ほしおさなえのレビュー一覧

  • 活版印刷三日月堂 雲の日記帳

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    心温まるお話でした。
    本はタンポポの綿毛のようなもので、明確な宛先は持っていないけれど、行き着いた先の読み手にメッセージを残すという一節が非常に印象的でした。

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    2020年08月27日
  • 活版印刷三日月堂 庭のアルバム

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    気持ちが温かくなる連作集。弓子の活版印刷屋を舞台にしており、前の話にそれぞれ繋がりはあるが、全く別の話として読んでも問題ない作品集。それぞれの話がいい話で、好きだな。読み終わってからシリーズ3作目と知る。遡って1作目、2作目も読もうっと

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    2020年07月30日
  • 活版印刷三日月堂 空色の冊子

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    3作目で完結したシリーズの番外編。
    3冊の中で登場した人物の背景と弓子が三日月堂を継ぐ決心をするまでが描かれる。
    弓子の母が亡くなった時にお葬式にも来られなかった友人の事情や、復活した三日月堂で初めて作った本「ウェスタン」の制作に込められた男たちの想いなど、どれも胸を打つ作品ばかり。
    その中でも「引っ越しの日」で描かれる劇団員を目指していたが、挫折して北海道に戻った唯と、あてもなく三日月堂の再建に臨もうとしている弓子との会話が印象的。

    生きる目標とか、目的とか、いまのわたしには全然ないの。でも、生きていくだけならできる気がする。人のためになにかするとか、そんなむずかしいこともできそうにない。

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    2020年07月16日
  • 活版印刷三日月堂 小さな折り紙

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    ネタバレ

    大好きなこのシリーズもとうとう最後まで読み終えてしまった。
    最後の最後までほろりと泣ける。

    「あたたかい。やさしい。それでいて力強い」
    活字の本を示したこの言葉は、活版印刷だけでなく活版印刷に携わる三日月堂にも当てはまる。
    そして活字に込められた人々の想いや願いも、生きた証として「あと」を残していく。
    その先の未来では、きっと星となって人々の心の空でいつまでも光り続けるだろう。

    弓子の活版印刷にかける情熱もいずれ子供が受け継ぐことに期待して、三日月堂の未来を託して、最後の頁を閉じた。
    心地好い余韻にひたりながら。

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    2020年07月16日
  • 菓子屋横丁月光荘 浮草の灯

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    ① この本を選んだ理由
    このシリーズを読み始めたので、その続きで。

    ②あらすじ 
    3部構成。
    浮草の灯、切り紙、二軒家。
    浮草の灯では、活版印刷三日月堂シリーズの水上さんが登場する。

    ③心に残ったこと
    建物との会話

    ④感想
    前作よりこちらの方がよかった。
    全体的に寂しい感じがした。
    この本を読むと、家に触れて声を聞こうとしてしまう…

    ⑤登場人物

    遠野守人
    松村果歩 べんてんちゃん
    木谷先生

    安西明里
    豊島つぐみ

    他…

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    2020年07月14日
  • 活版印刷三日月堂 雲の日記帳

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    号泣ではないけど、そっと心にくる優しさや悲しさに涙が出ました。

    祖父を亡くしたばかりの時に読みましたが、夢だけがその人の持ち物、という表現に涙が出ました。
    祖父の夢は何だったのだろう。
    居なくなってしまった今はその思いも夢も知ることは出来ません。

    その思いを形にして、次へ繋いでいく人々の物語。
    必死で何かに夢中になり、優しさの中に生きている人たちの物語。

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    2020年07月02日
  • 活版印刷三日月堂 小さな折り紙

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    三日月堂のお話が、弓子さんの結婚で終わってしまうと思っていたら、待望のスピンオフが出ました。
    これまで活版印刷に関わってきた人たちが、主役になり、脇役になり次々登場するのでファンにはたまりません。
    それぞれの人生、人物たちがどこかで決心し、前へ向かっていこうとする姿が、作者に選ばれた言葉で表現されています。人生の機微というのかな。その辺りの表現が独特です。もう続編はないのかもしれないけれど(いえ、書いて欲しいですけど!)それぞれの今後をいろいろ想像してしまいました。

    初版には限定で、活版印刷による1ページが付いています。この字体、見たことがある。ずっと昔、家にあった教科書で。活版印刷で作られ

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    2021年01月26日
  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

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    漆に関わる仕事を通して、縦へ横へとあたたかく「繋がる」物語。ストーリーも文章も丁寧で素敵です。
    高山にも大子にも、改めて行ってみたくなりました。我ながら影響されやすいなーと思います(笑)。

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    2020年03月18日
  • 活版印刷三日月堂 雲の日記帳

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    ネタバレ

    弓子一人で始めた三日月堂も、今では大勢の人が集まる賑やかな場となった。
    機械を動かす音に混じって聴こえる楽しそうな話し声や笑い声。
    活版印刷に導かれた人が、また新たな人と繋がり輪を作り、素敵な縁を結んでいく。
    活版印刷によって大切な思いが形となり、周囲の人にも伝わる幸せの連鎖に感動した。

    静かなようで意外と頑固。
    いつも相手のことを思い、寄り添い続ける。
    そんな弓子と、弓子に魅了された三日月堂の仲間達のこれからに思いを馳せて。
    三日月堂の新たな展開にも期待して。

    これが取り敢えずの完結編。
    けれど、これでさよならなんてあり得ない。
    第5、第6弾で三日月堂の仲間達と再会する日を心待ちにしたい

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    2020年03月12日
  • 活版印刷三日月堂 庭のアルバム

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    ネタバレ

    今回は一つの"仕事"として、活版印刷について考えさせられた。
    活版印刷で制作された物を、見たり貰ったりする分にはとてもお洒落で素敵な物、で済む。
    けれど、これを自分の生業として見た時には…。
    正直、手間暇かけた割には効率が悪い。
    体力的に楽ではないし、収入も安定していない。
    活版印刷機を修理できる職人も少なくなってきているし、活字屋も減っている。
    「仕事をするうちに、まだまだ可能性がある、と感じるようになった。やりきった、と感じるまではやめられないですよ」
    古くから伝わるものを守る、ということは単に保守的とは言い切れない。
    それ自体が新たな挑戦とも受け止められる。
    もっとい

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    2020年03月09日
  • 活版印刷三日月堂 海からの手紙

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    ネタバレ

    大好きなシリーズ第2弾。
    今回も優しさの連鎖が止まらない。
    その優しさにふれる度にまたまた泣かされた。

    パソコンで文章を打ち込んでいると、文字はパターン化されているので文章も簡単に作れる。
    活版印刷を知れば知るほど、"文字"の無限の可能性と奥深さを思い知る。
    壁一面にそびえる活字の棚。
    想像を遥かに越えた圧倒的な量には声も出ない。
    その莫大な量の活字を積み重ねて出来上がる言葉達。
    何から何までが手作業。
    作った人の手の温もり、紙の手触り、インクの香り。
    印刷物を通してダイレクトに伝わる、その全てが柔らかく優しい。

    「印刷物は言葉の仮の姿だと思うんです。『残す』というより

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    2020年03月08日
  • 空き家課まぼろし譚

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    ネタバレ

    【あらすじ】
    ベニスのように美しい水上都市、海市。その一角にある風変わりな組織“海市協会空き家課”。だれも住まなくなった建物に再び命を吹き込むのがこの部署の仕事だ。そこに勤務する間宮明はちょっと気弱な25歳。仕事で扱う古い建物から古いアルバムをくすね、蒐集する悪癖がある。ある日、明の仕事に課長の娘・三上汀がついてくることに。そこで、汀の能力が目覚め……。次々に現れる空き家の謎を解く事は出来るのか!?

    【感想】

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    2017年08月05日
  • 活版印刷三日月堂 小さな折り紙

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    人の心は、その人の出会い、言葉、経験、
    そこから生まれた想いなど、
    幾重にも重なっていて、本人にもわからないところがある。

    なぜ、こんなことをしてしまったのか、
    こんなことを言ってしまったのか。
    ここに辿り着いたのか。

    それは、その人の幾重にも積み重ねられた
    歴史からくるものなのだろう。

    登場人物は、実在ではないし、
    当然会ったこともないのに、
    なぜか、あぁそんなことがあったんですね。
    そんな想いがあったんですね。

    と、読みながら語りかけたくなるような
    不思議な親近感があった。

    自分も、誰かの積み重なる思いの中に
    優しさを一枚折り込むことのできるような
    そんな人になりたいと思った。

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    2025年12月20日
  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

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    塗師の祖父がいて、今は金継ぎをしている千絵の人生を振り返るとともに、離婚した娘、進路に悩む孫・真緒と三世代の女性が描かれていました。

    じんわり温かな気持ちが広がるラスト。
    しばらく余韻にひたりました。
    千絵のこれまで、そしてまたここからの人生に思いを巡らせ、未来への希望と期待感で爽やかな気持ちにもなりました。

    この本は「金継ぎ」の文字に惹かれて手に取りましたが、金継ぎそのものだけではなく、漆器や漆について、漆の森のこと、漆掻きをする人のこと……広くその周りの世界までのぞくことができました。
    読んでいて嬉しい、楽しい!

    『日本には古来そうして生まれたあたらしい景色を楽しむという伝統がある。

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    2025年12月19日
  • 活版印刷三日月堂 星たちの栞

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    活版印刷 三日月堂を舞台につながりのあるあったかい短編集。ブクロクの評価を見て読みました。面白かったです。ありがとう。

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    2025年12月09日
  • 銀河ホテルの居候 光り続ける灯台のように

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    優しい物語にほろっと心が明るく灯りました。
    軽井沢に興味を持って、観光案内を調べたりしています。いつか行ってみたいです。

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    2025年12月05日
  • 活版印刷三日月堂 星たちの栞

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    それぞれのお話の登場人物たちが、活版印刷を選んで、惹かれていく過程がなんだか良かったな。自分も印刷されたコースターが欲しくなった。

    最後のお話では、過去や関わってくれた人たちが、自分を守ってくれて、新しい場所に連れて行ってくれるのが感じられてなんだかグッときた。
    自分も、今まで選択してきたことは、過去があるから選べたんだろうなと。
    そこからの、結婚を船出に例えているのも沁みた。

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    2025年12月04日
  • 言葉の園のお菓子番~大切な場所

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    連句の楽しさ以上に、連句でのつながりをどう続けていくか…というようなテーマとか、創作の才能をどう活かすか…というようなテーマが絡ませてあるように感じました。
    共に創作することの楽しさと苦しさをうかがえました。

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    2025年11月26日
  • 銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に

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    銀河ホテルを巡るオムニバスストーリー。
    人生の前の向き方、みたいなのが軸なのかな。手紙を書くためのインクにもたくさんフォーカスされてて少し珍しくて買いたくなった。

    第1話
    P98の、おじいさまの言葉がとても良かったです。
    『与えられるのを待つんじゃなくて、手で触って足で歩いて生きるんだ〜〜』

    第2話で、主人公の心理描写に、どこかに行かなくても楽しいことは全部自分の中にある、つらいことは全部濾過されて楽しいことだけが残っている
    といったようなことが書いてあって、先日高齢の祖母と久々に会って旅行したときとリンクして、美しい気持ちだなと思い、思わずホロリ。わたしもそんなふうに過去を振り返ったとき

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    2025年11月18日
  • 星降る海 琴子は着物の夢を見る

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    一、二作目を読んでるから。読んでるという前提のフリだったのかしら。いつも通り平和な着物ミステリーと読み進めていて、残りページが少ないので、次巻に続く・・かな?と思ったのですが。まったく虚をつかれたラストでした。それで面白い。

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    2025年11月13日