ほしおさなえのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ着物に宿る記憶を視ることができる琴子。
琴子が働くリユース着物店「本庄の蔵」の店長、柿彦。
ほしおさなえさんが今まで書かれてきた主人公たちより少し上の世代のふたりが今作の中心。
ふたりは姉弟のように育ったが、その実、関係性は叔母と甥である。
琴子は本庄呉服店2代目店主の養女、柿彦は3代目店主の次男。
一見複雑なようで、当人たちは全くそんなことはなく。お互い以外の家族との関係の方がよほど複雑で厄介だ。
着物に宿る記憶は、幸せな記憶もあれば暗く重い記憶もある。
戻ってこれないかもしれないと感じながらも視ずにはいられない琴子が危うく感じる。 -
Posted by ブクログ
母の死をきっかけに生きる意味を見いだせなくなった槐は、川越で染色工房を営む叔母の家に居候していた。
そこに転落事故に巻き込まれ、心を閉ざしていた従兄弟の綸も同居をすることになる。
綸は、祖母が生きていた頃に機織りに興味を持ち織ったこともあり、藍染めの青の糸に魅了されてから染織にのめり込むようになり、少しずつ槐や叔母とも会話するようになる。
ある日、槐は不審な男につけられるようになり…、綸に助けを求めたところ、実は綸のことを探っていたことがわかり…。
草木で染め出した糸を織り作品を生み出していく世界観に引き寄せられた。
「生きる」ことの意味などないと思いながら一日をなんとか過ごしていた槐が