ほしおさなえのレビュー一覧
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着物に宿る記憶を見ることが出来る主人公と1着の銘仙を巡るお話です。
人はいずれ居なくなるが、物は残る事もある。けれど残った物には、かつてそれを使っていた人がいるのだ。
当たり前の事かもしれませんが、それを改めて認識する事が出来た作品です。
付喪神的な発想ではないですけど、物に記憶や想いが宿っているというのは、スッと納得出来るというか、あっても全然おかしくないですものね。自分は主人公と違ってそんな能力ないけれど、今なら博物館とか行ったら、当時の人に存分に思いを馳せてしまいそう。
言葉の園のお菓子番シリーズ以外の初ほしおさなえさん作品でしたが、こちらも面白かったです。
戦争にまつわるエピソードのお話でしたが、ほしおさんの作品は感情が乱されず、良い意味で落ち着いて読めるので、日曜の夜でも安心して読めます。
出てくるメインの登場人物たちの精神が皆安定しているからなのか?とりあえず今回も素敵な作品でした。 -
Posted by ブクログ
『連句』って面白そう!この本を読んですっかり魅了されてしまった。
勤めていた書店の閉店で、根津にある実家に戻った豊田一葉(かずは)。
亡くなった祖母の部屋の本棚で一枚の手紙を見つける。十二ヶ月分のお菓子の名前が並ぶ紙の裏には祖母の字で、「一葉へ。ひとつばたごの皆さんに私のことを伝えてくれるとうれしいです。
ずっと楽しかった、ありがとう」と書かれてあった。
「春の香りの菓子を携え 治子」
の句を見た一葉は、祖母に代わって三月の菓子「長命寺桜もち」を携え会に向かう。祖母の歩いた道筋を辿りながら自分の新たな一歩を踏み出す一葉にエールを送りたくなった。
連衆が座に集い連句を巻く(作る)
句は皆で出し合い『捌き』と呼ばれる進行役が合う句を選んでいく。
五七五の長句、七七の短句が三十六句つながる『歌仙』という形式を用いる。
「ひとつばたご」主宰の航人さんが解説を加えながら、『発句(ほっく)』『脇』『第三』…と次々に句が決まっていく。
「発句と脇はふたつでひとつの世界を作るように」季節は同じで名詞で終わる。
「なつかしき春の香の菓子並びをり」
蒼子さんの発句に、祖母の記憶を重ねて
「のどかに集う言の葉の園」と付けた一葉の句が『脇』に選ばれ嬉しくなった。
生前の祖母を知る人たちとの連句の会。
穏やかな雰囲気が伝わってきた。
決まり事はあるが自由に連想して構わない連句。なにかの想いをこっそりこめて句を出す。だれかがその意味を読みとり自分もこっそりなにかの想いをこめて句を打ち返す…連句にとても興味を覚えた。
季節の和菓子がどれも美味しそう!
パン屋さんのケークサレも食べてみたい。
物語の中には四季折々の東京の下町を巡る楽しみもあった。
鈴代さんから紹介された「パンとバイオリン」のポップを書いたことで、園芸店「houshi」、生活雑貨の「くらしごと」からも仕事の依頼がくるようになる。
一葉が書店員だった頃、お客さんとして来店していた萌さんと連句会で再会した偶然にも人の不思議な繋がりを感じた。
年齢や経歴を飛び越えて連句の"付け合い"が特別な繋がりを生む。こんな時間を私も持ちたいと思った。
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Posted by ブクログ
ネタバレ着物に触れたり、広げた下で眠ることで着物の遍歴を知ることが出来る琴子。親は無く子もなく伴侶もいないが、姉弟のように育った柿彦と共にリユース着物の販売に関わっている。ひょんなことからとある銘仙の持つ記憶を探ることになって…
琴子は年齢が近しい事もあり、若白髪に悩まされたと言う悩み(もはや年相応だが)もあり親近感がとめどない。本当は辞めたほうが良いのに着物の記憶を辿る事に惹かれすぎていて危なかっしいが、柿彦がちゃんと引き止めていて微笑ましい。
通常見る事は出来ないが、人の手を経て受け継がれるモノには必ず来歴がある。それはモノを使っていた人の生活。心楽しいばかりでなく、重い歴史を背負う事もある。
椿となでしこのシスターフッドは戦争の為に破壊された。大人に作られた少女像でも、かけがえのないものだったのに。
「いつか、きっとまた会いましょうね」に幾重にも込められた思いは哀しくて重いけれど、ちゃんと昇華してもらった。人間の哀しさを受け止めてくれるほしお作品が私は心から好きだ。
表紙絵も作風にピッタリだと思う。
銘仙の仕組みに目から鱗。裏返して2倍使えるとは…
絹の道は大いに興味がある。富岡製糸場もとても面白かったけれど、絹を産み出し運んだ土地土地を巡るのもきっと面白い。
『少女の友』の歴史的意義も知ることができる。昔の雑誌って本当に細部に至るまで本気しかない。展示された戦前の物を見るたびにそう思う。
最近は秩父寄りに縁があるらしく、飯能、小川町へ行く機会がある。今年の締め旅行はちちぶ銘仙館へ行くことにした。銘仙作りをしっかり体験したい。
着付けも出来るようになりたいなぁ。