適菜収のレビュー一覧
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ニーチェに続く、ゲーテに語らせる「B層」批判。
政治などでプロの世界に素人が参入するという異常事態。
喫茶店やお茶の間で話したことがそのまま政治に反映される事態。
つまり、「物事を考えない民衆」「物事の価値が分からないバカ」が、世の中を動かしている。
こういう事態は、資本主義と、民主主義に支えられているといいます。
本当の「知」のあり方とはどうあるべきかを本書は指示してくれます。
印象に残ったのが、「理論を少なくして、実践を重んじる」具体的な知のありかた、「手のわざ」の重視ということ。
この感覚が分かる人は、世の中の幼稚な「嘘」が見抜けてしまって、肩身が狭くなるかもしれません。
面白く -
Posted by ブクログ
ニーチェの晩年の著作「アンチクリスト」を現代語にしたもの。
難しい哲学書かと思いきや、とても分かりやすく、また非常に引き込まれるスリリングな文体であった。
いわゆるニーチェの「キリスト教」批判であり、その矢は西洋の文明を作ってきた現実世界にはない「イデア」や「物自体」という概念を立てたプラトンやカントにも及ぶ。
キリスト教というのは弱者が復讐のためについた嘘によって成り立っている。
逆にニーチェは「マヌ法典」や仏教を高く評価する。
ニーチェが一貫して主張するのは「高貴に生きること」である。
意志の力を持つ自己を敬うことなのである。
ただしニーチェが批判したのは、イエス・キリストそのもの -
Posted by ブクログ
ニーチェが狂人となる前の最後の著作で、ある意味集大成ともいえる『アンチクリスト』の現代語訳版。「現代語訳」という発想もさることながら、その訳のクオリティも素晴らしい。ニーチェを新書感覚で読めるなんて時代も変わった。ニーチェのアフォリズムをここまで噛み砕き、(おそらくではあるが)原文と意味を違えないというのは本当にすごい。もはやあの文体による圧力は感じず、ニーチェが近所の口うるさいオッサンに思えてきて親近感が沸き、言ってる事のとんでもなさもわかりやすい。ニーチェはキリスト教を、ルサンチマンから生まれた卑屈な宗教で人間を駄目な方に導く、としてさらに、キリスト教は真理と逆のこと(ウソ)しか言わない、
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Posted by ブクログ
日本とは何だ、日本人とは日本人の国民性とは。それについてはっきりと説明する事は困難だ。海外からの流入者も増え始め、日本という定められた領域内に生活する事だとはまるっきり言い難い時代になった。日本人の両親から生まれたら日本人かと言えば、それも違う気がする。果たして何をもって日本人とするか、はっきりした定義が揺らいできた時代にあると思う。一昔前なら海に阻まれて、外国から人が入ってくる事は困難だったが、アメリカのペリー来航に始まり(実際はそれより遥か以前から丸太船で渡ってきた人々も沢山いたが)、開国を迫られた以降は、移動技術の進歩もあり、船だろうが飛行機だろうが凡ゆる手段で日本と海外が交わる機会が増
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Posted by ブクログ
岸田首相のバタバタ感溢れるニュースが毎日紙面を賑わしているので、今は昔となったように感じるが、安倍さんが首相を降りたのは、僅か3年前。
本書を読んで、当時の政治(家)に対する大不信感が甦ってきた。と言うか、当時ニュースにもなっていなかった内容も書かれており、彼の影響力が無くなって良かったとすら思ってしまう。
彼が、自分の存在をどう思っていたかは、これらのことばからもわかるな。
・私は総理大臣としてありえないとこう言っているんですから。間違いありませんよ。
・私は総理大臣ですから、森羅万象すべて担当しておりますので。
・まったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから。
・私は立法府の長で -
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安倍元首相については断片的な情報しか知らなかったが、国会でヤジを飛ばしながら自分がヤジを飛ばされると「大事な話をしているんです」と言ってのけた辺りから不信感増大、その後の統一教会の件でおぞましささえ感じていたが、本書ではその異常な発言、事実が具体的に挙げられていてる。ここに挙げられている事は事実でしょうから、もっとメディアで取り上げられて欲しい。「売国奴」と言われても当然だと納得の内容。
ただ筆者が感情的になり過ぎて、何かと「バカ」を連発するのは本書の価値を下げている様で残念。「失敗の本質」ほどではなくてよいので、もっと理性的に分析、批判して欲しかった(書いているうちに腹が立ってくるは分かるが -
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スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセット
「過去は我々が何をしなければならないかは教えないが、我々が何を避けねばならないか教えてくれるのである」
はじまりは、ここから。
何を避けるべきか、オルテガにあやかって著者が主観で言及していく。口も悪いし、論拠も薄弱だが、尖った偏屈な立ち位置は、是非貫き通して欲しい。小利口で適切な言説はつまらない。何言ってんだ位の発言の方が、コミカルで心地よい。
という事で、30代までは感受しただろう40代適菜収氏の「中年の主張」を聞いてみた。
ー 体育館のプールに通っている。そうすると誰もがダイエットをしているとか、らしくないとか言う。でも痩せようなんて思ってい