ほしおさなえのレビュー一覧
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老舗紙メーカー、藤崎産業の資料館でバイトをする大学生、百花。
ものづくりが好きな百花の物語の続編。
小冊子研究会の文化祭、館長の先輩が開業した書店などのエピソードも楽しい。
蝋引きは、自分でもやってみたくなる。
今回も、百花が商品開発をする。
モデルで彫金のアクセサリー作家、淵山雫の新作のパッケージ、そして館長の先輩綿貫の書店で商う「物語ペーパー」など。
おとなしめな百花だが、今回の彼女は少し挑戦的。
というのも、彼女のボスに当たる館長・一成の従兄弟が雫に関わって登場したから。
何かと一成に敵愾心を持ち、資料館の廃止論者。
何かお家騒動の雰囲気が漂い、物語にも緊張感を生み出す。
今後も尾を -
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・家の声を聞くことができる青年、守人の周辺で起こる優しいできごとのシリーズ二巻目。ようやく川越にも馴染んできた。
・三日月堂でも出てきた古書店「浮草」の顛末。あちらではさらっと描かれていた部分。浮草のつぶやく声は? そしてなんと月光荘と会話ができるようになる。
・廃業した和紙専門店。切り紙、窓紙づくりのワークショップを行う。
・オイテカナイデ、と語る家と少年。
▼月光荘についての簡単なメモ
【旭爵位文庫】実際にある施設らしい。安藤さんが佐久間さんと藤村さんに紹介したかった建物。写真を見ると昔よく行ってたタイプの店舗建築だった。
【旭湯】銭湯。遠野が月光荘に入った日に行った。リアルにある銭湯 -
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活版印刷のほしおさんが、今度は和紙をとりあげる。
とはいえ、三日月堂のシリーズでも、細川紙のことがでていたから、和紙に光が当たるのも、自然な流れか?
主人公は吉野百花という大学生。
日本文学専攻で、小冊子研究会というサークルに入っている。
ちょっと内気なところがあるが、手先が器用で、紙を使った小物を作るアイディアも豊か。
その百花が、器ものを商う叔母、紫乃の導きで、製紙業を営む藤崎産業の記念館で働くことになる。
創業一族の館長一成は、若く、紙への情熱も人一倍だが、和紙で商売が成り立つ時代ではないとあきらめ、無気力になっている。
少し偏屈な一成が、百花の懸命さにふれて変わっていく、という筋 -
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「菓子屋横丁月光荘」の3冊目。
大したことは起きないが、登場人物が善い人ばかりでイヤな人が出て来ないのはこの本の値打ち。
最初のお雛様の話も、どうということもないが、なかなか泣かせる。
2話目では舞台が川越を離れて隣の川島町まで行ってしまったが、川越だけではネタが尽きてきたのかしらん。
土地勘がないのだけど、川越の北のほうということで、地図を写真にしてみると確かに田んぼばかりみたいね。
だけども、この町も遠山記念館をはじめとして見どころはたっぷり。ネットで見る遠山記念館はいや本当に素晴らしい。
見学できる醤油屋さんは「金笛しょうゆパーク」というんだな。前に川越に行った時に松本醤油商店を見学 -
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ほしおさんって手仕事そのものを創る人じゃなくて
それを文字にする人なんだな
既刊の本を見てそう感じた
取材するだけじゃ無くてどう表現するかっていうのも重要ですね
さて今回のテーマは和紙です!
今立と名塩を訪ねたことがあるので興味のあるジャンルです(^^)
続けて続刊の「物語ペーパー」
大学生のサークルの様子とか新商品開発とか
現実的では無いけどワクワクするストーリーです
それでも美濃和紙の章では現実に旅に出られそうな(^^)
この本を貸してくれたMZTさんも行きたいって!
ちょうどNHKのせかほしで特集していたらしいです
伝統工芸を現代につなぐのは素晴らしいです!
後半は三日月堂の流れ -
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完結したシリーズの、スピンオフ後日譚。
シリーズを通して、こんなに登場人物がいたんだなあ、と再確認できる。
結婚した弓子さんのその後が描かれたのが、表題作の「小さな折り紙」。
埼玉の細川紙(和紙)の話も面白かった。
それにしても、技術の継承の問題は興味深い。
簀桁を作る職人さんがいなくなりつつあること、楮を自ら育てて収穫しないと材料が手に入らないことなどを知った。
このシリーズで活字鋳造がもうできなくなっているということが何度も語られていたが、まさに同じ話。
一つの技術は、生態系のようにネットワークの中にある。
その一つの要素が損なわれると、存続が難しくなるんだなあ、と気づく。
新しい技術が -
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シリーズ2作目。
シリーズものは続けて読まないと決めているけど、どうしても気になって、2冊続けて一気読み。
前作では、和紙を使った小物の制作の話が多かったが、今作では美濃を訪れて、和紙漉きの体験を描いたり、百花の亡くなった父の話など、人間模様も描かれる。
百花の大学の学園祭の様子などもあり、前作とは少し趣向が変わるが、ここでも百花のアイデアで普通の紙に蝋を流して、栞を作成してみたりと、また試してみたくなるようなところも。
百花が入るまで機能していなかった記念館も、段々記念館らしくなり、日本橋に行ったら、本当にありそうで、ちょっと探してみたくなる。
そして、続きを早く読みたいと思わせる作品。 -
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「活版印刷」シリーズの作者が描く「和紙」をテーマにした新シリーズ。
大学2年生の百花は、陶器のお店を営む叔母の紫乃に連れられて、「紙こもの市」を訪れる。
紙製品の展示会にテンションの上がる百花。しかし、紫乃の仕事の取引相手である紙屋ふじさきのブースを最後に訪れ、やる気のない藤崎一成に出会い、一気にテンションが下がってしまう。
ブースは出しているものの、全く売る気のない一成。しかし、そこには百花の心を揺さぶる和紙の数々が…
和紙を通じて、心も通いだす百花と一成の様子が丁寧に描かれる。
今回の物語の舞台は「日本橋」。「活版印刷」の川越もいいけど、日本橋の街の描写もいい。
出版社が違うから、直接「活 -
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ネタバレ続編刊行、非常に嬉しかった!
前作も非常に丁寧に描写されていた印象があったが、今回も丁寧に綴られた物語だった。
百花のバイト生活も、大学生活も、日常生活の描写にも手を抜かない。
その分、登場人物も増えるが、百花がこうやって生活しているんだということがリアルに感じ取れて、本当にいいと思う。
だからこそ、和紙の大切さにも説得力が増すと言うか。
和紙の話以外の部分も丁寧に描写されているからこそ、和紙の特別さ、大切さがより際立つし、驚きや感動もより一層強く感じられるのだと思う。
百花がちゃんと物語の中で生きているから。
読者と同じように。
この説得力の高さよ。
丁寧に描いているからこそ、この一冊だけ -
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沢山の仲間たちと一つの事を仕上げるのは有意義な事
以前一緒にいた人々を思い出す
いろんな事ができてよかった
今はひとつの物語のように感じます
現在何人かはあちらの世界にいたり、遠くにいたり
活版は、ノスタルジーだけでやっていけないと思うけど
ここでは美しい物語になってます
大きくなるときは、迷惑かけたり、助けてもらったり、失敗したり
それをしないと大きくならない
慣れたことだけしてたらダメなんだ
自分の身体 財産 大切な人 大事にしていたもの
仕事 業績 世のため人のためににしたこと
ーーーーその人のものじゃない 持っていけない
思い 記憶 夢
ーーーーーその人だけのもの