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Posted by ブクログ
「菓子屋横丁月光荘」の6冊目。こちらもシリーズ完結のようね。
2つのお話の最初は、守人が木谷先生らとともに訪れた蕎麦懐石の店にまつわる、昔その地に栄えていた織物・広瀬斜子と、その店が改装して入る前の古民家が中心の話。
これまでもそういうところがあったシリーズだが、今回はとりわけ、そうしたかつてあったものがなくなっていくことに対する感傷と、たとえなくなっても引き継がれる思いがあることについて、強く描かれていたように思えた。
続く後ろの話では、田辺の祖父・敏治さんが衰えを見せる中、色々な思い出が詰まった家から離れざるを得なくなる敏治さん本人の葛藤と周囲の気持ちが中心に描かれる。
それは前の話を受けて、今まで生きていた人が亡くなっていくということにつながっていき、この話でもコロナ禍が陰を落とすが、それも相俟って、亡くなった人を想いながら今を生きるということや、あるいは自分がなくなった後に遺ることということについて考えさせられる。
敏治さんが持つ亡き妻への思い、田辺ら周囲が考える老いた身内をどうしてあげるのが良いかと悩む気持ち、それぞれの気持ちがよく分かる。
そして、しんみりするだけでなく、守人と豊島さんとの交情や、田辺と石野が古い家を改装してカフェにしようとする話を挿むことで、それでも生きていくことについて前向きな話になっていく。
この歳になると、ふとしたことで寿命が尽きる時に向かっていることを思わされ、怖くなったり切なくなったりすることがあるが、『だからこそ、いまじゅうぶん生きなければならない』という最後に書かれた言葉には、とても心に沁みるものがあった。
シリーズ初めの頃はモラトリアムで引き籠りの守人だったが、隠れた才能も開花しだし、好きな人もできたりで、よい終わり方でした。
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小説・文芸
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