適菜収のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
改革とまでは言わなくとも,変えた方がいいものもあるだろう。保守も変化そのものを否定する立場ではないと思う。変化への慎重さ,思慮深さが,昨今のスピード重視やコスパ思考と異なるのだろう。
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B層は構造改革の目的を知らないし,知ろうともしません。ただ,「改革=新しい=なんだか良さそう」「抵抗勢力=古くさい=既得権益」という程度のイメージしか持っていない。
郵政選挙では,このB層に向けて「改革なくして成長なし」「聖域なき構造改革」といった小泉純一郎のワンフレーズ・ポリティクスがぶつけられました。要するに,問題を極度に単純化し,二択か三択を目の前にぶらさげることで,普段モノを考えていない人々の票を集めたわけです。(p.65)
つまり,B層は「近代的諸価値を盲信するバカ」なんです。
彼らは,平等主義や民主主義,普遍的人権などを信仰しています。
そして,なにをどう変えるのかは別として「改革」「変革」「革新」「革命」「維新」といったキーワードに根無し草のように流されていく。
彼らは,権威を嫌う一方で権威に弱い。
テレビや新聞の報道,政治家や大学教授の言葉を鵜呑みにし,踊らされ,騙されたと憤慨し,その後も永遠に騙され続ける存在がB層です。
重要な点は,B層は単なる無知ではないということ。彼らは,新聞を丹念に読み,テレビニュースを熱心に見る。そして自分たちが合理的で理性的であることに深く満足しています。
その一方で,歴史によって培われてきた「良識」「日常生活のしきたり」「教養」を軽視するので,近代イデオロギーに容易に接合されてしまう。(p.70) -
Posted by ブクログ
書名から格差問題について扱った話かと思ったが、それよりも特に政治のレイヤーにおいて右や左という議論がもはや無効化していて、下に落ちているという論考。後半はエッセイ的な文章もあり面白く読めるが、著者が年間で300日くらい寿司を食べるなど、徹底性の高い方なのだと感じた。
橋下的なものにこの国は支配されていて、もはや止める術もない。日本の終焉は三島のほぼ予見通りに訪れていて、この先500年くらいをかけてゆっくり立て直すしかないと。
周りを見渡しても著者や自分のように感じる人というのが少数派であることは常日頃感じるところではあるが、これは何も日本だけの話でもなく、キリスト教的価値観なのか、ヘーゲル的な価値観なのか、新自由主義的なものなのか、大きなシステムの欠陥としか考えようがない。 -
ネタバレ 購入済み
弁えるべきは
一部ご紹介します。
・人間の真心がそのまま相手に通じると思うべきではない。人の心は、どんなに親しい友人の間柄でも、長年の付き合いの仲でも、お互いに解らない部分を残しているものだから。言葉はそれを繋ぐ橋。橋を使えるようにする設備が作法。躾とは、身を美しくするものなのだ。
・青年は、人間性の恐ろしさを知らない。市民の自覚とは、人間性への恐怖から始まる。互いに互いの人間性の怖さを悟り、煩雑な手続きで互いの手を縛り合う。
・革命とは、現在より未来を優先させる考え方。未来社会の無謬性を信じれば、行き着く先は「欲しがりません勝つまでは」だ。
・どんな自由な世界が来ても、たちまち人はそれに飽きて、階段をこしらえ、自分が先に登り、人を後から登らせ、自分の目に映る景色が下から登ってくる人の見る景色よりも幾らかでも広いことを証明したくなるに違いない。われわれは、その階段をいかに広くしても階段を欲しいという人の欲求を無くすまでには至らないだろう。
・伝統や慣習、過去の事例を重視するのは、理性の暴走を防ぐため。そして未来へ繋ぐため。
だからこそ接点である現実を重視する。
・家族を始めとする中間組織を重視するのは、理性の暴走を抑えるための緩衝材を必要とするからだ。
・現実には、漸進主義の採用が望ましい。慎重な改善を求め、実行することだ。
・動物の行動は合理的だが、人間の行動は合理的ではない。人間の行動には、情念や慣習が大きく関与しているからだ。
・正常な思考を維持すれば、狂った社会では狂人扱いされる。だからこそ、「理性」「抽象的概念」「イデオロギー」を疑う必要があるのだ。