あらすじ
ある日は地方営業でワイングラスに石を投げられ、ある日はサインをネットで売られる。自ら「負け人生」とかたる日々をコミカルにつづった切なくも笑える渾身のエッセー。withnewsの大人気連載が、大幅改稿・加筆されて待望の書籍化! 人生、諦めが肝心だ。
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Posted by ブクログ
髭男爵山田ルイ53世のエッセイ集。自身の芸人人生を自虐的に語るも、軽妙かつウィットに富んだ文章であるため悲壮感は感じられない。お笑い芸人としての王道から逸れて一発屋芸人と呼ばれている現状を自覚し、自然に受け入れている彼の文章を読んでいると、ついつい肩の力が抜けてしまう。「負け」を飲み込む男爵の達観した姿勢は、「ナンバーワン」や「オンリーワン」を目指すことが善とされる世の中の風潮に一石を投じてくれる。
Posted by ブクログ
前著「一発屋芸人列伝」で多くの芸人達を
鋭い視点で分析して、軽妙な筆致で表現
した内容から一転、今作では自身の一発芸
人としての悲しくも、笑える日常をこれま
た絶妙な比喩を駆使して描き出しています。
一発屋であるがゆえの本当にリアルな日常
には涙を誘います。
しかしその矜持はいささかも衰えていない。
よく言われる「プロ意識」という言葉。
この言葉は「何も成し遂げたことがなさ
そうな素人」から発せられることの方が
格段に多い、と愚痴ります。
このメンタリティは山ちゃんに通じるもの
があります。
いつもファイティングポーズを忘れずに
生きることを目指す人に送る一冊です。
Posted by ブクログ
一発屋芸人である著者のエッセイです。
文章がとても読みやすくて面白いので、スラスラと読めてしまいました。
一発屋というと世間からはバカにされがちな部分もありますが、一度であっても売れた経験があり、今でも知名度はすごくあるわけで、なんだかんだ仕事はあるんだという裏側も知れました。
一発屋という扱いをされることで自虐的な書き方はされていますが、そういう風に人をバカにするような人に対するツッコミもあったりして全くその通りとうなずく部分もあります。
若いころに引きこもりの経験もあったり、しんどさを理解されているので、どこかあきらめたようなでも前向きなような生き方は参考になります。
生きづらさを感じがちな時代ですが、この本はくすっと笑いつつ少し明るくなれるような本なので、モヤモヤした時に読んだりするとよさそうです。
Posted by ブクログ
面白い。
そして、とってもうまい!
彼の、人間としての矜持、プライド、そして、現実の哀しさ、周りの人間の態度の痛さ、わりと淡々とそして軽妙に書かれています。
私はこの本を読んで、まったく共通点のない彼との人生だけれども、たくさん共感できるところがありました。
ちょっとした過去、もがく現在、それでも持ってしまう矜持やプライド、そんな中でそれでもいいじゃないか、今なんとかやってるんだから、とそんな気持ちになれた本でした。
やりたいことだけやっていく♪みたいなキラキラ本なんかより、よっぽど冷たくだけど、しっかりと支えてくれる本だと思います。
簡単に読めるのも、なおよし。
Posted by ブクログ
自虐もここまでくれば芸!
決して卑下していないし、一発屋芸人という
言わば「底辺」から見上げる社会は
ふだんは見えない現実の断面を見せている。
あと、たとえというか
言葉のセンスが秀逸。
続編に期待。
Posted by ブクログ
『「自分が結婚したときそう言えばあのギャグが流行ってたな~」と人々の記憶に寄り添う存在、言うなれば人生のしおり。それが僕達一発屋である』
などと素敵な表現もしてみたりはするものの、基本は一発屋であることへの劣等感にまみれた文章が綴られるこの本。作者はお笑いコンビ髭男爵の山田ルイ53世氏。
有名芸能人と比べて、才能溢れる若手芸人と比べて、最高潮のときの自分と比べて・・・。作者は色んなところから自虐の種を拾ってくる。
更には自分達を使うテレビ局の人間や営業先の人間、街中で声をかけてくる人々へもその冷静で皮肉めいた目線は向けられる。一発屋だから、芸人だからオモチャ扱いして当然だろうという思考が透けて見えるエピソードには、ゾッとさせられる。(電車の中で誰がガムをくっつけにいくかコソコソ相談する高校生など)
基本は悲しく切ないエピソードが続くが、多様で魅力的な比喩の力なのか、そこに「自虐ばっかりもうたくさん」という満腹感は生まれてこない。
本人の体験談を基にしたエッセイではあるが、この本はもはや「お笑い芸人」という一つの職業を題材にした私小説である。
Posted by ブクログ
前半はいかにも芸能人のエッセイだな~って感じなんだけど、書き下ろしの2章からは濃度が増して面白かったです。締めもいい。
本人は卑屈だけど、やっぱ当たるべくして当たった芸人なんだなと感心しました。
Posted by ブクログ
動画サイトで出版のことを知り、手に取りました。
ルネッサーンス! でおなじみの髭男爵。シルクハットをかぶった方の、山田ルイ53世が著した一発屋芸人の日常譚です。
一番笑ったのはハロウィーンの話。
おばあさんの天然ぶりと、グラスを鳴らし続けるシュールな状況に思わずクスッとしました。
しかし、芸能界のヒエラルキーって凄いんですね。
売れない人は不要な人と言わんばかりの冷遇を受ける様は、読んでいるこちらもヒリヒリしてくるほどでした。
ここ最近は執筆とラジオが主な活動ということで、ポッドキャストを聴いてみたいなと思いました。
山田さんと言えば、ネタ中にはあまり気づかないのですが、落ち着いた声でラジオと相性はとても良さそうですね。
Posted by ブクログ
髭男爵山田ルイ53世のルネッサンスラジオを聴いている隠れ檀家なもので、やはり著作物は読まなくてはならない。
男爵の日常を綴ったコラム集。
一発屋という負の遺産をこれでもかというほど隠そうとする日常が面白おかしく、だけど、ちょっと心に刺さる。
一発屋になった事はないけど、自虐的な部分は共感できるところもあり、なんとなくあるあるな気がしないでもないような…。
文才はしっかりしているので、さらっと読める一冊。
Posted by ブクログ
自虐ネタが多くてそこまで貶めなくてもと随所感じた部分もあったけれど、それも含めてのルイ53世さんらしさなんだろうね。比喩も多彩で文章力の素晴らしさに圧巻。俄然、彼の書いた小説を読んでみたくなった。
一発屋芸人ならではの並々ならぬ苦労、やるせなさ、知ることができてよかったー。
Posted by ブクログ
「髭男爵」といいう漫才コンビを覚えてますか?シルクハットに貴族風の格好で「ルネッサーンス」とワイングラスを掲げていた…。
そのシルクハットにヒゲの男が著者です。ブームが過ぎた後の一発屋芸人である自分の日常を、軽妙かつウィットに富んだ文章で哀感たっぷりに描いています。レシートの裏や箸袋にサインを求められたり、ワイングラスめがけて石を投げられたり…悲しいエピソード満載の日常。自ら「負け人生」という日々をコミカルにつづった切なくも笑えるエッセー。そのへんの人生論なんかを読むよりずっと心にしみる面白い本です。
Posted by ブクログ
描き方によっては「華々しい成功からの転落人生」という言葉で簡単にまとめられてしまいそうですが、「一発屋芸人」という自分自身が置かれた状況を登場人物として客観的に描き、毒をも飲み込む笑いに繋げる語りの巧みさは見事です。
終盤で筆者が書いているように、なりたい理想の人間になれなくても「なれた自分でなんとかやっていく」という肯定感が、本書全体にカラッとした質感を与えているような感じがします。
Posted by ブクログ
ルネラジは毎週聴いてるし、「ヒキコモリ漂流記」も「一発屋芸人列伝」も読んだ。そう、単純に山田ルイ53世が好きなのだ。
勿論、本書も読む。
ラジオで聴いたことや、これまでの2冊で読んだもので被る内容もあるものの、全体として楽しめたし、スラスラ読めた。ただ、私が山田ルイ53世が好きなので、客観的な判断は難しい。
星は3つだが、楽しんだ。
これからも山田ルイ53世の著書は読むだろう。