ほしおさなえのレビュー一覧
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三日月堂シリーズで、ほしお作品にはまる。
以来、現在刊行中の『言葉の国のお菓子番』も、『紙屋ふじさき記念館』も読んでいる。
古民家、和紙、織物、活版印刷、和菓子など、レトロな手仕事をテーマにしているので、ついつい、手が伸びる。
さて、本書は川越を舞台にした『菓子屋横丁月光荘』。
いよいよこれが最終巻とのこと。
家の声が聞こえる遠野守人。
大学院を修了した今は、月光荘の管理人としてイベントの企画なども行っている。
恩師木谷先生に連れられて行った料亭で、家の発する声から、その家でかつて織物をしていたことを知る。
広瀬斜子(ひろせななこ)という、今は途絶えてしまった織物。
いつのまにか守人のまわりにできていた人のつながりで、その家の持ち主の子孫が、取り壊されようとしているその家に帰ることができる。
広瀬斜子については全く知らず、興味深かった。
が、正直物語の枠組みの中でではなく、他の形で読みたかった気もする。
物語の登場人物の世界で何が進行していたか、時々見失ってしまった。
後半は繭の家、田辺くんの祖父母の住む家の物語。
喜代さんに先立たれ、弱っていく敏治さん。
祖父への愛ゆえに、弱っていく祖父を受け入れられない孫の田辺くん。
そういう葛藤はとてもリアルだと思う。
そして、施設に入るかどうか。
守人世代より、四十代、五十代の人にささりそうな問題だった。
最終的には、この家を田辺くんと石野さんが古民家カフェとして利用していく道が拓かれていくのだが…。
作品世界にもコロナ禍がやってくる。
守人がその中で小説を書き、世間に出ることとなる。
守人はまだ結婚しそうにないけれど、そのお相手が示されていく。
べんてんちゃんだと思っていたが、そうじゃなかったんだ。
あとは、ちらりと三日月堂のその後が垣間見えるのは、三日月堂ファンにはうれしいところ。
あの弓子さんも、お母さんになったようだ。
だとすると、他の作品の中で、作家になった守人がちらりと出てくることもあるのかもね。
また会える日を期待しよう。 -
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ほしおさなえの菓子屋横丁月光荘文鳥の宿を読みました。
今回は雛の家、オカイコサマ、文鳥の宿の三部作です。
雛の家は前回片方が家事で焼け落ちた二軒家続きで、残った片方の天袋からお雛様がでてきた。
そして三人官女の一人が足りない。
その謎がわかってきます。
オカイコサマは主人公遠野の友人のお祖母さんが昔は多くの農家がやっていた養蚕にまつわる話です。
文鳥の宿は、廃業した料亭を孫娘が朝飯だけの宿としてリフォームして始めるのですが、そのリーフレットを作りたいと古書店浮き草に依頼してきます。
どれも温かい話です。
全部で何作あるのかなと思って調べたら6作でした。
あと三作も読まないと -
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ほしおさなえの菓子屋横丁月光荘浮草の灯を読みました。
今回は浮き草の灯、切り紙、二軒家の三部作です。
家の声が聞こえる主人公遠野は、川越の月光荘に住み、慣れてきました。
古書店浮草の主人が、病気で先がなくアルバイトの女の子に浮草を継いで欲しいと願います。
切り紙は、古い紙店を閉めてしまった父親と上手く話せないサラリーマンの息子がおばあちゃんの切り紙を通して歩み寄る話です。
二軒家は10年前に、片方が家事で焼け落ちた、双子のような建物の声が、小学生の間で幽霊騒ぎになっていてそこから三作目に続くようです。
古い街の人の繋がりが温かい気持ちにさせてくれます。 -
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こんかいもひとつばたごの連句の会が2回分、がっちりと描写される。
一句一句、どこで響いているのか、あるいは跳躍しているのか、考えながら追っかけていくのも楽しい。
一葉さんがひとつばたごに通い始め、一年。
会には新人さんもつぎつぎと現れてくる中、一首もとられなくて一葉さんが焦ったりもしているのがほほえましい。
この巻のテーマは創作、特に小説を書くことのようだ。
新たに登場した人の中には、詩人として活動する広田優という人物もいる。
大学でドイツ文学を研究する中で、詩人としても活動する、絶滅寸前の文学青年がそのままミドルエイジになったようなおじさまだ。
それから、人気小説家の柚子さんという元気なお姉さんも登場する。
こうしたガチの創作家に触れて、小説家志望の蛍さんが揺れ動いてしまうことになる。
まだこのお話、最終的にどこに着地するのか見えてこないが(シリーズはまだ続くようだが)、この調子で登場人物が増えていくのかなあ。
お盆休みでゆっくり読めたので、出てくる和菓子も検索することができた。
御菓子司塩野の桜の干菓子、越後屋若狭の水羊羹。
どれも名店のようで、なかなかお高い。
しかも、日持ちがしなくて、当日買いに行くとか、どうやって運ぶかとか、いろいろ苦労もあるらしく、なかなかお菓子番も大変だ。
飲食物は持ち寄り方式なのかなあ、と思っていたのだが、このお菓子でよいかとメールしあったりしている場面があったので、もしかすると割り勘なのか、と今回初めて合点がいった。
そうでなければ、この間まで無職だった一葉さんにとって大変な負担のはず。
くだらないことが気になっていたのだが、まあ一つ解決してよかった。 -
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シリーズ2作目
連句を通じて人との結び付き、関わりが主のお話し。
連句会での出会いが更に広がりを見せていく今作。
言葉を紡いでいく連句になぞらえて、縁を繋げていくのが凄く好き。
今作は特に「命」が散りばめられていたけれど、亡き人を想い産まれてくる命を想う。
例えいま1人だとしても「独り」ではないんだなと、きっと誰かが光を当ててくれて、自分も誰かを光で照らす事が出来るんだなと。孤独な月も決して独りではない。
タイトルの意味が伝わりました。
ハラハラドキドキ、伏線回収も楽しいけれど、ゆったりと読める小説も良いですよね
ベランダで
ひとり眺める
夏の月
照らすひかりは
誰かの想い -
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連休最終日、あまりの暑さに、せめてお気に入りのシリーズを読もうと思い立つ。
久しぶりの一葉さん。
連句結社ひとつばたごの人たちとのつながりで、めでたく身の振り方も決まる。
この巻では、三回の句会が行われる。
歌仙(一つだけ半歌仙)ができあがるまで、それぞれの人の近況や過去が語られ、まさに「座」談会が再生されていくかのよう。
物語がほとんど句会の様子で構成されている…かのような印象を受けた。
その間、蒼子さんが連れ合いをなくし、治子さんが堅香子の危機を救ったことが明かされ、一葉の幼馴染の怜さんに子どもが授かる。
プロットが張り巡らされ、凝った小説が多いいまどき、こういうゆったりした小説は貴重かも。 -
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シリーズ3作目。
連句という形式にも慣れてきて、なるほど、こんなふうに繋げていくのか、と読者も連句会、ひとつばたご(物語の終わりで出てくるなんじゃもんじゃの木だなんて)のメンバーとしてだいぶ上手に詠めるようになってきたはず。
登場する水羊羹は本当に美味しそう!
いつかは食べてみたいなぁ、プルプルで、まるで水そのもの!
しんとした世界から手渡されるそれは私の想像を刺激して、お腹も刺激する。
マンガの話も出てきて、本作はシリーズの中でお気に入り。
『たんぽぽの綿毛のように』で出てくる、
「大きな木は動けないけど、たんぽぽの綿毛は遠くまで飛べるでしょう?」(103頁)は、軽やかに生きる強さを感じさせる。
個人的には毒っけのあるこの句、
「念のため消せるインクで書く呪い 長く生きればやり直し利く」
が大好き。
一葉の未来もそろそろ動き出しそう。 -
Posted by ブクログ
初めは、連句には一編の詩のようなまとまりを感じられず、戸惑いもあったのだが、ここにきて漸く良さが分かってきたように思う。
前の句には付ける、でも二つ前の句からは遠ざける。
連衆それぞれが持つ世界の表し方を繋げ、広げていくことで、この世界を詠む。
その時にどの句を取るかでその一巻の方向性も変わる。
その役を担うのが捌き。
面白い。
作中に出てくる和菓子も魅力的。
ひとつ気になったのが、
P.292「そぞろ歩きに響くひぐらし」が付いた。
とあったのに、
P.294「そぞろ歩きに響くかなかな」
に変わっていたこと。
確かに「かなかな」の方が情景が広がる感じがして良いと思うが、変更した理由についての言及がなかったので、校正か修正時のミス?と想像してみたり。
この先もどんな世界が巻かれるのか楽しみだ。