ほしおさなえのレビュー一覧
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言葉の園のシリーズ第五弾。
定期的に連句会「ひとつばたご」に通う一葉は、自分と同世代が集う「きりん座」のメンバーとも交流を持つ。
「きりん座」で連句を経験した一葉は、軽やかでシャープな印象だと感じ、短歌から来た創設メンバーのせいか表現者を志しているように思い、自分とは違うと。
どちらかといえば、「ひとつばたご」は、年齢もバラバラで家庭を持っている人もいて、見てきたものが多いので言葉の幅も広がっているようで、その場でほかの人の句に触れることで、ことばが生まれてくる…というのが一葉なんだろう。
「きりん座」でエッセイを書いた一葉は、文芸マーケットにも行ったことで、「あずきブックス」のカフェスペ -
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植物やキノコやカビに近い、植物の妖怪のような、この世の理とは別のところで存在するもの、ウツログサ。
意思も何もないはずなのに、欲望のようなものを察して、宿主が喜ぶことをする。
これがまぁ、切ない。
5話の編成なのだけれど、ひとつひとつのおはなしに、1人の人生のうちの多くの年月が記されていて、そこにウツログサがどう関わっていたのか、それが物語の軸になっているから、ウツログサの存在が良くないものだと思っていても、いざ払うとなると迷いが出てしまう。
ずっと一緒に生きてきた、体の一部のようなものになってしまうんだなぁと、こちらまで切なくなる。
例えるなら蟲師のような。と、語彙力の乏しさを誤魔化すために -
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シリーズ完結巻。
今までを振り返ることもできる納得の最終巻。
ふじさき記念館でアルバイトを始めてから大学卒業後に、晴れて藤崎産業に入社した百花。
これまでのワークショップや関わってきた人たちとの再び交流ができるであろうことは、川越で新記念館が開館されることでわかる。
今回も新入社員とともに新記念館の準備に奔走する。
第一話 記念館準備室は、紙屋ふじさきとして世の中に提示できることがなにかを考えるスタート。
第二話 誕生の日は、百花の亡き父の『東京散歩』の復刊にという話から雑誌に掲載されたエッセイがあったことを母が思い出し…。
第三話 あたらしい場所は、百花が入社して1年半が経ち、父のエ -
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ネタバレ一作目より、面白く感じた。
連句会、ひとつばたごに集う様々な人達。そのつながりの中で、主人公の一葉は亡き祖母に思いを馳せ、生や死について考える。仕事の面でも一葉にとってうってつけの話が舞い込み、そこにも祖母の縁がちらほら。もっと祖母と話をすれば良かったという後悔は、私にも身に覚えがある。
連句会メンバーのダンナさんが亡くなるというエピソードは、当事者、周りのメンバー達の心の揺れが丁寧に描写されていて、しんみりしつつも静かな感動を覚えた。
ひとつばたごができた経緯も明らかになって、登場人物達により感情移入できるようになったけど、けっこうな人数いるので、この人は何だっけ?と読み返す事も度々‥。ミ -
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『言葉にしない気持ちはだんだんぼんやりとあいまいになっていく。写真に撮らなかった人の姿形の記憶がぼんやりしていくように。』
12年間続けている別の趣味、それを通じて出会った人、出来事はなるべく書き残しているつもりだけど自分に向けた思い出や感想、出来事綴っているばかりになっている。。
文章を構築する力が未熟な身として、
人に趣味の魅力を他者に伝えること、言語化することは難しい。
それでも写真を撮るように、自分の場合は文章で残していかないと即興の言葉では伝わらない雰囲気や気持ちが相手には伝わらない。
ちゃんとnoteにでも残していかないとって感じた二文が印象的でした。
これもある意味では『未来