ほしおさなえのレビュー一覧
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シリーズ一作目。日本橋にある「紙屋ふじさき記念館」が舞台。和紙のコーディネーターや記念館の館長でもある藤崎さんと、大学生の百花が主な登場人物。
「菓子屋横丁 月光荘」シリーズの木谷先生もちょこっと登場する。
記念館といいながら全く宣伝や案内・手入れ等をしていなかったものを、百花が拙いながらアイデアを出してイベントで売る商品を開発したり、友達の知恵も借りながらSNSで発信したり頑張る。紙に詳しく情熱がありながらも記念館に関してはやる気がなさそうだった藤崎さんも、百花の一生懸命さに乗せられだんだん変わっていく…という感じ。
文具好きがワクワク出来るストーリーでもある。竹尾のショールームとか、ゾクゾクするほど楽しかったなと思い出したり。
・紙は理論上の平面とは違う。乾燥して水分は抜けているな、もとは繊維が溶けた水(重なりあった森)でそれが圧縮されている。厚みがあり立体。
・紙は昔から強い力を宿すもの。文字は言葉を形にしたもので目に見えない重さがある、文字をのせる紙にはそれだけの力が宿っている
…というような言葉が印象に残った。
百貨店くらいしか行ったことがない日本橋を巡ってみたくなった。
就職したて時、そんなこと普段はしない父に、平日夜待ち合わせてその辺りの百貨店の特別そうなレストランに連れていってもらった。あれはどこだったんだろう?とずっと思っていたけれど、日本橋髙島屋の特別食堂だったかもしれない、とこの本を読んで思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大好きなシリーズの最終巻。
主人公だけでなく、他の登場人物の成長も感じられたお話でした。浩介さんの場面では改めて、コロナ禍が人と人の関係だけでなく、個人の考え方にまで与えた影響を考えさせられました。
物語は新記念館の開館を迎え、前へ進む形で終わりを迎えるのがすごく好きだなと思いました。あと著者の他のシリーズの登場人物や建物・店の名前が出てくるので、ふふふっと口角が上がってしまいました。
このシリーズは個人的に、自分と共通点や近い点が多い(紙雑貨好き、川越と日本橋の立地、百花の大学の場所、1つ違いの学年……)ので、終わってしまうのが、少し寂しいです -
Posted by ブクログ
ずっと、村山早紀さんの小説だと思って読んでいました。
・・・村山さん、やたら死ぬことばかり云って、人生に否定的じゃん、
(同世代なのに止めてよ)
どうしたの作風を変えたの?と、変だ変だと思いながら、
ラストまで。
巻末の著者プロフィールで、
「あ、ほしおさんかぁ・・・」と納得した次第。
お粗末!
肝心の小説は・・・
村山さんなら(違うって!)★3、
ほしおさんなら★4かな~
限りなく3に近いけれどw
というのは・・・
二十代のアルバイト女性が
染織家の親戚の家で、人生に迷いながら
生きることを問い続ける・・・というお話。
わたしの年齢だと、どう読んでも、
「志村ふくみ」さんのエッセイで読んだような内容が多くて・・・
何より、人生に迷っている時期はとっくに過ぎたし、
生きることに疑問なんて抱いていられないんだよね、もはや。
必死なのw
若い人が<志村さんのような>世界にハッとして、
生きることに、ほんのちょっとだけでも前向きになる分には
良い作品なんじゃないかな。
昭和生まれのわたしには、もはやもうね~~ww -
Posted by ブクログ
ネタバレ紙屋ふじさき記念館シリーズ7作品目で、この巻で完結です。
藤崎産業に入社した百花が、記念館準備室に配属になり、一緒に配属された同期入社メンバーと協力し、模索しながら新しい記念館の開設に向けて取り組んでいく過程が、ちょっと駆け足気味に描かれます。
新しい記念館は川越。元は呉服店だった店蔵を改装することになり、記念館のコンセプト、展示構成、内装などを、イチから組み立てていきます。
一成がトップにいるとはいえ、新卒新入社員達で、会社にとってそれなりの規模であろう新規プロジェクトに、これだけガッツリと、しかも割と自由にやらせてもらえれば楽しいだろうなぁ。その分プレッシャーもあるとは思うけど。
途中、物語ペーパーの題材となっていたお父さんの著書の復刊が決定したり、過去のシリーズ作品で登場した人たちや、旧記念館でプロデュースしてきたブランドが次々と登場(回想)してきたり、ちょっと総集編っぽく「まとめに入った」印象を受けました。
ラストも、新記念館のオープン記念式典が始まるところで終わっているので、個人的には、物語としての「余韻」や、「未来への展望」を感じさせるというよりは、少し物足りなさを感じる幕切れに感じました。もう少し続きが読みたかったなぁ。
ただ、シリーズ全体としては、とても好きな作品です。