【感想・ネタバレ】遅読術のレビュー

あらすじ

「速読はバカの早食いと同じ! 」

ロクでもない情報を遮断し
人類の「知の遺産」を味わい尽くせ!

ショウペンハウエル、ヴィーコ、三島由紀夫、
ヤスパース、三木清、ニーチェ、
大江健三郎、ヘッセ、小林秀雄、ゲーテ……。

彼らはどのように本を読んだのか! 「速読はバカの早食いのようなものである。
単に腹を満たすのが目的ならマクドナルドのハンバーガーでいい。
一流のレストランに大金を払って「栄養」を求めるバカはいない。
そのレストランが提供する技術に、魂が突き動かされていく。
その過程・時間にこそ、意味がある。
古典を読むのは、過去に存在した偉大なレストランで食事をするようなものだ。
これ以上の贅沢はない。
では具体的になにを読めばいいのか?
過去を振り返れば、すでに道は示されている。
本書では先人の知恵に学びながら、再びそれを示していく。
大事なことは、真っ当な世界に連なる意志をもつことだ。」(「まえがき」より)

「人間として生き延びるには、
自己啓発本とはまったく別の意味における「スキル」が必要になる。
それは、自分を救えるのは自分ではないと気づくことだ。
自分の力などたかがしれていると思い知ることだ。
偉大なもの、崇高なものは、それを教えてくれる。
本書では人類が到達した場所と、
そこに至る「思考回路」を振り返らないと未来はないという事実を示した。
くだらないものと距離を置き、価値あるものに触れ続けなければ、
家畜として死ぬだけだ。」(「あとがき」より)


<著者プロフィール>
適菜 収(てきな・おさむ)
1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。
ニーチェの代表作『アンチ・クリスト』を現代語訳にした『キリスト教は邪教です!』、
『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、
『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』(以上、講談社+α新書)、
『日本をダメにしたB層の研究』(講談社+α文庫)、『日本を救うC層の研究』、
呉智英との共著『愚民文明の暴走』(以上、講談社)、
『なぜ世界は不幸になったのか』(角川春樹事務所)、
『平成を愚民の時代にした30人のバカ』(宝島社)、『死ぬ前に後悔しない読書術』、
『安倍でもわかる政治思想入門』、『安倍でもわかる保守思想入門』、
『安倍政権とは何だったのか』、『おい、小池! 女ファシストの正体』、
『問題は右でも左でもなく下である』(以上、KKベストセラーズ)、
近著に『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?』(講談社+α新書)など著書多数。

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ネタバレ

狂気の時代を生き延びるには

一部ご紹介します。
・本を読む習慣がないと、あらゆる文化に対して薄っぺらくなる。そうして「取り返しがつかなくなっていく」。精神的な余裕がなくなり、余計に忙しくなる。仕事にも差し障りが出て不幸になる。教養がない人間はなんとなく警戒されてしまう。
・古典を熟読すれば、「答え」に辿り着くまでの「見え方」「思考回路」が見えてくる。そうなると応用が利く。
・頭の中に、いくつかの詩や句が残っているだけで、将来どこかで救われる可能性がある。
・文学を読むということは、悪に接近するということ。文学は、市民社会において隠蔽されている人間の正体をあからさまにする。子供はそういうものに触れて大人になるしかないのだ。
・多読の時期(子供の読書の時代)は必要だ。ただ、いつかは精選の時期(大人の読書の時代)に移らねばならぬ。精選の時期になったら、『世界文学全集』『ゲーテとの対話』を読むべし。なぜなら、誰もが知っている本だからだ。それは「誰もが読んでいて当然」という前提が存在するからだ。
・古典的名著のエッセンスや、偉大な人間の思考回路、思考パターンの部分だけを抽出したプリントを繰り返し読み返す。常日頃持ち歩く。
・時間は作るものだ。「忙しくて本を読む時間がない」?「子育てに精いっぱい」?OK。それなら無駄な時間を減らそう。一番無駄なのはテレビと新聞だ。なぜなら本当に大事なことを報道してないからだ。株価欄に乗った株価は何の参考にもならない。社会面は他人の不幸を楽しむだけのもの。社説を読んでも読書能力をスポイルされるだけ。
・しっかり読んだはずの本なのに、忘れていたり、きちんと理解しなかった部分は残る。だからこそ、書くのは大事だ。アウトプットする目的があれば、読書の集中力も高まる。
・近代は、ぼんやりしていると人間が汚れていく時代である。正気を維持し、人間として生きるのにも努力が必要だ。人間として生き延びるには、自己啓発本とは全く違う別の意味における「スキル」が必要になる。それは、自分を救えるのは自分ではないと気付くことだ。自分の力などたかが知れていると思い知ることだ。偉大なもの、崇高なものは、それを教えてくれる。人類が到達した場所と、そこに至る「思考回路」を振り返らないと未来はない。くだらないものと距離を置き、価値あるものに触れ続けなければ、家畜として死ぬだけだ。

#深い #タメになる

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2022年09月30日

Posted by ブクログ

僕も本はゆっくり読んだ方が良いと思う。特に世界文学全集を読もうという所が肝ではないでしょうか?良い本だと思う。

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2021年03月29日

Posted by ブクログ

速読ばかりが持て囃されている気がしているこの世の中だからこそこの題に惹かれて読んでみた

結果自分の判断基準が良くも悪くもブレたし憤りを覚えつつカタルシスも感じ、共感もした

どんな著名な本であっても全面的に著者に同意する必要もなければ反発する必要もないと私は常日頃から考えているつもりだ
ただ著者が言う
"くだらない何か"と言うものにある程度価値を見出だしている人間が少なくともいる世界社会に対してくだらないと一蹴するスタンスに触れると
それを本当に精魂込めて苦労して作り上げている人もいるわけでその生みの苦しみを何ら知らない人間に易々と世界を語れるほど世界は小さくないと思う たぶん…
と言う自分も何者かと言う不遜と傲慢に満ち溢れてる気がして辟易するが…

JPOPに毒されて悲しい気分になるくせ汚染されていると毒づく
薬と毒はそもそも紙一重

私には著者がある意味傲慢で不遜な人物にも思えてしまったし
内容で私の感情が複雑怪奇でわだかまりがシコリが残った一冊でした

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2022年03月30日

Posted by ブクログ

面白くて一気に読み終わってすぐに2回目を読み始めた。まず見開きから→「自分を救えるのは自分ではないと気づくことだ。自分の力などたかが知れていると思い知ることだ。」と自己啓発本の類なら大概「自分を救うのは自分しかいない」と書かれていそうだが、その逆を突かれ「ん?」となる。確かに我々現代人はマスコミや広告代理店のプロパカンダに毒されているとはよく言われる話ではあるが、では具体的にどう毒されているのかまでは深く考えない。何となく→「情報」を集めれば「正解」に辿り着くと信じているバカが多いのである。ではどうすれば良いか?それが適菜氏が昔から言っている「古典に還れ」「古典をあたれ」ということだ→「大事なことは、真っ当な世界に連なる意思をもつこと」だ。バカとは価値判断ができないとある。今まで生きてきてある程度こんなものかと高を括ってしまいがちだが実はこれまでの生き方は自分や親やその他の影響を受けて我流で考えた一面的な生き方である。その一面的な生き方をせず→世界が環境との関係性であるとするならば本を読むことでほとんど人生は変わる。と。それを期待する→「とりかえしのつかない人」とは近代大衆社会において、正気を失い時代に流されるしかなくなった人。である。偉大なものに常に立ち返る。偉大なものに敬意を示すことが大切。また引用の中で三島由紀夫は→一流の文学は読者に媚びるのではなく「ノウ」を突きつける。自分を否定し自分より大きいものを受け入れる姿勢。また鹿島茂は→読書の効能とは「事後的」にしか確認出来ないことにある。言い換えると事後的であるから、これから人生を始める若者に読書した方がいいよと「事前的」にはいえない/これは多くの先人たちの後輩への助言にもあてはまることだ。後輩たちは未だそれを、経験していないから事後的に言われてもピンとくるわけがない。こうして時間がたち後輩だった人間が先輩になり初めて理解し後輩たちに教えてあげようと「事前的」に助言をするのだ。だが後輩はピンと来ない。なぜならば後輩にとってはまだそれは未経験の事前的な助言だからだ。という連鎖が延々繰り返される。だから「とにかく読め」「黙って読め」しか具体的なアドバイスはしようがない。はほんと納得。ショウペンハウエル「読書について」より→読書の本質は、もっと危険なもの、読者に反省を迫る、迷妄の中で暮らしている、深く病んでいる、精神の奴隷であるという事実を直視し真っ当な世界につながる努力をする。未来や過去といった長いスパンを基準にして現在を考える。世論に流されるのではなく、人類が維持してきた正気について考える。その為の読書。今まで読んできたひたすら数を積み上げるのとは違う読書の方法もそろそろ取り入れる時期に来ているのかも知れない。特に今読んでる「ゲーテとの対話」(エッカーマン)は本当に多くの著名な人が勧めている本だと知り、また日を置いて改めて読み直そうと思った。気になるところに線を引き抜き出して資料として持ち歩き事あるごとに見返して自分に浸透させるというのはいいアイデア。もう「読んだけど全然覚えていない」はいい加減卒業したい。いつかこのやり方をやってみたい。齢40を超えてもう「とりかえし」はつかないのかも知れないが、だったら言い訳をせずにやってみるべき。との言葉を信じてやってみよう。事後的にしか分からないのならとにかく黙って読むしかなかろう。

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2019年08月04日

Posted by ブクログ

表紙のイラストは内容と全く関係ありません。
スタバで読んでいたので誤解を受けたかも!?

近年、本を沢山読むことや速読などがポジティブに受け取られていますが、この本を読んで、その危うさと勿体なさに気づくことができました。著者は口が悪いのですが、とても全うなことを言っており、納得しながら読み進めました。一言で書くと「古典を読みなさい」です。そして駄本を読むのは貴重な時間の無駄など、本のセレクトに留まらず、生き方や時間の使い方までが熱く記されています。まずはゲーテを読もうと決心してしまいました(^^;

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2019年06月17日

Posted by ブクログ

情報の洪水の中で安易に答えを得ようすることなく、古典を読むことの勧め。人間の悩みは、今も昔も変わらない。同じことを過去の偉大な人々が悩み、考え、そして作品に残している。それを読み、謙虚に考えることでしか答えに近づく道はない。ゲーテ、ルソー、三島由紀夫、小林秀雄などの読書論を紹介しながら主張されていることには大いに共感できました。ただ、読書をしない人や、大衆迎合的な発想をする人への痛烈な批判が多く、なにもそこまで言わなくても、、、とも感じたりして。。あと、なんなのでしょう、この表紙?全く内容と合ってない。(あえて、上記のような人へ挑戦、挑発しているのだろうか?)

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2019年03月23日

Posted by ブクログ

古典名著をじっくりと時間をかけて読むことを説いた本。

濫読や速読が悪いわけではありませんが、そればかりでは本から得られる知識をうまく吸収することはできません。古典名著をじっくりと時間をかけて読む。遅読も行うことで知の遺産を自分の人生に生かすことができる。そのことを本書は説いています。

著者の文体は辛辣なので、読む人を選ぶ本だと思います。

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2019年03月19日

Posted by ブクログ

人類の知的遺産に向き合う(⌒‐⌒)くだらないものと距離を置き、価値あるものに触れ続ける\(^_^)/

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2019年02月25日

Posted by ブクログ

速読が流行る世相の中、もっと大切なもの、特に古典として時間の試練に耐えてきた作品に接しましょうというのはよくわかる話。そうでないものを、あまりにも一刀両断にするので、ちょっと苦笑したけど。『ニーチェとの対話』とか、本書を読んで、「あ、俺も読んでみようかな」という本を知ることができた。だから、じゅうぶん楽しく読んだと思うんだけどさ。微妙に斜に構えてしまうのは、今の世相をスパっと斬る返す刀で、表紙のイラストが別のものに迎合しているように見えちゃうことによるんだろうなぁ(苦笑)。

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2019年06月21日

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