ほしおさなえのレビュー一覧
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『植物の妖怪のようなウツログサ』に囚われた人々と、ウツログサを祓う祓い師・笹目を描く連作集第二作。
個人的には全体的に柔らかな雰囲気のこちらの方が良かった。
一晩で消えてしまう光る草 オカエリソウ
濡れないし触れない水 サザナミモ
手の甲に広がる山なみと町 シンキロウゴケ
大切な探し物をする夢を繰り返し見る マドロミソウ
生まれた時から寄り添うもう一つの影 フタツカゲ
今回も放っておくと危険なウツログサがあり、笹目に祓ってもらうものもあったが、全体的には前向きで温かい話だったのが良かった。
印象的だったマドロミソウ、こういうタイプのウツログサもあるのかと、作家さんのアイデアに感心。私も最近 -
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「言葉の園のお菓子番」の4冊目。
3冊目を読んでから1年以上が経っているので登場人物や連句の式目が覚束ないのではないかと思っていたが、程よい感じに説明が入っていてそれほど戸惑わずに読めたのはありがたかった。
今回は、睡月さんから誘われた連句の大会が物語の中心。他のグループと一緒に半歌仙を巻くというイベントに皆で参加することになるが、そこから航人さんの過去の話に展開する。
その人が今あるのは、歳を重ねていくつもの分岐点を経てその人の心持ちも変化成長してきたからだ、といったことがお話を通して描かれていたが、この歳になっても葛藤を抱えてなかなかそれなりの境地に到達しない我が身を思うといささか恥じ入 -
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4冊目までの本編を読破してひと息ついていました。5冊目の番外編は、ちょっと後回しにしてましたが、これも早く読めば良かった(;^ω^)。お母さんの短歌の回に、ぐっときた民だったので、あの話で1人疎遠になってた友達の裕美さん視点は思いがけないストーリーでした。
過去編という事もあって、祖父・カラスの親父さんが活版印刷の作業に励んでいるところも胸熱。弓子さんのおぼろげな思い出から、だいぶ解像度も上がって、三日月堂がさらに素敵な場所に思えました。
『―どんなときでも勇気を持って、元気に進もう。―原稿はそう終わっている。読みながら、そうだな、とうなずいた。結局、私たちにできるのはそれだけなのかもしれな -
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勤めていた書店が、閉店することになり実家に戻った「一葉」。本と本棚を入れるスペースが自室にはなかったため、生前祖母が使っていた部屋に置くことになった。
祖母の部屋で本を片付けているとき、祖母のことを思い出す。
「おばあちゃんはやさしかった。」
祖母が使っていた本棚を見ると、俳句の本が目に留まる「そういえば、祖母は俳句をよく作っていた。いや、俳句じゃない。連句だ。」
祖母は昔から毎月連句の集まりに通っていた。
「いつか、一葉も一緒に行かない?」
残念ながら日々の仕事に追われ行くことは叶わなかった。
体調を崩し、入院した祖母が「ここから戻れなかったら、本棚にあるノートを見てほしいの。」
そう言 -
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言葉の園のシリーズ第6弾。
亡き祖母が通っていた連句会「ひとつばたご」と出合い連句を始めた一葉は、ブックカフェで働きながらもたくさんの人と交流もでき、さまざまな場に参加するようになった。
若手歌人が結成した「きりん座」の大輔とも父の写真好きを通じて親しくなる。
今回は、父の大学時代の頃の思いを知ることになった驚きや写真撮影を大輔と父が一緒にすることにより、以前よりも気になる存在になった感じがする。
同人誌サークルで「坂道ノート」を販売したり、あずきブックスで朗読会を開催したり…と新たなことにも挑戦する。
これもいろんな人と繋がりができたからだろう。
毎月の連句会もいろいろな人と場を共有