゴを画像検索して、これは見てみたいと思った。
    うちの近くでは鶴見緑地や長居植物園、大阪城にも植わっているようだが、満開になるのは5月上旬頃だそうで、まだ先だ。覚えておけるかなあ。

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    2023年11月12日
  • 言葉の園のお菓子番~復活祭の卵

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    連句会で毎回のように次に付ける句のあり方の説明と季語や当てられる自他場などの解説がある事で4巻にして、連句の面白さと付け方がわかってきた気がして有り難く、楽しくなってます。

    今回は縁とか人生とはみたいな一葉が少し成長した気がします。

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    2023年11月11日
  • 紙屋ふじさき記念館 結のアルバム

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    ネタバレ

    シリーズもだいぶ長くなってきて、主人公の成長
    や先の未来が描かれるはずなのに、ここにきてコロナ禍。。でもしっかり向き合って描いてるほしおさんに拍手。緊急事態宣言、数年前のことなのに今でもあのときの状況が鮮明に思い出されるのは、やっぱり誰にとっても衝撃が大きかったのではないかなぁと思う。
    でも主人公が本質は変わらないながらも、成長していく姿がこれからも楽しみです。話の中で、やる気っていうのは出そうと思っても出るものではない、まずは始めてみることでやる気が出てくる、という言葉があり印象的でした。
    この先の続くお話が明るいものであるように、引き続き応援したいと思います。次の新しい記念館のお話が待ち遠しいです。

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    2023年10月29日
  • 菓子屋横丁月光荘 光の糸

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    「カラダガアルウチシカ、デキナイコト、タクサンアル。ダカラ、イキロ」

    わたしたちも蚕も、暗いところからやってきて、少しのあいだあかるい場所にとどまって、また暗いところに帰る。あかるいところにいるときだけ、身体という形を持つの。でも、ただそれだけなのよ。

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    代々繋いでいくこと、繋がっていくこと。
    それは一方では、「しがらみ」のように感じて、しんどく感じるものだけれど、
    この物語ではそれが「安心」や「根っこ」になっている。

    ファンタジーのような世界で現実にはないかもしれないけれど、これが現実だったらいいな、と思った。

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    2023年10月28日
  • 菓子屋横丁月光荘 光の糸

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    【収録作品】広瀬斜子/光る糸

    シリーズ最終巻。
    出てくる人たちがみな温かい。川越の街を歩いてみたくなる。

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    2023年10月26日
  • 言葉の園のお菓子番 森に行く夢

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    ひとつばたごのメンバーは、年代、性別、職業が多様で、みんな自立していて、穏やかに交流しつつ、句を作る中で踏み込むこともある。
    人と人との距離感が気持ちいいシリーズ。
    前に進みたい気持ちも、進まなければならないという焦りも、過去を懐かしむ気持ちも、丸く包んでいく。
    今回は一葉さんのポップの話はほとんど登場せず、書店のイベント運営の話が出てきた。一葉さんの仕事の話も、緩いのにきちんとしていて、心地よい。

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    2023年10月15日
  • 言葉の園のお菓子番 森に行く夢

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    亡き祖母の代わりにお菓子を届けたことから連句会に通うようになった一葉。誰かが詠んだ句に別の誰かの句がついて、世界がどんどん広がっていく連句が楽しい。「連句は正解のない分岐の連続」って本当に人生みたいだ。人生も、次々にやってくる選択肢を選んで進んでいく。そして、あの時ああしていれば…と後悔することがあったとしても正解は最後まで分からないのだ。
    なんとなく流れで参加するようになった一葉が、もっと連句について知りたい、次に進みたいと積極的になってきたのが良い。これからが楽しみだ。

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    2023年10月10日