ほしおさなえのレビュー一覧
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ネタバレ終わってしまった…世捨てハイスペック紙オタクだった藤崎さんが、冗談を言ったりにっこり笑ったりする姿におばちゃんホロリ。百花ちゃんはずっとずっとそばに居て、廃材の和紙の如く都度都度蘇らせて上げてほしい。ほしお作品の人々が川越に集結してきたのでシリーズまたいだビックイベントが開催されると良いなぁ。
このシリーズで知り、訪ねた場所、探した物は数知れない。作中の紙屋さんがどんなものなのか名古屋の「紙の温度」さんに行ってよく分かった。ネパールの和紙「ロクタ紙」即刻購入しましたとも。
うだつの上がる町並みを実際に訪れて、あるお店の方に言われたのは、紙の種類の違いはネットでは伝えられない。だからうちはネット -
Posted by ブクログ
「菓子屋横丁月光荘」の6冊目。こちらもシリーズ完結のようね。
2つのお話の最初は、守人が木谷先生らとともに訪れた蕎麦懐石の店にまつわる、昔その地に栄えていた織物・広瀬斜子と、その店が改装して入る前の古民家が中心の話。
これまでもそういうところがあったシリーズだが、今回はとりわけ、そうしたかつてあったものがなくなっていくことに対する感傷と、たとえなくなっても引き継がれる思いがあることについて、強く描かれていたように思えた。
続く後ろの話では、田辺の祖父・敏治さんが衰えを見せる中、色々な思い出が詰まった家から離れざるを得なくなる敏治さん本人の葛藤と周囲の気持ちが中心に描かれる。
それは前の話を -
Posted by ブクログ
進路や就職。子が苦労しないように、「何者かになれ」と願い、言い聞かせる親。きっと今の世の中、少なくはないでしょう。
そして母に言われたように進学し、就職した槐はコロナ禍で職を失います。そこで何者にもなれてない、虚無感の中で日々を過ごします。
私の母は存命だし、私自身も職は失っていません。それでも自身と重なる部分はすごく大きい物語でした。
またこの物語を大きく占める染色。
藍建ての部分がすごく印象的でした。同じ藍でも、最初に染めたものと、最後に染めたものは全く違います。じっさいに画像検索すると、驚きます。
それでもたしかにどちらも藍で染めたことに代わりはありません。
この物語を通して、度々 -
Posted by ブクログ
手仕事の世界を描いた話が好きなので、川越の染織工房を舞台にしたこの物語は、とても魅力的で一気に読んでしまった。
母の死をきっかけに叔母の工房に居候するようになった槐は、初めて藍染めをしたとき涙を流す。「藍はなまなましいから触れるとその人の奥にあるものが外に引っ張り出されることがある」そうだ。少し恐ろしいようなすごい体験だ。織るのは歌ったり踊ったりするのと同じで、心を解放することだというのも魅力的でぜひ体験してみたくなった。
母の死、女性画家の死、女性画家の死に巻き込まれて心に傷を負った大学生の従兄弟・綸…暗くて重苦しい部分もあるが、最後は希望の灯りが見えて良かった。 -
購入済み
川越シリーズもこれで全て終了と無事完結。川越に舞台が移り「活版印刷三日月堂」「菓子屋横丁月光荘」も随所に登場するシリーズを締めくくる今作は感慨深かった。
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久々にこのシリーズを読み直そうと思い手にしました。私の大好きな作品です。全シリーズ購入して持っているので、好きなタイミングで読めるのがいいですね。ゆっくり、全巻読んでいきます。
祖父が経営していた印刷所を、孫娘の弓子が継いで再開するお話なんですが、活版印刷と弓子の想いを通じて、皆が前に進んでいきます。
弓子は活版印刷を再開したばかりで、新しいことに挑戦していきますが、「慣れたことだけをしていてはダメ」という言葉に共感します。今までに経験していない新しいことにいつまでも手を出していきたいと思わせてくれます。それこそ、活版印刷をや