ほしおさなえのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本作も大満足の一冊でした。
自分を励ましてくれる要素があったり、新たな発見があったり、目頭が熱くなるほど胸を打たれたシーンがあったからです。
この本を読む前、自分のメンタルがあまり芳しくなく、自分の人生って一体なんだったのだろう……
と悲観的になっていました。
そんなとき、第1話の主人公、宮下佳菜がまったく同じ言葉を呟いていてびっくり!
「自分にできるかぎりのことをして、人生を味わう」という結論に、そうだよなと妙に納得して、このままいこう!と思わせてくれました。
第2話での、発見はうれしかったです。
書き写すことは、作者の気持ちに迫れる。
目からはいった言葉が身体のなかを通り、指先から出ていく。身体のなかに流れが生まれる。身体全体に言葉が染みこんでいく。身体のなかにある小さな記憶ひとつひとつを揺らす。
僕は、好きな文章を書き写すのが好きなのですが、その理由がわかった気がしました。
作品のなかにある流れが、自分のなかにも浸透し、電流が繋がる。その感覚が心地よいからだと思いました。
これは大きな発見です。
最後の話は、先生と学生の交流が描かれています。
単純にこの設定に、僕は感動しやすいようです(笑
)
斎藤先生の素晴らしさは、少しクセのある永瀬さんの言葉に収斂されている気がしました。
「先生のゼミで良かったです。若輩者の話を真剣に聞いてくれて、そういう人もいるんだな、と思いました。大袈裟だけど、この世界で生きていてもいいんだと感じました」
ものすごく素晴らしい先生だったのだと思いました。
第3巻も、心温まる素敵な作品でした。
次の第4巻で最後です。
すごく楽しみです!
-
Posted by ブクログ
連句会に参加する様になって3年、なぜこの場所が好きなのか分かってきた。初心者にも参加してもらいたいとオンライン連句会を企画する。初心者にもわかりやすいようにとマニュアルを作ったら、読み返す事ができるようになって理解が深まったと感じる。オンライン連句会をSNSで告知したり、文芸マーケットに参加したり、若い人たちにも広めたいと若い人が捌きをしたらどうかと言われて初めて捌きに挑戦する。捌きは全てわかっている人がやるものと思っていたが挑戦してみたらとても楽しかった。
年齢も仕事もまちまちで街ですれ違うだけの人だったはずなのに連句会という場で自分の日常を読みその句に他の人の句が付くとわかってもらえたようで楽しいと感じる。新しい発見があった。 -
Posted by ブクログ
古い町並みが残る街・川越の小さな活版印刷所、三日月堂。
『活版印刷 三日月堂』は、店主の弓子さんが活版印刷を通じて、お客さんたち思いを汲んで、文字を組む物語です。
初版には実際に活版印刷で刷られた1ページが追加されています。
自分の名前入りのレターセットが、活版印刷で刻まれるなんて、すてきですね。私も欲しくなりました。
作中でも語られていますが、活版印刷のレトロで不便なところが、デジタル世代の若い人たちに受けているそうです。
けれど、不器用さをほめられるのは、職人たちとっては複雑な気持ちなのだとか。
かといって、古いものがすべて良いわけではなくて、弓子さんはそんな現代の活版印刷の活かし方を探しているように思えます。 -
Posted by ブクログ
紙の魅力に満ち溢れた1冊。
百花は、手作りの紙小物を作ったことをきっかけに、和紙を取り扱う記念館でアルバイトをすることに。ここには不愛想でそっけない若い館長しかおらず、そりが合わないところから始まる。
現代はデジタルが主になる時代。それでも紙は廃れることなく私たちの日常にあふれている。それは、やはり紙の持つ魔力があるからだと思う。本作では、その魔力について多く描かれている。紙に書かれた文字には力があり、形を変えて小物になっても私たちを楽しませてくれる。私自身も電子書籍よりは、ページをめくる楽しみ、文字を目で追う楽しみ、厚みを見てどれくらい読んだか見る楽しみ。そんなところから紙の書籍を好んでいる。
紙にはたくさんの魅力が満ち溢れている。形を変えても私たちのそばにそのぬくもりをまとって寄り添ってくれる。それを感じさせる1冊だった。