ほしおさなえのレビュー一覧
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「言葉の園のお菓子番」の3冊目。
今回はいつものメンバーだけでなく歌人の久子さんが連れてきた作家先生の柚子さんや詩人の広田さんなどが彩りを添えて話が進む。
お菓子も色々な事情でいつもとは異なるお菓子が用意されるなど、3冊目になって目先も変えられて、お陰で今回もまた楽しく読めた。
シリーズを通して一葉の成長物語になっているのだが、連歌を巻いたりトークイベントで司会を任されたりの中で、他のメンバーの生き方にも後押しされて、徐々に心持ちが変わっていく様が好ましい。
同じ連衆が集まって同じ発句からはじめたとしても捌きによってはまったくちがう一巻になる、『正解のない分岐の連続』という連歌のあり様に、人生というものについても考えさせられる。『長く生きればやりなおし利く』なんて句もいいね。
詩人の広田さんの句がなかなか素敵。
緑陰やまだらになりて歩きをり
水滴となりあの人の胸に棲む
長編小説の公募の一次選考にも通らず落ち込む蛍さんの吹っ切れ方も良いな。一度つまずいて知る世界もあるよね。
花が舞うやぶれかぶれで生きている
久子さんの教え子という若い人もたくさん参加してきて今までとは違った感じの句が新鮮に感じられる一方、ベテランの酸いも甘いも噛み分けた句がまた身に沁みた。
山笑えども人のむずかし -
Posted by ブクログ
『菓子屋横丁月光荘』シリーズが完結し、そちらを読み終わった。
その間、こちらのシリーズも買って手元にあったけれど、いったん封印。
話が混線しそうな気がしたから。
作中にもコロナ禍が起こる。
当時の自分などは、職も住むところの心配もなく、暢気なものだったと思っていたが、本書の記述を読んで、なかなかつらくなってきた。
あの頃感じていた不安を、おそらく自分は抑圧していたのだと思いいたった。
そう思うと、若い世代ほど影響が長く続いていくのでは、といまさらながら心配になる。
一時は、つらくてこの本を読むのをやめようかとも思った。
やめなかったのは、ほしお作品で、たぶん悪い結末はないと思われたから。
百花もめでたく藤崎産業の内定を得るし。
笹山ゼミの4年生全員が卒論を出せたし。
小冊子研究会の学校祭企画もだが、百花が夫婦箱を作るところは、わくわくした。
前巻の『春霞の小箱』を読んだとき、次で終わりかなあ、と感じたが、もう一冊出たようだ(ちなみに、それは昨日ゲットした)。
次巻では、ふじさき記念館の復活が描かれるようだ。
川越の呉服商の建物をリノベーションするらしい。
そして、すべての作品は川越に通ず、ということか。
主人公は百花というより、記念館の方だったのかも? -
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シリーズ第4弾。
亡くなった祖母が書き残したお菓子のメモをもとに、祖母の代わりにお菓子を届けるつもりでひとつばたごにやってきて、なぜか連句を巻くことになり、気づけばそれからもう二年通い続けている一葉。
連句とは…から始まり、読むたびに少しはわかり始めてきて、だけどシリーズ化するたびに一から学ぶことも多く、新たな発見もあり毎回違った感覚になる。
短歌すらまともに作れないのに連句だともっと敷居が高くて、だれかの句に付けるというのも、雰囲気を壊さないだろうか、とか不自然にならないだろうか、とか考えてしまう。
だが、さすがにこの物語を読んでいると楽しさも響き合ってるという感覚もあって、同じように参加者の一人となっているのが不思議である。
言葉が連れ立ってやってくる…ということ。
それこそが連句の醍醐味なんだろうなぁと感じた。
今回は、「おもいで糸巻き堂」で、航人さんの別れた奥さんが小説を書いていたことに触れていたが、自分もこの小説の中に惹き込まれていくようで…これがとても印象深く残った。
そこから続く「抜けない棘」も連句の大会のピリッとしたなかにもワクワク感やドキドキ感などが伝わってきて、そして静かに佇む2人…航人さんと森原さん(鹿島千草)の前へ進むであろう未来が見えたようでほっとした。
毎回のお菓子も楽しめるひとつだが、今回はちょっと変わった「棗バター」に興味を感じた。
ぜひ食べてみたいと思う。
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シリーズ完結編。
前作で藤崎産業に入社が決まった百花が、藤崎産業に入社して、新しい記念館をオープンするまでの2年が急ぎ足で描かれる。
正直、あと2作ぐらい分けて描いてもいいのでは?と思うところもあったけど、オープンまでにクリアしなければいけないタスクと、コロナが落ち着いて、徐々に取り戻していく日常と、百花の亡くなった父の本の再刊行と、いろいろな出来事が並行して描かれており、かなり読みごたえはあった。
コロナで会っていなかった一成も、創業家の一員として、かなり自覚が出て来て、1作目に比べて、百花以上に成長したなぁ、と感じた。
ここ最近作者のシリーズ作品が完結を迎えるものが続いているが、これまで各シリーズに登場した人物も勢ぞろい感もあり、ファンならば堪らない完結作となるだろう。
紙の話もすごく勉強になったし、時折出て来る飯田や美濃の情景ある描写も好きだったので、終わってしまうのはかなり寂しい。 -
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「言葉の園のお菓子番」の2冊目。
仕事が忙しくて、主な読書時間たる通勤電車の中でも目を瞑って頭を休ませたい感じで、なかなか本読みが進まずだったが、ゆるゆると進むこのお話は今の状況にはちょうど良かったかも。
今回も連句会を中心に、一葉が用意するお菓子やお茶、彼女の仕事(ポップの仕事に加えてブックカフェで働くことになった)をはじめとしてあれやこれやが語られる。
前作でも紹介されているとはいえ、正直誰が誰やら分からなかった連句会のメンバーだったが、萌さん、蛍さん(+妹の海月さん)、蒼子さん、直也さん、それぞれ印象的な出来事が描かれて、ようやく個性も分かってきた。ゲストみたいなベテラン歌人の久子さんや睡月さんのアクの強さもアクセント。捌きの航人さんのエピソードには、治子おばあちゃんが集まりの中で果たした大事な役割も知れる。
毎度手を変え品を変え同じような話を読まされているような気もするが、それでもこの作者のお話はとても良い。
亡き人がとなりに座る花の席
人々の心を照らし月静か
その人のぬくもりといる花の夜
今日はかつて一緒に仕事をしていた人たちとの会食の日で、コロナ禍で4年の間が開いていたのだが、この間に亡くなった人あり体調がすぐれず来れなかった人もあり。
かつての思い出に、これらの句がしんみりと心に沁みる歳になってしまったな。
ヒトツバタゴを画像検索して、これは見てみたいと思った。
うちの近くでは鶴見緑地や長居植物園、大阪城にも植わっているようだが、満開になるのは5月上旬頃だそうで、まだ先だ。覚えておけるかなあ。 -
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ネタバレシリーズもだいぶ長くなってきて、主人公の成長
や先の未来が描かれるはずなのに、ここにきてコロナ禍。。でもしっかり向き合って描いてるほしおさんに拍手。緊急事態宣言、数年前のことなのに今でもあのときの状況が鮮明に思い出されるのは、やっぱり誰にとっても衝撃が大きかったのではないかなぁと思う。
でも主人公が本質は変わらないながらも、成長していく姿がこれからも楽しみです。話の中で、やる気っていうのは出そうと思っても出るものではない、まずは始めてみることでやる気が出てくる、という言葉があり印象的でした。
この先の続くお話が明るいものであるように、引き続き応援したいと思います。次の新しい記念館のお話が待ち遠しいです。
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Posted by ブクログ
「カラダガアルウチシカ、デキナイコト、タクサンアル。ダカラ、イキロ」
わたしたちも蚕も、暗いところからやってきて、少しのあいだあかるい場所にとどまって、また暗いところに帰る。あかるいところにいるときだけ、身体という形を持つの。でも、ただそれだけなのよ。
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代々繋いでいくこと、繋がっていくこと。
それは一方では、「しがらみ」のように感じて、しんどく感じるものだけれど、
この物語ではそれが「安心」や「根っこ」になっている。
ファンタジーのような世界で現実にはないかもしれないけれど、これが現実だったらいいな、と思った。