ほしおさなえのレビュー一覧
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ほしおさんらしい、伝統工芸とそれにかかわる人々を温かく描いた小説。
今回は少女時代を飛騨高山で過ごした縁で金継ぎをする女性千絵と、キャリアウーマンの娘結子、そしてその娘の高校生真緒の三代を軸に展開する。
金継ぎの技はもちろん、漆の特性、春慶塗の特徴、そして最近の漆畑を守る人々のことまで、丁寧に描かれる。
夫の浮気を耐え忍び、金継ぎにのめり込んだ千絵の世代から、女性の生き方が移り変わっていくことも、一つのテーマのようだ。
ちょっと残念だったのは、語り手の個性がわかりにくいことか?
三世代の女性たちが、章ごとに語り手を務めるのだけれど、ぼんやり読むと語り手は誰なのかわからなくなってしまう。 -
購入済み
和紙の世界
シリーズ第3作目。今回も和紙に纏わるエピソードがたくさん盛り込まれ紙も言葉も強くて暖かい。百花の世界が広がっていく物語、この優しい人達の集まるほしおワールドは、やっぱり素敵です。
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家の声が聞こえる、不思議な能力を持つ守人を主人公にしたシリーズ第3弾。
2作目で登場した「二軒家」を街づくりの為、改修するところから始まる。
改修しようと、「二軒家」の中を片付けるボランティアに参加した守人は、天袋に隠されていたひな人形を発見する。
以前、住んでいた家族には女の子の子供はおらず、しかも三人官女の一人が欠けていた。
そんな謎だらけのひな人形を、せっかくだからと月光荘に飾ることに。その飾りを観つつ、昔ながらの遊び「貝合わせ」を作るワークショップを開催することにした守人たち。
「貝合わせ」自体は記憶にないが、自分が子供の頃は、毎年近所の家でお雛様の飾りつけをしたことを思い出す。お雛様 -
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老舗紙メーカー、藤崎産業の資料館でバイトをする大学生、百花。
ものづくりが好きな百花の物語の続編。
小冊子研究会の文化祭、館長の先輩が開業した書店などのエピソードも楽しい。
蝋引きは、自分でもやってみたくなる。
今回も、百花が商品開発をする。
モデルで彫金のアクセサリー作家、淵山雫の新作のパッケージ、そして館長の先輩綿貫の書店で商う「物語ペーパー」など。
おとなしめな百花だが、今回の彼女は少し挑戦的。
というのも、彼女のボスに当たる館長・一成の従兄弟が雫に関わって登場したから。
何かと一成に敵愾心を持ち、資料館の廃止論者。
何かお家騒動の雰囲気が漂い、物語にも緊張感を生み出す。
今後も尾を -
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・家の声を聞くことができる青年、守人の周辺で起こる優しいできごとのシリーズ二巻目。ようやく川越にも馴染んできた。
・三日月堂でも出てきた古書店「浮草」の顛末。あちらではさらっと描かれていた部分。浮草のつぶやく声は? そしてなんと月光荘と会話ができるようになる。
・廃業した和紙専門店。切り紙、窓紙づくりのワークショップを行う。
・オイテカナイデ、と語る家と少年。
▼月光荘についての簡単なメモ
【旭爵位文庫】実際にある施設らしい。安藤さんが佐久間さんと藤村さんに紹介したかった建物。写真を見ると昔よく行ってたタイプの店舗建築だった。
【旭湯】銭湯。遠野が月光荘に入った日に行った。リアルにある銭湯 -
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活版印刷のほしおさんが、今度は和紙をとりあげる。
とはいえ、三日月堂のシリーズでも、細川紙のことがでていたから、和紙に光が当たるのも、自然な流れか?
主人公は吉野百花という大学生。
日本文学専攻で、小冊子研究会というサークルに入っている。
ちょっと内気なところがあるが、手先が器用で、紙を使った小物を作るアイディアも豊か。
その百花が、器ものを商う叔母、紫乃の導きで、製紙業を営む藤崎産業の記念館で働くことになる。
創業一族の館長一成は、若く、紙への情熱も人一倍だが、和紙で商売が成り立つ時代ではないとあきらめ、無気力になっている。
少し偏屈な一成が、百花の懸命さにふれて変わっていく、という筋 -
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「菓子屋横丁月光荘」の3冊目。
大したことは起きないが、登場人物が善い人ばかりでイヤな人が出て来ないのはこの本の値打ち。
最初のお雛様の話も、どうということもないが、なかなか泣かせる。
2話目では舞台が川越を離れて隣の川島町まで行ってしまったが、川越だけではネタが尽きてきたのかしらん。
土地勘がないのだけど、川越の北のほうということで、地図を写真にしてみると確かに田んぼばかりみたいね。
だけども、この町も遠山記念館をはじめとして見どころはたっぷり。ネットで見る遠山記念館はいや本当に素晴らしい。
見学できる醤油屋さんは「金笛しょうゆパーク」というんだな。前に川越に行った時に松本醤油商店を見学 -
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ほしおさんって手仕事そのものを創る人じゃなくて
それを文字にする人なんだな
既刊の本を見てそう感じた
取材するだけじゃ無くてどう表現するかっていうのも重要ですね
さて今回のテーマは和紙です!
今立と名塩を訪ねたことがあるので興味のあるジャンルです(^^)
続けて続刊の「物語ペーパー」
大学生のサークルの様子とか新商品開発とか
現実的では無いけどワクワクするストーリーです
それでも美濃和紙の章では現実に旅に出られそうな(^^)
この本を貸してくれたMZTさんも行きたいって!
ちょうどNHKのせかほしで特集していたらしいです
伝統工芸を現代につなぐのは素晴らしいです!
後半は三日月堂の流れ -
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完結したシリーズの、スピンオフ後日譚。
シリーズを通して、こんなに登場人物がいたんだなあ、と再確認できる。
結婚した弓子さんのその後が描かれたのが、表題作の「小さな折り紙」。
埼玉の細川紙(和紙)の話も面白かった。
それにしても、技術の継承の問題は興味深い。
簀桁を作る職人さんがいなくなりつつあること、楮を自ら育てて収穫しないと材料が手に入らないことなどを知った。
このシリーズで活字鋳造がもうできなくなっているということが何度も語られていたが、まさに同じ話。
一つの技術は、生態系のようにネットワークの中にある。
その一つの要素が損なわれると、存続が難しくなるんだなあ、と気づく。
新しい技術が