平川克美のレビュー一覧
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自分の頭で「考えること」を、導いてくれる本だと思います。▼言葉というものは両義的、反対の意味を持っている。人間の存在そのものが両義的であるから。/「こうすれば、ああなる思考」(養老孟司)というリニア的思考に人生は従わない。/「考える」とは反時代的、反社会的な行為である(立教大学総長吉岡知也)。/一つの幻想の中では、個人はその幻想が有する価値観から逃れることはできない(吉本隆明『共同幻想論』)。/人間は自分で考えるほど自分のために生きているのではない。/もともと人間というのは、悪さと良さ、邪悪なものと聖なるものを両方同時に、己の内側に棲まわせていると考えるべきでしょう。/大人の言うのは正しさが自分の行動規範ではないんです。大人とは「嘘を自分で引き受けられる人」。「つらい大人」の姿をみること。/袖振り合うも他生の縁:人間は自分たちがよく知らない法則によって生かされている。/知性とは知識で武装することではなくて、その反対に武装解除したときに発揮される。
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Posted by ブクログ
言葉と詩について書いてある本書の内容に共感できる。引用する詩は難しいものが多いが、筆者の視点が分かりやすい。▼「嘘」(P164~)……後ろめたさという制御……この人(安倍総理)の言葉には何か決定的に重要なものが欠落しているとしか思えないのです。いつも、自分というものを棚上げにしたところで、相手を打ち負かす道具としてだけ、言葉が存在しているということであり、後ろめたさなしに、嘘が言えるということなのでしょうか。これほど言葉をぞんざいに扱うものに、どうして信を置くことができるでしょうか。▼詩人とは政治家の対極にある場所から言葉を発するものです。ひとつの言葉に、自らの全重量を載せるようにして、言葉を紡ぎだそうとするもの。
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Posted by ブクログ
自分と考え方がここまで一致する本というのも珍しい。
そもそもグローバルとはなんなのだろうと考えると人の持ち物を容赦なく奪うという事この一言に尽きるのではないだろうか。今までは多様化という言葉で成り立ってきた社会がグローバルという掛け声ひとつで強者に吸収されようとしている。こんな考え方が特に気持ちが悪い。
たとえこの国の需要が絶え、自国でまかり得なければ外に出て商売をすればよい。こんな考え方がまともだとすれば遅かれ早かれ世界の需要はこの考えに太刀打ちできなくなり破綻してしまう。なら次はどうするか何十年何百年先には他の惑星の知的生命体とでも貿易することになるのだろうか、そんなことを考えると本当の核というのが分からなくなる。何が大切で何が大切ではないかという根拠は各々の国の社会的基盤にのみ裏打ちされることだろう。
人間の身体は、せいぜい半径数キロメートルの範囲のなかで生きていくように設計されている。人間の身体性が持つ限界が告げているのは、その範囲のなかで耕作をし、モノやサービスをつくり、人々と交わり、生活を営んで余剰がないという生き方である。人間には、丈夫な二本の脚はあるが、広大な大空を渡るための翼もなければ、海洋を泳ぎ回る鰭もない。 52
1971年制定の合衆国憲法修正第二条
「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、市民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない」
A well regulated Militia, being necessary to the
security of a free State, the right of the people to
keep and bear Arms, shall not be infringed.
この文章が成り立つためにはMilitia = Peopleが成り立たなければならない。
原文を見ても、やはり前後の主語が異なっている。75
しかし、それらの企業は、事業パートナー、顧客、下請けなどの経営基盤をもともと有していない、機動性だけが頼りの企業なのであり、出て行きたいのなら出て行けば良いと思う。
そのかわりに、二度と帰ってくるなと言いたい。107
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Posted by ブクログ
家制度と経済システムの合致はとても面白かった。エマニュエル・トッドも名前は知っていても中身まではなかなか、、
1960年頃の日本はそれはそれは面白い時代だったのだろう。なぜなら現システムのまさに理想型だったのだから。あの時代を経験してきた人々が、あの輝きをもう一度!と泥沼に嵌まっているのがいるのが今なんだろう。リーダーが悪いのではなくそもそもシステムの限界なのである、ということ。
ノマド志向、高等遊民、シェアハウス
スローワーク、非正規雇用の拡大、、、これらのことからも個としての感覚と全体=国としての感覚がずれていて、そのずれが積み上がっているのが今なんだろう。
ただ、変わるには一度壊れなきゃいけない。壊れる前に変わるのは現実問題として難しい。壊れるときに少くとも自分の手の届く範囲は守れるように備えておきたい -
Posted by ブクログ
・グローバリズムとは、アメリカが世界に広めたイデオロギーのことで、いわゆるグローバリゼーションとは区別している。
・「今や、英語ぐらいできないと世界に乗り遅れる」とか「グローバル化に対応して日本も鎖国的な上京から脱しないといけない」とか、「このままでは、日本は世界に取り残されてしまう」とはいうが、そこに「乗る」ことのメリットとデメリットとは何なのか、そもそもグローバリズムとは何なのかについての議論はほとんどなされていない。
・日本人は元来グローバルという言葉に弱いのである。その理由は、明治期以降、東アジアの島国から脱皮して、西欧近代国家にキャッチアップすることが国是であった時代、産官あげて西欧に範を求め、西欧に学んできた経験が、世界有数の経済大国になった今でも、西欧コンプレックスというかたちで一種のトラウマになって残っているからだろう。
・民主主義の発展段階において、常に海外先進国にキャッチアップするという明快な目標を持ち続けてきた日本人において、海外先進国との比較はただの目標である以上のものがあった。周囲を海で囲まれ、同一の言語を共有し、一億総中流という時代を経て、平和を教授してきた日本人は、自分たちが日本人であるということをほとんど意識しなくてもよかった。さらに言えば、戦後GHQによる統治と、日米安全保障条約や地域協定に規定された日米関係における米国への依存の構造を受け入れてきた日本人は、ナショナルアイデンティティという観念を屈折したかたちで内面化し、それを表だって議論するというkとおを避け続けてきたのである。それを突き詰めていけば、日本は政治的にも、軍事的にも、主体的な選択の余地はほとんど残されておらず、せいぜいが経済的な優位性というところに自らの存在理由を見出すことしかできないということを、多くの日本人が無意識のうちに感じ取っていたからだろう。主体的な選択の余地のないところに、主体的な自己定位もない。だから日本人は、常に何かからのビハインドというかたちでしか、自分たちのナショナルアイデンティティを確率するポジションをとることができない。日本人が自己を規定するときには、自分たちが何処にビハインドしているのかというかたちをとるのであり、その何処がない場合はには探し出すという奇妙な行動をとるのである。
・グローバルスタンダードなんていうものは本来存在していない。ただ、ビハインドによる自己定位を常態にしてきた日本の政府も、企業も、自分たちが何にビハインドしているかの明確な指標が欲しいのだ。そして、それがなければ作り出す。こうしてグローバルスタンダード信仰が生まれてきたのだろう。
・グローバリズムとは世界を豊かにし、人間を貧困や圧政から解放するための社会思想でも経済思想でもなく、ビジネス勝者が勝ち続けるための、露骨な、なりふり構わないお金儲けの方便に過ぎない。
・グローバリズムをつくり上げたのは「株式会社」というシステムであり、「株式会社」というものが対抗する障壁とは「国民国家」そのものである。「株式会社」は生まれながらに超国家的な存在として、この世界に生まれてきたのである。
・株式会社は資本と経営の分離という原理において、右肩上がりの社会を前提とした発展途上モデル。
・今、日本の人口は1億3000万人から急激に減少をしていく過程にある。この国民全体が、生活水準を維持してゆく方法を考えるのが、経済政策の基本的な目標になるべきだ。日本を企業が最も活動しやすい場所にすると安倍首相は述べたが、日本は企業のためにあるのではない。
・グローバリズムが主張する正当性がトリクルダウン効果である。富めるものがより裕福になることによって露が大木から滴り落ちて枝下の雑草に注がれるように、貧乏人にも恩恵があるというのがトリクルダウン効果。もう何年も前からそのようなことが言われているが、露が大木から滴り落ちてその恩恵にあやかったなどという話は、ついぞ聞いたことがない。
・グローバリズムは、これまでのところ、資源は無限に存在し、人間はそれらの資源を無限に消費できるという前提で思考されてきた。問題は、資源の流動性が不十分であること、この世界には非効率なものが残っていることであり、それらを効率化すれば、人間は更なる資源の恩恵にあずかれると考えてきた。・・・しかし、それはビジネスという枠組みの中だけで有効性を持つ限定的な論理である。
・この本のタイトルに「病」という語を使った理由は、それが何か悪いものであるとか、無くなってしまえばよいとかいう否定一辺倒の対象ではなく、むしろうまく付き合っていかなければならないものであり、ときには必要不可欠であり、ときには毒にもなるというものを表現したいと思ったからなのです。 -
Posted by ブクログ
面白い。書かれてある内容についてはすべてにおいて
同意したいことばかり。
内田樹氏の仲間的な著者なので、内容的には
同じようなことではありますが、平川氏のほうが
論理的・理論的によくわかる気がします。
株式会社とグローバリズムに対しての警鐘。
成長すること・右肩上がりであることのみを
前提とした株式会社制度が先行きが成り立たなくなる。
そのためにグローバリズムを標榜し、国民国家の解体に
向かうということになってしまう。
それでいいのか?成長することだけが是なのか?
ということはいろんな方向で考えていく必要があるのだ
と思います。とはいえ無邪気に生活していかないと
いけない現実はあるのですが。。。