ほしおさなえのレビュー一覧
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三日月堂のお話が、弓子さんの結婚で終わってしまうと思っていたら、待望のスピンオフが出ました。
これまで活版印刷に関わってきた人たちが、主役になり、脇役になり次々登場するのでファンにはたまりません。
それぞれの人生、人物たちがどこかで決心し、前へ向かっていこうとする姿が、作者に選ばれた言葉で表現されて...続きを読むPosted by ブクログ -
ここでは、これまで明かされなかった、弓子さんの家族の話、三日月堂の歴史が語られています。先代の祖父、卵焼きの作り方を教えてくれ、初めて手キンの印刷機に触らせてくれた祖母。教師だった父と母。それぞれの人生が星のように輝いては、消えていく。厳しい現実と、流れていく時間。訪れる安らぎの時。人生は星の輝き。...続きを読むPosted by ブクログ
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終わってしまうことが残念という気持ちは勿論あるのだけれど、始まりを感じられる素敵な終わり方は本作品らしいのかもしれないですね。
改めて、このシリーズに出会えて感謝。
自分にとって宝物となる本です。
ありがとうございました。
近々、全巻間をあけずに読み通してみようと思います。Posted by ブクログ -
このシリーズは前巻で終わりと思っていたので、続きが出たのには少し驚いたが、中身を見れば『三日月堂の「過去」が詰まった番外編』とのことね。
全編通してしみじみと良かった。
最初は「我らの西部劇」片山さんの話
前も同じようなことを思ったのだけど、作者は女の人なのに、どうしてここまで息子が持つ父親に対...続きを読むPosted by ブクログ -
めちゃくちゃ良かったです。
本編より前の時間の、それぞれの最後とそこに灯る小さな未来への思いが綴られる短編集。
1つの文字が文章になり、物語となり、印刷され、製本され・・・作るもの、送りだすもの、受け取るものが繋がっていく。
その一つ一つに向けられる作者の愛情がたっぷり伝わってきました。
めち...続きを読むPosted by ブクログ -
漆に関わる仕事を通して、縦へ横へとあたたかく「繋がる」物語。ストーリーも文章も丁寧で素敵です。
高山にも大子にも、改めて行ってみたくなりました。我ながら影響されやすいなーと思います(笑)。Posted by ブクログ -
弓子一人で始めた三日月堂も、今では大勢の人が集まる賑やかな場となった。
機械を動かす音に混じって聴こえる楽しそうな話し声や笑い声。
活版印刷に導かれた人が、また新たな人と繋がり輪を作り、素敵な縁を結んでいく。
活版印刷によって大切な思いが形となり、周囲の人にも伝わる幸せの連鎖に感動した。
静かなよ...続きを読むPosted by ブクログ -
三日月堂の過去を描いた短編集。番外編。
弓子さんの祖父母、両親、友達、川越の人たち。
様々な人たちが登場する。
三日月堂を閉めるときのことや、祖父母、両親とのエピソードはとても暖かく感じる。
一方で家族との別れは苦しい。
今日は3月11日。
あの日から9年。
昨日までこの作品ではなく別の小説を...続きを読むPosted by ブクログ -
今回は一つの"仕事"として、活版印刷について考えさせられた。
活版印刷で制作された物を、見たり貰ったりする分にはとてもお洒落で素敵な物、で済む。
けれど、これを自分の生業として見た時には…。
正直、手間暇かけた割には効率が悪い。
体力的に楽ではないし、収入も安定していない。
活版印刷機を修理できる職...続きを読むPosted by ブクログ -
大好きなシリーズ第2弾。
今回も優しさの連鎖が止まらない。
その優しさにふれる度にまたまた泣かされた。
パソコンで文章を打ち込んでいると、文字はパターン化されているので文章も簡単に作れる。
活版印刷を知れば知るほど、"文字"の無限の可能性と奥深さを思い知る。
壁一面にそびえる活字の棚。
想像を遥か...続きを読むPosted by ブクログ -
読み終わってしまうのが勿体なくて楽しみに残しておいたシリーズ第3弾と第4弾だったが、番外編として第5弾と第6弾が刊行されたので急遽読むことに。
「カムパネルラ、僕たちいっしょに行こうねえ。」と活版印刷で作られた栞も取り出してきて読書開始。
このシリーズは心地よく安心して読める。今回もとても良かった...続きを読むPosted by ブクログ -
心に残った文章。
できることを広げようとしたとき、世界も広がる。
いまうまくできることだけでもダメなんです。
いろいろなことを勉強しようって。せっかく生かすチャンスをもったのだから。Posted by ブクログ -
金継ぎは、大事なものを修復するとともに、新たなものへとつないでいく素敵な手法。
三世代の女が、それぞれの生きる時代に翻弄されながら悩みながらも、自分のいいと思える道を見つけて歩き出す。だからこそ出会えたものがある。
いろいろ心に響く場面があったけれど、結子さんが「ようやく、この人は頼れる、と思っ...続きを読むPosted by ブクログ -
帯に「感動のラストに号泣せずにはいられない」とあったので覚悟して読んだのだが、いくら涙腺の弱い私でも泣くほどのことはなく、それでも人々の思いが収まるところに収まってめでたしめでたしとは思った。まだまだ続いても良い話はあるけれど、完結編と銘打たれているので、少なくとも作者は一区切りつけたんだろうと思う...続きを読むPosted by ブクログ
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家の声が聞こえる守人。怖い話ではなく、ほんのり温かい話。川越は行ったことがないけれど、古い町並みがとてもいいところということが伝わってくる。孤独な守人は、川越の家と人々に触れて変わっていくことだろう。たわいのない話だとは思うけれども、でもいい話だった。真夏の中の一陣の爽やかな風のようだ。Posted by ブクログ
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「庭のアルバム」が良かった。
万葉集に出ている草木を、無口なおじいさんは、おばあさんには黙って育てていた。おじいさんが亡くなってから、孫を通してその事を知る事になる。おじいさん、やる事が素敵!
そのおばあさんは、やりたい事が見つからずに悩んでいる孫の気持ちを理解して、親戚の前で毅然と孫のフォローをし...続きを読むPosted by ブクログ -
楓ちゃんのお話が好き。
大人びているけど、心の芯は、みんな何かちゃんと持っているのかもしれない。
高校生のとき、こんな風にゆっくりとした時間をもって、もっといろんなことをしたかったな。
歌も、もっと自由に詠んでいいかなーと、八木重吉の詩を読んで思った。
「紫陽花の ひとつひとつの 花びらが
もう...続きを読むPosted by ブクログ -
活版印刷が多くの人の心を捉える感じ、引き込まれる。印刷方法の特徴はもちろん、やはり、そこに言葉があることが大きいらしい。字に引き込まれ、言葉に引き込まれていく。活版印刷のワークショップが面白そうで、機会があればまたやってみたいが、自由に言葉を紡げるなら、何を表現したいだろう。今ふと思ったのは、本の魅...続きを読むPosted by ブクログ