平川克美のレビュー一覧

  • 経済成長という病 退化に生きる、我ら

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    先日参院選があったが、各政党手段は違えど、どこも「いかにして経済成長をするか」を訴えていたことに疑問を感じ読んでみた。どこか一党くらい、「定常社会」の実現を訴える政党があってもいいと思うんだけど……。

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    2025年08月23日
  • マル(集英社インターナショナル)

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    著者のホームグラウンドである“隣町珈琲”には、これまでに何度か行ったことがあり、エッセイや『俺に似たひと』でも、生まれ育った地域の雰囲気は想像していたけれど、やはり「小説」でしか描くことのできない世界があるものだなぁとしみじみ。
    本書の出版記念トークイベントにも参加してから読んだおかげで、(あの時の話!)と思う場面の数々に引き込まれ、関係者のご苦労(!)に思いを馳せつつ、一気読み。
    「人生には何度か、取り返しのつかない事態と遭遇することがあり、それでもそれを引き受けなければ生きてはいけないということ」
    生きていかなくては。

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    2025年07月15日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    (2016/10/15)
    中高生に、とあるが、我々大人が読んでも十分学べる内容。
    物事の考え方を、平易なことばでみごとに説明してくれている。

    小田嶋さんの成功者村上龍への食いつきは面白い。「会社員」という仕事がないと。
    村上龍は成功しているから会社員をはずしていると。
    確かに、13歳のハローワークに上がっている仕事で食っていける人はごくわずか。
    みな「会社員」として何とか生きている。

    白井さんの「意味」には際限はない、というのはなるほど。
    本能的欲求は限度があるが、誰も持っていないものを持つ、という欲求には切りがない。
    そこにはまったら最後だな。

    戦争中における「国」とは、国民でなく国体

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    2024年05月28日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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    (2022/1/8)
    2020年、まだコロナ第2波くらい、オリンピック延期、という段階で書かれたアンソロジー。

    日本の知性が集結している。多くの方が参加している。

    読み始めたとき、それぞれのお名前の横に簡単な肩書しか書かれておらず、

    もう少し人物紹介すればいいのに、、、と思ったのだが、巻末にまとめて紹介されていた。

    この本は中高生向きなので、それぞれの著者を知らない可能性が高く、人物紹介が長いとかえって予断を持って読み始めてしまうので、避けたのかな、と推察。

    私は彼らの著作を結構読んでいるので、背景を知って読むとより立体的に読めた気がする。

    一つ一つのコラムにコメントをするのは野暮

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    2024年05月21日
  • 撤退論

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    現在のシステムの潮流でのカタストロフィの生じる前の方向転換を撤退論としている。
    コモンの再生と撤退ということで、斎藤幸平が、『資本主義から撤退して里山に行くだけでは不十分。何故ならそのままでは、資本主義が里山を含めた環境を破壊するから。』と言っていたところに納得。彼はだからこそ資本主義は止めなければならないという。当方はまだ、サステナビリティは社会という形での対応が必要と思っている。戦争、技術進化などに対応する上で、経済を止め切ることはできないと思うため。

    撤退とは、単に行くか戻るかの二者択一を意味しない。そのような二者択一を自分に迫っている世界観とは、全く異なる世界観へのパラダイムシフトを

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    2023年05月03日
  • 株式会社の世界史―「病理」と「戦争」の500年

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     2020年11月初版発行。
     本書は単なる株式会社論ではなく、思想書に近いと感じる。出色なのは「利益追求という株式会社にとっての絶対善」を「病」と表現している点である。
     国家でも制御できないほど肥大化した株式会社によるグローバリズムの行き着く先は戦争にならざるえないのではないか、というのが本書の予想であった。現在の世界情勢を考える「慧眼」という言葉しか浮かばない。

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    2023年01月29日
  • 撤退論

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    「まえがき」の内田樹の文章の衝撃たるや。
    21世紀末には、総務省の中位推定で、日本の人口は4700万人に。7000万人も減るという。
    そして、この事実を国は知ってはいるが、「このシナリオを国民に対して開示する気がない」にっちもさっちもいかなくなってから、我々に、さて、「日本は沈みつつありますが、生き延びる手立てはもうこれしかありませんと手の内を明かす」だろうと。
    その時には「強者にすべての資源を集中し、弱者は見捨てる」というシナリオは出来上がっている…。

    そうだろうと思う。そうなのだ。たぶんもう出来上がっているのだ。我々庶民はうかうかしてこれからだまされるのだ。

    この「まえがき」と白井聡と

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    2022年06月01日
  • 撤退論

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    涙あり、衝撃あり。15通りのメガネをかけさせてくれる、とても有意義な一冊。
    一人ひとりの論考をじっくり味わいたい、でも面白すぎるし文章の量も程良いのでもう1人読みたい、もしくはこの人の別の著書を早く読みたい、そんな気持ちになった。
    新しい時代がそこまで来ている、そんな予感がしてくる。

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    2022年05月30日
  • 「あまのじゃく」に考える 時流に流されず、群れをつくらず、本質を見失わず

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    ネタバレ

     「目的志向」、長い間席巻しています。役にたたないことはしない。目的に向かって最短距離をと。損得勘定の社会はもう行き過ぎ。「目的志向」の対極にある思考法が。英語では、Something for Nothing  何かのためではない大切なこと。目に見えない価値の中に大切なものがある。例えば、自分の家の軒下の雪をかいたついでに、お隣の雪もかく。(自分の利益にはならないけど)そう言えば、愛情、信頼、尊敬、家族、友人、健康・・・、幸福につながるものには値札がない!平川克美「あまのじゃくに考える」、2015.5発行。

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    2022年02月10日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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     内田樹さんんが呼びかけて「中高生向き」に書いてもらった,オムニバス本。わたしが知っていた人は6~7人だが,それぞれの呼びかけが面白かった。
     本書のメッセージは,30代~70代の年代別に分かれていて,70代なんて,中高生が大人になった頃はほとんど現役ではないわけで,だからこそ,なにを呼びかけているのかが,気になる。
     新型コロナによって暴き出された現代社会の矛盾は,コロナ禍が過ぎ去ったとしても,なんらかの修正を迫られるはずだ。会社に行かなくても仕事ができる…と分かったからには,満員電車に乗って会社へ行くこと自体が,すでに「必要なこと」ではなくなってしまった。密を避けることは,過疎地域では当た

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    2022年01月10日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    数年前に1度読んだが、内容を忘れてしまったので再読。
    様々な立場の方々が、先の見えない転換期にあたり、中高生に向けて「根元的に物事を考える」ために書かれた本。

    刺さるメッセージはたくさんあったが、特に刺さったのは「13歳のハードワーク」だった。
    たしかに「夢=職業」にしてる人が圧倒的だなー、と思った。

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    2021年12月11日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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    高校3年生の私でも分かりやすい文章が多かった。新型コロナによって振り回される私たちの未来を前向きに考えていこうと思った。まずは正しい知識を得ること。そしてタテ、ヨコ、算数(本書より)の多角的視点から問題をみつめる。これから大学に進学する上で役立ちそうな知恵を得ることができた。

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    2021年02月19日
  • 株式会社の世界史―「病理」と「戦争」の500年

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    株式会社という存在は社会の成長がストップしたときに自らを抑制するブレーキ装置を持っていない。コロナ禍の大恐慌で株式会社は資本主義はどうなっていくのか。
    500年の歴史からじっくり読み解く本。

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    2021年02月16日
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ

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    色んな立場における識者の手による、今の時代ならではのアンソロジー。内田樹編ってところで、それなりのバイアスがかかっていることは間違いないけど、氏の慧眼に心酔している身としては、その選択には疑念の余地なし。通読した後も、その気持ちに変わりはなかった。いくら博覧強記でも、単著では、その言論にそれなりの限界があるものだと思うけど、その点本作は、根っこの部分でのブレをほとんど感じさせることなく、だけどそれぞれに違った見地からの論旨が展開されていて、感じ入ることしきりだった。

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    2020年12月14日
  • 見えないものとの対話~喪われた時間を呼び戻すための18章

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    読み終わった時、この本がこれほど自分の中に滲み入ることになるとは、読み初めにはわからなかった。
    最初の方は、すでにどこかで読んだことがある内容のような気がして、平川さんのお書きになったものもわりと私普段から読んでいるんだなぁ(内田樹先生同様に)と思っていた。

    詩がたくさん引用されているのだが、私はこんなに最近詩を読んだことがなかった。もちろん今まで個人の「〜詩集」というようなものは何冊も読んだことはあるが、それっていつの話?というくらい過去のこと。
    「詩って、こんなんだったっけ?」みたいに、もう「詩」自体が再発見されたような感じがした。
    どの詩も平川さんの文章のおかげで、グッと近くに迫ってく

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    2020年06月08日
  • 街場の五輪論

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    久しぶりの内田本(といっても対談集)。結果的に、誰も予想し得なかった形で五輪はポシャッた(あ、まだ延期か)訳だけど、このタイミングだからこそ読みたい一冊。皆がいったん、五輪どころではなくなり、そっちの方面に関しては冷静になれている今だからこそ、本当に、どうしてもやる価値があるものなのかどうか、改めて見つめ直すべきではないか。もう、あらかたの設備投資金は積み上がりきってしまっているのかもしれないけど、それを更に積み増して、来年開催という博打に打って出るのが正しい判断なのか。昨今のこれだけ大きな有事に及んでなお、きな臭さが漂いまくる現政権が、一部の熱狂を背景に推し進めてきた事業、という側面を忘れて

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    2020年05月08日
  • 街場の平成論

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    いろいろな観点から「平成」を振り返る論集。30年間の変化の大きさに愕然とする。もっとも改元が時代の変化を表さないことは言うまでもないが。

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    2019年04月14日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    中高生に『ミライの授業』と併せ読んで欲しい。

    本書は、大人が読んでも考えさせらえるものである。
    「転換期を若い人が生き延びるための知恵と技術」について、親子で一緒に考えてみてはどうだろうか?

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    2018年10月12日
  • 「移行期的混乱」以後

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    「移行期的混乱」以後 ──家族の崩壊と再生 (犀の教室)
    これまた前作『移行期的混乱』に続いて刺激の多い著作。
    経済社会の原理原則が競争原理から変わろうとしていて、まだ代わりの何かが見つかっていない状態、というのがこの「移行期的混乱」で、本書では少子化について論じている。

    まず、日本の少子化は「将来への不安」が原因ではないという。古今東西、将来の見通しの悪さが原因で出生数が下がったことはないから。そして、子供を産んでいないのは25歳以上30歳未満のみで、30歳以上は減っていないか微増ということを明らかにする。もし将来への不安が原因なら年齢年代に関わらず出生率に影響するはずだけどしていない。つ

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    2018年07月07日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    『日本の反知性主義』の続編。うんうんうん、と頷きながら読んでました。そしてしみじみ、今は時代の転換期なんだなぁと思いました。

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    2018年05月18日