ほしおさなえのレビュー一覧
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言葉の園のお菓子番シリーズ(四)
あずきブックスのイベント担当となった一葉は、歌人の川島久子さんをゲストに迎えて、参加者に短歌を作ってもらうワークショップを企画する。
「短歌の入門書はおもしろいし歌も魅力的だけど、作るコツがわからない」
先ずはあずきブックスのスタッフで読書会を始める。「わからないなりに短歌を読み、語り合う読書会」 は楽しいが自分の気持ちを言葉にするのは難しい。
題詠『実』テーマ詠『坂道』でそれぞれが短歌を作り、皆で合評会を行うことにすると…
短歌創作イベントの日がやって来た。
準備から開場、一葉の挨拶が済み久子さんのトークが始まる。会場の様子が見えるようだった。短歌を提 -
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一番大切なものはお金じゃない。
もちろんお金は大切だけれど、充実感や満足感、達成感、心の豊かさ、人としての魅力って、お金とはまた別のなにかにあるんだなぁっていうのをじんわりと心の中に感じることができた。
もしも、今、自分が別のことをして生きるとしたら…どんなことができるだろうか。
作中に出てきた「心打たれる」というひと言に胸いっぱいになる。
読み終えると共に、涙が溢れ出して止まらない。
私も、生きているうちに、こんな風に心が動くものごとと歩みを共にしたい。
生活のためとか、仕事だからとか、そういうのではなく、自分の心の奥底から喜びが湧き上がってきて時間も忘れるくらいに夢中になれるなにかと共に過 -
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活版印刷の魅力とともに、人の温かな思いを感じられるストーリー。
著者の「銀河ホテル」シリーズでも感じましたが、作品のもつ優しい雰囲気と言葉にまつわる物語の世界観がとてもとても素敵。
また、追いかけたいシリーズが増えました。
素敵だなぁと感じるフレーズがいくつもあって、そういうときは心の中で繰り返してしまう。
「言葉」がもつ表現力というか力みたいなものを感じることがある。それは違和感なく心にスーッと入ってくることもあれば、ちょっとした衝撃を受けることもある。
そういう読書体験が、著者の作品にはあるような気がしています。
「八月のコースター」がとても良くて、一番好きかも?と思ったのですが、次 -
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着物に宿る記憶を見ることが出来る主人公と1着の銘仙を巡るお話です。
人はいずれ居なくなるが、物は残る事もある。けれど残った物には、かつてそれを使っていた人がいるのだ。
当たり前の事かもしれませんが、それを改めて認識する事が出来た作品です。
付喪神的な発想ではないですけど、物に記憶や想いが宿っているというのは、スッと納得出来るというか、あっても全然おかしくないですものね。自分は主人公と違ってそんな能力ないけれど、今なら博物館とか行ったら、当時の人に存分に思いを馳せてしまいそう。
言葉の園のお菓子番シリーズ以外の初ほしおさなえさん作品でしたが、こちらも面白かったです。
戦争にまつわるエピソードのお -
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『連句』って面白そう!この本を読んですっかり魅了されてしまった。
勤めていた書店の閉店で、根津にある実家に戻った豊田一葉(かずは)。
亡くなった祖母の部屋の本棚で一枚の手紙を見つける。十二ヶ月分のお菓子の名前が並ぶ紙の裏には祖母の字で、「一葉へ。ひとつばたごの皆さんに私のことを伝えてくれるとうれしいです。
ずっと楽しかった、ありがとう」と書かれてあった。
「春の香りの菓子を携え 治子」
の句を見た一葉は、祖母に代わって三月の菓子「長命寺桜もち」を携え会に向かう。祖母の歩いた道筋を辿りながら自分の新たな一歩を踏み出す一葉にエールを送りたくなった。
連衆が座に集い連句を巻く(作る)
句は皆で出