ほしおさなえのレビュー一覧

  • 活版印刷三日月堂 雲の日記帳

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    号泣ではないけど、そっと心にくる優しさや悲しさに涙が出ました。

    祖父を亡くしたばかりの時に読みましたが、夢だけがその人の持ち物、という表現に涙が出ました。
    祖父の夢は何だったのだろう。
    居なくなってしまった今はその思いも夢も知ることは出来ません。

    その思いを形にして、次へ繋いでいく人々の物語。
    必死で何かに夢中になり、優しさの中に生きている人たちの物語。

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    2020年07月02日
  • 活版印刷三日月堂 小さな折り紙

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    三日月堂のお話が、弓子さんの結婚で終わってしまうと思っていたら、待望のスピンオフが出ました。
    これまで活版印刷に関わってきた人たちが、主役になり、脇役になり次々登場するのでファンにはたまりません。
    それぞれの人生、人物たちがどこかで決心し、前へ向かっていこうとする姿が、作者に選ばれた言葉で表現されています。人生の機微というのかな。その辺りの表現が独特です。もう続編はないのかもしれないけれど(いえ、書いて欲しいですけど!)それぞれの今後をいろいろ想像してしまいました。

    初版には限定で、活版印刷による1ページが付いています。この字体、見たことがある。ずっと昔、家にあった教科書で。活版印刷で作られ

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    2021年01月26日
  • 金継ぎの家 あたたかなしずくたち

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    漆に関わる仕事を通して、縦へ横へとあたたかく「繋がる」物語。ストーリーも文章も丁寧で素敵です。
    高山にも大子にも、改めて行ってみたくなりました。我ながら影響されやすいなーと思います(笑)。

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    2020年03月18日
  • 活版印刷三日月堂 雲の日記帳

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    ネタバレ

    弓子一人で始めた三日月堂も、今では大勢の人が集まる賑やかな場となった。
    機械を動かす音に混じって聴こえる楽しそうな話し声や笑い声。
    活版印刷に導かれた人が、また新たな人と繋がり輪を作り、素敵な縁を結んでいく。
    活版印刷によって大切な思いが形となり、周囲の人にも伝わる幸せの連鎖に感動した。

    静かなようで意外と頑固。
    いつも相手のことを思い、寄り添い続ける。
    そんな弓子と、弓子に魅了された三日月堂の仲間達のこれからに思いを馳せて。
    三日月堂の新たな展開にも期待して。

    これが取り敢えずの完結編。
    けれど、これでさよならなんてあり得ない。
    第5、第6弾で三日月堂の仲間達と再会する日を心待ちにしたい

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    2020年03月12日
  • 活版印刷三日月堂 庭のアルバム

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    ネタバレ

    今回は一つの"仕事"として、活版印刷について考えさせられた。
    活版印刷で制作された物を、見たり貰ったりする分にはとてもお洒落で素敵な物、で済む。
    けれど、これを自分の生業として見た時には…。
    正直、手間暇かけた割には効率が悪い。
    体力的に楽ではないし、収入も安定していない。
    活版印刷機を修理できる職人も少なくなってきているし、活字屋も減っている。
    「仕事をするうちに、まだまだ可能性がある、と感じるようになった。やりきった、と感じるまではやめられないですよ」
    古くから伝わるものを守る、ということは単に保守的とは言い切れない。
    それ自体が新たな挑戦とも受け止められる。
    もっとい

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    2020年03月09日
  • 活版印刷三日月堂 海からの手紙

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    ネタバレ

    大好きなシリーズ第2弾。
    今回も優しさの連鎖が止まらない。
    その優しさにふれる度にまたまた泣かされた。

    パソコンで文章を打ち込んでいると、文字はパターン化されているので文章も簡単に作れる。
    活版印刷を知れば知るほど、"文字"の無限の可能性と奥深さを思い知る。
    壁一面にそびえる活字の棚。
    想像を遥かに越えた圧倒的な量には声も出ない。
    その莫大な量の活字を積み重ねて出来上がる言葉達。
    何から何までが手作業。
    作った人の手の温もり、紙の手触り、インクの香り。
    印刷物を通してダイレクトに伝わる、その全てが柔らかく優しい。

    「印刷物は言葉の仮の姿だと思うんです。『残す』というより

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    2020年03月08日
  • 空き家課まぼろし譚

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    ネタバレ

    【あらすじ】
    ベニスのように美しい水上都市、海市。その一角にある風変わりな組織“海市協会空き家課”。だれも住まなくなった建物に再び命を吹き込むのがこの部署の仕事だ。そこに勤務する間宮明はちょっと気弱な25歳。仕事で扱う古い建物から古いアルバムをくすね、蒐集する悪癖がある。ある日、明の仕事に課長の娘・三上汀がついてくることに。そこで、汀の能力が目覚め……。次々に現れる空き家の謎を解く事は出来るのか!?

    【感想】

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    2017年08月05日
  • 言葉の園のお菓子番~大切な場所

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    連句の楽しさ以上に、連句でのつながりをどう続けていくか…というようなテーマとか、創作の才能をどう活かすか…というようなテーマが絡ませてあるように感じました。
    共に創作することの楽しさと苦しさをうかがえました。

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    2025年11月26日
  • 銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に

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    銀河ホテルを巡るオムニバスストーリー。
    人生の前の向き方、みたいなのが軸なのかな。手紙を書くためのインクにもたくさんフォーカスされてて少し珍しくて買いたくなった。

    第1話
    P98の、おじいさまの言葉がとても良かったです。
    『与えられるのを待つんじゃなくて、手で触って足で歩いて生きるんだ〜〜』

    第2話で、主人公の心理描写に、どこかに行かなくても楽しいことは全部自分の中にある、つらいことは全部濾過されて楽しいことだけが残っている
    といったようなことが書いてあって、先日高齢の祖母と久々に会って旅行したときとリンクして、美しい気持ちだなと思い、思わずホロリ。わたしもそんなふうに過去を振り返ったとき

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    2025年11月18日
  • 星降る海 琴子は着物の夢を見る

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    一、二作目を読んでるから。読んでるという前提のフリだったのかしら。いつも通り平和な着物ミステリーと読み進めていて、残りページが少ないので、次巻に続く・・かな?と思ったのですが。まったく虚をつかれました。でも面白い。

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    2025年11月13日
  • 活版印刷三日月堂 星たちの栞

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    活版印刷のこと自体、なーんにも知らないので、大丈夫かなあ?と少し不安になりながら手に取ったけど、とてもよかったです!

    活版印刷の繊細さと、登場人物達の繊細な心のヒダがとてもよくマッチしていいい雰囲気です。
    店主である弓子さんのミステリアスだけど、どこまでも人に優しい振る舞いに感激しました。

    ★世界は森
    母子家庭の一人息子の進学という旅立ち。
    母であるハルさんの喜びと寂しさ。
    とても心に染み入りました。

    ★星たちの栞
    多感で繊細な女子学生二人の心のやり取りに涙しました。

    活版印刷について、自分でも少し調べました。
    私の人生で、これから名刺やショップカードを作ることはないだろうけど、

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    2025年11月09日
  • 言葉の園のお菓子番 孤独な月

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    書店のポップ作りの経験から、仕事が繋がっていく…自分の強みが生かされていてとても良いなと思う。
    今回のお菓子たちも、どれも気になる!
    連句の決まりはなかなか難しそうだけど、本の中の人たちも、説明を聞きながら作っているし、一緒に学んでいる感じが面白い。海月ちゃんが良いアクセントになっている。

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    2025年11月08日
  • 言葉の園のお菓子番 見えない花

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    祖母の好きだったことを受け継いで、自分も楽しめるって、ステキだな。
    毎月のお菓子も美味しそうで、私も食べてみたい。
    連句は初めて知ったけど、みんなで作り上げていく過程はとても楽しそうだと思った。

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    2025年11月08日
  • 菓子屋横丁月光荘 浮草の灯

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    第1、2話は、川越にある古本屋と和紙の店をめぐり、主人公の知人が、自分の将来に悩みながらも、周りの人々の助言によって、一歩ずつ進んでいく話でした。
    それぞれの店にまつわる話が、主人公が聞こえるという家の声や、川越に昔から住んでいる人の証言によって明らかになっていきます。
    それらの登場人物は穏やかな人が多く、読んでいても心地よかったです。
    次巻以降も読みたいと思わせる内容でした。

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    2025年11月04日
  • 銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に

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    高齢者が出てくる話に最近涙腺が脆くなっている。苦笑
    『ラクダと小鳥と〜』のおばあちゃんが娘夫婦とお孫さんへ絵手紙カードを渡すシーンとか…。
    いちいち最初の旬平くんのお話から刺さるフレーズ多くて、私は気になるところとか刺さるところをピンクマーカーで引くから冒頭からピンクだらけw。
    何気に手紙がプチマイブームになっているから余計に響く。
    いかんな〜、ガラスペンとインクにまで趣味が広がりそうだw。

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    2025年10月18日
  • 言葉の園のお菓子番 見えない花

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    ネタバレ

    何ヶ月にもわたって、ちまちま読み進めていた電子書籍。
    好きな漫画で取り扱っていた連句の会に参加する話。改めて連句面白そう。連句会をオンラインで眺める会って世にはないんだろうか。
    連句会を機に新しい交流やポップの仕事につながったりと、私の好きな要素が多く含まれていて、細切れになりながらも読んでいて穏やかな気持ちになれた。

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    2025年10月13日
  • 銀河ホテルの居候 落葉松の森を歩いて

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    読めば読むほど、銀河ホテルに行きたくなる。
    たまたま、2巻目をとばして、この巻を読むことになったけれど、どこから読んでも大丈夫だし、たぶん、何度も読みたくなる。
    2巻目も絶対読もう。

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    2025年10月13日
  • 銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に

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    銀河ホテルの経営者の息子、上原旬平は、東京で就職したが過労で倒れ実家のホテルに戻ってくる。家業を継ぐことに葛藤を覚えながらも、銀河ホテルの人気アクティビティ•手紙室との出会いにより少しずつ前向きになっていく。2話以降では、お客さん目線からの旬平がホテルマンとして着実に成長していることが窺えて嬉しくなる。

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    2025年10月11日
  • 銀河ホテルの居候 落葉松の森を歩いて

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    軽井沢に猛烈に行きたい。家族に会いたい。らく焼きが懐かしすぎてうわーーーとなった。私はまだ小さかったから、姉たちだけ絵付けしていたのを母にくっついて見てた。
    そんな小さい頃とか大学ゼミ合宿のこととか、なんか記憶の蓋がブワーッと開いて色んな感情が忙しい。
    そして結局苅部さんは謎のままだったなぁ

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    2025年10月08日
  • 銀河ホテルの居候 また虹がかかる日に

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    軽井沢にあるこじんまりとした老舗の銀河ホテル。
    そこの経営者の息子の逸話から物語はスタートする。

    ストーリーごとに語り手が入れ替わる連作短編のようだ。

    銀河ホテルでは、トレッキングや手紙室などのアクティビティも用意され、そこが舞台になった展開も多い。
    手紙室では、1000種類以上のインクボトルが並び、未来や過去や友人や故人など誰でも手紙を書けるというプログラムになっている。こんなプログラムがあるなら受けてみたいところだ。

    登場人物たちは、何かに悩み、もやもやを抱えている。
    けれどホテルで過ごすうちに、自分なりの解決を見つけ、自分の力で踏み出そうとする逞しい姿がとても印象的だった。

    こう

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    2025年10月07日