ほしおさなえのレビュー一覧
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手紙室、という仕掛けが好き。やっぱり手紙って、書いてる時(人)、読んでる時(人)、の時空間のズレがいいんだよね。さらにそれだけでなくて、送り手と受け手のどちらにもない状態、という「第三の時空間」があるのが、実にいい。LINEやSNSの現代にはない、時間という魔法があった時代への哀愁。時を経て、適切なときに、適切なタイミングで、メッセージは「届く」。
ユーミンの「12月の雨」を思い出す。〜時はいつの日にも、親切な友だち〜。または、「優しさに包まれたなら」の世界線なら、「すべてのものは、メッセージ」。…そう思うと、作中にある本屋さんのくだりは、作者からのメタ・メッセージにも思える。 -
Posted by ブクログ
『手紙だもん。上手く書くのが目的じゃないでしょ。楽しんできてね。』
刺さった〜すごい刺さった。
真っ直ぐ素直な釘が捻くれている自分の全身を一思いに貫いた。
本書の舞台である銀河ホテルにある手紙室では、それぞれの登場人物が訪れるまでは思いもしなかった自分の想いと向き合い、ひとつの結論を手紙に込めていく。それは誰かに宛てられて静かに保管室に眠ることになったり、直ぐに大切な誰かへと渡ることなど様々だがそのどれもが技巧を凝らしていたり、奇を衒うような文章ではない。けれど真っ直ぐに伝えたい想いを、その想いに共鳴するインクと共に綴られていく。なんて素敵なのか。
そんな想いを伝えたい人が居ないと思った -
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朝顔。
紫陽花。
露草。
月夜。
青色パイロットインクの美しい名前たち。
その中でも『月夜』はこの小説の中にも出てくるインクである。
銀河ホテルの手紙室にはインクが千色あるという。
銀河ホテルの手紙室ワークショップ。
インクを選び、付けペンで試し書きをして、思いを込めた手紙をしたためる。
その手紙は届けられない手紙でもいい。
『月夜』
私も同じ名前のインクを手元においている。
それをコンバーターで吸い上げて万年筆にセットして使う。
インクの色の違いは微々たるものだったりするが、そこが美しいのだ。
水ににじむ時など、色の違いを深く感じさせてくれる。
染料インクと顔料 -
Posted by ブクログ
手紙、1000色のインク、また万年筆で書くことを始めた自分には魅力的なアイテム。このアイテムをホテルにまつわる人々を通して作品が進む。
この作品が初めての著者との出会いになった。
老舗と呼ばれる企業、団体にも関わる人もまた新陳代謝がある人生を送る。3人のお客中心にその世界がホテル時間でリセットだったり、整理のきっかけつくりになる。
スマホ依存へのオマージュか、私は、紙ページを巡りながら読んでよかった。
どの世代にも引っかかりがありながら、年齢や経験によってはまだ想像も難しいところもある。
児童書を書かれている著者だからか
特に3話目、ひらがな表記も多様されている、たいへん、ひらがな表記は久々に