ほしおさなえのレビュー一覧
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家の声を聞くことができる守人と、「声」を発する家たちが語る不思議な物語。
タイトルにある「菓子屋横丁」とは、埼玉県川越市で駄菓子や土産物を売る店が軒を連ねている、人気観光スポットです。
【家の声、家の記憶】
守人が聞く家「声」は、家自身の声もあるのですが、月光荘はそこに住んでいた人々の「思い」を記憶していて、どうやらそれを伝えたたがっているようなんです。
なぜ、守人には家の声が聞こえるのか。
今の守人は両親を亡くし、住んでいた家からも離され、厳格で傲慢な祖父に育てられました。そんな祖父も亡くなり、よるべのない身の上です。
そんな彼だから、家の「声」を聞き、寄り添うことができたのかもしれません。
特に最初の「歌う家」のお話は、物語の最後に歌の謎が明かされます。その描写が詩のようで美しいです。読んでいてぽおっと心が暖かくなる文章です。
月光荘の謎がとけた後も、守人は管理人として川越の古い家にまつわる出来事に関わるようになり、別の家にはまた違った形の家の思いが残っていて、それを聞くことになります。
これから守人はどんな家の声を聴くことになるのか、そこにはどんな物語があるのでしょう。 -
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シリーズも5作目。
それなのに、まだまだ可能性があったのか!と思い知らされ楽しめました。
このシリーズのキーパーソンは苅部さんだと思っていますが、苅部さん一強ではないところが強みなのかも、と思えました。
創業者一族の話は、シリーズ1作目の1話目で息子さんのことを描き、中心的に触れることはもうないのかなと思ったら、5作目の1話目でお父さんの大学時代の友人が出てくるという。
不思議な魅力を持った上原裕作さんの、友人とのやりとりを通して心持ちや人生観が変わる様が美しく、涙がこみ上げました。
その張本人がすぐに思い出せない程の何気ない一言が、裕作さんの選択を後押しし、上原一族に未来も変えた。
人の死をすぐに受け入れられなくても良くて、それを前向きに思える人もいるというのがなんだか、良かったです。
世間一般のマナーで言えば、お葬式には出た方が良いしお墓参りも行った方がいい。。
でも、人それぞれ心の整理の速度は違うし、タイミングがある。
人のペースを尊重する空気が心地良いです。
2話目は、思春期ならではの悩みがもどかしく愛おしく。
身近な家族の一言が煩わしく感じることもあるけれど、大体少し先の人生をゆく先輩の一言は、よくよく聴いてみれば思いやってのことだったり自分の独り相撲で被害妄想していたりなので、一歩勇気を出して自分の弱みを見せた方がうまく行く気がする。
手紙の宛先が可愛い。こういう発想ができるのが若さゆえという感じもして眩しい。
3話目を読んで、銀河ホテルに行きたい気持ちがより強まった。
これまでも読みながら、こんなホテルがあればなぁ〜と思っていたのが、ホテルでの謎解きの設定がとても細かくリアリティがあるので、銀河ホテルの解像度が高まったことでホテル行きたい!謎解きイベント参加したい!と思えた。
安定した面白さと、刊行頻度もマメで、すごいです。 -
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4巻。千ものインクが並ぶ手紙室を訪れる人の話。1.学生の頃一緒にバンドを組んでたボーカルが復帰ライブを軽井沢でやるというので元ギターとピアノの二人で聞きに行く。2.ホテルの料理長は毎年息子の誕生日が近づくと手紙室の予約をいれる。8歳から始めて今年は20歳になるのだが1度も手紙を渡したことはない。3.結婚式の相談をする予定だったのに彼からキャンセルと言われその後白紙にしたいと告げられる。彼のお母さんが交通事故に遭い意識が戻らないので結婚の話どころでは無いという。彼のお母さんは銀河ホテルにまた行きたいと言っていた。3話共1人の人の流れる時間が長く気持ちの変化に注目した話になっている。特に1.のお互い相手の気持ちを誤解していたのが解けていくシーンは良かった。
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三日月堂のシリーズ完結編。
川越に戻り、たった一人で祖父の活版印刷所
「三日月堂」を再開した月野弓子。
訪れるお客さんや周りの人に支えられながら
手探りで活版の仕事を続けてきた。
「この先どう生きて行きたいか」
彼女が自分の"夢"をやっと言葉にできたラスト、涙が溢れ止まらなくなった。
星をつなぐ線
街の木の地図
雲の日記帳
三日月堂の夢
「街の木の地図」から「雲の日記帳」への流れがとても良かった。
立花ゼミの三人は春休みに「川越の街をテーマに雑誌を作る」課題に取り組む。
川越を巡り、木の思い出を街の人から聞き、一枚の紙の雑誌を作る。イラストマップが深緑色に活版印刷された「街の木の地図」はとてもきれいで…。
「目に見える葉や幹の下に広がる木の根っこのように、言葉にも根っこがあるのかもしれない。
残しておきたい思いがたくさん隠れている。」
雑誌『街の木の地図』は古書店「浮草」で販売され、店主の水上は同人誌作りに夢中だった大学時代を思い出す。
新人賞を取った後、書くことをやめた水上。
久しぶりにやってきた友人の岩倉から「雲日記」の出版を持ちかけられて…「雲の日記帳」
「水は雨や雪になって、地上を流れて、海になって、雲になる。わたしたち生きものの身体も水でできている。人が生きるのは、雲になる練習のようなものかもしれない。」
シリーズに今まで登場した人たちが三日月堂に集まって水上さんの本作りを手伝う場面はまるで星の輝く銀河のよう!
水上が弓子にかけた最後の魔法にニヤリとさせられた。
この春に新生活を始めた人たちに、是非シリーズを通して読んで頂きたい。
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はぁ……胸がいっぱい。幸せな感情に満たされながら読み終えました。
ほしおさん、作品を読むたびに「好きだなぁ」ってしみじみ思います。文章から人の温もりが感じられて、読んでいて心地いい。波立った気持ちが癒されていくのを感じられる。
シリーズ第4弾は、文具店員男性、息子が成人を迎えるシェフ、ようやく挙式当日を迎える女性について描かれていました。
謎に包まれた手紙室室長・苅部さんの過去に触れそうな予感にドキドキ……
誰もが手紙室で自分の感情や過去に向き合い、新しい気持ちで次の日を迎える。主人公の心情の変化を追いながら、清々しい気持ちになりました。
ほしおさんの描く人生の悲喜こもごもの物語には温もりがあり、希望がある。そして、読者を幸せな気持ちにさせるパワーを感じます。
本作もとても良かった。
ずっとずっとずーーーっと続いてほしいシリーズです。