ほしおさなえのレビュー一覧
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活版印刷の店を受け継いだ若い女性。
手作りの小さな印刷物のいとしさ、しっとりした雰囲気の連作短編集です。
川越の町の一角に、ひっそりと「活版印刷三日月堂」があります。
ドアから覗くと、大量の活字が上から下までびっしり並んでいる迫力な店内。
店主の弓子はまだ若い女性だが、もう身内がいないのでした。
祖父から受け継いだ店の、大きな印刷機はもう使えない。
それでも子どもの頃の思い出が懐かしく、小さな印刷機を動かしてみると、活字を一つ一つ選んで並べた仕上がりには、独特な味わいがありました。
そんなお店があることにふと気づいて、やってくる人々。
依頼するお客さん達の視点で描かれ、話を聞いた弓子さんの -
Posted by ブクログ
春霞の小箱から世相を反映した内容になっていて、記念館の閉館は新型ウイルスの影響でイベントが中止。淡々と片づけ、そのうちに緊急事態宣言なんてものが発出され、大学最後の年は不穏な始まりを迎えた百花。家族がいるからなんとか家だけの生活でもなったけれど、一人暮らしの大学生にはかなりきつい期間だっただろう。
百花の就職活動、藤崎産業の採用活動はされるのだろうか。館長はいま必要な部署で取り急ぎがむしゃらに働いているよう。
タイトルのアルバム、どんなものかととても期待していた。画で見られないのは残念だけれど、百花が卒論の合間に作成していた箱、いいなぁ。水引で模様がつけられているなんて、なおさら!先生もさぞか -
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「この町でできることを探す。
その土地に住む人、その土地の歴史、そうしたものに触れて根づいてゆく。
たしかに、生きていくていうのはそういうことなのかもしれない」
私はどこに根づいていくのか、
私が根づく場所はどこなのか。
自分が育った町のことも、全然知らない。
高校時代を過ごした川越の町がこんなにも魅力的だったなんて、全然知らなかった。
結婚して移り住んだ町のことも、働いていた町のことも全く知らない。
今頃になって、近所を歩き回ったりしているのは「自分の居場所」求めているからなのか。
よくわからない。
でも心が動いているのは確か。
心の声に素直に耳を傾け行動していこう。