適菜収のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★感想/考察
・私が思うに本書には「神は死んだ」の深掘りというか、その言葉の意味が集約されているように思える。そして、界隈でオススメされた鋭いニーチェ本ということもあり、やはり適菜氏の訳は読んでいて爽快だ。まるでニーチェと対話しているような感じであっという間に読破した。ニーチェの話しかけるような訳の仕方は読んでいて、楽しかった。
そもそも、「神が死んだ」はこうじゃないか
・物事に絶対的な価値観はない
・常に自分の頭で考えろ
・キリスト教は弱者を演じ、人々を先導するフリをしてあらゆる決め事で人類をがんじがらめにする。だから邪教なのであり、アンチクリストでいるべきだ。
私の弱い頭で少し考えた。世の -
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ギャグ漫画のようで、こんな楽しい本は無いな、と他の方の書評を見て唖然。評価が低い!静かな映画館で、声を出して笑うと周りが全く笑っていなかったような状態。でも気にしない。ソロモンアッシュの同調実験じゃないのだから。B層とは、郵政民営化の際に広告代理店のスリード社が用いた大衆の分類で、本著はその真意を読み解いた内容。差別的なのは、織り込み済みという態度だ。
大衆とは、良くも悪くも、自分自身に特別な価値を認めようとせず、人と同じことに喜びを見出す、すべての人。ー オルテガ『大衆の反逆』
ユーモアセンスの一例を引こう。菅義偉=お尻に毒針を隠し持つ悪い妖精。食べ放題=もとを取りたいというB層のコスパ -
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本書では、『大人の読書』について書かれています。
安易に答えを求めるのではなく、先人の思考回路をたどり直し、真っ当な価値判断を身につけなければなりません。
また、『子供の読書』が知的武装により、自己を正当化するものであれば、
『大人の読書』は読書により、武装を解除しなければならない。
軸は自分で作るものではなく、歴史にある。その歴史にある軸に自分を合わせていくこと。そのために大人の読書は必要です。
そのためには古典を読むことが推奨されています。
そもそもら古典とは何か?
どんな古典がおすすめか
具体的な読み方なども本書で言及されています。
最近読む本には「自己から離れる」「先人や過去から学 -
ネタバレ
狂気の時代を生き延びるには
一部ご紹介します。
・本を読む習慣がないと、あらゆる文化に対して薄っぺらくなる。そうして「取り返しがつかなくなっていく」。精神的な余裕がなくなり、余計に忙しくなる。仕事にも差し障りが出て不幸になる。教養がない人間はなんとなく警戒されてしまう。
・古典を熟読すれば、「答え」に辿り着くまでの「見え方」「思考回路」が見えてくる。そうなると応用が利く。
・頭の中に、いくつかの詩や句が残っているだけで、将来どこかで救われる可能性がある。
・文学を読むということは、悪に接近するということ。文学は、市民社会において隠蔽されている人間の正体をあからさまにする。子供はそういうものに触れて大人になるしかな -
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脳科学、社会科学、哲学の若手論客の鼎談をもとめた本です。
序章 近代的人間観を捨てよ!
第1章 ナショナリズム――なぜ快楽なのか
第2章 国家と体制――なぜ自由は苦痛なのか
第3章 ポピュリズム――なぜバカがはびこるのか
第4章 暴力――なぜ人間は戦争をやめられないのか
おわりに――近代を超えられるか
お互いがお互いにジャンルで蓄積してきた知見を歯に衣着せず、論じ合う。
何となく常識であると思っていたことは実は非常識であった。
「おわりに 近代を超えられるか」において、「自然科学の陥穽」という項目があって、自然科学においてさえ「客観的な真理」を見出すのが不可能になったということです。自然現象の -
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近代的な思想、価値観を揺らがされること請け合いの一冊。対談者の思想の根底にあるのは近代への懐疑であり、基本的には保守的な立場から議論が展開される。西部邁や中野剛志の書籍に慣れ親しんだ者にとっては、議論の出発点だけをみれば既知の内容も多々ある。しかし、対談形式で話が脱線するが故に、思わぬ内容に触れることもできるはずだ。中野信子からの視点は、議論に広がりと深みをもたらすのに大きく貢献している。
・人種・日本人
<性差・人種差は存在する>
「男女の脳に差はない」「人種間の能力に差はない」このような近代的な価値観は科学によって否定されつつある。男女の知能指数を統計的に比較すれば、女性は中央に多く分 -
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ネタバレチェック項目7箇所。【高校野球】児童虐待の一つ、給料を払わず、私学の宣伝などに利用する。【すっぴん】B級アイドルがブログに貼るもの、「素」を見せるのは素人。そんなにコスパが大事なら、熱効率のいいものだけを食べていればいい、コスパが一番いいのは、プロイラーの配合飼料でしょう。都合のいい情報をネットで集めることにより、万能感、自己肯定感が高まっていく、つまり、情報化が情報弱者を生み出しているのです。《参加》の気分が重要、街頭で募金活動をやっている人もそうです、突っ立って「お願いしまーす」とかやっている暇があるなら、アルバイトでもして稼いだカネを全額寄付すれば社会のためにもなりますが、それだと「参加
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天才ニーチェによるキリスト教への挑戦。その名もまんまの『反キリスト教(Der Antichrist)』。
キリスト教の誕生まで歴史を遡り、仏教やイスラム教と比較し、数々の哲学者の言を引き…、徹底的に新約聖書の世界をこき下ろす!「キリスト教が世界をダメにする」「敵はキリスト教なり」が、最大の要点である。
敬虔なクリスチャンがこの本を読むとどんな反応を示すのだろうか。日本におけるキリスト教は「欧米で広まっているなんとなくいいもの」との認識が一般的だろう。そんな日本人に対して、「中身も見ないで『いいもの』なんて思うべきでない」、ニーチェはそう語りかけてくれている。
こんな本を翻訳したかった(笑)。 -
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ニーチェが言ったことは、「神は死んだ」ということではなくて、実は「神は生きている」ということ。
かつては、教会のなかにおさまっていた神が様々な形に姿を変えて、現代社会に君臨しているという。
ニーチェの鋭さは、神の権威、教会の権威を否定し、「これからは新しい時代だ」などと浮かれている人々の根幹に、依然として《神》が座り続けているということを指摘したことにある。
ニーチェは一般に倫理などでは「実存主義者」としての枠にあてはめられるが、これを現代に君臨している政治思想に批判の焦点を当てたものと言える。
「カトリック」のコミュで、この本をもとにした考え方を提示したら、「ニーチェはキリスト教