山田ルイ53世のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
興味深い内容なのに加え、くだけた対談形式で読みやすく一気読み。
私自身は中年女だけど、配偶者の言動に重ね合わせて読むと「ああ、まさにこれと同じこと言ってるわ」と頷き、そして考えさせられることが多すぎ。
この本で何度も出てくる「40過ぎにもなって~」といったことを何かと口にするし、そもそも中年女の自分でも年代に拠る焦りみたいなのがなくはない。
小難しい学説なんかにひょいひょい話をもっていかず、日常的な思考や感覚に寄り添った展開なのも、自分にひいて考えられて良かったです。
山田ルイの
「そんなにイキイキとしとかなあかんかね?」
に妙に納得。
そう、常にイキイキとしてるなんて普通の中年には無理!
精神的にも、もちろん体力的にも!! -
Posted by ブクログ
『「自分が結婚したときそう言えばあのギャグが流行ってたな~」と人々の記憶に寄り添う存在、言うなれば人生のしおり。それが僕達一発屋である』
などと素敵な表現もしてみたりはするものの、基本は一発屋であることへの劣等感にまみれた文章が綴られるこの本。作者はお笑いコンビ髭男爵の山田ルイ53世氏。
有名芸能人と比べて、才能溢れる若手芸人と比べて、最高潮のときの自分と比べて・・・。作者は色んなところから自虐の種を拾ってくる。
更には自分達を使うテレビ局の人間や営業先の人間、街中で声をかけてくる人々へもその冷静で皮肉めいた目線は向けられる。一発屋だから、芸人だからオモチャ扱いして当然だろうという思考が透けて見えるエピソードには、ゾッとさせられる。(電車の中で誰がガムをくっつけにいくかコソコソ相談する高校生など)
基本は悲しく切ないエピソードが続くが、多様で魅力的な比喩の力なのか、そこに「自虐ばっかりもうたくさん」という満腹感は生まれてこない。
本人の体験談を基にしたエッセイではあるが、この本はもはや「お笑い芸人」という一つの職業を題材にした私小説である。 -
Posted by ブクログ
とにかく文章がうまい。飽きさせない文体の中に、しっかりと伝えたいメッセージがある。お笑い芸人髭男爵の山田ルイ53世さんの自伝。
引きこもっている時に「ポジティブ」な歌を聴くのが辛かったり、阪神大震災の時に「これでリセットや!」と思ってしまったりする心も、よく理解できる。人生がうまくいっていない時、全てが壊れてしまえばいいのに・・・と考えてしまうものだ。
そんな「人生が余っている」と思い続けた引きこもり時代を越えて、芸人になり娘が生まれ「娘が成人するまでは飯を食わせなくては」という生きる意味が、彼にもできていくところで自伝は終わる。
この本で語られているのは特別な物語ではないけれども、引きこもっている子たちにとっては小さな希望にはなるはずだ。 -
Posted by ブクログ
何歳になっても前へ前へと進まんとする生き方。
限界を悟り、歩みをとめた静かな生き方。
どちらも認められるべきです。
と、こんな表現も上から目線に感じますが、しかしそうであるはずです。
そもそも、他人をああしようこうしようなどと考えること自体、おこがましい。
前へ進むことで社会が成長して来たと言う意見は分かりますが、夢を持って頑張ろうなどと言った「善意」には、狂気を感じてしまいます(夢は叶えてから語るものです)。
大勢の飲み会も苦手ですし…、何でこんな思考を抱いてしまうのだろうと考えては、勝手に疲れていました。
本文中にある、何度も飲み会を断るうちに誘われなくなった話は、思わず笑ってしまいました。
断り続ける罪悪感に打ち克ち、ついに達成した「快挙」であろうことに、共感と爽快感を覚えたのです。
同時に、僕のような生き方でも良いのかも知れないと思いました。
もちろん、日々の検証と改善の努力は大切ですが、他人の視線を過度に気にしていたことに気付きます。
夢を持って頑張っていらっしゃる方を、否定している訳ではありません。
どのような生き方も認められれば最高ですが、少なくとも自分で自分の生き方は認めたいと思うのです。
ただし、その生き方に責任を持つことが大切でしょう。
僕も、例えば飲み会に参加しないことで生じる疎外感は、当然のことと受け入れています。
頑張らないと言う言葉があります。
その意味は手を抜くと言う訳では無く、あれこれとやることを広げずに、出来ることを誠実に行うこと。
そして、出来ることを潰してまで、それ以上のことはやらないと言うことと解釈しています。
その手段として本文中にある、他人にリモコンを渡さないと言うことは、難しいですが大切だと思いました。
自分に誠実であることが、他人にも誠実になれると言うこと。
言葉では簡単でも、これが難しいです(こじらせて来た僕などにはなおさら…)。
しかし身近なことからでもやってみようと思える、気持ちが軽くなる1冊でした。 -
Posted by ブクログ
著者(「男爵」と書くべきか、「山田さん」と書くべきか迷った)のエッセイは、過去にも読んだことがあって、「エッセイって面白いな」と思うきっかけの一つになりました。今回も切れ味は健在です。
50歳という節目を迎えたからか、芸人であることを娘に明かしたことが影響しているのかわかりませんが、これまで以上に「人は人。自分は自分」というスタンスをはっきり打ち出している感じがしました。
「自分はこれでいいんだ」と自らに言い聞かせているかのような。
自虐ネタは一つの武器として残るとしても、今後のエッセイの方向性はちょっと変わってくるのかな、という気がしました。根拠はないですが。